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1999年前半のショート・ニュースと噂とヨタ話と...
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走り書き程度で正式公開するには内容が不十分と思えるのですが、速報性等を考えて試験的にアップします。御意見を頂ければ幸いです。年表の作成を基本に始めたので、事件の日付順に列挙しています。ですから更新箇所はランダムです。
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(※完全に個人的な覚え書きです。裏を取ってないものや、他言無用の未確認情報故、内容は保証致しませんのであしからず)
更新:2002/04/23
1999年前半のひとりごと 1999年1月〜6月のたわごと
1998年のひとりごと 1998年のたわごと
IPニュース 1999年の最新ニュース
1999/06/30 !!!Final!!!
1. 日本の特許裁判判決、ホームページで公開へ
7月5日から遂に日本でも最近の判決文がウェブから容易に入手可能になる。しかも東京、大阪に限っては地裁判決も!
判決文のウェブ上公開が進んでいるアメリカでも、地裁判決はなかなか入手できないので、これは快挙!!!
読売オンライン社会面より。
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半導体などハイテク分野やコンピューターソフトの特許権、著作権などをめぐる複雑な知的財産権訴訟が増加している中、最高裁は29日、東京、大阪の地裁、高裁などで言い渡された同訴訟の判決全文を来月5日からインターネットで公開することを決めた。
日々進歩している先端技術をめぐる訴訟は、裁判所で新たな判断が示されるケースが多く、経済界からは「より早く、多くの判決の内容を入手したい」という声が強かった。最高裁が地裁、高裁の判決文をインターネットで公開するのは初めての試みだ。
判決は、最高裁のホームページの「知的財産権判決速報」コーナーで公開される。全国の同種訴訟のうち8割以上が係属している東京、大阪の地裁、高裁の判決についてはすべてを翌日、それ以外の地裁、高裁の判決は、著名な訴訟などに限って後日、公開する。
ただしプライバシーや企業秘密に配慮する必要がある場合には公開されない。
訴訟は、特許権侵害による損害賠償や侵害差し止め請求のほか、特許庁の審決の取り消しを求めるケースなどがある。
関連情報:
・「『知的財産権』判決をネットで速報」Yomiuri On-Line(1999年6月30日)
・最高裁ホームページ
2. 2000年訴訟制限法案、成立へ
懸念されていた2000年問題を原因とする訴訟を制限する法案につき、連邦議会とホワイトハウスが合意に達した模様。
毎日デイリーニュースより。
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2000年問題が原因のトラブルで消費者が企業相手に起こす損害賠償訴訟の頻発が予想される米国で29日、米議会とホワイトハウスが、この種の訴訟を制限する法案で合意に達した。企業救済策を主にした議会側と、消費者保護の盛り込みを求めるホワイトハウス側で長い間、綱引きが続いていたが、結局、来年の大統領選挙の有力候補であるゴア副大統領が、支援組織のハイテク企業を重視し、企業寄りの法案で決着した。2000年問題の対策にも、大統領選挙を念頭に置いた政治的妥協が行われたことから、消費者団体は「消費者の権利をはく奪したホワイトハウスを断じて許せない」と怒っている。
2000年問題では制限法案がなければ、米国では総額1兆ドルに達する訴訟が相次ぐとの試算もある。29日発表された合意案では、消費者が訴訟を起こすまでに最高90日間の猶予期間が設けられ、この間に企業がコンピュータートラブルを修復したり、法廷外での調停などが可能になる。
さらに、総額1000万ドル以下の集団訴訟は起こせないようにし、企業にとって負担の大きい集団訴訟を制限した。小企業を守るため、正社員50人未満の企業に対する訴訟は損害賠償金に特別の上限を設けた。
一方で、消費者の権利を保護するため、企業が消費者の信頼を裏切ったケースでは、消費者は全面的な利益を得られると明記した。
関連情報:
・「2000年問題:米議会と政府、消費者の訴訟制限で合意」毎日新聞(1999年6月30日)
1999/06/29
1. カリフォルニア大対ジェネンティック、まだまだ続く泥仕合
ローニュースネットワークのIP LAW CENTERより。
こないだの陪審評決不能(deadlock)に続き、当然ながら再審理が請求されたこの事件、先週の最高裁判決によってまた動きがありそうである。
ジェネンティック社は本件の裁判地(venue)としてインディアナ州インディアナポリスが妥当と主張していた。ジェ社は1990年、インディアナポリスにおいてカ大を提訴、その後カ大はジェ社をサウスサンフランシスコに提訴した。ジェ社の拠点はサウスサンフランシスコであるが、同社はイーライ・リリー社に対しても関連訴訟をインディアナポリスに提訴しており、ここが適切な裁判地であると長年主張していた。
CAFCはこの主張を受け入れ、故にカ大は裁判地の変更を余儀なくされていた。カ大は、憲法修正第11条に基づきあらゆる州機関は特許権侵害訴訟から免責されると主張したが、CAFCはカ大が特許権を取得しジェ社を脅したことで免責特権を放棄した(waived)と判断(実際はこんな単純な理由でないけど)、カ大に州の訴追免除(state immunity)なしとしている。
しかし、カレッジ・セービングス・バンク事件の最高裁判決によって、裁判地変更の判示は無効になりそうである。カ大は最高裁に上告していたが、カレッジ・セービングス・バンク事件の判決が下るまで裁量上告の可否決定は保留にされていた。先日カレッジ・セービングス・バンク事件の判決が下り、最高裁は州立大学を含む州の機関に対し、特許権侵害訴訟における訴追免除を与えた模様。
(この記事、これまでの流れを俯瞰しているが言葉を端折っているので判りにくい。)
関連情報:
・Mike Mckee, "UC Regents v. Genentech: The Changing Face of Battle.", The Recorder/Cal Law (June 29, 1999).
・College Savings Bank v. Florida Prepaid Post-Secondary Education Expense Board, 99 C.D.O.S. 4936 (1999).
・Florida Prepaid Post-Secondary Education Expense Board v. College Savings Bank, 99 C.D.O.S. 4945 (1999).
2. 米特許庁、シリコンバレー見学を再開か
4年前まで米国特許商標庁は、審査官をシリコンバレーに送り込み、最先端技術に直にふれるというプログラムを行っていた。しかし、クリントン政権の横暴(?)によって、庁予算を他の政府機関に回すという暴挙のおかげで特許庁は重大な資金難に陥り、このプログラムを断念する羽目になった。(例えば審査官向けのトレーニングコース「パテントアカデミー(Patent Academy、現"PP")」を一般に開放することもやっていたが、予算難のため中断されていた。最近復活したが、値段が恐ろしく高騰している。)
で、最近このプログラムを復活しようという動きがある。このところ審査の質の低下が非常に問題となっており、関連業界から審査の質改善の要望が強いことも受けて、審査官教育を強化しようということらしい。研究視察(sabbatical、慰安旅行?にならなきゃいいが)は結構なことかもしれないが、別件で、先行技術調査を審査官にやらせず審査のみに専念させるという案も検討されている。サーチ分野を特定して効率を高めようとか、いろいろ合理化案を検討しているが、ちょっと問題がないだろうか...
関連情報:
・Brenda Sandburg, "PTO's Destination: Silicon Valley" The Recorder/Cal Law (June 29, 1999).
3. CAFC判決−補強証拠の必要性
フィニガン対ITC事件(Finnigan Corp. v. International Trade Commission)において、CAFCは特許を無効とする証言を証拠として有効にするため補強証拠(corroboration)の必要性を検討している。担当合議体は、リッチ、ミッシェル、ローリー判事で、判決主文担当はローリー判事。
結論として、公然使用を理由に特許を無効とするには、補強証拠が必要である。
特許を無効とする証言証拠(testimonial evidence)は「明白かつ説得力のある証拠(clear and convincing evidence)」でなければならない。これまでの事件では102条(f)(冒認)や(g)(発明の優先性)等の証言には補強証拠が必要とされていた。
「証言が先行技術としての適格を有するためには、合理の原則(rule of reason)の下、当該先行技術が102条(g)の要件を具備しているという当該証拠全体(totality of the evidence)が明白かつ説得力のあるものでなければならない。冒認や発明の優先性の主張を取り巻く事実に関する発明者の主張は、それのみでは(証言を裏付ける補強証拠なしでは)明白かつ説得力のある証拠のレベルに達し得ない」(Price v. Symsek)。
今回の事件では102条(b)の他人による公然実施が問題となったが、これとて同様である。
「補強証拠の必要性は、特許を無効にする行為について証言する当事者が訴訟の結果に利害を有する(この者が被告だから)か、利害関係はないが利害関係のある当事者側に立って証言しているかに関わらない。...証人自身に利害関係がないからといって、補強証拠の要件を免除されるわけではない。(Barbed Wire Patent)」
一方、従前のトムソン社対クイックソット社事件(Thomson S.A. v. Quixote Corp.)でCAFCは、補強証拠のない証言で102条(g)を理由に特許無効としていたが、これは本件と矛盾しないという。トムソン社事件で証言した二名は訴訟当事者でない第三者(MCA社の従業員)であった。CAFCはこの事件では補強証拠なしでこれらの証言を証拠として認め、特許を無効としている。トムソン社事件では「証言の補強は、証言に係る発明者が冒認もしくは発明の優先性の問題を主張しており、争点に関わる特許クレームの優先性が認められることで利益を得る立場にある場合にのみ必要」と判示していた。しかしトムソン事件では、補強証拠のない一の証人のみしか証拠がなかったわけでなく、証人が2人いた他様々な物証があったので、(証言に係る発明者が第三者であったことなどを含め)状況全体を検討した結果、補強証拠がなくても特許無効とされたのである。要するに証拠が法的基準を満たしているかどうかの問題と言える。
さらにフィニガン事件ではITCで提示しなかった主張が、当然のことながらCAFCで採用されなかった。
関連情報:
・Finnigan Corp. v. International Trade Commission, No.98-1411 (Fed. Cir. 1999).
・Thomson S.A. v. Quixote Corp., 166 F.3d 1172, 49 USPQ2d 1530 (Fed. Cir. 1999), petition for cert. filed, 67 U.S.L.W. 3692 (U.S. May 11, 1999).
・Price v. Symsek, 988 F.2d 1187, 26 USPQ2d 1031 (Fed. Cir. 1993).
・Barbed Wire Patent, 143 U.S. 275 (1891).
4. ジオシティの無料ホームページに突然の落とし穴?(1999年7月4日追加)
無料ホームページやメールアカウント等のサービスで有名なジオシティーズは、先頃ヤフーに買収された。(かく言う私も、ホームページを初めて立ち上げるときにジオシティを練習台として使わせていただいた。)
Hot Wiredを読むと、ヤフーはジオシティにアップしたホームページの内容を同社の所有物とする旨契約を変更したらしい。
「ヤフー社のサービス規約によると、ウェブ制作者はヤフー社に対し、あらゆる形態、媒体において『コンテンツを使用、複製、修正、借用、公開、翻訳、派生的作品制作、配布、演奏、展示するための、使用料無料、恒久的、変更不能、非排他的、サブライセンス自由な権利およびライセンス』を与えなければならない。」という。さすがにちょっとやりすぎでは、と非難の声が上がっている模様。
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その後、ヤフー社は方針を変更した模様。
関連情報:
・Declan McCullagh,日本語版:林 智彦,岩坂 彰「ヤフーがジオシティーズを完全占拠」Wired News(1999年6月30日)
・Declan McCullagh,日本語版:林 智彦,合原弘子「ヤフーがジオシティーズに対する方針を変更」Wired News(1999年6月30日)
・Sandeep Junnarkar,日本語版:小山敦史「ボイコットをうけてヤフーが譲歩」CNET Japan Tech News(1999年6月30日)
・Declan McCullaph,日本語版:中嶋瑞穂,合原弘子「ジオシティーズ難民の引寄せに各サイトは懸命(上)」Wired News(1999年7月2日)
・Declan McCullagh,日本語版:合原弘子,合原亮一「ジオシティーズの紛争終結」Wired News(1999年7月8日)
1999/06/25
1. カレッジ・セービングスバンク事件の影響
まだまだ続く最高裁ネタ。ダウ・ジョーンズ社によると、昨日連邦最高裁はCAFCに対し、9年も継続しているカリフォルニア大対ジェネンティックの特許権侵害訴訟を、カレッジ・セービングスバンク判決の見地から再審理するよう命じた。
この事件、関係が複雑なのであまりつっこまないが、カリフォルニア大側は、自身が州立大学だから、主権者の免責により連邦法(特許法)違反で連邦裁判所に訴えられることはないと主張していた。CAFCはこの主張を退けている。
ダウ・ジョーンズ社といえばウォールストリート・ジャーナル、という安易な発想でWSJのホームページを探したが、この件について触れられている記事はなかった。かわりに、最高裁が今回の開廷期間1998年〜1999年で下した判決を、企業にとって重要な事項という観点からまとめた記事が本日付けで掲載されていた。これによると、州権支持はレンキスト法廷の最重要テーマの一つであるらしい。面白いので、一部紹介させていただくと、
・州を拘束する連邦法制定の権限を持つ連邦議会に新たな制限を課した。
カレッジ・セービングス・バンク対フロリダ...(College Savings Bank vs. Florida Prepaid Postsecondary Education Expense Board)
・供給者と購入者の関係における制約は、自動的に独禁法(antitrust laws)違反となるものでない。
ナイネックス社対ディスコン(Nynex Corp. vs. Discon)
・障害者差別禁止法(Americans With Disabilities Act)で保護される障害の範囲を最高裁判事は狭く解釈。
サットン対ユナイテッド航空(Sutton vs. United Airlines)
・科学者でない専門家証人(nonscientific expert witnesses)が法廷で証言できるかどうかを裁判官が判断するルールを強化。
クモー・タイヤ社対カーマイケル(Kumho Tire Co. vs. Carmichael, 119 S. Ct. 1167, 50 USPQ2d 1177 (1999).)1999年3月23日判決
多数意見:ブレーヤー判事
同意・反対意見:スティーブンス判事
"...Daubert referred only to 'scientific' knowledge because that was the nature of the expertise there at issue,"
→the Daubert "gatekeeping" obligation applies not only to "scientific" testimony, but to all expert testimony.
(※「国際法務戦略」1999年6月号、「発明」に説明あり)
情報元および関連資料:
・ROBERT S. GREENBERGER, "Businesses Win Several Decisions, But States-Rights Cases May Hurt", THE WALL STREET JOURNAL(June 25, 1999).(有料)
・Genentech Inc. v. University of California, 46 USPQ2d 1586 (Fed. Cir. 1998).
・University of California v. Eli Lilly and Co., 43 USPQ2d 1398 (Fed. Cir. 1997)
・「月刊・国際法務戦略」1999年6月号
・服部健一「日米ホットライン」発明,発明協会
2. iMacの外観はトレード・ドレス?
iMacの大ヒットにあやかり、これをまねたスタイルの周辺機器やパソコンが続々登場している。いずれもカラフルで中身が見える半透明のスケルトン仕様。しかし、度が過ぎると知的所有権問題もあり得るのでは...著作権侵害では難しいかもしれないが、トレードドレスなら該当の可能性も考えられる。トレードドレスを主張するには、外形が機能的でないことが必要だが、どう考えてもパソコンの機能にあの形状や特徴は無関係だろう...
関連情報:
・Joanna Glasner,日本語版:合原弘子,岩坂 彰「『iMac』まねっこパソコン」Wired News(1999年6月24日)
・Joel Deane,「“Think Different”しない? iMacライクマシン」ZDNet/USA(1999年6月25日)
3. 特許公報のダウンロード支援ソフト
下記のホームページで公開されている。Sissy氏作のシェアウェアで、米特許庁、日本特許庁用がそれぞれ1200円。
・Patent Re*Search ToolBox
4. 特許翻訳ソフトのバージョンアップ
ZDショッピングニュースより。
ノヴァは特許翻訳ソフト「PAT-Transer/ef Ver.2.0」(パットトランサー)の今秋発売を記念して、「無償バージョンアップ&PC-Transer/ejプレゼントキャンペーン」を開始。現行バージョンのPAT-Transer/ef購入者に対し9月発売予定の次期バージョンを無償アップグレード。これは普通だが、加えて汎用翻訳ソフト「PC-Transer/ej Ver.6.0」がもれなくプレゼントされるとのこと。キャンペーンは、新しいバージョンが発売されるまで実施。
「PC-Transer/ej Ver.6.0」は私も使っている。個人的な使用感としては、以前使用していたWindows3.1版よりは使い勝手が改良されている。しかし、依然バグがある。これまでどおり、仕事の翻訳には使っていない。英文記事のあらましを掴むとき等に使う程度。定価198,000円。パットトランサーは使ったことがないので何とも言えない。ある人から聞いたところでは、やはり実用的でないとのこと。
なお、ノヴァでは専門語辞書がホームページから無料で利用できるサービスを提供している。これはありがたい。
関連情報:
・「ノヴァが特許翻訳ソフトの無償バージョンアップキャンペーンを実施」ZDショッピングニュース(1999年6月25日)
・ノヴァのNEWS RELEASE
・辞書参照サービス
5. パテント・エージェント試験問題、Now Available!
本年4月のエージェント試験問題がL/W Patent Bar Reviewのページでアップされている。PDF形式だけど、あまり綺麗でない。特許庁の公式版に期待。現在のところ、PTOの公式ページにはまだ掲載されていない。
前回よりも長文問題は少なくなったので、日本人にはありがたい。
関連情報:
・L/W Patent Bar Review -- Homepage
・米特許庁登録統制部門(OFFICE OF ENROLLMENT AND DISCIPLINE)
1999/06/24
1. 昨日の最高裁
昨日米最高裁が下した3件の「州権擁護」判決は、本日のワシントンポスト第一面に載っていた。残念ながら、メインは特許・商標事件でなく公正労働基準法であったが...
なお、日本版ニューズウィークのホームページでは、ワシントンポストのトップニュースの幾つかが日本語で紹介されている(動くCM付)。バックナンバーは一週間前まで。
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Justices, 5-4, Strengthen State Rights
By Joan Biskupic
5対4で裁判所が州の権利を強化
最高裁判所は昨日、連邦政府から州に権限を移し、関連する3件の事例について、連邦法に準ずる個人の権利を州が侵害したと判断した場合、個人の告訴能力を実質的に制限する判決を下した。最高裁判所では意見が2つに分かれたが、この判決によって新たな面を切り開いたことになる。
High Court Overturns Asbestos Settlement
Ruling Limits Firms' Options in Class Actions
By Sharon Walsh
最高裁、アスベスト訴訟の和解を覆す
判決により、集団訴訟に関する企業の選択肢に制約が課されることに
最高裁判所は昨日、次の2点で企業が数千件の訴訟を一つの和解で収拾することを一層難しくさせる決定を行い、15億ドルによるアスベスト訴訟の和解を覆した。すなわち、判事は7対2の多数で、企業側が支払額に上限を設けてはならないことと、同一集団内でも利害が対立する人々は別々の弁護士を立てなければならないという決定を下したのである。
(c)1998 The Washington Post Company
(c)1998 TBS-Britannica Co., Ltd.
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もう一つワシントンポストネタ。ワシントンポスト新聞版(?)に、州の免責を扱った最高裁判決がまとめられているのでご紹介します。近年、最高裁は連邦議会の権限を縮減する方向にあるようです。
最高裁がこれまで無効とした主なもの:
・低レベル放射性廃棄物の投棄を規制するよう州に要求した連邦法の一部
1992年 ニューヨーク州対米国連邦政府事件(New York v. United States)
・連邦政府が公立学校の1,000フィート以内に銃を持ち込むことを禁止しようとしたことは、(憲法1条に定められた)州際通商(interstate commerce)を規制する権限を逸脱するもの
1995年 米国連邦政府対ロペス事件(United States v. Lopez, 1995)
・インディアン居留区のギャンブル契約の交渉が不調に終わった場合、インディアン種族が連邦裁判所に訴え出ることを認めたインディアン賭博規制法の一部
1996年 セミノール族対フロリダ州事件(Seminole Tribe of Florida v. Florida, 1996)
・健康上、安全上その他の「やむを得ない必要性」がある場合にのみ、政府が宗教上の活動に介入することを認めた「信仰の自由回復法(The Religious Freedom Restoration Act)」
1997年 ブーン市対フロレス事件(City of Boerne v. Flores, 1997)
・拳銃購入希望者の経歴を調査するよう地方自治体の保安官に命じた「ブレイディ拳銃暴力防止法(Brady Handgun Violence Prevention Act)」の一部
1997年 プリンツ対米連邦政府(Printz v. United States, 1997)
情報元:
・ニューズウィーク日本版「ワシントンポスト:今日のヘッドライン」Newsweek Japan Online(1999年6月24日)
・Joan Biskupic, "Justices, 5-4, Strengthen State Rights", Washington Post (June 24, 1999).
(オンライン版)
(新聞版、年表付でちょい詳しい※大文字に注意)
2. 2000年問題の訴訟制限法案、何とかして通したい財界
2000年問題により多発すると危惧されている訴訟を制限する法案の、前途は依然暗い。経済界としては、できるだけ訴えられるリスクを抑えたいから法案を通したいのだが、例によって民主党の反対等のため成立は容易でなく、大統領の拒否権発動が予想されている。なんとか、議会を説得して法制化を図ろうとしているとの記事。
関連情報:
・AP通信"Congress Urged To Negotiate Y2K Bill", New York Times (June 24, 1999).
1999/06/23
1. 州を特許、商標裁判にかけることはできない!(修正中)
カレッジ・セービングス・バンク事件、最高裁で判決下る
本日、特許権侵害、虚偽宣伝による商標法違反で州政府を連邦裁判所に訴えることの可否が争われていた裁判の判決が、共に最高裁で下された。結果は、不可。
州の免責を無効にした連邦法は、憲法修正14条5項のデュープロセス条項の保障を根拠に立法化された法律として認められないので、無効であるという。
州を訴えることが出来ないとは驚くべき結論であるが、最近の最高裁の動向を見ていると、なんとなく予想できた結果でもある。
先日のザーコウ事件でも、最高裁はCAFCの大法廷判決を覆していた。今回の事件は大法廷ではないものの、やはりCAFCの判決を覆している。ヒルトンデイビス事件以降の展開を見ていると最高裁の判断と離れる方向に進みつつあるようにも思えるCAFCに対し、最高裁は警鐘を鳴らしているのだろうか?
それはさておき、この問題は憲法や連邦と州の問題といったアメリカ特有の、法技術的な問題をはらんでいるので、特許関係者としては理論に深入りしなくても結論さえ押さえておけば十分と思われる。しかし、検討してみると面白い...
1998年〜1999年の最高裁審理日程最終日となった本日、州権の拡大を認める判決3件がまとめて出された。予想されていたとおり、すべての事件が5対4の僅差できれいに割れている。決定票を握っているとされたケネディ判事(Justice Anthony Kennedy)が州権擁護側に付いたため、この結果となった。州権拡大を主張する保守派が、レンキスト裁判長をはじめとするオコナー、スカリア、ケネディ、トーマス判事。これに対するリベラル派はスティーブンス、ソーター、ギンスバーグ、ブレイヤー判事。(保守派の最高裁判事は、全員がレーガン政権もしくはブッシュ政権時に任命もしくは昇進されている。もちろん、リベラル派はクリントン政権。)
州権擁護の保守派は、特許法及び商標法(及び著作権法も?)の一部(「保護明確化法」と名付けられた、州を被告として侵害訴訟を提訴できる旨を確認的に定めた規定)が、憲法修正11条に基づき違憲であると判断している。具体的には、1992年に改正された上記法律の「明確化法」制定によって、州の免責を無効にしようとした連邦議会の行為は憲法違反である、とした。
とにかく結論としては、州政府やその機関を訴えることが極めて困難、事実上不可能となった訳だ。例えば、州立大学や病院などで特許権侵害が起こっているとしても、これらの機関を訴えることはできない。また商標権も問題となり得る。(今回争われたのは、商標権侵害ではなく、出所混同を生じさせる虚偽の広告行為であるが、直接商標権侵害が起こった場合も十分危ない。)
この分でいくと、今回の判決を待って審理が再開されると思われるチャベス事件(Chavez v. Arte Publico Press)についても、ほぼ間違いなく著作権侵害で州を連邦裁判所に提訴不可との判決が下されると予想される。
また余談であるが、これらの法と同様に州を被告として提訴することを規定していた公正労働基準法(Fair Labor Standards Act of 1938)が争われたオールデン対メーン州事件も、同日判決が下されている(ALDEN et al. v. MAINE, No. 98-436 (U.S. 1999).)。未払い賃金の支払いを求めて職員が地方自治体を訴えていた事件で、こちらも州側の勝ち。この事件では既に法律自体の違憲性には決着が付いていて、じゃあ州裁判所に訴えたらよかろうということで原告側は改めて州裁判所に提訴したものの、結局州裁判所でもダメ、ということに。
この判決を書いているのはケネディ判事。判決によれば、合衆国憲法の「構成及び歴史」は州政府を連邦裁判所において提訴することから保護しているだけでなく、連邦法上の権利行使を求めて州裁判所へ提訴した個人による訴追からも免責される、とのこと。
ケネディ判事「連邦政府は強大な権限を有しているが、すべての権限を有している訳ではない。...憲法に基づき連邦政府に委譲された権限には、州裁判所において損害賠償を求める個人の訴訟に対し、提訴に同意していない州を従わせる権限は含まれていない。」
これに反対意見を書いたソーター判事は、自身の反対意見を裁判官席から11分もかけて読み上げるという珍しいやり方で、強く反対の意を表明した。
ソーター判事「『法を超える者は存在しない('no man is above the law')』という原則は、アメリカ大統領から末端の公務員まで適用されており、同様に州にも適用されなければならない。」
関連情報:
・FINDLAW US SUPREME COURT CASE SUMMARIES, (June 23, 1999).
・U.S. high court expands states' immunity from suits.", FindLaw (June 23, 1999).
・"Supreme Court Boosts States' Rights", (AP通信発) NY Times (June 23, 1999).
・LINDA GREENHOUSE, "States Are Given New Legal Shield by Supreme Court." New York Times (June 24, 1999).
・Bill Scanlon, Gregory Aharonian, "Supreme Court says states can't be sued for IP infringement" Internet Patent News (June 23, 1999).
・Florida Prepaid Postsecondary Education Expense Board v. College Savings Bank, 98-531 (U.S. 1999). (College Savings Bank II)(特許権侵害が「カレッジ・セービングスバンク『2』」)
判決文はレンキスト裁判長自らが担当し、オコナー、スカリア、ケネディ、トーマス判事が賛同。反対意見はスティーブンス判事が担当、ソーター、ギンスバーグ、ブレイヤー判事が賛同。
・College Savings Bank v. Florida Prepaid Postsecondary Education Expense Board, 98-149 (U.S. 1999). (College Savings Bank I)(商標法に基づく虚偽宣伝)
判決文はスカリア判事が担当、レンキスト、オコナー、ケネディ、トーマス判事が賛同。反対意見はスティーブンス判事が担当。ブレイヤー判事も反対意見、これにスティーブンス(再度)、ソーター、ギンスバーグ判事が賛同。
・Alden et al. v. Maine, No. 98-436 (U.S. 1999).(公正労働基準法の違憲性)
判決文はケネディ判事が担当、レンキスト、オコナー、スカリア、トーマス判事が賛同。反対意見はソーター判事が起草、スティーブンス、ギンスバーグ、ブレイヤー判事が賛同。
・College Savings Bank v. Florida Prepaid Postsecondary Education Expense Board, 148 F.3d 1355, 47 USPQ2d 1161 (Fed. Cir. 1998)
・College Savings Bank v. Florida Prepaid Postsecondary Education Expense Board, 131 F.3d 353, 45 USPQ2d 1001 (3rd Cir. 1997)
・Chavez v. Arte Publico Press, 139 F.3d 504 (5th Cir.), modified, 157 F.3d 282, 48 USPQ2d 1132 (5th Cir. 1998), rehearing en banc granted (Oct. 1, 1998).(著作権侵害と商標法違反、現在休廷中)
・Seminole Tribe of Florida v. Florida, 517 U.S. 44, 116 S.Ct. 1114 (1996)
・憲法修正条項の原文
・Brenda Sandburg, "Justices Issue States Free Pass in Patent Lawsuits" The Recorder/Cal Law (June 23, 1999).
・"Enforcement of Federal Rights in States Is Limited by Court: Alden v. Maine", Law News Network (June 23, 1999).
1999/06/21
1. 違法コピーは高くつく
違法コピーをしていた企業が、損害賠償に対する和解金として1億57万8318円をソフト会社7社に支払った。ソフトの価格が驚異的に安くなった今日、一億円以上払うリスクをおかしてまで違法コピーを使うのは、果たして得策なのか。。。違法コピーの問題を今一度見直そう。
毎日デイリーメール他より。
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コンピューターソフトウエアの権利保護団体「ビジネス・ソフトウェア・アライアンス」(BSA、本部:ワシントンDC)は21日、会員7社のビジネスソフトの違法コピーを社内利用していた京都府内の中堅ソフトメーカーに対して起こした訴訟が、被告会社が約1億円支払うことを条件に和解すると発表した。BSAの申し立てに基づき京都地裁は今年2月にこのメーカーに対する証拠保全手続きを執行。同地裁の検証と、その後の被告側の自主調査の結果、大量なビジネスソフトの違法コピー利用の事実が分かったといい、BSA側とメーカーとの間で和解交渉が進められていた。
関連情報:
・毎日新聞社Daily Mail編集部「コピー訴訟、1億円で和解:BSA、京都府のソフトメーカーと」Mainichi Daily Mail Internet In-Box Direct(1999年6月21日)
・田中 一実「違法ソフトのコピーで1億円を超える和解金--BSA発表」日経BizTechNews(1999年6月21日)
1999/06/18
1. CAFC判決:112条補正と主張しても禁反言(さらに修正)
ローラル・フェアチャイルド社対ソニー事件でCAFCは1999年6月8日、ソニー側非侵害としたニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所の判決を維持。合議体はミッシェル、アーチャー、プレーガー判事で、現在シニアのアーチャーが判決文を起草。
ローラル社はソニーを始め多くの家電メーカーを訴えているが、他の事件は本件の判決があるまで中断している。
地裁ではソニー側の申し立てた文言侵害なしのサマリージャッジメントが認められたが、均等論侵害なしのサマリージャッジメントは認められなかった。陪審は均等論侵害ありと評決したが、裁判官はソニー側の申し立てた均等論非侵害のJMOLの申立(Motion for Jadgement as a Matter Of Law)を認めた。要するに、陪審評決を無視し、ソニー非侵害と判決したのである。これに対しローラル側はCAFCに控訴した。
ローラル側は2件の特許権につき侵害を主張している。いずれもCCD技術に関する半導体の製造方法である。ソニーの製品と特許クレームはモノは同じだが、製造方法が異なり、クレームの工程中、第4工程が第3工程よりも先に来る点が異なっていた。争点は、特許の審査段階で引例に基づく拒絶理由に対しクレームを補正した出願人が、放棄した範囲。
この特許につき、審査段階での補正はクレーム明確化を理由とする米特許法112条違反の拒絶理由に対するものと主張したが、CAFCは「特許性に関する理由」の補正と判断、したがって禁反言適用により均等論侵害なしとした。
従前の事件(リットン対ハネウェル事件、バイ事件、セクスタント事件等)でもそのように言及していたが、要するに引例回避の補正をクレーム回避の補正に見せかけてもダメだ、ということ。
関連情報:
・IPO Daily News
・BNA's Patent, Trademark, and Copyright Journal
・Loral Fairchild Corp. v. Sony Corp., No. 97-1017 (Fed. Cir. 1999).
1999/06/17
1. さらばDivx
DVDプレーヤの拡張版、Divx(Digital Video Express)のサービスが停止されるとのこと。
基本的にDVDと同じだが、Divxのソフトは5ドルくらいで買える(普通のDVD映画ソフトは20〜25ドル程度)。最初に再生した日から2日間は自由に再生できるが、以後は再生できない。要するに、レンタルして返さなくて良い使い捨て(買い取り)ディスクのようなもの。
Divxソフトの再生には、Divx対応のDVDプレーヤが必要だが、「サーキットシティ」でしか売ってなかった。なぜかな〜と気にはなっていたが...
米では昨年末の感謝祭商戦あたりからDVDが攻勢に出ている。プレーヤーは300ドル位から購入できる。このためLDは全く奮わなくなり、売り場面積をDVDに奪われついに消滅してしまった。なお、DVDソフトのレンタルも既に開始されている。
ところで、Divxはサーキットシティとロサンゼルスのエンターテイメント関係法律事務所Ziffren, Brittenham, Branca & Fischerのジョイベンだったらしい。法律事務所が関与しているとは、さすがはアメリカ!
日経エレクトロニクスDigital Storageより
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DVD(ディジタル・ビデオ・ディスク)ソフトの新しい販売システムの事業を展開してきた米Digital Video Express, L.P.は1999年6月16日、事業の不振を理由に業務を停止すると発表した。Digital Video Express社は、米家電販売大手のCircuit City Stores,Inc.とロサンゼルスの法律事務所などが共同で設立した会社である。
同社は「Divx」と呼ぶ、DVDソフトの新しい課金方式を1997年9月に発表し、対応するプレーヤやDVDソフトを販売していた。Divxは、セル・スルーとビデオ・レンタルを組み合わせた方式である。まず、Divx対応のDVDディスクを5米ドル以下と低価格で販売する。ディスクを購入したユーザは、たとえば2日間は自由に見ることができる。この期間を超えると、Divxディスクは再生できなくなる。ただし、Divxプレーヤを公衆電話回線などに接続し、オンラインで追加視聴権を3?3.5米ドル程度で購入すれば、再度視聴できる。視聴するときの価格はビデオ・レンタルとほぼ同等だが、ディスクそのものはユーザの所有になるため、返却しなくてよい。ユニークな課金方式にもかかわらず、しかし、Divxディスクは一般のDVDプレーヤでは再生できないため、発表当時から一部のDVDユーザから反発を買うなど、前途は多難とみられていた。
今回、業務の停止に追い込まれた理由について同社は「映画会社の協力が思ったよりも広げられなかったことや、Circuit City以外の小売り店がDivx対応DVDプレーヤの販売に消極的だったこと」などを挙げている。
業務停止にともない、同社は1999年6月16日までにDivx対応プレーヤを購入したユーザについて100米ドルの現金を返還する予定。さらに、Divx対応のDVDソフトは、2001年の6月30日まで自由に視聴できるようにする。Circuit Store社はDivx事業関連で、税引き後で1億1400万米ドルの損失を計上するもよう。
関連情報:
・原田 衛,「『Divx』の米Digital Video Express、業務を停止」日経エレクトロニクス,Digital Storage(1999年6月17日)
・Miran Chun,「Divxの失敗からMP3と音楽業界が学ぶべき教訓」ZD Net(1999年7月9日)(音楽ファイル規格MP3やRioに関する判決等)
1999/06/16
1. MP3プレーヤ「RIO」は違法でない
ロイター、AP通信その他より
ダイヤモンド・マルチメディア・システムズ社(Diamond Multimedia Systems Inc.)がMP3ファイルを再生できる携帯型プレーヤ「RIO」を発表したとき、音楽業界は「違法コピーを助長するもの」として反発した。米レコード協会(Recording Industry Association of America (RIAA))はRIOの販売差し止めを訴えた。しかし、当初のRIO発売予定日から10日ほど延期されたものの、連邦地方裁判所は昨秋この訴えを退けた。これに対して原告側は控訴していたが、昨日この控訴を棄却する判決が出された。
第9巡回控訴裁判所は、3対0の全員一致で差し止め請求却下を適法とし、さらにRIOがオーディオ家庭録音法(Audio Home Recording Act of 1992)に違反していないとも判断した。原告側はRIOがデジタル録音機器(digital audio recording device)」であり、同法が要求するコピー防止方式「SCMS(serial copyright management system)」を備えていないのは違法であると主張していた。これに対し第9巡回控訴裁判所は、RIOがCD等から音楽データのファイルを直接コピーすることも、転送やアップロードもできず、単に一旦コンピュータのハードディスクに落とし込まれたデータをコピーできるのみであるから、「デジタル録音機器」に当たらないと結論した。判決によると、同法はデジタルオーディオ録音物(digital music recordings)からコピーする装置のみを禁じており、RIOのようにハードディスクからコピーする装置を禁じるものでないという。
今やRIOに限らず多くのメーカーが類似の装置を発表、販売しているし、当の音楽業界も法的に阻止することが困難と見てか、新技術に反対するよりもこれをどうやって生かすかという方向に転換を余儀なくされている模様。
関連情報
・Bob Egelko(Associated Press), "Court Supports Portable MP3 Player ", Washington Post (June 15, 1999)
・"MP3 rebels party as music giants struggle with Net", Reuters: SAN DIEGO, Calif. (June 15, 1999).
・Dawn Kawamoto,日本語版:寺下朋子「MP3裁判でダイアモンド勝訴」C NET Japan Technical News(1999年6月15日)
・Polly Sprenger,日本語版:喜多智栄子,合原弘子「『リオ』がRIAAに勝訴」Wired News(1999年6月15日)
・高橋史忠「『MP3プレーヤは違法ではない』RIAAとの裁判でDiamond社に勝訴判決」日経エレクトロニクス,ディジタル・コンテンツ流通(1999年6月16日)
・BRENDA SANDBURG, "Court Upholds Rio Player: Ninth Circuit rules that the portable music player does not run afoul of recording piracy laws.", IP Mag.com (June 16, 1999).
・Recording Industry Association v. Diamond Multimedia, No. 98-56727 (9th Cir. 1999).
・井上雅夫氏による上記判決文の翻訳
・The Audio Home Recording Act of 1992: COPYRIGHT ACT OF 1976, AS AMENDED
・Dawn Kawamoto, "MP3 device makers win key court ruling", CNET News.com(June 15, 1999).
2. 2000年問題の訴訟制限法案、上院で可決
ワシントンポストより。
火曜日、2000年問題で起こる訴訟を制限するための法案が上院を通過した。しかし、投票結果は62対37で3分の2に達していない。通常、上下院を通過した法案は大統領の署名により法律として発効するが、大統領は拒否権を行使することもできる。拒否権を超えて法を発効するには3分の2の投票が必要となる。クリントン大統領は拒否権行使を公言しているため、今後両者間の協議が予想される。
法案では、従業員50人以下の企業では懲罰的損害賠償額を25万ドルまでに制限し、またすべての企業に対し2000年問題解決のため90日の猶予を与えるとなっている。
情報元
・DAVID E. ROSENBAUM, "Senate Passes Bill to Curb Suits on Year 2000 Computer Bug", Washington Post (June 16, 1999).
・John Moore, "Senate passes Y2K bill.", Sm@rt Reseller (June 15, 1999).
・「Y2K法案が上院を通過」ZDNN(1999年6月16日)
1999/06/15
1. 特許庁庁舎ビル移転
IPOデイリーニュースによると、特許庁の庁舎移転が正式に決まった模様である。発表によると、現在の庁舎ビルがあるバージニア州アーリントン郡のクリスタル・シティから約5マイル南へ下ったカーライル・ストリートに新庁舎ビルが建設され、2004年に移転するとのことである。(現在係争中の訴訟で問題がでない限りは。現在の庁舎ビルのオーナーであるスミス社が政府を訴えている。)
・IPOデイリーニュース
・Office of Space Acquisition
特許庁の移転計画。移転先の地図が見える
・PTOの正式発表
1999/06/14
1. CAFC判決−パル社対ヒメージャー社事件
パル社の血液濾過装置に関する特許を文言侵害としたニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所のサマリージャッジメントを、CAFCは覆した。このところ、CAFCはアンチパテント寄りである。プロパテントで有名なニューマン判事が判決文を担当。合議体の他の判事はメイヤー、シャル判事。
文言侵害なしで、均等論侵害もなし。引例回避のため追加した新クレームなので、審査経過禁反言が適用された。
原告側は、地裁が文言侵害を認定したため均等論侵害を検討していないとして、本件を中間控訴("interlocutory appeal"、まだ決着はついてないから地裁に差し戻して戦闘再開だ)と主張。しかし、CAFCは原告に勝ち目なしとして逆転自判決(reversed)とした。
「原告の主張、『文言侵害を逆転した後の正しい手順は、均等論侵害の争点を地裁に差し戻すこと』を我々は注意深く検討した。控訴審においては、争点に係る事実にさえ原告側が勝てないとき、法律問題として相手方に有利な判決を認めることができる。コール対キンバリー・クラーク事件参照(Cole v. Kimberly-Clark Corp., 102 F.3d 524, 41 USPQ2d 1001 (Fed. Cir. 1996)、均等論侵害を差戻審で認定できるか否かの問題を、法律問題として決定)」
「原告のイ号装置の構造に関し争いはない。...既に述べたように、審査経過禁反言、クレーム解釈、イ号の構成等を審理した結果、原告側が均等を立証できる合理的な根拠は存在しないと我々は結論する。したがって、均等の問題を地裁に差し戻すことは妥当でない。」
関連情報
・1999年6月14日付 IPOデイリーニュース
・Pall Corp. v. Hemasure Inc., 98-1388 (Fed. Cir. 1999).
1999/06/11
1. サーチエンジン用「キーワード」の登録
先日思うところあって、このホームページを(未だ未完成、不十分であるが)検索エンジンに登録してみた(6月1日付)。この分野では有名な「一発太郎」という、サーチエンジンの登録を自動でやってくれるサイトを利用させて頂いた。極めて有用なサービスを無料で提供されている作者の方に深く感謝し、このようなボランティアで支えられているインターネットのありがたさを実感した。
「一発太郎」を利用する前に使用方法や注意事項などに目を通していると、すごいことが書いてあった。
(Q&Aを見ていると、好意でサイトを運営されている方にこんな口調で質問やら苦情やらをメールしてもいいの?という書き込みがかなりあったので驚きました。まだまだ私などはこの方面に疎いというか甘いというか、とにかく無知なことが多いですが、最低限の節度は守りたいなと部外者の目から自戒しました。ネットでは相手の顔が見えないので普段喋るときよりも強い言葉を使って相手を傷つけることがあると聞きましたが、こういったところにも表れているのでしょうか。)
サーチエンジンでのヒット率を上げるためには、キーワードに内容と関係のない言葉をちりばめておく、という裏技があるらしい。こんなものは裏技でも何でもない単なる詐欺行為だし、そこまでして...と思う。別のページにはもっとすごいテクニックも披露されており呆れてしまったが、こんなことをすると信用問題どころか、法律違反にもなり得るということを知っておきたい。
1997年9月8日付の古い事件だが、プレイボーイ事件(Playboy Enterprises Inc. v. Calvin Designer Label)でカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は商標権侵害による使用差し止めの仮処分を認めている。
訴えの一つは、原告がplayboyxxx.comとplaymatelive.comというドメイン名を使っていたことだが、もう一つは、サーチエンジンが読み取るキーワードにプレイボーイの名前を使っていたこと。
HTMLで書かれたホームページは、タグと呼ばれる情報を埋め込まれている。このうち、メタタグ(META TAG)で埋め込まれたキーワードをロボット型のサーチエンジンは自動収集して、キーワードとするようだ。しかしこのような情報は、通常は見えない。
例えば、モスバーガーのホームページに、キーワードとしてマクドナルドの名前を入れておくようなもの。マクドナルドのサイトを見たくてヤフーで調べたら、モスバーガーが出てくる、というわけ。(現実にはヤフーは内容を確認してるそうなので、これはあくまで「たとえ」です。)
商標権侵害の可能性が高いうえ、使用者のミスリードを招く使い方でしょう。
ちなみに、プレイボーイといえばサーチエンジンを運営するエキサイトやネットスケープを相手取っての訴訟も起こしていた。こちらはちょっと事情が異なり、キーワードに「プレイボーイ」「プレイメイト」(どちらも登録商標)と入力すると、他社のアダルト企業のバナー広告が現れるというもの。上の例を使えば、「マクド」と入力すると、カラー画像でうまそうなモスの広告が現れ、クリックを誘う、というもの(マクドのリンクは普通通りの単なる文字説明)。こっちはちょっと複雑ですが...
関連情報
・Playboy Enterprises Inc. v. Calvin Designer Label, No. C97-3204 (DC NCalif 1997).
・"Hidden Use of Trademarks on Web Site May Infringe" BNA's PTCJ, Volume 54, Number 1343 (September 18, 1997).
・一発太郎
・大澤健一「サーチエンジンはTM侵害か?」IPサークル・Cyberspace law (1999年3月10日)
・CARL S. KAPLAN, "Lawsuits Challenge Search Engines' Practice of 'Selling' Trademarks" New York Times (Feb. 12, 1999).
・Mitchell Zimmerman (Fenwick & West), "Free Ride: Is Advertising on Search Engines 'Results' Screens Trademark Infringement?" FindLaw Library (April 1999).(後段の事件について、現在3件の訴訟が係属しているそうな。この記事によれば、こういった商標の使い方、要するに有名ブランドをキーワードにして広告スペースを競業他社に売る方法が法律違反にあたるかどうかは、先例がないらしい。まさに「フリーライド(只乗)」だと思うが。)
・Estee Lauder Inc. v. The Fragrance Counter Inc., No. 99 Civ. 0382 (S.D.N.Y. March 5, 1999).
・Playboy Enterprises Inc. v. Netscape Communications Corp., No. 99-320 (C.D. Cal. Feb. 5, 1999).
・Playboy Enterprises Inc. v. Excite Inc., No. 99-321 (C.D. Cal. Feb. 5, 1999).
2. パテント・エージェント試験、合格発表。
本年4月27日に行われた米パテント・エージェント試験の通知がきているようです。合格された方々、おめでとうございます。
試験問題は、まだ公開されていない。公開されるとすれば、米特許庁の以下のページか?
・米特許庁登録統制部門(OFFICE OF ENROLLMENT AND DISCIPLINE)
3. シカゴを安全にした法律も、最高裁の手で無効に
全く知財とは関係ないが、ニュースで印象に残ったので。
以下、日本版ニューズウィークによるワシントンポスト日本語ヘッドラインより引用。
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「最高裁、彷徨を禁止する条例を却下:ギャング取締りが目的の条例、あいまいすぎると判断」
Supreme Court Strikes Anti-Loitering Ordinance Law Aimed at Gangs Is Called Too Vague
By Joan Biskupic
最高裁は昨日、各都市は、ギャングの一味との疑いがあると勝手に判断して、それらの人々が公共の場でうろつくことを禁止することはできないとの判決を下した。これにより、地元の市街地を安全にしようという賛否両論のある手法は却下された。
(c)1998 The Washington Post Company
(c)1998 TBS-Britannica Co., Ltd.
情報元:
・ニューズウィーク日本版「ワシントンポスト:今日のヘッドライン」Newsweek Japan Online(1999年6月11日)(※バックナンバーは一週間前まで)
1999/06/07
1. 米国の輸出規制も電子商取引では有名無実化
日経マルティメディアより。
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国内の電子商店でも、より安全な128ビット暗号のSSL(SecureSockets Layer)を利用できる――。128ビット暗号の利用に必要なサーバー用のデジタル証明書は、一般の電子商店でも取得できることが判明した。
SSLはWebブラウザーとWebサーバーとの間で暗号通信するための仕組み。国内では通常40ビット暗号が使われている。128ビット対応のSSLは128ビット暗号を利用できるため、40ビットのSSLに比べて「10の26乗倍」も安全になる。米国の暗号輸出規制のため、日本では128ビット暗号の利用に制限があったが、98年12月に米国政府が規制を緩和し、金融機関に加えてヘルスケア関連企業などでも128ビット暗号を利用できるようになった。
こうした米国政府の規制緩和を受けて、電子認証会社の米ベリサイン社は日本など海外向けに128ビットSSL対応のデジタル証明書を発行するサービス「Global Site」を提供している。日本でも99年4月に同様のサービスを開始した。実は今回の規制緩和は「オンライン・マーチャント」、つまり電子商店も対象にしているが、日本ベリサインは安全性の理由から、一般の電子商店への128ビット対応のデジタル証明書の発行は見送っていた。
ただ今回ベリサイン本社に直接申請すれば、原則的には日本の電子商店でも128ビット対応のデジタル証明書を取得できることが判明した。これにより、薬品など武器に使われる可能性のある商品を販売しない限り、米国国内と同等の高い安全性を持つSSLを利用できることになる。
関連情報:
・永井学,「日本でも128ビット暗号が利用可能--米国の輸出規制もECでは有名無実化」日経BizTechニュース(1999年6月7日)
・Global Site
2. 改正特許法の法案
何とか通過しそうな今年の特許法改正。今回はローラバッカー議員が支持に回っているので、見込みもちょい高。
Greg Aharonian氏が運営するインターネット・パテントニュースでは、なんで彼が寝返ったのかという噂を披露、あいかわらずスカしています。彼曰く、「(議員再選のため)共和党幹部とお近づきにならんがため」「(個人発明家や小企業など、これまで彼を支持していた)団体が法案阻止のための費用として、カネを同議員に『寄付』しなかったから」等々。もっとすごいのは、同議員の妻が訴追されていた事件のウラ事情。選挙運動の汚職に関わったかどによりローラバッカー議員の妻Rhonda Carmonyは重犯罪(軽犯罪に減刑された)の訴追を受けた。同議員は支持を求めて個人発明家団体に近づいたが、彼らは知的所有権と無関係な問題故一蹴した。今回の同氏の裏切りは、この報復措置では???とゆーのである。
法案の原文は、米議会図書館のホームページから閲覧可能。
関連情報:
・Greg Aharonian, "Complaints about rushed patent bill; Why Rohrabacher's
betrayal?", Internet Patent News Service, #19990606.
・American Inventors Protection Act of 1999 (Introduced in the House)
・BNAのサイト
3. 2000年問題非対応ソフトの訴訟却下
日経BizITより
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「2000年問題に非対応のシステムを売りつけた」として、昨年12月にIBMとソフト会社がイリノイ州の婦人科医から訴訟を起こされていたが、このほど、裁判所がこの訴えを却下した。
情報元:
・「IBMなどを訴えた2000年問題非対応ソフトの訴訟、裁判所が却下」日経(1999年6月7日)
1999/06/04
1. 富士フィルム、ITCで勝利
政治的だと批判のあった(訴えたらほとんど勝つから)米国際貿易委員会(ITC)に、富士フィルムが1998年2月、計26社に対しレンズ付フィルムに関する15件の特許権侵害で輸入差し止めを求めていた事件で、排除命令を得たらしい。テストダイレクトより。
富士フィルムのホームページ、プレスリリースより。
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ITCは、1998年2月に富士フイルムが提起したレンズ付フィルムの特許侵害に関する申立について、被申立人(26社)が富士フイルムの米国における特許を侵害していると認定し、特許を侵害するレンズ付フィルムの米国への輸入禁止を最終決定したものです。これは、被申立人以外の 事業者も対象としています。尚、この一般排除命令は、大統領承認(60日以内)を経て確定します。
関連情報:
・「富士写真フィルムが使い捨てカメラでITC排除命令獲得」知財ニュース速報サービス,テスコダイレクト(1999年6月4日)
・ITCのホームページには記載がなかった。
・「米国国際貿易委員会(ITC)が、富士フイルムの特許を侵害しているレンズ付フィルムの米国への輸入禁止を決定」富士写真フイルム株式会社(1999年6月4日)
2. 日本も国有特許開放策
「バイ・ドール法」にならう 朝日新聞より
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企業の競争力を高めるため、通産省は国が持つ特許権などの知的財産権について、積極的に民間に開放する方針を固めた。民間への委託研究はこれまで、特許権を国に帰属させていたが、今後は実際の研究機関に与えるという。国有特許が製品化されて市場に出回ることは少なく、「持っているだけでは意味がない」ため。米国の好景気が国からの技術移転で支えられたという判断もあり、米国で効果を上げた「バイ・ドール法」の日本版の法案を今秋の臨時国会に提出する予定だ。
国が持つ特許権には、国の研究機関や国立大学が開発したもののほか、企業や民間の研究機関へ委託したものがある。今回の法案では委託研究分について抜本的に制度を変える。これまでは「資金は国が出している」という理由で国が全面的に特許権を得ていたが、今後は委託先の企業や団体が希望した場合、すべての権利を取得できる。その場合も期間を区切って「製品化する」という条件を付け、高い技術力を持った商品の生産に結びつける意向だ。
情報元:
・「国の特許独り占めしません:通産省、民間に開放へ」asahi.com最新ニュース(1999年6月4日)
1999/06/03
1. ウェスト対マシューベンダー、上告却下
1999年6月3日付Law News Network「Today's Legal News」より
1999年6月1日連邦最高裁は、ウェスト社が上告していた2件の著作権侵害事件を取り上げないことを発表した(要するに上告不受理)。うち一件は、同社がマシューベンダー社を訴えていたもの。(West, West Publishing Co. v. Matthew Bender & Co. Inc.)
ウェスト社はミネアポリス州セントルイスに拠を置く法律サービスの最大手で、ご存じの通り法律データベースWESTLAW等の提供を始め、判例を広範に渡り収集している。ウェスト社の発行する判例集はほとんど公式の判例集であるから、そのページ番号は特定の事件を引用する際に重要となる。よって他社の判例集でも、判例を引用する際にはウェスト社の判例集の巻数とページ番号による引用を併記して利用者の便を図っていることが多い。そこでウェスト社はページ番号の割り振りに関して著作権を主張し、他社を抑えようと試みたのが今回の事件であると思われる。
ウェスト社は「星形ページ指定("star pagination" )」というシステムに著作権を主張した。判例は通常判例集のページ番号で表記されるが、例えばWESTLAW等コンピュータ画面上で表示するものでは、本の一ページ分とスクリーン画面が一致しなくなる。よって、判例集でページの区切りに当たる部分を星印で表示して、利用者が判例集の何ページを閲覧しているかを判断できる。さらにウェスト社は、裁判所の事件番号や併記引用等を文書中に追加した「編集上の拡張(editorial enhancements)」についても著作権を主張していた。
しかし1998年11月3日、第2巡回裁判所はこれらの追加は著作権を生じさせるに不十分として、訴えを退けていた。(第2巡回控訴裁判所の判決内容は、発明協会発行の「発明」紙上で服部健一先生が「日米ホットライン」で紹介されている。)
関連情報:
・Brenda Sandburg, "West Denied Supreme Court Review On Copyright Claim:Legal publishers at West Group have fallen short in their effort to copyright internal pagination and editorial enhancements to", The Recorder/Cal Law (June 3, 1999).
・最高裁の命令一覧
・West, West Publishing Co. v. Matthew Bender & Co. Inc., 98-1500 (U.S. 1998).
・Matthew Bender & Co. v. West Publishing Co., 48 USPQ2d 1545 (2nd Cir. 1998).
・West Publishing Co. v. HyperLaw Inc., 98-1519 (U.S. 1998).
・Matthew Bender & Co. v. West Publishing Co., 48 USPQ2d 1560 (2nd Cir. 1998).
・服部健一「日米ホットライン」発明1999年4月号,発明協会(1999年)
『判決集の巻数及び頁番号は、作成が容易にできる場合は著作権保護の対象にならない』
・Young Working Group(YWG)「MATTHEW BENDER & CO. v. WEST PUBLISHING CO.事件」ソフトウェア情報センター(SOFTIC)
上記事件高裁判決の判例要旨
2. カリフォルニア大対ジェネンティック、陪審不一致
上記事件で陪審は6日間の陪審評議の結果、8対1で分かれたまま意見がまとまらず、評決不能となった。カ大は再審理を請求する模様。州裁判所での民事事件と異なり、連邦裁判所では陪審評決が9対3で一日続くと、裁判所は当事者が同意した場合を除き評決不成立としなければならないらしい。8人がカリフォルニア大側の主張を認めているものの、1人だけが納得いかなかったため。
1999年6月3日付法律ニュース・ネットワーク「本日のリーガルニュース」では、反対した陪審員カーティス・ヒル氏の背景について書かれている。同氏に化学の知識がいくらかあること、同氏の妻がカ大に関わっていること等々。少し引用すると、、、
反対したヒル氏はカリフォルニアベアーズの大ファンで、奥方はカ大の書籍購入部に勤めている。当然、陪審選定の際には先入観が取りざたされた。
裁判長「あなたはカ大に対して不利な評決を出すことになっても奥さんとのことで問題になりませんか」
陪審候補「問題ないでしょう」
ジェ社側弁護士「あなたはカ大に非常に好意的でも、ジェ社に有利な投票ができますか」
陪審候補「さあ、それを今から約束できませんねえ」(笑)
弁護士「裁判長、彼が気に入りました。」
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なお陪審団は被告側ジェネンティック社の主張した、1982年にカ大の取得した特許が(公用により)無効との反訴を認めない点については同意している。つまり特許の有効性は認められたわけで、この認定は今後の再審理においても拘束力を有するだろう。ただし、ジェ社は別個に不衡平行為に基づく権利行使不能についても主張しているので、まだ判らない。
この裁判は9年前の1990年に提訴されており(4/14付小欄参照)、極めて技術的になった公判の後、5月20日陪審評議に委ねられた。
カ大は4億ドルの損害賠償を求めており、もし故意侵害が認められれば3倍賠償で12億ドルに膨れ上がる可能性もある。
訴えに係るジェネンテックのヒト成長ホルモン剤(成長ホルモンの不足している幼児に投与する大事な薬らしい)「プロトロピン(Protropin)」は、本件とは別に、未承認の使用により連邦政府当局から刑事訴追を受け、先般4月にジェ社は和解金5000万ドルを支払っている。
関連情報:
・Paul Elias, "Juror Derails Billion Dollar Patent Case" The Recorder/Cal Law (June 3, 1999).
・"Calif. jury deadlocks in Genentech patent trial" Reuters SAN FRANCISCO (June 3, 1999).
・MIKE McKEE, "Jury Gets UC v. Genentech: Deliberations begin Monday over which institution will control the human growth hormone patent" The Recorder (May 21, 1999).
1999/06/01
1. コンドームの形状を巡る戦い−ニューヨーク・ロージャーナルより
ニューアークの連邦地裁が、避妊具の特許に関する侵害訴訟で争われているコンドームの出荷差し止めを5月21日に却下したとのこと。問題のコンドームは、特許に係る製品とは構造、機能において異なると判断されたため。
情報元:
・Padraic Cassidy, "War of the Weird-Shaped Condoms" New Jersey Law Journal (June 1, 1999).
1999/05/31
1. 高校生でも著作権法違反で摘発
宮城県警ハイテク犯罪対策室と仙台南署は5月31日、東京都世田谷区の男子私立高校2年生(16)が、マイクロソフト社のソフト「Visual Besic Ver.2」を複製し、千葉県鎌ケ谷市の男性会社員(32)のホームページ上に無料でダウンロードできるように掲載したとして、自宅等2カ所を著作権法違反(「公衆送信権」と「公衆送信可能化権」の侵害)の疑いで家宅捜索し、パソコンやフロッピーディスクなど200点余りを押収した。
なお、件のソフトはウィンドウズ3.1用の製品。現行のビジュアルベーシックはVer. 6なので、かなり旧式といえる。見せしめ的摘発では、との声もあり。
情報元:
・「他人のホームページに市販ソフト掲載:高校生宅を捜索」asahi.com(1999年5月31日)
・「著作権法違反で高校生摘発:HP上にソフトを無料公開」毎日新聞(1999年5月31日)
2. 海淀裁判所、「99インターネット初の事件」を受理
人民日報より
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北京市海淀区人民法院(裁判所)知的所有権法廷はこのほど、「瑞得在線」が四川宜賓東方情報公司サイト(「東方公司」と略称)に対して起こしたホームページ著作権侵害事件提訴を受理した。伝えられたところによると、この事件は中国の「99インターネット初の事件」と呼ばれている。関係法律専門家は、この事件の審理は企業の自己保護意識の強化と立法の促進についていずれも有益な推進役を果たすであろうと見ている。
情報元:
・「海淀裁判所、『99インターネット初の事件』を受理」人民日報(1999年5月31日3面)
1999/05/27(著作権がらみで)
1. ネット上の著作権違反取締強化へ−個人運営のMP3違法サイトを摘発
朝日新聞の一面で、警察が違法コピー(MP3ファイル)を掲載するホームページの摘発を強化する旨が掲載されていた。翌日、早速検挙者が出たとの報道。
MP3とは、ご存じ通り音声圧縮ファイルの規格名(MPEG Audio Layer 3)である。CD等の音源から音声ファイルを作成する際、ファイルサイズをおよそ10分の1〜12分の1まで圧縮でき、音質の劣化が少なくWeb上での取り扱いに便利なため瞬く間に普及した。ダイアモンドマルチメディア社の携帯用MP3プレーヤRIOが発売された際には、違法コピーの問題で大いに物議を醸した。MP3という規格自体は優れたものであるが、違法コピーを防止する手段がないことに大いに問題があるとして、議論されている。
日本の著作権法は、昨年1月の法改正によってインターネット上での複製・配布も著作権侵害としている。違反した場合は刑事罰の対象となるらしい。
毎日新聞社Mainichi Daily Mail In-Box Directより。
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「ヒット曲を無断複製し流す違法なホームページの摘発強化」MP3サイト運営の会社員摘発:愛知県警、著作権法違反容疑で初
愛知県警生活経済課と愛知署は27日までに、「MP3」を悪用して人気アーチストのヒット曲を、日本音楽著作権利協会(JASRAC 、ジャスラック)の承認を得ないでホームページ上で公開していたとして、札幌市の会社員(18)を著作権法違反(公衆送信権)の疑いで検挙した。宇多田ヒカルやL'Arc-en-Ciel、B'zら30人以上のヒット曲をフルコーラスで公開していた。MP3を使った音楽情報サイト運営者の摘発は全国初。
関連情報:
・「ヒット曲を無断複製し流す違法なホームページの摘発強化」asahi.com news update(1999年5月26日)
・毎日新聞社Daily Mail編集部「MP3サイト運営の会社員摘発:愛知県警、著作権法違反容疑で初」Mainichi Daily Mail In-Box Direct,No. 713(1999年5月27日)
・本田雅一,「MP3配布で少年検挙。警告か,それとも……」ZDNN,ZDNet/JAPAN(1999年5月28日)
・1998年1月の著作権法改正について、以下が判りやすい
2. 「著作権法の一部を改正する法律案の概要」文部省ニュースより
更なる法改正により、1996年12月にWIPO(世界知的所有権機関)で採択された「WIPO著作権条約」に対応するもの。
米で成立した「デジタル・ミレニアム著作権法」等と同じく、コピー防止機構を解除する装置の製造販売を禁止。違反した場合は刑事罰の対象となる。また、著作物に付された権利管理情報の改変も規制されるとのこと。
具体的には、
「新しい技術を活用した権利の実効性の確保」として、
1.コピープロテクション等技術的保護手段の回避に係る規制
2.権利管理情報の改変等の規制
「著作者等の権利の充実」として、
3.著作物等の譲渡に関する権利(譲渡権)の新設
4.上映権の拡大(現在、「映画の著作物」にのみ認められている上映権を、美術、写真等すべての著作物に対して認める)
5 演奏権に係る経過措置(附則第14条)の廃止
施行予定日は、1〜2→1999年10月1日、3〜5→2000年1月1日
3. ゲームソフトに頒布権なし!(1999年6月8日(火)修正)
ゲームは著作権法上、「映画」に該当しない
中古ゲーム販売に絡んで注目を集めていた事件の判決が言い渡された。ゲームソフトは「映画の著作物」(第2条第3項)に該当せず、従ってゲーム開発者に頒布権はない、という画期的で明確な判決である。
従来の判決では、有名なパックマン事件(ナムコ)でゲームソフトが映画の著作物と認められた例があった。ここでは、ゲーム中の映像が予めプログラムにより設定されていることが根拠となっている。最近では「ときめきメモリアル(コナミ)」でも同様の判断が下されている。逆に「三国志(コーエー)」では、映画の著作物と認められなかった。理由はシミュレーションゲームでは画像が静止した状態で進行するから。
メーカー側は「ゲームソフトはプレイの過程が動的に映像化されており、音楽ともシンクロしているから映画の著作物」と主張していた。
これに対し中古販売店側は今回の裁判でゲームソフトの「インタラクティブ性」を主張。要するに、映画は常に同じ内容、映像の繰り返しを表示するが、ゲームの場合はプレイヤーによって展開が変わる、という点。東京地裁も「プレイヤーの意志で操作可能なゲームソフトは映画の著作物にはあたらない」と判断している。
ゲームメーカーの次の一手に期待したい。
1999/03/09小欄参照。
毎日デイリーニュースより。
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ゲームソフト中古販売について、ソフトメーカーのエニックスが著作権を根拠にソフト小売チェーン、上昇(山口県下松市)に販売中止を求めたことに対し、上昇側が差し止め請求権が無いことの確認を求めていた「中古ゲームソフト東京訴訟」の判決言い渡しが17日、東京地裁(三村量一裁判長)であった。三村裁判長は「ゲームソフトは、エニックスの主張する『映画の著作物』(著作権法2条3項)にあたらない」として、差し止め請求権は存在しないとする判決を言い渡した。ゲームソフトの中古販売について判断が下されたのは初めて。
争点は(1)ゲームソフトが「映画の著作物」にあたるか(2)あたる場合、ゲームソフトメーカーは映画の著作物に認められる頒布権を持つか(3)頒布権がある場合、その権利は永久的に認められるか、の3点。判決では、このうち(1)について、94年の「パックマン訴訟」などの過去の判例で示されていた「ゲームソフトは映画の著作物にあたる」との考えを修正。ゲームソフトは「一種の素材としての多様な影像集合でありプレーヤーの操作により画面表示の連続映像が決まる」とし、映画とは質的に異なるとの判断を示した。
これによってメーカー側の頒布権の主張は入り口で退けられた格好。ゲームメーカーの団体などは、頒布権を根拠として昨年初めから「違法中古ソフト撲滅キャンペーン」を展開しており、根拠がなくなったことから影響は必至だ。
ゲームソフトが映画の著作物かについては、東京高裁が今年3月、コーエー(旧光栄)のパソコン向けゲーム「三国志3」について、映画の著作物にあたらないとの判断を下しているが、今回の判決はそれに続くもの。上昇が差し止め請求権不存在確認を求めていたゲームソフトは、エニックスのプレイステーション向けロールプレイングゲーム「スターオーシャン・セカンドストーリー」と同音楽ゲーム「バスト・ア・ムーブ」。動画がふんだんに使われており、シミュレーションゲームの「三国志3」に比べると、マーケット規模の大きいジャンルのゲームで、今後、ゲームソフト各社に与える影響は大きい。
裁判とは別に、エニックスはメーカーに頒布権があることを前提に9カ月の中古販売禁止期間を設け、中古販売を行う際は7%の著作権料をメーカーに支払う内容の契約を小売店側と結び始めており、業界に広がる動きがあったが、これらの動きにも影響が出そうだ。
判決後、原告側はゲーム小売店で組織するテレビゲームソフトウエア流通協会(ARTS、約1700社加盟)と上昇の合同会見を開いた。ARTSの新谷雄二代表理事は「特定の業界の利益に偏重することなく著作権法の世界的潮流を踏まえつつ、頒布権のゲームソフトへの適用を否定した点を高く評価する」と述べた。
一方、エニックスやコンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)も会見。エニックスの福嶋康博社長は「夢にも思わなかった判決で、おかしいと思う。中古販売が現在の状況で(認められて)はメーカー側の開発費が出なくなる」と述べ、控訴することを明らかにした。
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日経Biz Techより
販売店側が勝訴--中古ゲーム・ソフト流通訴訟
ゲームソフト販売会社が起こした、「ソフト開発会社は、中古ゲームソフトの頒布権(流通を管理する権利)を持たない」ことの確認を求めた裁判の判決が5月27日午後、東京地方裁判所で申し渡された。東京地裁は「ソフト開発会社は頒布権を有しない」と判断、原告側請求を全面的に認める判決を出した。
ゲームソフト販売会社は、中古ソフトを販売する際、開発会社の許諾を得なくても良いと、司法が判断したわけだ。同様の司法判断は、国内ではこれが2例目。ただし、「ゲームソフトに頒布権は存在しない」と明確にした判決は初めて。中古ゲームソフト流通/販売に関して、この判決の与える影響は非常に大きい。また、「テレビゲーム・ソフト」とは何か、「映画」とは何かを法的に定義する上で、注目すべき判決と言えよう。判決当日は約30人分の傍聴席に対し少なくとも100人以上が傍聴を希望、関心の高さを伺わせた。
被告側は同判決に対して猛烈に反発、同日夕刻に控訴の意思を表明した。
●開発会社は頒布権を楯に販売差止請求
この裁判は、ゲームソフト販売会社「上昇」(本社:山口県下松市)がソフト・ハウス「エニックス」(本社:東京都渋谷区)を相手取って起こしたもの(東京地裁平成10年(ワ)22568号 著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件)。98年にエニックスはソフト販売店に対し、「98年12月31日以降、中古ソフトを販売する場合は、新作発売の9カ月後以降、かつ売上の7%をエニックスに支払う」という条項を盛り込んだ売買取引契約書を送付、これに従わない販売店には契約解除や出荷停止をすると警告した。
さらにエニックスは同契約書に同意しなかった販売会社「アクト」(本社:岡山市)を著作権法違反とする販売差し止め請求訴訟を98年7月、大阪地方裁判所に提訴した。今回の訴訟で原告となった上昇にも同様の売買契約書が送付され、同意を拒否した上昇に対しては警告書の送付とともに出荷停止措置がとられている。
これらの措置をエニックスは「テレビゲーム・ソフトは著作権法上の“頒布権”(著作権法第26条)があり、著作者(ソフト開発会社)がソフトの流通を管理する権利を持つ」という法解釈を根拠に実施した。これに対し上昇は「テレビゲーム・ソフトは映画の著作物(著作権法第2条3項)に該当しない。従って頒布権は存在しない」ことの法的確認を求め、東京地裁に提訴した。
争点は、(1)ゲームソフトは著作権法が定める「映画の著作物」には該当しない、(2)仮に頒布権があったとしても最初の流通時点における権利のみで、2次以降の流通には及ばない(ファースト・セール・ドクトリン、いわゆる「用尽」)。この結果、ソフト・ハウスは中古ソフト販売を差し止める権利を持たない---の2つ。これら争点に対し東京地裁民事第46部(三村量一裁判長)は、「テレビゲーム・ソフトは“映画の著作物”に該当せず、ソフト・ハウスはゲームソフトの著作権に基づく差止請求権を持たないことを確認する」との判決を出した。
●インタラクティブ性に着目して判断
東京地裁が「テレビゲーム・ソフトは映画の著作物ではない」と判断したポイントは「インタラクティブ性」。映画とは、いつどこで上映しても同一内容の連続映像が得られるものと定義し、テレビゲーム・ソフトはこれに該当しない、と判断したのだ。
テレビゲーム・ソフトは同一ソフトを使用しても、プレイヤ(操作者)の操作に応じて画面上に表示される映像の内容や順序が各プレイごとに異なる。従って劇場用の映画著作物と同等に扱うことはできない。このため映画の著作物には該当せず、頒布権も存在しない、とした。三村裁判長は主文朗読の後、「映画の著作物に該当するかを、インタラクティブ性に着目して判断した」と述べた。この種の民事訴訟事件として裁判長が主文朗読以外の意見を述べるのは極めて異例のことだ。
●「最高裁まで徹底して戦う」--被告ソフト・ハウス側
判決後、原告側/被告側ともそれぞれ記者会見を開いた。全面勝訴した原告・ソフト販売会社側は「非常に正当な判決」(原告側弁護団の藤田康幸弁護士)。「ソフトを収録したCD-ROMは大量生産されるものなのに、なぜ書籍など他の著作物と同様に扱うことができないのか。流通の隅々まで開発会社がコントロールする権利があるのか。こうした問題点を、この判決では明確にしてくれた」(同団長の椙山敬士弁護士)。
一方の被告側は「到底容認できない不当な判決。控訴して徹底的に争う」(被告側弁護団の浜野英夫弁護士)と強烈に反発、対決姿勢をさらに明確にした。「そもそも今更、インタラクティブ性を映画か否かの判断材料にするのはおかしい」(浜野弁護士)。インタラクティブ性を持つゲームソフトも「映画の著作物」であることを認定した判決がすでに過去出ている(東京地裁昭和56年(ワ)第8371号事件:いわゆる「パックマン判決」)ことが主張の根拠だ。「著作権法第2条3項の解釈を明らかに誤っている」(浜野弁護士)。
なお、被告側は14日以内に控訴し、今度は東京高等裁判所を舞台に裁判が繰り広げられることになる。原告/被告とも最高裁まで争う構えを見せているため、結論が出るのは当分先となりそうだ。
関連情報:
・「『中古ゲーム東京訴訟』判決、小売店の中古販売を認める」毎日DailyMail COMPUTING(1999年5月27日)
・田中 一実、加藤 慶信「販売店側が勝訴--中古ゲーム・ソフト流通訴訟」日経Biztechニュースセンター(1999年5月27日)
・東京地裁平成10年(ワ)22568号 著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件
・「昨日のエニックス敗訴の判決に:CESAらが声明を発表」ZDNet/JAPAN(1999年5月28日)
・テレビゲームソフトウエア流通協会(上記事件判決文他、「ARTS通信」で被告側を支持する見解)
・コンピュータエンターテインメントソフトウェア協会(CESA)
「『ゲームソフト』が有する知的財産権について」等、原告側の見解
・降旗淳平「中古ゲームソフト販売合法判決でソニー困惑!?、SCEの中古排除戦略に打撃」日経BizTech Newsビジネス・経営(1999年6月8日)
・「『ゲームは“映画の著作物”ではない』エニックスが敗訴」PC Watch,インプレス(1999年5月27日)
ACCSの記者会見の模様。
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ただし、記者から「“ゲーム=映画”とすることは、いささか無理があるのではないか? ゲームは新しい著作物として別途立法化してはどうか」といった問いには「我々は現行法内で論議している。そうした場合映画が一番近いので、現在の主張となっている。販売店としては頒布権の効力が大きいことが不安だとする意見もある。将来、ゲームを独自の著作物として立法化される時がくるかもしれないし、ユーザー、販売店、メーカー等皆が納得する方法であるならば、それが一番いい」といった柔軟な意見も聞かれた。(強調は筆者)
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その後、予告通りエニックス側は6月8日付で控訴。
情報元:
・「『中古ゲームソフト東京訴訟』で、エニックス控訴」毎日デイリーニュース(1999年6月10日)
4. コンピュータ・ソフトウエアの違法コピー率は世界で38%
だそうである。どうやって算出したのかは知らないが...
国別では、不正使用の金額が多い順に米国(29億ドル)、日本(5億9700万ドル)、独(4億7900万ドル)、英(4億6500万ドル)、仏(4億2500万ドル)等。上位10カ国で全世界の7割近く(73億ドル)。
不正使用率ではベトナム(97%)、中国(96%)、オマーン(93%)、レバノン(93%)、ロシア(92%)、インドネシア(92%)、ブルガリア(90%)等。
関連情報:
・"Worldwide Business Software Piracy Losses Estimated At Nearly $11 Billion In 1998.", Business Software Alliance (BSA), Washington, DC (25 May 1999)
・芳尾 太郎「コンピュータ・ソフトウエアの違法コピー率は38%」日経エレクトロニクス(1999年5月27日)
・Take-C Coma,「コピーソフト使用、世界で110億ドル 不正使用率最悪はベトナム」毎日インタラクティブ(1999年5月31日)
1999/05/26
1. テレビ番組にWebへのリンクを埋め込む技術に特許
インプレス・インターネットウォッチ他
WorldGate Communications社は5月24日、同社の「Channel HyperLinking」技術に対して米特許庁から特許を付与されたことを明らかにした。
同技術は、テレビ視聴者が番組やCMに張られたリンクから直接インターネット上の該当するホームページにジャンプすることができるようにするもの。視聴者はアドレスをタイプする必要がなく、リモコンのボタン1つで操作することが可能。
クレームの範囲は「ケーブルネットワークのテレビ番組配信等の分散ネットワークシステムを通して情報源に双方向接続を実現するシステムあるいは方法」。キーボードやリモコンのボタンでリンクを操作する方法も含むらしい。
同社によると、現在70の企業がこの技術を使用しており、中にはCNNなどの大手も含まれているという。
関連情報:
・taiga@scientist.com,「テレビ番組にWebへのリンクを埋め込む技術に特許」Impress INTERNET Watch(1999年5月26日)
・WorldGate Communications
1999/05/25
1. 野村総研のNRI、ダウエントの「Derwent World Patents Index」利用可能に
ZD Net Japanより。
==================================== ダウエント・インフォメーション・日本は5月24日、海外40カ国の特許情報をカバーする「Derwent World Patents Index」のデータを5月31日からNRIサイバーパテントデスク上で公開すると発表した。
「Derwent World Patents Index」は、各国発行の特許明細書に独自のコードやインデックスを付与し、また同社の専門家が抄録を作成して提供、世界40カ国の全技術分野の特許情報を含んでおり、収録レコードは数800万件という世界最大級の特許情報データベース。野村総合研究所が提供しているサイバーパテントディスクでの利用が可能になり、同データベースの記録をWeb上で閲覧できるようになるという。デモ版の利用は無料。
関連情報:
・中野恵美子「特許情報データベース『Derwent World Patents Index』を公開」ZDNet/JAPAN(1999年5月25日)
1999/05/24
1. 日米欧が特許の審査協力−asahi.comより
日米欧による特許の審査協力が26日から試験的に始まる。それぞれの特許の担当庁に共通で出された出願について、審査情報を交換し、参考にする仕組みで、1ヵ国(地域)が認めた特許を相互認証する「世界特許」の確立を念頭に置いている。特許庁では「情報交換によって質の高い、効率的な審査ができる」と説明している。
今回の試行は「3極共同サーチパイロットプログラム」で、昨年11月の日米欧特許庁長官会合で決まった。26日から申し込まれた200件を対象にする。
各庁は先行する技術の有無などを調べ、電話やファクスなどで情報を交換、制度の違いや調査の信頼性などを確認する。特許を与えるかどうかという最終的な判断は、各国地域が独自に行うが、将来は相互認証の導入を目指す。
出典:
・「日米欧が特許の審査協力 26日から試験的にスタート」asahi.com news update(1999年5月24日22:40)
2. ザーコウ事件、判決間近???(←根拠なし)
特許庁の下した判断を審決取消訴訟で再審理する際の基準が最高裁で争われているザーコウ対ディッキンソン事件で、さる1999年3月24日に開かれた口頭弁論を公聴に行ったら、えらい大勢人がいた。特許庁の審査官が大勢で応援に駆けつけたのか?確かに審査官も来ていた。でも実は、、、
ザーコウ事件は3番目(最高裁は会期中、一日の午前中に2件〜3件扱う)、つまりその日の最後の事件だったが、その前にやってた事件が図らずも注目を集めていたのだった。マスコミのカメラも来ていた。おかげで、10時開始のところを7時45分から並んだのに、1、2番目の事件はおろかザーコウ事件の最初も(ほんのちょっとだけど)見逃してしまった。
さて、今朝フジサンケイニュースを見てたら、その人騒がせな事件の判決が下ったと報じられていた。ウィルソン対レーン事件(WILSON v. LAYNE, 98-0083 (U.S. 1999).)で、要するに警察の現場の捜査にマスコミを同行させた(よくTVのドキュメント番組でありますね)ことがプライバシー侵害になるかどうかが問題になってたらしい。結論、「レポーターは捜査逮捕の現場から追い出された」(詳しく読んでません)。
ということは、順番からするとザーコウ事件の判決もそろそろ、かな...?
情報元:
・1999年5月25日付フジサンケイニュース
・"Reporters Kicked Off Searches and Arrests.", Lawnetworks(May 25, 1999).
・WILSON et al. v. LAYNE, DEPUTY UNITED STATES MARSHAL, et al. 98-0083 (U.S. 1999).
1999/05/19
1. ディズニー元重役の逆襲
数年前、スピルバーグとカッツェンバーグ、ゲフィンの3人は、大手映画スタジオに対抗して「ドリームワークスSKG」を結成した。その内の一人ジェフリー・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)は、ウォルトディズニー社で「美女と野獣」等を成功させた立役者らしいが、どういう理由からか社内で評価されなかったらしく、同社を1994年に去った。その彼が、ディズニー社との間で争っていた事件(退職金未払いのトラブル?)で、ロサンゼルス地裁は氏が同社を辞める際に特別手当を剥奪されることはないと判示した。つまり、退職金2億5千万ドルを得る中間決定を勝ち取ったわけである。なんでもこの事件では、トレードシークレット(営業秘密)法に関する事項が争点となっているらしい(詳細不明)。トレードシークレットは特許法と相反するもので、従来から州法で保護される分野であった。近年は連邦法(Economic Espionage Act)も制定されており、少し注目してもいいかも知れない。
関連情報
・IPO Daily News
・"Judge Rules in Favor of Former Disney Exec.", TV Guide Online Insider (May 21, 1999).
1999/05/18
1. ネット上の公文書検索(有料→とりあえず無料)
アメリカは本当に情報公開が進んでおり、ネット上でも国を挙げて情報公開を推進している。そこへ民間支援による文書検索サービスが登場した。商務省の国内技術情報局(National Technical Information Service (NTIS))がNorthern Light社と協力して「Gov.search」という検索エンジンをスタートさせた。なんでも2万以上の政府/軍関連のサイト(総計380万ページ以上)、1964年以降のNTISのタイトル/抄訳データ、Northern Lightの雑誌(!)、および5400の刊行物が検索できるそうである。また情報ソースには、wwwに限らず「NTIS Archive」「Special Collection」(購入して読む)も対象となっている。通常のWeb検索では出てこない情報も検索できるということか!
当初、有料で24時間15ドル(月30ドル、年間250ドル)とアナウンスされていたのだが、翌日には少なくとも6月1日までは無償となっていた。政府から有料化に待ったがかかった模様。将来は、有料のものとそうでないものに分けられるらしい。基本的にネット上で利用できる政府情報は無償らしいのだが、検索サービスの付加には民間企業が関与している以上有料化もやむなしか。そうすると、探し難い情報の検索には威力を発揮してもらい、そうでない情報は直接既知のサイトにアクセスする、というのが賢明かも。例えば、個人的には「米特許庁」と「トーマス」のサイトから大抵の欲しい情報は入手できると思っているが、当然ながらこれら以外のサイトにも特許情報はあるはず(有用な情報かどうかは別として)。もしもそういった情報が必要なら、有効だろう。試しに「patent」でサーチしてみたら...色々出てきました。
情報元
・「米政府関連文書が検索可能なGov.search」ZDNN/USA News Bursts(May 17, 1999)
・Lindsey Arent,平井眞弓・岩坂彰訳「米政府が連邦サイト専用検索エンジンを一般開放」Wired News(1999年5月17日)
・Lindsey Arent,中嶋瑞穂・合原弘子訳「連邦政府サイト検索サービスは無料に」Wired News(1999年5月18日)
・「『Gov.search』は当面無料」ZDNN/USA News Bursts(May 18, 1999)
・"Oops! Gov't search engine on hold - Following complaints, Commerce Department rethinks plan to charge fees for new service." ZDNN Tech News Now (May 18, 1999).
・Gov.search
・THOMAS -- U.S. Congress on the Internet
http://thomas.loc.gov/
1999/05/17
1. 世の中、何でもかんでもロイヤリティ!?
仮にも知的所有権を守らんとする立場の人間が言うべきでないだろうが、最近は「実施料を徴収できるところからはきっちり徴収すべし」という風潮が強くなってきたのでは?これを世知辛い世の中ととるか、いままでがおかしかったのだ、正しい方向へ向かっているのだ、ととるか意見が分かれるところだろう。(両方のものが混在しているから、ひとまとめにして語ることはできないが...)
日経Biz Techによれば、BGMとして店内で流す音楽の著作権料を徴収するための法案が、近々提出されるらしい。
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レストランやデパートなどで,BGMとして再生している音楽から著作権料を徴収する法案が、1999年5月中にも国会に提出される。これまでは、ディスコや音楽喫茶などにおいて営利目的で音楽を使用する場合を除いて、著作権料を徴収しなかった。今回の法案では、著作権法の附則14条で規定していた除外の取り決めを廃止する。順調に国会を通過すれば2000年1月1日から施行の予定。
ただし,BGMを流すレストランやデパートは「全国でおよそ120万店」(文化庁著作権課)に上るため、それぞれから著作権料を個別に徴収することは実質不可能である。このため、「有線放送会社やBGM配信会社など6万店から徴収することになる」(文化庁)という。著作権料の徴収は、JASRAC(日本音楽著作権協会)が担当する。著作権料率は未定。今回の法案通過後にJASRACが文化庁に対して認可申請することになる。
情報元
・芳尾太郎「レストランのBGMからも著作権料を徴収へ」日経エレクトロニクス(1999年5月14日)
1999/05/14
1. 変わった発明−動物は優れた薬品製造工場?
変わった発明の話(今回はニューヨークタイムズでなく、ワイアードから)。
米ジェンザイム・トランスジェニックス社が、DNA技術に関して日本で特許を取得。ヤギの体内で人体に有用なタンパク質を生産するもの。ヤギの乳にこれを含むようするためのDNA配列とそのDNAによる遺伝子組み換え動物の乳を使って医療用タンパク質を生成する方法。動物愛護団体が反対しているとか。
・Lindsey Arent(日本語版 高橋朋子,岩坂彰)「遺伝子組み換え動物を製薬工場に」Wired News (1999年5月14日)
1999/05/10
1. 弁護士のTV宣伝、解禁か?
従来はほとんど禁止されていた弁護士の宣伝活動が大幅に緩和されて、TVのCMからダイレクトメール、電車のつり広告までOKになる?
日弁連・業務対策委が倫理規定の改正を検討しているとのこと。日本弁理士連合会の弁護士業務対策委員会が宣伝活動の原則自由化すべきとの最終答申をまとめ、早ければ年内にも総会に提出されるとか。ということは、弁理士も右へならえか!?
ちなみに、アメリカでは弁理士の宣伝は当たり前。TVCMも面白いが(郵便局から軍隊までTV宣伝してるお国柄である)、雑誌広告なども楽しい。「ポピュラーサイエンス」(日本でも購読できるはず)なんかに載ってるので、無料案内(大手ローファームの宣伝パンフよりも、もっと個性的な代理人によるガイドブック)など取り寄せてみては。
情報元
・1999年5月11日付読売新聞 他
1999/05/06
1. プログラムのソースコードは言語か、ツールか?
アメリカでは輸出管理規制というのがあって、軍事利用できる技術は政府の許可なく外国に持ち出すことができない。例えば特許出願でも、アメリカで発明したものは原則として先に外国に出願できないのである。出願するには、どんな発明でも(明らかに軍事利用できないものであっても)「外国出願ライセンス」を取得しなければならない。この辺の厳しさは、(平和ボケしている)我々日本人には理解し難い部分であるが、世界一の軍事大国であるアメリカでは現実にこういう縛りがある。
ソフトやインターネット技術の発展著しい最近では、暗号化ソフト(エンクリプション・ソフト)がこれに引っ掛かって問題視されていた。RASやらPGPやらも苦労しているようである。RASなど、わざわざ米国外で開発して規制を逃れた程である。
ところが、このような規制が憲法違反であるという判決が第9巡回裁判所で下された。これは大事件である。判決をまだ読んでないが、言論の自由にからめて「プログラムのソースコードは、合衆国憲法修正第1条で保護される」とのこと。サンフランシスコに位置するカリフォルニア州北部地区連邦地裁の下した「ソースコードは言葉に近いため、言論の自由によって保護される」との判決を支持したものである。
ソースコードが果たしてコミュニケーションできる言語にあたるのか、あるいは政府側の主張するように「ただのツール」にすぎないものなのか、議論としては興味深いが、それよりも厳格な米国の輸出規制に風穴をあけた意味は大きい(と思いません?)。最高裁の判断が注目される。
この訴訟では、数学者のダニエル・ベルンスタイン氏が開発した暗号アルゴリズムをインターネットに掲載するため、米商務省など複数の政府機関を相手取り、起こしたもの。米国のプライバシー擁護団体である「電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation (EFF))」は、この訴訟をディジタル世界における表現の自由や電子商取引、プライバシーにとって重要な問題と位置づけ、1995年以来ベルンスタイン氏を支援している。
訴えに対し第9巡回控訴裁判所は、「ソフトウェアや関連技術の輸出規制は、政府が言論の自由に干渉することを禁じた憲法修正第1条に違反する」として違憲判決を下した。
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判決後(偶然のタイミング?)「ハッシュメール(hush mail、『しーっ』メール)」という無料の暗号化メールサービスが登場。これも輸出規制の問題を避けるため、アメリカ国外で開発されている。
情報元
・Paul Elias,ロイター協力「米政府の『敗訴』で米国の暗号規制は緩和されるか?」ZDNet/USA(1999年5月6日)
・Robert Lemos,「米国の暗号技術輸出規制 違憲か否かが再び焦点に 」ZDNet/USA(1997年12月9日)
・「暗号輸出規制に違憲判決 米控訴裁判所が下級審支持」毎日DailyMail INTERNET In-Box Direct, No. 697(1999年5月10日)
・Paul Elias, "Court Says Encryption Has Free Speech Rights -Government worried about national security" The Recorder/Cal Law (May 7, 1999)
・Declan McCullagh, "Landmark Ruling on Encryption" Wired News (May 6, 1999).
・「暗号訴訟での勝利を受けEFFが記者会見」ZDNet/USA(1999年5月7日)
・Maria Seminerio, "Will Bernstein case change the Net? -Privacy advocates believe landmark court battle will decide contentious debate in their favor." ZDNet/USA (May 7, 1999)
・Lindsey Arent,藤原聡美・岩坂彰訳「暗号メールを一般ユーザーの手に」Wired News日本語版(1999年5月21日)
1999/05/
1. 商標の取得が得意な事務所は?
アメリカの特許(法律)事務所における、商標取得件数のランキングが発表されている。特許とは若干傾向が違っていて興味深い。
・"Top Trademarkers" Intelectual Property Today, May Issue
1999/04/21 (今日はネタ多いな...)
1. 州の免責は、微妙
昨日最高裁でカレッジ・セービングス・バンク事件の口頭審理が開かれた。やはり微妙な線で、最近の最高裁の動向によれば州権拡大の方向に傾いているように思われるので、若干州側が有利かも知れない。決定票はケネディ判事が握っているようだ。いずれにしても、5対4の僅差となるだろう。
この事件では、州政府および州営の機関(大学とか)が通常の商業活動を行っている場合に、これらを特許法または商標法(しいては著作権法も)等の連邦法違反で連邦裁判所に訴えることができるかどうかが争われている。民間の銀行(大学預金銀行?)が特許権侵害と商標法違反(虚偽宣伝)に基づき、フロリダ州の一機関(フロリダ州高等教育費用積立委員会?)を訴えた。いずれも、侵害責任等までは未だ審理されておらず、提訴自体が有効か否かという点が争われている(長い裁判だ...)。地裁では特許は提訴有効、商標は提訴不適となり、控訴審ではCAFC、第3巡回裁判所がそれぞれ地裁判決を支持している。この2件共が、同日審議された。
フロリダ州高等教育費用積立委員会の代理人、ジョナサン・グロゴー(Jonathan Glogau)フロリダ州法務次官(assistant attorney general from Florida)の主張「特許権を侵害したというだけでは、憲法上の違反にならない。したがって、修正14条5節に基づく立法の根拠は存在しない。」
ソーター判事「特許権者が州を州裁判所に提訴するよう定めるとなると、特許制度の統一を目指す連邦議会の趣旨に反する。特許権者に対する救済の続きを、単純に州裁判所に移送することはデュープロセスの否定に等しい。」
グロゴー弁護士「連邦議会は州を除いて何人に対しても決定を下せる。」
(ピッツバーグのウィリアム・マリン(William Mallin)弁護士も州側)
大学預金銀行側の代理人、ケビン・クリガン(Kevin Culligan)弁護士の主張「連邦議会が特許救済法(Patent Remedy Act)を制定した際の立法趣旨は、州を含む何人も特許権の無断使用を禁止するという排他権を含め、州が権利の所有者から当該権利を剥奪することを禁止する目的であった。」
スカリア判事「それは(修正14条でなく)憲法1条の趣旨である。(1条で憲法は連邦議会に対し州際通商(interstate commerce)を規制する権限を含め、連邦法制定の権限を一般的に認可している点に触れた。)」
「連邦議会は州の免責特権を変更する手段として憲法1条を使用することはできない。」
司法省の弁護士(連邦議会の権限を守るため、この争点のみ銀行側に参加) セス・ワックスマン司法長官(Seth Waxman, Solicitor General)の主張
「フロリダ州は商活動に参入することによって、連邦裁判所における虚偽宣伝の訴訟から免除される免責特権を放棄した」
特許権侵害については、特許権者は単純に州裁判所に頼ることができないと強く主張した。「州の主権免責を決して放棄しない州がある。」「不法行為に関する免責を決して放棄しない州がある。」
リベラル派の判事は、民間企業側の主張に同調気味である。
ブレーヤー判事「カモの様に振る舞うなら、カモのように扱う。(もし州が民間企業と同じく)ビジネスとして振る舞うなら、ビジネスとして扱うべきだ。」
「連邦の定める商規制は(州にとっては)蚊帳の外と?」
「個人が連邦裁判所へ出訴して損害を被っている範囲で、すべての連邦法規制は適用対象外と?」
(銀行側の提訴を退けると判示した場合、州が運営する団体は多くの連邦法規制から実質上免除されることになると示唆)
これに対し保守派の判事は、州に対する主権侵害と見ているようだ。
スカリア判事「連邦政府は州の主権免責を無効にする権限を有さない。」
オコナー判事「(虚偽宣伝から守られる権利について)これは一般人が所有権と考えるどのようなものよりもかけ離れており、(憲法修正14条で保護される範囲から)除かれる。」
さらにスカリア判事「(大学預金銀行が)ビジネスを行う上で(虚偽表示というだけでは)阻害するものはない」
そして、これまでの連邦主義の争点がそうであったように、今回もアンソニー・ケネディ判事が決定票を握っているようだ。同判事の発した質問からすると、この裁判は連邦裁判所でなく州裁判所に属すると主張する州側の意見に賛同しているようにも思える。ケネディ判事は民間側弁護士に対し、「一般には不法行為とされているものを「憲法違反」にするために憲法を適用している」と述べた。また後に同判事は、連邦議会が1994年に、特許権侵害事件で州に対し三倍賠償並びに懲罰的損害賠償を科すと決定したことに動揺している様子だった。この点について同判事は、罰則が問題と「均衡」していないことを示唆した。「均衡の基準」は、州権にも影響を及ぼし得る救済立法に関する基準であり、ケネディ判事が起草した1997年の最高裁判決で確立されている。この事件、ブーン市対フロレス(City of Boerne v. Flores, 117 S.Ct. 2157 (1997).)では、個人が州を連邦裁判所に提訴することを規定する法律はすべて、連邦議会が言明しようとした問題と釣り合っていなければならないと判示された。この判決は、連邦議会が憲法修正14条に基づいて救済法規を制定する権限に制限を加えている。これより前の最高裁判決であるセミノール族事件(Seminole Tribe of Florida v. Florida, 517 U.S. 44 (1996).)では、連邦議会は憲法1条に基づき州の免責を無効にする法律を制定できないが、一方で修正14条第5節に基づくことによってのみ、法の適正手続(due prosess)と平等保護(equal protection)の権利を保障するための救済法規を制定することができるとされていた。ケネディ判事の起草した判決は、この権限をさらに制限していることになる...
・Kenneth Jost, "States' Rights Split Evident at Patent Argument - Kennedy's the key in bid to stop infringement suits." The Recorder/Cal Law (April 21, 1999).
・Seminole Tribe of Florida v. Florida, 517 U.S. 44, 116 S.Ct. 1114 (1996).
・City of Boerne v. Flores, 117 S.Ct. 2157 (1997).
2. 鬼より怖い米司法省、外国だろうと容赦なし
日本とアメリカの違いは、と訊かれれば独禁法違反が厳しいこと、と答える。そのくらいアメリカで司法省は恐れられていた時代があった。今でも変わってなさそうなことはマイクロソフトとの争いを見ても想像が付く。国民の血税を何に使っているんだ、といわれようが何だろうが、とにかく執念深い。
今日の日経BizTech Mailにすごい話が載っていた。曰く、「日本企業同士が日本国内で結んだカルテル行為に対し、外国の司法当局が刑事責任を追及できるのか――」主権無視もここまで来たか、いやいや訴状や判決を見てないので何ともいえんが、とにかくすごそうである。
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「域外適用」の是非を焦点として始まった裁判が、異例の展開を見せている。米国向けファクシミリ用感熱紙の価格カルテル疑惑で、米司法省が日本製紙を刑事訴追した事件だ。昨年7月13日、米ボストン連邦地裁で、有罪か無罪かで陪審員の意見が割れて評決不能となって以来、9カ月も公判が再開されず、空白状態が続いているのだ。
一部には「米司法省が有罪の証拠を固められず、苦戦している」との観測もある。だが、仮に日本製紙が「シロ」を勝ち取っても日本企業は警戒を緩めるべきではない。「面目を失った司法省が、他の案件で域外適用に執念を燃やすだろう」(日本大学の野木村忠邦教授)との予測もあるからだ。国内では公正取引委員会の目を逃れさえすればいいなどと考えていると、大きな代償を払うことになりかねない。
裁判の経緯は右表の通りだが、争点は前半と後半で2つに分かれる。1995年から98年1月までは、米シャーマン法(日本の独占禁止法に相当)を刑事事件で域外適用することの是非、98年6月から現在までは、カルテル行為の有無がそれぞれ争われている。
日本製紙は「カルテルの事実はない」と主張しつつも、まず、「域外適用は日本の主権を侵害している」として訴えの却下を求めた。米マサチューセッツ連邦地裁は日本製紙の主張を認めたが、米司法省が控訴。米第1巡回区控訴裁判所は一転して米司法省に軍配を上げ、域外適用を認めた。
これに不服の日本製紙は米最高裁に上告受理の申立書を提出。日本政府も「国家主権に配慮すべきだ」との文書を送ったが、米最高裁は申立書の受理を拒否した。このため、焦点はカルテルの有無を巡る事実審理に移った。
業界団体の会合には用心が必要
しかし98年7月、ボストン連邦地裁で12人の陪審員の意見が割れ、裁判長が評決不能を宣言した。米国の陪審制度では、全員一致が必要だからだ。8月には日本製紙が「有罪を立証できなかったのだから、これ以上争うのは無意味」(中島巖常務)として、裁判所に無罪の申立書を提出。米司法省は反論書を出した。この後、裁判長が日本製紙の申し立てを認めるか、公判のやり直しを命じるか、いずれかの判断を9月中にも下すと見られていた。
しかし、決定は延期に次ぐ延期で今日に至っている。日本製紙の中島常務は、「無罪申し立てが認められると期待している。だが、推測でしかない」と困惑気味だ。
裁判の行方は予断を許さないが、米司法省反トラスト局出身のジョエル・ダビドゥー弁護士は、「再公判の可能性が大きいし、いずれにせよ米司法省は徹底して争うだろう。決着にはまだ時間がかかりそうだ」と推測している。米司法省が最近、ある日本人関係者に対し、「公判が再開したら証言する」との文書に署名を求めた、との情報もあり、同省の執念をうかがわせる。
日本企業は、「米国の消費者に影響が及ぶカルテル行為があれば、企業の国籍や謀議がなされた場所に関係なく、刑事責任を追及する」(ダビドゥー氏)という米司法省の姿勢に注意すべきだろう。
米国で事業展開している企業は今後、日本でも「李下に冠を正さず」という姿勢が求められそうだ。カルテルに厳しい米司法省から見れば、大手の競合企業が集まる各種業界団体の会合なども、怪しげな存在に映りかねない。野木村教授は、「競合他社との会合には弁護士を立ち会わせ、独禁法に触れる話題が出ないか監視させるといった用心深さが必要」と指摘している。
出典:塩田宏之「日本製紙を『域外適用』で訴えた米司法省の執念」日経ビジネス(日経BP社99/04/21)
3. 「i.Link」は登録商標だったのか!
ソニーしか使ってないなーとは思ってたんだが、商標登録されてたとは知らなんだ。多くのメーカーでは、規格のまま「IEEE1394」と呼んでいる。なお、同じ意味の「FireWire」は米アップル社の登録商標で、この技術自体の特許を同社が保有している。先日も、使用料の設定で一悶着あったばかり。日経マックより
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i.Linkの商標採用を30社が検討中
ソニーの登録商標「i.Link」の採用を検討しているメーカが約30社に上ることが明らかになった。i.Linkは、ソニーがIEEE1394の呼称として登録した商標である。ソニーは、手数料として5万円または500米ドルを請求するものの、その後は機器メーカが無償で自由にi.Linkという呼称を使えるという。IEEE1394という規格名では一般消費者に浸透しにくいとみたソニーは、i.Linkの普及を急いでいる。
・浅見直樹「【解説】i.Linkの商標採用を30社が検討中」日経エレクトロニクス(1999年4月21日)
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その後、使用料が25セントに落ち着いた。
日欧米11社は,IEEE1394に関連した特許を共同ライセンスすることで合意した。11社とは,米Apple Computer, Inc.とキヤノン,米Compaq Computer Corp.,米Intel Corp.,松下電器産業,三菱電機,オランダRoyal Philips Electronics N.V.,ソニー,伊仏合弁のSTMicroelectronics社,東芝,米Zayante Inc.である。1999年2月に,Apple社やソニーなど6社が共同ライセンスで合意していたが,合意会社の数が増えたことで,影響力は一段と強まりそうだ。得に注目されるのは,2月時点の6社に,米Intel Corp.が加わったことといえる。Intel社は,USB2.0の開発計画を明らかにしたことで,IEEE1394からはややトーンダウンしていた。そのIntel社は,高速版の仕様1394.bをはじめ,IEEE1394関連の基本技術をもっている。今回,Intel社も共同ライセンスに合意したことで,IEEE1394関連製品を開発するメーカは,Intel社と個別に特許使用料の交渉をする必要がなくなる。11社の共同ライセンスに含まれるのは,「IEEE1394-1995」のほか「IEEE1394.a」,さらにディジタル記録のVTRに向けたプロトコルの仕様「IEC61883」などである。現在標準化作業が進んでいる高速版および長距離版の仕様「1394.b」も,共同ライセンスの対象になることが予定されている。加えて,1999年当初から話題になっていたライセンス料も,ようやく決着した。ライセンス料は,機器当たり25米セントである。ポート数にはよらない。以前は,物理層LSIの1ポートに当たり1米ドルというライセンス料をApple社が要求していたのに比べて,ライセンス料はぐっと抑えられたといえる。物理層LSIのメーカではなく,機器メーカがライセンス料を支払う。共同ライセンスの対象になる特許は,これから審査する。上記の11社以外でも応募できる。受付期間は1999年5月15日から同年6月30日。受付窓口はSullivan&Cromwell法律事務所のGarrard Beeney弁護士。電話番号は米国+1-212-558-3737,ファクシミリ番号は+1-212-558-3588。
情報元
・浅見直樹「日欧米11社,IEEE1394に関連した特許の共同ライセンスで合意」日経エレクトロニクス(1999年5月12日)
・「日米欧11社、IEEE1394デジタルインターフェースの利用を加速する必須特許共同ライセンス プログラムで合意」東芝プレスリリース(1999年5月12日)
4. パテント・エージェント試験年2回でスタート
今年からエージェント試験は年2回となる。ということは提出期限や準備などが厳しくなるということで、受験された方々ご苦労様でした。
昨年よりは平易だったようです。
5. 米特許庁の無料公報サーチ、正式オープン!
ベータテスト段階も終了し、晴れて正式オープンに。
TIFFファイルの閲覧用プラグインは、特許庁のホームページ上に掲載されるようになった(以前は、ベンダーのサイトにリンクされていた。)
このソフト、無料だしクイックタイムなんかと違って軽く、
(1)ツールバーに保存、印刷等のボタンが並び操作が簡単、
(2)印刷が一枚に収まる(IBMのやつだと、途中で切れてしまうのでテクが必要だった)
ので便利なんだけど、(1)英語表記。(2)圧縮方式が1ビットのモノクロと、ちょっと珍しいため、環境によってはデータを読めないこともある。だから他でデータを利用する場合は(データを送る前に)一般的な8ビットのグレースケールで変換し直した方がいいかも。
・特許庁
・TIFFのビューア
1999/04/20
1. 州政府の訴追免除、いよいよ大詰めへ
本日、米連邦最高裁にてカレッジ・セービングス・バンクとフロリダ州との争いにつき口頭弁論が開かれた。本日の審理は、この件(特許と商標で2件最高裁に上がっている)のみ。で、今日のレコーダーによると、、、
大学の研究室で高名な科学者の熱心な研究によって、州立大学の元締めである州は、例えばソフトウェアやバイオテクノロジー等の分野から多額のロイヤリティを何百万ドルも徴収できる。一部の大学(カリフォルニアだよ!)ではこのシステムがすごく活発で、企業以上に積極的な集金活動を行っている。(日本もこれを真似しようとしているのか?)もちろん、一般企業も研究をやって特許を得ていることは同じなのだが、州の特許を民間が使うと侵害で、州が民間企業の特許を使っても怒られない、というか裁判所に連れていくことができない、という争いがこの事件である。
この事件でもアミカス・ブリーフが多く出されていて、特に著作権や商標権侵害を憂慮している民間団体が共同で民間企業側(大学預金銀行)を応援している。連邦政府も同じ。連邦政府は当事者として事件に参加している。(連邦議会の権限が損なわれると困るのは連邦政府だから、この争点にのみ参加)
一方で州側は、自治権を守れとばかりに地方自治体からの援軍がついている。26州の州法務長官が共同でブリーフを出した。他の州にしてみれば自衛の意味合いが強く、どこの州も同じような教育費積立プログラムを州営でやっているため、これでフロリダ州が負けると次はうちの州が訴えられるのかとばかりに戦々恐々と裁判の行方を見守っている。当然、カリフォルニア州もフロリダ州側を応援しているのだが、ジェネンティックとの訴訟で代理しているジェラルド・ドドソン弁護士がアミカス・ブリーフを書いている。曰く、「州が特許を取得してそこから利益を得ている(実施料を徴収している)ことは、本件とは何の関係もない。州政府は、連邦政府と同じように主権を持っている。」
関連情報
・Brenda Sandburg, "Stating the Case for Immunity -States go to high court to avoid suits alleging patent infringement.", The Recorder/Cal Law, April 20, 1999.
・Genentech v. Regents of the University of California, 143 F.3d 1446, 46 USPQ2d 1586 (Fed. Cir. 1998).
・Paul J. Heald, Michael L. Wells. "Remedies for the misappropriation of intellectual property by state and municipal governments before and after Seminole Tribe: the Eleventh Amendment and other immunity doctrines." 55 Wash. & Lee L. Rev. 849-914 (1998).
2. CAFC判決−都合のいい仮想クレームはダメ
ウィルソン・スポーツ用品(ゴルフボール)事件(Wilson Sporting Goods Co. v. David Geoffrey & Associates)でCAFCは有名な仮想クレーム理論(hypothetical claim)を導入した。これは、均等論侵害の判断において、イ号を文言上包含するクレームが仮に出願時にあったと仮想した場合、当該クレームが特許査定され得たか否かを先行技術と照らし合わせて判断する手法である。
a. もし仮想クレームが特許になったと考えられるなら、イ号は侵害となる(範囲まで、元のクレームの均等の範囲は拡大可能)、
b. 仮想クレームは先行技術のため特許にならなかったと考えられるなら、侵害にならない。そんなクレームを認めてしまうと、公知技術すなわち一般公衆が自由に利用できる範囲を犯すことになるから。
さて、今回のストリームフィーダー対シュア・フィーダー事件(Streamfeeder, LLC v. Sure-Feed, Inc.)で、原告側は仮想クレームをミネソタ州連邦地方裁判所に提示して、均等論侵害を立証した。ところがCAFCは、当該仮想クレームにつき、確かにある部分では実際のクレームよりも範囲が広いものの、別の部分ではクレームを狭く限定しないと先行技術を回避できないとして、当該仮想クレームを認めなかった。CAFCの合議体は、ローリー、シャール、ブライソン判事で、判決文はローリー判事。
格言「あるクレームを限定し同時に拡張するような手法で、既に特許されているクレームを訴訟において書き直すために仮想クレーム理論を使用することはできない。」("Hypothetical claim analysis . . . cannot be used to redraft granted claims in litigation by narrowing and broadening a claim at the same time.")
参考資料
・1999年4月23日付 IPO Daily News
・Streamfeeder, LLC v. Sure-Feed, Inc., No. 98-1521 (Fed. Cir. 1999)
・Wilson Sporting Goods Co. v. David Geoffrey & Associates, 904 F.2d 677, 14 USPQ2d 1942 (Fed. Cir. 1990).
・C.ブルース・ハンバーグ、朝比奈宗太訳「米国における均等論」発明協会(1995年)
1999/04/19
1. CAFC判決−フェスト対焼結金属工業事件
も差し戻し(さらに追加1999年9月2日)
ワーナージェンキンソン対ヒルトンデイビス事件を受けて最高裁からCAFCに差し戻されていた3件の内、最後に残っていたフェスト対焼結金属工業事件(Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co., Ltd.)も、この日判決が下された。リットン対ハネウェル事件とヒューズ・エアクラフト対米国政府事件は、昨年同時に判決が下されており、うちヒューズ事件は既に最高裁上告も却下され確定している。なんでフェスト事件だけ遅れたんだろう?逸失損失など別の争点もあるようなので、そのせいか?
本件では磁気結合の中空シリンダ(magnetically coupled rodless cylinders)に関する2件の特許の侵害が争われており、この内キャロル特許では構成要件として一対の弾性封止リング(a pair of resilient sealing rings)が必要とされていた。これに対しイ号装置では、単一の両方向封止リング(single two-way sealing ring )で代用しており、この点が構成要件を欠くことになるか否かが争われた。最終的にCAFCはヒューズ事件と同じく、オールエレメントルールで審理し直しても均等論侵害成立と判断した。もう一方のストール特許については、ヒルトンデイビス事件やハネウェル事件と同じく、補正の理由が不明なので審査経過禁反言の適用有無および範囲を判断できず、審理不尽で地裁差し戻しとされた。
なかなか、CAFCは一旦侵害と判断したものを差し戻されても覆してくれない。発明全体でも構成要件毎でも結局は侵害なんだからCAFCの判断は間違っていない、といってるように聞こえるのは私だけだろうか。合議体担当判事は、リッチ、ニューマン、ミッシェル判事で、判決文はニューマン判事。均等論侵害の歴史を紐解いてるので、勉強にいい。
判決文を読むと、均等論侵害の分析について「構成要件毎に判断」とはいうものの、クレームの構成要件とイ号のそれとが一対一に対応してなくても良いとあり、かのコーニンググラス対住友電工事件(Corning Glass Works v. Sumitomo Electric U.S.A., Inc., 8