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2002年特許的独り言
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2000年1月〜3月のひとりごと 2000年1月〜3月のたわごと
 
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1999年前半のひとりごと 1999年1月〜6月のたわごと

1998年のひとりごと 1998年のたわごと

IPニュース 2002年の最新ニュース


目次 Table of Contents
2002/12/27
1.印刷に関するトラブル
2.辞書ソフトに関する雑談
3.特許図面に適したCADは?
2002/12/24
1.PCT改正
2002/11/29
1.職務発明の妥当な対価は?
2002/11/27
1.米特許庁料金値上げ(update)
2002/11/26
1.GetIPDL使用不可に
2002/11/15
1.米特許公報ダウンロードサイト
2002/11/05
1.プロジェクトXにキャノン特許部隊登場
2002/11/02
1.米特許法改正:再審査請求他
2002/10/29
1.GetIPDLシェアウェアに
2002/10/26
1.台湾特許法改正
2002/10/23
1.商標分類に関する注意
2002/10/22
1.PCTイージー、パッチ
2002/10/09
1.米最高裁:著作権期間延長は合憲か
2.PCTイージー、アップグレード
2002/10/07
1.レメルソン事件の上告不受理
2.フェスト判決を受けてCAFC差し戻し
2002/10/03
1.再審査請求を改善する米特許法改正法案
2002/10/01
1.米特許庁料金改訂なし
2002/09/28
1.BT、ハイパーリンク特許権行使を断念
2002/09/20
1.フェスト、再びCAFC大法廷へ
2002/09/19
1.ウィンドウズXPサービスパックリリー
2002/09/17
1.米著作権法改正は憲法違反か
2002/09/13
1.サブマリン特許、沈没中
2002/09/12
1.米特許庁:IDSを電子データで提出可
2.ラムバス欧州特許成立
2002/09/01
1.日本特許法改正その1:先行技術文献情
2.日本特許法改正その2:PCT国内移行
2002/08/22
1.ハイパーリンク特許の命運尽きる?
2002/08/20
1.CAFC判決:シュリンクラップライセ
2002/08/17
1.ゴジラとモジラは商標類似?
2002/08/15
1.シンガポール特許の取得が容易に
2002/08/09
1.Windows 2000 SP3
2.MSオフィス互換フリーソフト
2002/08/08
1.世界を変えた特許?
2002/08/07
1.ビジネス用途(パソコン出願用)スキャ
2002/08/06
1.ヤマハ、中国で勝訴
2002/08/02
1.地裁レベルでのフェスト判決の解釈
2002/08/01
1.米国特許庁改革案
2002/07/30
1.CAFC判決:仮出願を過信すべからず
2.日本特許庁長官
2002/07/22
1.JPEG、お前もか
2002/07/15
1.CAFC判決:エンゾー判決逆転
2002/07/09
1.CAFC判決:ビジネスモデル特許夢の
2002/07/05
1.ディープリンクは合法か
2002/07/02
1.CAFC以外で特許事件が審理される
2002/07/01
1.欧州特許条約改正
2.東欧4カ国が欧州特許条約
2002/06/27
1.公取がビジネスモデル特許に警鐘
2.実案は損?
2002/06/26
1.金型に著作権
2002/06/24
1.ポスト・レメルソン?
2.米特許庁:商標審査便覧改訂
2002/06/21
1.CAFC判決:非選択の技術でもリイシ
2002/06/12
1.PCTイージーバージョンアップ
2002/06/04
1.米特許庁改革
2002/06/03
1.米最高裁判決:CAFCの裁判管轄を制
2.米最高裁、フェストを受けて上告中事件
2002/06/01
1.知的財産の証券化
2002/05/28
1.最高裁判決:フェストCAFCルールは
2002/05/21
1.特許訴訟賠償額
2002/05/20
1.DeCSSに違法判決
2002/05/19
1.弁理士試験
2002/05/15
1.ドイツ特許制度の歴史
2002/04/25
1.中古ゲーム販売は合法
2002/04/23
1.CAFC判決:審査経過禁反言は親子関
2002/04/22
1.標準化技術と特許
2.エストラージ改良版
2002/04/19
1.「ブランコの揺らし方」特許の報道に見
2002/04/17
1.パテントエージェント試験
2002/04/16
1.インターグラフとインテルが和解
2002/04/09
1.ファイルローグに仮処分
2002/04/05
1.シンボル対レメルソン事件の再審理請求
2002/04/01
1.PCT改正
2.方式審査便覧改訂
3.オーストラリア特許法改正
4.パソコン出願ソフトアップ
2002/03/28
1.CAFC大法廷判決:明細書に開示しク
2.インクカートリッジ
2002/03/19
1.日本地裁判決:特許法102条損害額の
2002/03/14
1.ハイパーリンク特許危うし?
2.インタートラスト対マイクロソフト
3.マークマンヒアリングの功罪
4.米国の進歩性基準
2002/03/12
1.XP用USB2.0のドライバ
2002/03/08
1.サンとマイクロソフト
2002/03/07
1.ワンクリック特許も和解に
2002/03/01
1.パテントの掲載記事がホームページでも
2.米特許事務所ランキング
2002/02/28
1.日本最高裁判決:共有権利者の訴訟適格
2.ファイルローグ遂に
2002/02/26
1.アメリカ法律事務所
2.特許裁判改革
2002/02/22
1.ナップスターの逆襲
2002/02/21
1.調査官に弁理士
2002/02/20
1.ビーもマイクロソフトを提訴
2002/02/19
1.米最高裁:著作権存続期間延長の是非
2002/02/18
1.日本特許法改正案
1.イマージョンがマイクロソフトとソニー
2.サイトサウンド対CDナウ
2002/02/09
1.ファイル交換ソフト論争
2002/02/08
1.ハイパーリンク特許法廷紛争
2.CMコンセプトのパクリは著作権侵害?
3.オペラ日本語版
2002/02/12
1.ダウエントの無料セミナー案内
2002/02/01
1.弁理士法4条3項の施行
2002/01/24
1.CAFC判決:シンボル対レメルソン財
2002/01/23
1.PDFからTIFFに変換する便利ソフ
1−1.OCR
1−2.図面の修正
2.パスワード付き圧縮ファイル
3.ファイル交換ソフトの違法性
4.ネットスケープがマイクロソフトを提訴
5.着メロの著作権料はだれのもの?
2002/01/21
1.フェストのトランスクリプト
2002/01/18
1.java技術の米国特許
2002/01/16
1.逆混同?
2002/01/15
1.パトリスとデルフィオンが提携
2002/01/10
1.PCT様式最新版
2002/01/05
1.フェストネタ色々
2002/01/04
1.パソコン出願ソフト、バージョンアップ
2002/01/02
1.欧州特許法改正
2002/01/01
1.国際分類第8版対応類似商品・役務審査
2.PCT料金改定
3.台湾特許法改正

 
 
2002/12/27
 
1.印刷に関するトラブル
 最近PCのトラブルが多い。この1ヶ月くらいの間に一体何回OSの再インストールをやっただろう、それも95系でなくNT系のOSを。。。
 特にウィンドウズ2000のサービスパック3を入れてから、印刷関係のトラブルが多くなった。Windows2000でキャノンのレーザーショットをお使いの方は要注意。
 小職の場合、LBP-470で印刷しようとすると「エラーが発生したため、Spoolsv.exe を終了します。プログラムをもう一度開始する必要があります。」というエラーメッセージが出て、印刷できないばかりか、登録されたプリンタドライバがすべて消えてしまう。再起動すれば大抵復旧するが、このエラーが頻発するので非常によろしくない。プリンタドライバを削除して最新版(LIPS4バージョン5)をインストールし直しても改善せず。ソフトの安定度も悪くなっている。この文書を書いてる途中でもアプリケーションエラーが発生した。大体、サービスパックで何で不安定になるのだ?MSは新機能をサービスパックに取り込むのをやめたのではなかったのか?NT系でも年一回は再インストールしなければならないのか!?
 
 
2.辞書ソフトに関する雑談
 さて、仕事柄辞書のお世話になることは多く、多くの電子辞書を利用している。CD−ROM辞書の検索には、フリーウェアのDDWinが非常に便利。EPWING対応のCD-ROM辞書を仮想CD-ROMソフトなどで複数セットしておけば、DDWinの串刺し検索を使って一発で検索できる。しかも、DDWinではEPWINGのみならず、小学館のランダムハウス英語辞典にも対応している。
 惜しいのは平凡社の世界百科事典に対応していない点。NEC版と呼ばれる旧版のMS-DOS版だと動くらしいが、その後日立が出したWindows版には非対応。なお、別のシェアウェアであるJammingを使えば、世界百科事典の第2版は検索できるらしい。しかし、Jammingも世界百科事典の第1版には非対応とのこと。高価な第1版を買ってしまった人間が、安くなったとはいえ5万円くらいする第2版を買うのはためらわれると思うのだが、なんとからならないものか・・・おまけに第2版の評価は著しく悪い。検索画面がスクロールできないとか、解像度が固定であるとか。
 話変わって、EPWING版の英英辞書はないものかと思い、アメリカに行ったとき随分探したが、見つからなかった。帰国後よくよく調べると、EPWINGは日本の規格なのでアメリカに対応CD-ROMがあるわけがないのであった。何事も思い込みはいけない、事前の下調べが必要である。
 さてアメリカで辞書ソフトをいくつか購入したが、どれも価格は日本に比べて相当安い。辞書に限らず、百科事典も安い。例えば日本版だと2万円とかの値を付けているエンカルタなど、キャッシュバック付で50ドルというレベル。実質3千円くらいになる。日本の百科事典ソフトはなぜあんなに高いのか。
 今回はエンカルタ2003英語版を買ってインストールしてみたが、インターネットエクスプローラの6とウィンドウズメディアプレーヤの7が勝手にインストールされてしまう。いずれも英語版なので、一旦アンインストールして再度日本語版をインストールする。これでもエンカルタ自体は問題なく起動する。但し、OS自体の動作が非常に重くなった。IE6はペンティアム4の1.5GHzでもきついようである。
 そのエンカルタは日本版と英語版があるので、同じ項目を対比すれば訳例として使えるかもしれない。そう思ってエンカルタ98の日本版と英語版を持っているのだが、未だに試したことがない。
 
関連情報:
・「翻訳のための電子辞書 for Windows いろいろTips」
http://www.ne.jp/asahi/transnet/toyama/dictionary2.html
===================================
...市販されている英英辞典のCD-ROMには、EPWING版はありません(EPWINGという規格は日本独自のもので、海外にはないのです)。JammingまたはDDwinで串刺し検索できる英英辞典は、いまのところ、電子ブック(EB)版のTHE CONCISE OXFORD DICTIONARY AND OXFORDTHESAURUS(三修社)だけのようです。
 また、ウェブには無料でダウンロードして利用できる、EPWING形式の英英辞典があります。
 たとえば、FPWBOOKというサイトには、
・Webster's Revised Unabridged Dictionary (1913)
・WordNet 1.6
などが置かれています。いずれも「変換済みデータ」をダウンロードし、圧縮ファイルを解凍して、DDwinまたはJammingで使用します。
 
 
3.特許図面に適したCADは?
 特許業務に便利なツールを常に求めている中でも、いつも悩むのが特許図面に適したCAD。今のところはVISIOをよく使っている。このソフト、決まったパターンの組み合わせ図形の作成には非常に便利で、特にフローチャートの作成は超簡単。
 が、ハッチングが弱いという致命傷あり。ハッチパターンが貧弱で、しかもパターンやピッチの変更ができない。ユーザ定義のパターンを自分で作成しなければならない。
 さらにDXF変換も相当不得手。こうなると、どうしても花子に頼らざるを得ない。考えてみれば、一太郎と花子のセットでも2万円を切るのに対して、VISIOはスタンダード版で実売2万円、製図用のプロフェッショナル版(旧ビジオ・テクニカル)だと6万円という高値。職場のパソコン台数を考えても、花子でできれば文句なし。しかも花子はハッチングパターンが豊富、DXFもいける。やはり国産ですね、というかMS製はアカン。
 
関連情報:
・Visio Community Site
http://www.visio.jp/
 無料のユーザ登録が必要であるが、シェイプのダウンロードが可能。ただし、設備設計用途のものばかり。
 
 
2002/12/24
 
1.PCT改正
 日経新聞より。自動的に全指定国を指定するとともに、基本料と指定手数料を統合して均一の国際出願手数料とするとのこと。本当だろうか?日米特許庁で料金値上げが検討されているため、PCT出願が増えるのではと予測している。
 
情報元および関連情報:
・「特許、一通で世界出願 対象国の指定不要に 手数料実質値下げ 企業の負担軽減」日本経済新聞(2002年12月24日)
・「WIPO最新情報Update2002/175(J)」JPAAジャーナル(2002年11月)
 
 
2002/11/29
 
1.職務発明の妥当な対価は?
 最近話題の職務発明の「相当の対価」に関する判決が東京地裁で下された。日立製作所の元社員が光ディスクの読み取り装置に関する特許の対価を求めた裁判において、東京地裁47民(森義之裁判長)は約3500万円の支払を命じた。金額としては過去最高。
 争われた特許権は3件あり、この内メインとなったのは発明1。問題となりそうなのは、発明者と会社の貢献度の算定方法ではなかろうか。拒絶や異議対応等、特許取得のための努力やライセンス交渉等における会社の役割を考慮し、裁判所は「被告(会社)の貢献が相当に大きい」として、70%〜80%と判断している。逆に言えば、「儲けの2、3割は発明者の取り分」と判断したことになり、これを大きいと捉えるか、小さいと捉えるかが評価の分かれ目。数値を決定する具体的な指針は判決に述べられていない。
 金額の算定方法は、対象額として、各社にライセンスしたと仮定する市場価格でなく、現実にライセンス契約で得られた額を基準としている。その際、包括クロスライセンスの相当分も算入。また対応外国特許による収入は、属地主義に基づき考慮していない。これらの考えに照らして、各社、各案件毎に具体的なライセンス収入額と、本件発明の寄与度を詳細に検討し、被告会社の得た利益額(「被告の受けるべき利益額」)を2億4959万円と算定。
 その上で、各人の貢献度として、会社と発明者で8:2、さらに2人の共同発明者間の配分として、3:7(原告)とし、結果的に2×7=14%を発明者の寄与分として算定した。そして支払い済みの238万円を差し引いて3494万円と算定した。
2億4959万円×0.2×0.7≒3494万円
 また残りの発明2については、会社と発明者で7:3、さらに5人の共同発明者の寄与率は1:1:1:1:6(原告)で、結果3×6=18%の取り分。
115万円×2/3×0.3×0.6=13万8000円
 さらに発明3については、会社と発明者で8:2、さらに3人の共同発明者の寄与率は2:2:4で、2×4=8%の取り分。
115万円×1/3×0.2×0.4=3万0666円
 判決文は、発明の社内褒賞額から、ライセンス先の社名および金額まで事細かに明らかにしており、日立には申し訳ないが興味深い。普通では拝見できない貴重な資料であり、必見というべきだろう。例えばノーベル賞級といわれる青色発光ダイオードに関する中村裁判では、発明報奨金が出願時で1万円、登録時で1万円しかなかったと声高に非難しているが、実際にノーベル賞を受賞した田中耕一氏の場合でも出願時6000円、登録時5000円であった。そして今回の日立では、発明3件につき、それぞれ出願時3000円、400円、700円であり、登録時の報酬は1000円という額になっている。
 ところで本件について、ざっと見たところ日経(顔写真入り)と朝日は原告を実名報道。原告発明者の代理人は中村裁判や味の素事件と同じく升永英俊弁護士。今週号の週刊現代によれば年収13億で弁護士業界ダントツだそう。最近「真相・中村裁判」という本を出して物議を醸している。
 
情報元および関連情報:
・H14.11.29判決 東京地裁
平成10年(ワ)第16832号 補償金請求事件
平成12年(ワ)第5572号 補償金請求事件
http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/c617a99bb925a29449256795007fb7d1/3bcefd47b8fcf5a249256c8000204046?OpenDocument
担当は森義之、内藤裕之、上田洋幸裁判官
・「光ディスク読みとり技術の特許訴訟 元日立研究員が勝訴」毎日インタラクティブ(2002年11月29日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/200211/29/2.html
・「『報奨制度は手厚く、金額は高すぎる』日立側は強く反発」毎日インタラクティブ(2002年11月29日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/200211/29/2.html
・堀切近史「『相当の対価』は3494万円,過去最高額の対価を東京地裁が日立製作所の元従業員に認定」日経エレクトロニクスオンライン(2002年11月29日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/judge/2002/11/1000016038.html
・「中村修二VS.日亜化学『特許裁判』 マスコミが報道しない『中間判決』の真相」THEMIS(2002年11月号)
http://www.e-themis.net/search/mokuji/0211.html
===================================
...(日亜化学の発明報奨金は)当時の日本企業の相場としては、むしろ高い方であったという。
・「世界的発明は誰のものか 個人か企業か−注目の『特許裁判』に迫る」THEMIS(2002年9月号)
===================================
...「中村氏の研究開発について費用を支出したのは会社であり、会社は大きなリスクを背負っていたが、中村氏は全く負っていない。また研究開発は全ての関係者の努力で達成されている。...
...「先の青色LED開発には多くの研究者が関わって、実験に実験を重ねたから成功したのだ。それに、高性能の純緑色LEDについては、中村氏は実現を否定していたほどだ。」
...「(中村)氏は『日亜の特許』を攻撃するために日本で日亜を訴えたのだが、これはクリー社が(日亜の)発明を巧妙に奪う戦略の一環と考えている。日米一連の訴訟は私欲と正義の戦いなのです」
...産業界の注目を集める「特許裁判」の背景を探ると、このように表面的な新聞報道などでは触れられていない様々な経緯や過去の怨念めいたものが浮かび上がってきたのである。...
・「蓋棺録」文藝春秋(2002年11月)
===================================
 日亜化学工業会長小川信雄は、・・・「青色発光ダイオードをやらせてほしい」と直訴され、「いいよ」とあっさりゴーサイン。なかなな実利に結びつかない研究に口をはさむことなく見守り、実用化一番乗りを果たした。
 
 
2002/11/27
 
1.米特許庁料金値上げ(update)
 懸案の特許料金大幅値上げ案は未だ燻り続けているものの、小幅値上げについては来年2003年1月1日から施行されることが決定した。今回の値上げは消費者物価指数に基づくもので、これについては議会の承認を得ることなく米特許庁の裁量で実施可能。
 主な改正点は以下の通り。
施行規則
 
項目
 
現行料金(括弧内はスモールエンティティ) 改正後
 
1.16(a) 特許出願料 $740 ($370) $750 ($375)
1.16(a) 出願料(CPA) $740 ($370) $750 ($375)
1.17(a)(2) 2ヶ月延長 $400 ($200) $410 ($205)
1.17(a)(3) 3ヶ月延長 $920 ($460) $930 ($465)
1.17(a)(4) 4ヶ月延長 $1,440 ($720) $1,450 ($725)
1.17(a)(5) 5ヶ月延長 $1,960 ($980) $1,970 ($985)
1.17(e) 継続審査請求(RCE) $740 ($370) $750 ($375)
1.18(a) 特許登録料 $1,280 ($640) $1,300 ($650)
1.20(e) 3年半での年金 $880 ($440) $890 ($445)
1.20(f) 7年半での年金 $2,020 ($1,010) $2,050 ($1,025)
1.20(g) 11年半での年金 $3,100 ($1,550) $3,150 ($1,575)
1.492(a)(3)
 
PCT国内移行(日本もしくは欧州以外が受理官庁) $1,040 ($520)
 
$1,060 ($530)
 
1.492(a)(5)
 
PCT国内移行(日本もしくは欧州が受理官庁) $890 ($445)
 
$900 ($450)
 
2.6(a)(1) 1分類当たりの商標出願料 $325 $335
 
 以下は、ある雑誌への投稿用に作成したものですが、諸般の事情で断念したためここに掲載します。
 
 2002年10月20日現在、日米の両特許庁において、料金値上げの改正がそれぞれ検討されている。日本の特許庁においては一部新聞でも報道されているとおり、値上げによって出願件数の増加を抑制し、特に必要な、真に価値ある特許のみの出願に厳選したいという思惑があるようである。ここでは、米国特許庁で現在審議中の、特許庁料金値上げを含む改正作業について簡単に報告したい。
 米特許庁のジェームズ・ローガン長官は、米特許庁の大幅な刷新によって庁の立て直しを図る目的で、2002年6月に戦略プランを発表した。その主な内容は、以下のようなものである。
・先行技術調査の外部委託を認め、日本の特許庁で審査官が検索した調査結果を米国特許庁の審査においても利用することで、審査の負担を低減する
・審査請求制度を導入し、出願日から18ヶ月まで審査料金の支払いを猶予する
・特許庁の料金を大幅に値上げする
 特に料金の値上げによって特許庁の歳入を増やすとともに出願件数を抑制し、さらに審査請求制度の導入によって、出願後権利化を要しない案件をみなし取り下げとすることで審査対象案件を減らそうとするものである。
 元々、特許庁は米官庁の中で唯一、国から予算を与えられることなく、歳入すなわち出願人が払う料金のみで運営できる優秀な機関であった。しかし赤字続きの米国政府はこれを見逃さず、特許庁の歳入を一般予算として転嫁する、すなわち出願人が支払った料金を特許庁の運営でなく他の官庁の赤字の補填に回すということをクリントン政権は決定した。その結果、特許庁の収支状態は一気に悪化し、当然出願人サイドからも自分たちの支払った特許料金で赤字の穴埋めをするのはおかしいとの苦情が殺到した。特許庁も庁の収入は庁で処分できるよう、他への予算配分を禁止する法案を上程しているが、成立していない。このような予算不足の状態が数年に渡り継続している中、インターネットの爆発的普及とITバブルによって出願件数は一気に増大、特許庁の未処理案件は増大の一途を辿り、審査の遅延、審査の質の低下を招いた。このような背景の下、特許庁をより効率よく運営するための抜本的改革をローガン長官は打ち出したのである。
 当初の施行予定日は2002年10月1日であった。しかしながら、特許庁料金の大幅値上げに出願人であるユーザ側が黙っているはずもなく、強い反対が起こった。その結果、改正案の成立はならず、2002年10月1日に予定されていた料金値上げは見送られた。
 なお、大幅値上げでなく微少値上げが当初は2002年10月1日に予定されていたが、これも見送られている。ただし、大幅値上げを含む改正案が流れた訳ではなく、依然として検討中であることに変わりなく、特許庁も改正が認められれば速やかに値上げを実施する旨明言している。
 
 料金値上げは出願人サイドの重大な関心事であり、改正法の成否が注目されていますが、中でも最も懸念されているのは、クレームに関する料金です。現行法ではクレーム数が20までなら追加料金は不要です。この内、独立クレームは3つまで含むことができ、4つ目以降は一律84ドルが加算されることになっています。これに対し改正法では独立クレームが多くなるほど料金は劇的につり上がります。また驚くべきことに、他のクレームと実質的に同じ内容のクレームを提出すると、高い罰則料が課せられるとされています。なお、改正法が成立したとしても、これらの条項が必ずしも盛り込まれるとは限りません。特に後者については、見送られる可能性があるのではと個人的には考えています(希望的観測ですが(^_^;)。
 
情報元および関連情報:
・"USPTO Fees - FY 2003," UNITED STATES PATENT AND TRADEMARK OFFICE (Effective October 1, 2002).
http://www.uspto.gov/web/offices/ac/qs/ope/1999/fee20021001.htm
 現行の特許庁料金が確認できる。
・"Answers to the most Frequently Asked questions about the Strategic Plan," USPTO
http://www.uspto.gov/web/offices/com/strat2001/faq.htm
http://www.uspto.gov/web/offices/com/strat2001/21stCSP_Legislation.pdf
 法案の名称は2003年米国特許庁再認可法(United States Patent and Trademark Office Reauthorization Act, Fiscal Year 2003)で、2003年10月1日施行予定。
・"IPO Summary of USPTO Fee Bill," IPO (July 30, 2002).
http://www.ipo.org/Funding.html
http://www.ipo.org/2002/IPissues/Fee_Summary.pdf
 IPOが作成した原改正案の1ページの要約。ただし、当初の案であるため現在は変更されている部分がある。
・"Commerce Under Secretary for Intellectual Property Rogan To Unveil USPTO Restructuring Proposal" USPTO (June 3, 2002).
http://www.uspto.gov/web/offices/com/speeches/02-43.htm
 
 
2002/11/26
 
1.GetIPDL使用不可に
 特許公報ダウンローダとして重宝しているGetIPDLだが、ついにバージョン1.10.1が使用不可となった。
 有償版のバージョン2の購入は、海外サイトを通じて行うが、手間はそれほどかからない。詳しい手順はスターダスト等で紹介されている。
 むしろ大変だったのはインストール。ウィンドウズ2000のサービスパック2ではインストールできず、ウィンドウズ・インストーラを最新版に更新する必要がある。2000をサービスパック3にアップデートすると約13Mのファイルをダウンロードしなければならず、これに相当時間がかかった。
 インストール後のバージョン2は以前と変わらず快調。なお、旧バージョンの一部は未だに動作するとの報告あり。
 
情報元および関連情報:
・「GetIPDL」
http://www.aurora.dti.ne.jp/~ujihara/GetIPDL/Japanese/
・竹山宏明「特許電子図書館からのダウンロードツール」スターダスト
http://homepage1.nifty.com/stardust/2002bak/2002get_ipdl.htm
 「Enter the Bank name on the back of the credit card」(銀行名記入欄)は、クレジットカードを発行している銀行名。アメックスならAMEXと記入すればOK。
 
 
2002/11/15
 
1.米特許公報ダウンロードサイト
 インターネット・パテントニュースより、米特許公報および公開公報をPDFでダウンロードしてくれる無料サイトの報告。ソフトでなく、オンラインで指定した公報を、TIFFからPDFに変換してくれるというもの。対応サイトは米特許庁のみで、しかも特許公報と公開公報が別サイトになっている。GetIPDLの方が使いやすいことは明らかであるが、無償というのがポイント。
 
情報元および関連情報:
・Greg Aharonian, "PATNEWS READER PROVIDES FREE PATENT IMAGE DOWNLOAD TO PDF TOOL." Internet Patent News Service (Nov. 15, 2002).
・Patent/SIR/etc. fetcher
http://www.patlog.com/FetchPatent.php
・The fetcher for U.S. Patent Apps
http://www.patlog.com/FetchApp.php
 
 
2002/11/05
 
1.プロジェクトXにキャノン特許部隊登場
 特許関係者のみならず、技術の方にも見て頂きたい。
 なお、丸島義一氏は12月3日来徳され、徳島大学でご講演された。感激。しかし、その後のスピーカが最悪だった・・・
 
情報元および関連情報:
 
 
2002/11/02
 
1.米特許法改正:再審査請求他
 ブッシュ大統領は特許法改正を含むHR2215(Pub.L. No. 107-273)に署名した。主な改正点は以下の通り。
再審査請求において、審査段階で引用された資料の提出が可能になった。
第三者が当事者系再審査請求を行った場合でも、CAFCに控訴できるようになった。
102条(e)の文言を若干訂正
 
情報元および関連情報:
・"Bush Signs Justice Bill With Intellectual Property Reforms." 64 PTCJ (November 8, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/CCF9EC6CE8AE0B3685256C6A0055ED9B?OpenDocument
 
 
2002/10/29
 
1.GetIPDLシェアウェアに
 愛用しているGetIPDLがシェアウェア化されると発表。コンピュータ1台当たり1ライセンスで$89.00と、1万円程の値段となった。うーん、残念というほかない。ただし無償バージョンも用意されている。どの機能が違うのかはreadmeファイルからは不明。
 近日中に、 旧バージョン1.10.1 および 1.12.1 の機能は停止されるという...
 
情報元および関連情報:
・「GetIPDL」
http://www.aurora.dti.ne.jp/~ujihara/GetIPDL/Japanese/
 
 
2002/10/26
 
1.台湾特許法改正
 改正された台湾特許法は2001年10月26日より施行されているが、特許付与前の出願公開制度および審査請求制度についてはその1年後の2002年10月26日以降に出願された特許出願(invention patent application)に適用される。
 公開制度は改正後の台湾特許法36条1項に規定され、同5項は特許までの仮保護の権利として補償金請求権を規定している。さらに同2項は審査請求制度を規定している。
 出願公開制度は出願日または優先日より18ヶ月後に公開されるというもので、請求による早期公開も可能である点など日本と同じ。公開の対象外となるのは、
1)15ヶ月以内に取り下げられた出願
2)国家機密に関する出願
3)公序良俗に反する出願
 また審査請求制度は、出願日から3年以内に実体審査の請求を行うことを求めており、審査請求がない場合はみなし取り下げとなる。分割もしくは変更出願の場合は出願から30日以内に審査請求できる。審査請求は何人も可能である。競業他社による実施が認められる場合は、証拠を添付して早期審査の請求も可能。いずれも日本の現行制度と同様であるため、理解し易い。
 上記制度は、実用新案登録出願(utility model application)は対象外のようである。
 
情報元および関連情報:
・TAI E Quarterly No.70 (July 2002).
 台湾事務所の英語によるニュースレター
・"AMENDMENTS TO ROC (TAIWAN) PATENT LAW" Tai E
http://www.taie.com.tw/681.htm
 上記事務所のホームページ。同じく英語のみ
3.台湾特許法改正
・"International and Foreign Law," AIPLA International and Foreign Law Committee (February 2002).
http://www.aipla.org/committees/reports/intlforeign.html
 各国の特許法の動向をまとめている。台湾については主に2001年10月26日の改正を概説。改正点の内、審査請求と出願公開制度については一年後に施行。
 
 
2002/10/23
 
1.商標分類に関する注意
 弁理士会商標委員会より。本年1月以降の出願で、旧役務分類に従って42類で出願した場合、新分類で43〜45類に属する役務を包含していれば、4区分の出願として扱われ、出願手数料の不足分を徴収されるというもの。審査着手後であれば補正で削除しても支払わなければならないため、審査着手前(拒絶理由通知書発送前)に自発補正しなければならない。
 
情報元および関連情報:
・「商標委員会からのお知らせ−補正における追徴金について−削除補正も追徴される!拒絶理由通知後では間に合わない!」日本弁理士会(平成14年10月23日)
 
 
2002/10/22
 
1.PCTイージー、パッチ
 PCTイージーのパッチプログラムwipo06pt.exeのリリースがリリースされた。PCT-EASYの最新バージョン 2.92(build 0003) では、開発中の国際予備審査請求書作成機能が利用できるようになっていたため。
 
情報元および関連情報:
・"PCT-EASY Release of patch wipo06pt.exe"(2002年10月22日)
 
 
2002/10/09
 
1.米最高裁:著作権期間延長は合憲か
 話題の事件の口頭弁論が米最高裁で開かれた。1998年ソニー・ボノ著作権存続期間延長法(Sonny Bono Copyright Term Extension Act of 1998 (CTEA))を制定して著作権の存続期間を20年延長したのは、合衆国憲法で定める連邦議会の権限を逸脱するものか否かが争点。
 著作権延長法が制定された背景は、2003年に著作権切れでパブリックドメインになる予定だったミッキーマウス。このキャラクターで得られる富を失いたくないディズニー社の強力なロビー活動によって成立したため、別名ミッキーマウス延長法と呼ばれている。一方、著作権切れの作品をホームページに公開していたエリック・エルドレッド氏は、著作権法の延長によって作品の掲載ができなくなるため憲法違反で提訴。しかし下級審では原告敗訴。原告弁護団の中心は高名なローレンス・レッシグ米スタンフォードロースクール教授(Stanford Law School Professor Lawrence (Larry) Lessig)。レッシグ教授は以下の2点を主張した。
 特許・著作権条項(copyright clause)として有名な憲法1条8項8節には、科学および有用なアートの発展振興促進のため、連邦議会に「限られた期間」排他権を与える権限を認めている。映画などの著作権が失効する前に、過去40年間に11回も法改正により権利期間が延長された結果、現在の著作権の存続期間は、企業所有の場合95年、個人の場合は死後70年となっている。このような立法が、果たして「限られた期間」の排他権と言えるのかどうかが問題となっている。
 さらに、過去の著作物に対して遡及的に保護期間の延長を適用することが、果たして新たな芸術の創造刺激につながるのか、という疑問がある。
 law.comの記事によれば、レッシグ教授は元アントーニン・スカリア最高裁判事のロークラークだそう。また、最高裁判事の何名かは本の著者であるため、各人の著作物についての著作権者という立場にあるわけで、自身の権益(利害関係)も絡むという視点からみれば面白い。さらにギンズバーグ判事の娘ジェーンおよびブライヤー判事が書いた著作権法に関する論文がアミカスブリーフに引用されたりと、背景事情が色々と紹介されており、興味深い。
 判決は来年の春頃下されると思われる。
 
情報元および関連情報:
Eldred v. Ashcroft, argued, No. 01-618 (U.S. 2002).
http://supreme.lp.findlaw.com/supreme_court/docket/2002/october.html
 アミカスブリーフをPDF、テキストファイルで閲覧可能。
・transcripts
http://www.supremecourtus.gov/oral_arguments/argument_transcripts/01-618.pdf
 口頭弁論の記録。面白い。ラリー・レッシグ教授を応援したくなる。
・Eldred v. Ashcroft
http://eldred.cc/
 原告の支援サイト。
Eldred v. Reno, 345 U.S. App. D.C. 89, 239 F.3d 372 (D.C. Cir. 2001).
http://laws.findlaw.com/dc/995430b.html
 相手が合衆国政府なので、司法長官が変わると事件名も変わる。
・"Cert. Granted" law.com
http://www.law.com/us_supreme_ct/cert_granted_int.shtml
 知財関係の事件で、現在最高裁が裁量上告を受理した事件の一覧。本件以外に特許1件、商標1件。
・Tony Mauro (American Lawyer Media), "High Court Ponders Copyright Extension Battle." law.com (Oct. 10, 2002).
・Gary Gentile (The Associated Press), "U.S. Supreme Court to Hear Case Challenging Copyright Term Extension Act." law.com (Oct. 8, 2002).
・Andy Sullivan (Reuters), "Mickey Mouse Copyright Case Hits Supreme Court." FindLaw (Oct. 9, 2002).
http://news.findlaw.com/entertainment/s/20021009/courtcopyrightdc.html
 
 
2.PCTイージー、アップグレード
 PCT-EASYのVersion 2.92 build0003(2002年10月1日版)が登場。変更点は、
1) 新たな指定国:セイシェル(SC)2002年11月7日より。
2) 新料金表(2002年10月1日より適用)。
3) 最新のPCTアップデート。
前バージョンは、今回のインストールによってアップグレードする必要あり。(アップデートパッチなし)
 
情報元および関連情報:
・PCT-EASY
http://pcteasy.wipo.int
 
 
2002/10/07
 
1.レメルソン事件の上告不受理
 米最高裁はシンボル対レメルソン事件の上告を不受理とした。その結果、妥当性なく理由の説明もない遅延(unreasonable and unexplained delay)により成立したサブマリン特許に対する審査懈怠の抗弁(defense of prosecution laches)は、有効なものとして確定した(将来最高裁がひっくり返すまで・・・)。さあ、どうする?レメルソン、ホージャー??
 
情報元および関連情報:
Lemelson Medical, Education & Research Foundation v. Symbol Technologies, 277 F.3d 1361, 61 USPQ2d 1515 (Fed. Cir. 2002), review denied, No. 01-1855 (U.S. 2002).
 
 
2.フェスト判決を受けてCAFC差し戻し
 米最高裁はさらに、フェスト最高裁判決に従って禁反言の審理を行うよう、2件の特許事件をCAFCに差し戻した。シンプルテクノロジー対デンス・パック・マイクロシステムズ事件(聞いたことなし)とタルバート・フュール・システムズ・パテント対ユノーカル事件(ちょっと話題になった)。
Simple Technology Inc. v. Dense-Pac Microsystems Inc., No. 01-1787 (U.S. 2002).
Talbert Fuel Systems Patents Co. v. Unocal Corp., 275 F.3d 1371, 61 USPQ2d 1363 (Fed. Cir. 2002), remanded, No. 02-90 (U.S. 2002).
 一方で、CAFCがフェスト大法廷判決の後でもクレーム補正を減縮と解釈せず、従って禁反言を適用しなかった2件については、当然ではあるが差し戻しとせず上告不受理。
Infinite Pictures Inc. v. Interactive Pictures Corp., 274 F.3d 1371, 61 USPQ2d 1152 (Fed. Cir. 2001).
JBL Inc. v. Bose Corp., 274 F.3d 1354, 61 USPQ2d 1216 (Fed. Cir. 2001).
 
情報元および関連情報:
Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co., 62 USPQ2d 1705 (U.S. 2002).
Vulcan Engineering Co. v. FATA Aluminum Inc., 278 F.3d 1366, 61 USPQ2d 1545 (Fed. Cir. 2002), cert. denied, No. 01-1791, No. 01-1647 (U.S. 2002).
 これだけ上記と関係なし(^_^;)
 
 
2002/10/03
 
1.再審査請求を改善する米特許法改正法案、上院を通過
 様々な改正を含んだ法案H.R.2215が上院で承認された。あとはブッシュ大統領の署名待ち。改正の目玉は再審査請求制度の改善。主な改正点としては
・当事者系再審査を第三者が請求して敗れた場合、審判請求はできてもCAFCへの控訴まではできないとAIPAでは規定されていたが、改正によりCAFCへの控訴も可能になった。
・審査段階で引用された先行技術のみを根拠とする再審査請求はCAFCの判例(ポートラパッケージング判決)によって否定されていたが、改正により可能になった。
・米特許庁の5カ年計画義務化および予算
・米商標法のマドプロ対応
・教育目的での使用を著作権法の例外に
 
情報元および関連情報:
・"CONGRESS PASSES IP PROVISIONS!" IPO Daily News (Oct. 4, 2002).
http://www.ipo.org/whatsnew.html
・H.R.2215 conference report
http://www.ipo.org/2002/IPissues/IP_HR2215.pdf
 知財関連条項のみ。条文毎の解説含む。前文は以下のサイトで入手可能。
http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=107_cong_reports&docid=f:hr685.107.pdf
・Jenna Greene (Legal Times), "IP Reforms Likely to Get Bush's OK." law.com (Oct. 14, 2002).
http://www.law.com
===================================
...To date, though, this option, known as an inter partes, has been a complete flop -- it has been used in only three cases.
 現在まで当事者系再審査の請求は3件しかなかったという。尤も、今回の改正によって米国の再審査が日本の無効審判並みになったと言えるかどうかは疑問であるが。ただ、裁判で再び争う道が残されたということは、やってみて悪くないとはいえるかも。
...Dickinson estimates that it costs about $50,000 for a third party to send in prior art alone. To participate in a re-examination inter partes would run up several hundred thousand dollars in legal fees. But to litigate in U.S. District Court could cost millions.
Still, as Maier points out, re-examination is not going to replace traditional patent litigation. "In a situation where you have a major product and a major market value, cost isn't the main consideration. Winning is," he says. But re-examination may be appropriate when "there's not so much at stake and the risk is lower -- say, in the worst case, you could lose and still go forward with licensing."
 
 
2002/10/01
 
1.米特許庁料金改訂なし
 2002年10月1日付を予定していた米国特許庁料金大幅値上げは、風当たりが強く見送られた。その代わりに、消費者物価指数(Consumer Price Index)に応じた値上げが実施されるものと言われていた。毎年10月1日時点での物価上昇に応じた微増値上げ(COLA:cost-of-living adjustments)の権限は特許庁にあるので、これに関しては法案改正の必要はない(米特許法42条(f)および商標法15 U.S.C. §1113(a))。
 しかし、今回はそれもなく料金は現行のまま「とりあえず」据え置かれた。ただし、法案が通過すればそれに応じた値上げがあり得ることも告知されている。
 なお、各料金に4桁のコード番号が付されるようになった。
 
情報元および関連情報:
・"USPTO Fees - FY 2003," UNITED STATES PATENT AND TRADEMARK OFFICE (Effective October 1, 2002).
http://www.uspto.gov/web/offices/ac/qs/ope/1999/fee20021001.htm
 New 4-digit fee codes appear in this revised fee schedule. Fee amounts have not been adjusted. The fees subject to reduction for small entities that have established status (37 CFR 1.27) are shown in a separate column. For additional information, please contact the General Information Services Division at (703) 308-4357 or (800) 786-9199.
・"PTO Imposes No COLA Increase in Fees." 64 PTCJ 485 (October 4, 2002).
 
 
2002/09/28
 
1.BT、ハイパーリンク特許権行使を断念?
 地裁で非侵害とされたブリティッシュテレコム社は控訴を断念する模様。
 
情報元および関連情報:
 
2002/09/20
 
1.フェスト、再びCAFC大法廷へ
 最高裁の差し戻し命令を受けたCAFCは、再度大法廷で審理し直すことを決定。両当事者に対し、4つの争点について書面で補充するよう命じた。アミカスブリーフも求めている。
 最高裁判決が出たときは、禁反言適用の推定にフェスト社が反証できたか否かを審理するために本件もワーナージェンキンソン事件同様地裁差し戻しかと思ったが、直ちにそうはならなかった。今回CAFCが示した論点を見れば判るとおり、この問題が新たな事実認定を要するか否か、すなわち事実問題か法律問題かが明らかでないからである。言うまでもなく、事実問題であればCAFCで判断できないため地裁に差し戻して陪審審理にかけられ、法律問題であれば差し戻すまでもなくCAFCで自判可能である。今回CAFCが意見を求めている論点も、法律問題か事実問題かの判断に焦点が置かれている。争点は以下の通り。
1) クレームを減縮補正することによって権利範囲の一部を放棄したとの推定に対する反証(イ号の予見可能性、補正理由が均等と無関係か否か、当業者が補正時においてイ号を文言上包含するクレームを作成し得たとの合理的な予測の問題を含む。)は、事実問題か法律問題か。また特許権者が上記推定に反証可能か否かを判断する際に、陪審の果たすべき責務は何か。
2) 最高裁が述べた基準に関し考慮すべき具体的な要因は何か。
3) もし上記推定の反証に関する争点が事実認定を必要とするものであれば、本件においてクレームを減縮するいかなる補正も争点に係る均等物を放棄したとの推定に対し、フェスト社が反証可能か否かを判断するために地裁に差し戻す必要があるか。あるいは現在の裁判記録でも上記判断を行うに十分であるか。
4) もし地裁への差し戻しが不要であれば、クレームを減縮するいかなる補正も争点に係る均等物を放棄したとの推定に対し、フェスト社は反証できるか。
 上記論点を一瞥した感じでは、何らかの事実認定が必要なようにも思えるので、少なくとも何らかの争点で地裁差し戻しが命じられるのではなかろうか。一方でフェスト最高裁判決の後、実務上の対策が幾つか提案されてはいるが、本件の結果によってはまた再考する必要があるかも。今後の動きに注目。
 
情報元および関連情報:
Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co., No. 95-1066 (Fed. Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/Festo_v_Shoketsu.htm
===================================
1.   Whether rebuttal of the presumption of surrender, including issues of foreseeability, tangentialness, or reasonable expectations of those skilled in the art, is a question of law or one of fact; and what role a jury should play in determining whether a patent owner can rebut the presumption.
2.   What factors are encompassed by the criteria set forth by the Supreme Court.
3.   If a rebuttal determination requires factual findings, then whether, in this case, remand to the district court is necessary to determine whether Festo can rebut the presumption that any narrowing amendment surrendered the equivalent now asserted, or whether the record as it now stands is sufficient to make those determinations.
4.   If remand to the district court is not necessary, then whether Festo can rebut the presumption that any narrowing amendment surrendered the equivalent now asserted.
Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co., 234 F.3d 558, 56 USPQ2d 1865 (Fed. Cir. 2000) (en banc), overruled-in-part, 122 S. Ct. 1831, 62 USPQ2d 1705 (2002).
・"Chisum on Festo." Morrison & Foerster LLP.
http://www.mofo.com/practice/festo.cfm
 先日日本でも行われた、チザム教授(Morrison & Foerster LLP.)によるフェスト最高裁判決の解説。リアルプレーヤーで講演をただで見える!
 
 
2002/09/19
 
1.ウィンドウズXPサービスパックリリース
 パソコン出願ソフト3リリース前に、悩んでしまうのが2000かXPか、という選択。XPにするデメリットは、周辺機器(古いTA、スキャナ)が使えないおそれ、イメージングが付属しないので公報ダウンローダの仕様に支障が出る(最大のデメリット)、操作者への操作体系の習得が必要など。逆にXPにするメリットは価格が安い、将来性、最新版を使うことの自己満足など。結局は価格さえ我慢すれば2000がよい、ということになるか、な。
 
情報元および関連情報:
・「Windows XP Service Pack 1 日本語版:Windows XPのアップデート&修正プログラム集」
http://www.zdnet.co.jp/products/microsoft/windowsxpsp1.html
 
 
2002/09/17
 
1.米著作権法改正は憲法違反か
 少し前になるが、NHKで放送された「著作権は誰のもの」は、流石NHKと思わせる判りやすさと丁寧な内容で非常に面白かった。要するに、1998年に著作権の存続期間を20年延長するよう著作権法を改正したソニー・ボノ(シェールの相方)著作権存続期間延長法(Sonny Bono Copyright Term Extension Act of 1998 (CTEA))が合衆国憲法に違反するか否かというもの。裁判の背景を判りやすく説明したテキストがあったので、引用。
 最高裁での口頭審理は10月9日に開かれる予定。
 
情報元および関連情報:
・ミドリ・モール「パブリックドメインとは?(その1)」ハリウッド・ビジネスの裏事情第45回(2002年9月10日)
http://www.eigafan.com/abroad/business/2002/0910/index.html
・ミドリ・モール「パブリックドメインとは?(その2)」ハリウッド・ビジネスの裏事情第46回(2002年9月17日)
http://www.eigafan.com/abroad/business/2002/0917/index.html
・"Copyright Extension Act Is Briefed for Supreme Court Case," 64 PTCJ 454 (September 27, 2002).
Eldred v. Ashcroft, No. 01-618, briefs filed (U.S. 5/20/02 and 8/5/02).
 
 
2002/09/13
 
1.サブマリン特許、沈没中
 例のシンボル対レメルソンでCAFCは審査懈怠理論を特許権侵害訴訟の抗弁として是認したが、審査においても同様のルールが適用されると認めた。すなわち、正当な理由のない継続出願の繰り返しによる審査の遅延があった場合、米特許庁は当該出願を拒絶する権限を有する。
 ボジーズ事件については、AIPPIでハロルド・ウェグナー教授の論文でも紹介されていた。
 
情報元および関連情報:
In re Bogese, No. 01-1354 (Fed. Cir. 2002).
・"PTO Can Reject Patent For Unreasonable Delays by Applicant," 64 PTCJ 434 (September 20, 2002).
Symbol Technologies Inc. v. Lemelson Medical, 277 F.3d 1361, 61 USPQ2d 1515 (Fed. Cir. 2002).
 
 
2002/09/12
 
1.米特許庁:IDSを電子データで提出可能に
 米特許庁が進めている電子出願制度(Electronic Filing System (EFS))において、IDSの提出も電子データでオンライン提出可能にすると発表。電子データで提出した場合は、当然ながら紙で提出する必要がなくなる。ただし、対象は米国特許および公開公報のみに限られる。外国特許文献は非特許文献には利用できないので、これらについては従来どおりの紙での提出が必要。
 この制度(機能)を利用するにはEFS専用ソフトウェアのアップグレードが必要。第三者によるIDS提出、すなわち情報提供には利用できない。なおEFSは2000年10月より一部手続で利用可能となっており、仮出願を含めた特許出願や複数譲渡書の登録など5つの手続が現在利用可能となっている。
 
情報元および関連情報:
・"Electronic Submission of Information Disclosure Statements." USPTO, Office of Patent Legal Administration, Pre-OG Notices (signed 20Aug2002) (12Sep2002).
http://www.uspto.gov/web/offices/pac/dapp/opla/preognotice/eids.htm
 
 
2.ラムバス欧州特許成立
 注目特許のクレームを読むことは非常に勉強になる。ラムバス社のプレスリリースでは、欧州異議申立の手続中で予備的請求(Auxiliary Request)として補正されたクレームが読める。注目すべき点は、ヨーロッパなのにジェプソンタイプでない点。欧州ではジェプソンタイプが必須との風説があり、事実日本と同様の「〜特徴とする」式のクレームが多いが、実はこれは必須でなく「可能な場合は」との条件付要請に過ぎない。つまり、米国と同じ方式のクレームを立てることも許されるのである。
 
情報元および関連情報:
・新井将之「Rambus特許,欧州特許庁が新規性などを認める」日経エレクトロニクスオンライン係争と事例(2002年9月12日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/judge/2002/09/1000014514.html
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1. A semiconductor memory device having at least one memory array (1) which includes a plurality of memory cells, the memory device comprising:
connection means adapted to connect the semiconductor memory device to an external bus, the external bus including a plurality of bus lines for carrying substantially all address, data and control information needed by the semiconductor memory device for communication with substantially every other semiconductor device connected to the external bus, wherein the external bus has substantially fewer bus lines than the number of bits in a single address;
clock receiver circuitry (101, 111) for receiving an external clock signal having a fixed frequency;
a programmable access-time register for storing a value which is representative of a number of clock cycles of the external clock signal (53, 54) to transpire after which the memory device responds to a read request, wherein the programmable access-time register is accessible to the external bus through the connection means, and whereby data may be transmitted to the programmable access-time register via the external bus; and
a plurality of output drivers (76) for outputting data onto the external bus in response to a read request, wherein the output drivers (76) output data on the external bus after the number of clock cycles of the external clock transpire and synchronously with respect to the external clock signal.
 
 
2002/09/01
 
1.日本特許法改正その1:先行技術文献情報の開示義務
 平成14年9月1日以降の出願については、出願人の知っている先行技術文献情報を開示することが義務付けられる。具体的には、明細書の【発明の詳細な説明】の【従来の技術】の欄に【特許文献1】(特許文献以外は【非特許文献1】)のように連番を付した欄を設けて、その欄ごとに先行技術文献情報のみを1件ずつ記載する。先行技術文献情報を記載する欄には、先行技術文献情報以外の事項を記載してはならない。よって文献に関する説明は【従来の技術】にて行う。なお文献名および該当ページ数、行数、段落番号、図番号等の列挙だけでよく、文献自体を提出する必要はない。場合によっては審査官から特許法194条第1項(書類の提出等)の規定に基づく審査官通知で、審査のために必要な書類その他の物件の提出を出願人等に求められることもあろう。
 先行技術文献情報がない場合には、発明の詳細な説明にその旨を理由を付して記載することが望ましい。例えば、出願人が知っている先行技術が文献公知発明に係るものではない場合等。理由は上申書によって提示することも可能。
 ちなみに、実用新案や意匠公報であっても【特許文献1】と記載する点に注意。またサンプルによれば特許文献毎に段落番号を付していない(細かい!)。
 また、基本的には公知文献のみを開示すれば足りるので、出願時に未公開である先行出願に記載された発明は対象外であるが、「当該発明が特許を受けようとする発明と関連する場合には、その出願番号を記載することが望ましい」とある。
 さらに「第36条第4項第2号は、また、出願人が特許出願後に知った文献公知発明について、補正によって発明の詳細な説明に追加することを求めてもいない。しかしながら、出願人がその特許出願後に知った文献公知発明を迅速かつ的確な審査に資すると考える場合には、当該発明に関する先行技術文献情報を補正により明細書に追加するか、上申書により提示することが望ましい。
 
 

出願の種類

「特許出願の時」にあたる時

分割出願又は変更出願

もとの出願の出願の時

国内優先権の主張を伴う出願

その出願(後の出願)の出願の時

パリ条約による優先権を伴う出願

その出願(我が国への出願)の出願の時

国際特許出願
 

国際特許出願の出願の時
 
 
 本制度は、施行日前の出願については適用されない。よって原出願日が2002年9月1日以前の親出願に対する分割出願や変更出願においては、本制度は適用されない。一方、国内優先権主張を伴う出願においては、上記の通り元々後の出願時が基準となるため、先行技術情報を付記する必要がある。
 
 オーストラリアに続き、日本でもIDSが義務化された。「不利な情報は隠す」という出願人側の意識を変えるに十分なほどの周知徹底が図られているようには思えないが、どのような運用になるのかが注目される。個人的には、アメリカ式にIDSを義務化するなら、その見返りとして拒絶の際の引例公報もコピーを添付して欲しいと思う。特許公報ならインターネットで簡単に入手できるようになったが、非特許文献を引用されることもあるし、IPDLは平日は非常に混雑している上、土日は更新作業中でアクセスできないことがままある。拒絶理由通知のオンライン発送の際には引用文献をテキストデータで添付してくれると、担当者としてはなお嬉しい(と思いませんか?)。
 これでIDSが必要な国は、米国、ドイツ、オーストラリア、あとどこだっけ?
 あと修正審査主義(Modified Examination)の関係で他国特許庁の審査結果を回付しなければならないのは、タイ(米と欧州のみ)、シンガポール、マレーシア(米、欧州、イギリス、オーストラリア、欧州)と、?
 
情報元および関連情報:
・「先行技術文献情報開示要件の審査基準について」日本特許庁(平成14年7月31日)
http://www.jpo.go.jp/info/top_techno_doc.htm
http://www.jpo.go.jp/info/pdf/top_techno_guide.pdf
http://www.jpo.go.jp/info/pdf/top_techno_doc_qa.pdf
・「特許法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令について」日本特許庁(平成14年6月19日)
http://www.jpo.go.jp/info/h14sekou_seirei.htm
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1.政令の概要施行期日については、平成14年9月1日とする。
2.特許法等の一部を改正する法律の改正事項とその施行時期今般の特許法等の一部を改正する法律においては、以下の@〜Fについて改正を行った。
@発明の実施の定義の見直し(特許法第2条第3項等)
A間接侵害規定の見直し(特許法第101条等)
B文献公知発明情報の開示制度の導入(特許法第36条等)
C明細書と請求の範囲の分離(特許法第36条等)
DPCT出願の国内移行期間の延長(特許法第184条の4等)
E標章の使用の定義の見直し(商標法第2条第3項)
F標章の国際登録に係る個別手数料の分割納付(商標法第68条の30等)
法附則第1条により@、B、D及びEは6月以内、A及びFは1年以内、Cは1年6月以内で政令で定める日から施行することとされており、今回はこのうち第1の部分(@、B、D及びE)の施行期日を定めるもの。
・「先行技術文献情報開示要件の審査基準(案)について」日本特許庁(平成14年6月19日)
http://www.jpo.go.jp/iken/tech_info_open.htm
・「先行技術文献情報開示要件の審査基準(案)」日本特許庁(平成14年6月19日)
http://www.jpo.go.jp/iken/pdf/tech_info_guide.pdf
 引用の仕方などについて詳細な規定がされている。
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 先行技術文献情報は、明細書の【発明の詳細な説明】の【従来の技術】の欄に、先行技術文献情報ごとに行を改めて記載する。
 その際には、特許、実用新案又は意匠に関する公報の名称を記載しようとするときは「【特許文献1】」、「【特許文献2】」のように、定期刊行物やインターネットの情報等のその他の情報の所在を記載しようとするときは「【非特許文献1】」、「【非特許文献2】」のように記載する順序により連続番号を付した欄を設けて、その欄ごとに先行技術文献情報のみを1件ずつ記載する。先行技術文献情報を記載する欄には、先行技術文献情報以外の事項を記載してはならない。
 先行技術文献情報を記載する際には、下記「3.刊行物の記載要領」にしたがって記載する。
 刊行物中の先行技術文献情報の記載箇所を特定できる場合には、先行技術文献情報を記載する欄に、ページ数、行数、段落番号、又は図番号等を記載することにより、当該箇所を特定する。
 
2.先行技術文献情報の記載例
[正しい記載の例]
【発明の詳細な説明】
   【0001】
  【発明の属する技術分野】
………………
   【0002】
  【従来の技術】
 従来の……は、……している(例えば、特許文献1参照。)。
 また、……しているものもある(例えば、非特許文献1参照。)。
   【0003】
  【特許文献1】
 特開2001−○○○○○○号公報(第5−7頁、第1図)
  【非特許文献1】
 ○○○○著「△△△△△」××出版、2001年1月1日、p.12−34
   【0004】
  【発明が解決しようとする課題】
 ………………
・"Comment on Japanese Patent Office Draft Examination Guidelines." AIPLA (July 24, 2002).
http://www.aipla.org/html/whatsnew/jpo.pdf
 特許庁が募集していたパブリックコメントにAIPLAが意見申立。7点の見直しを求めており、多くは文言の意味明確化を求めている。例えば開示義務は出願人でなく発明者とすべき、など。どれだけ採用されたかは未確認。英語で意見申し立てができるとは立派。日本特許庁は英語で情報公開していたのか?!
 制度自体の適否については色々考えがあろうが、条文の文言や基準を明確化すべきとの主張には大いに賛同。今回の改正では出願人に調査義務が新たに課せられた訳ではないはずだが、庁の説明からはそのようにストレートには読めないような説明の仕方となっている。邪推すれば、本当は調査義務はないんだけれども、特許庁は調査してくれた方が大いに助かるし、それを狙って本制度を導入したのであるから、敢えて「調査義務がないこと」を明示せず、「情報開示しないと拒絶になるぞ」と半ば脅迫して出願人に自発的に調査させようとしているように思える。
・日本ビジネス翻訳株式会社「日本の先行技術文献情報開示要件に対する米AIPLAの意見書」Overseas IP Contents Information Service(2002年8月号)
・特許庁「平成14年改正 産業財産権法の解説」発明協会(2002年8月)118頁他
http://www.jpo.go.jp/shoukai/pdf/h14_kaisei/h14_kaisei_9.pdf
 発売中の書籍をPDF化して公開している(私は買いましたが(T.T))。ただしイメージなのでテキストデータを抽出することはできない。
http://www.jpo.go.jp/shoukai/sangyou_zaisanhou.htm
 
 
2.日本特許法改正その2:PCT国内移行期間は30月
 PCT条約改正に伴う日本国内法がやっと整備される。
 PCT出願の国際段階から日本への国内移行が、国際予備審査の請求の有無に拘わらず優先日から30ヶ月となる。2002年9月1日以降に出願されたPCT出願、およびこれ以前の出願であっても2002年9月1日の時点で20ヶ月が経過しておらず、未だ移行手続がされていない係属中の出願にも適用される。
 さらに、日本語による翻訳文の提出期間が、国内段階移行手続をした日から2ヶ月以内に可能となった。これにより、最大32ヶ月まで日本語翻訳文の提出を繰り延べすることが可能となる。
 
情報元および関連情報:
・「特許法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令について」日本特許庁(平成14年6月19日)
http://www.jpo.go.jp/info/h14sekou_seirei.htm
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国際特許出願に係る手続の整備
一 国内書面提出期間を一律に二年六月とするとともに、外国語特許出願について国内書面とともに提出しなければならない日本語による翻訳文について、国内書面の提出の日から二月以内に翻訳文を提出できることとすること。
 
 
2002/08/22
 
1.ハイパーリンク特許の命運尽きる?
 注目の裁判の地裁判決が下された。ブリティッシュ・テレコミニケーションズ社対プロディジー・コミュニケーションズ社事件において、ニューヨーク州南部地区連邦地裁はブリティッシュテレコムの主張を退け、プロディジーは特許非侵害との判決を下した。未だ判決文を見ていないので定かではないが、マークマンヒアリングの後特許の有効性は判断せず非侵害のサマリージャッジメントを認可したようである。
 ブリティッシュテレコム社(British Telecommunications、現BT)の保有する米国特許第4,873,662号(Sargent特許)は、1977年に出願されたシステムの継続出願で、1989年に特許された。原出願は電話回線を通じてテキストベースの情報にアクセスするシステムをクレームしており、サージェント特許はさらにその改良として遠隔地に位置する複数のユーザが電話回線の端末を使って中央コンピュータに記録されたデータにアクセスするシステムをクレームしている。
 インターネットが普及(登場)する前に書かれた特許を、インターネット技術を含むように解釈するために、BTはクレーム文言の解釈をインターネット技術と対応させるような定義で主張した。特に、クレームの
「中央コンピュータ(central computer)」とはインターネットにおけるウェブサーバを意味する、
「情報ブロック(blocks of information)」はHTMLファイルに該当する、
「完全なアドレス(complete address)」はURLアドレスを意味する、
と主張している。
 しかし明細書のシステムはハブ&スポーク型(例のステートストリート事件でシグニチャー社の特許がこの言葉を使って有名になった。同社の商標らしい)、要するにスター型のサーバと端末の接続形態による、単一のネットワークで説明されているらしい。これに対し現在のインターネットでは複数のサーバが存在し、特定の中央コンピュータを有しない。BTは、インターネットも部分的には各サーバが「中央コンピュータ」として機能するし、このようなサーバの集合体がインターネットであるから本件特許に該当すると主張した。部分的に見れば正しい理屈のようにも見え、なかなか微妙な解釈のようにも思えるが、裁判所はこの主張を退けた。明細書では単一のネットワークにおける一の中央コンピュータが対象となっているからインターネットに当たらない、また本件特許はサーバの集合体を含まないと判断された。
 また「情報ブロック」も「完全なアドレス」もは引例回避のための減縮補正であり、ワーナージェンキンソン最高裁判決により広いクレームの保護を得ることはできないとされ、結果として非侵害とされた。また直接侵害がないので、寄与侵害もない。
 
 気になったのは先日のスミスクライン地裁判決における均等論の解釈との関係。出願後に新たに開発されたものは、クレーム補正時には当然予見できなかたと考えられるので、均等論で保護されそうにも思える。しかしスミスクライン事件では、イ号がクレーム補正時に存在しなかったと思われるのに均等論侵害なしとした。理由は、イ号を包含する包括クレームに補正しなかったからである。ところで、今回のBT事件でも、同社がインターネットを包含できるようにクレームを拡張することが可能であったとの主張を退けている。
 これら2つの地裁判決から思えるのは、やはり均等論侵害の主張は厳しいのではないか、ということである。フェスト最高裁判決での予見可能性基準によれば、特許後に開発された新技術は一番保護されそうな気配があったが、実際には否定的な結果となっている。もちろん、クレーム自体に問題があったのであろうが、フェスト判決で均等論が息を吹き返したとまでは言えないように思える。
 なお、プロジディ事件でフェスト最高裁判決が検討されているかどうかは未確認。少なくとも提訴はフェスト判決前だったと思うが、どこまで検討されたのだろう。いずれにしても結論は変わらないように見えるが。
 
情報元および関連情報:
・Brenda Sandburg (The Recorder), "Closely Watched Hyperlink Patent Case Tossed." law.com (August 23, 2002).
British Telecommunications Inc. v. Prodigy Communications Corp., Nos.00-9451 (SDNY 2002).
http://nysd.uscourts.gov/courtweb/pdf/D02NYSC/02-07733.PDF
・Greg Aharonian, "Judge dismisses BT's hyperlink lawsuit against Prodigy." Internet Patent News Service (August 22, 2002).
・Michelle Delio,日本語版:楠なおみ,高橋朋子「ハイパーリンク特許訴訟、あっけない幕切れ」WIRED NEWS(2002年8月23日)
http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20020826105.html
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...プロディジー社は、ウェブへのアクセスを初めて一般に提供した企業であるため、ウェブそのものが生まれる何年も前にBT社が獲得していた特許権を侵害している、というのがBT社の主張だった。
...BT社の特許の記述が「中央のコンピューター」と規定し、それが単数形になっていたことが、マクメイオン裁判官の判断を大きく左右した。
 BT社側の弁護団は、中央のコンピューターは必ずしも1台とは限らないと反論した。
 この主張を裏付けるため、BT社弁護団は、マクメイオン裁判官が以前に手がけた裁判で述べたことを引き合いに出した。マクメイオン裁判官はかつて、米IBM社が「2つ、3つ、あるいはそれ以上からなるマルチユニットのメモリシステムを構築し、それらを何らかの形でリンクさせたり、すべてがいっしょに作動する仕組みにしたからといって、特許権侵害の責任は免れない」との判断を下したことがあるのだ。
...法律の専門家によると、サマリー判決の要請はほとんどの裁判で行なわれるが、それが全面的に認められることはまれだという。訴えの一部が無効とされることはあっても、訴訟自体がサマリー判決によって却下されることはまずない。
1.地裁レベルでのフェスト判決の解釈
1.ハイパーリンク特許危うし?
 
 
2002/08/20
 
1.CAFC判決:シュリンクラップライセンスは強力?
 シュリンクラップライセンス(shrink-wrap license agreement)によってソフトウェアのリバースエンジニアリングを禁止することは妥当であるとCAFCが判断。契約が著作権よりも優先するのであれば、著作権法上のフェアユース(Fair Use)すらシュリンクラップライセンスで剥奪できる危険があるとマーク・レムリー米カリフォルニア大教授(Professor Mark Lemley of the University of California, Berkeley's Boalt Hall School of Law)が警告。レムリー教授はブリーフをCAFCに提出中。CAFCがこのようなブリーフを採用することは希らしいが、本件では相手側(勝訴した側)に反論を要請。
 
情報元および関連情報:
Bowers V. Baystate Technologies, Inc., Nos.01-1108, -1109 (Fed. Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/Bower_v_Baystate.htm
 「リバースエンジニアリング(reverse engineering)」の定義に、ランダムハウス辞典の他、オンライン辞書を引用していた。
 The Free On-Line Dictionary of Computing (2001), at http://wombat.doc.ic.ac.uk/foldoc/foldoc.cgi?reverse+engineering (last visited Jul. 17, 2002).
・"Federal Circuit Overturns Patent Infringement Verdict and Upholds Contract Prohibiting Reverse Engineering of Software." IPO Daily News.
・Brenda Sandburg (The Recorder), "Fair Use Fears Over Federal Circuit Ruling." law.com (Oct. 8, 2002).
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...The amici did not ask the court to reverse its decision but to clarify that in some cases intellectual property law pre-empts shrink-wrap license terms.
"In some circumstances, such as in a trade secret context, a restriction on reverse engineering may be consistent with copyright policy," Lemley wrote. "We are concerned, however, that the panel in this case has gone to the opposite extreme, adopting a blanket rule that such restrictions are never pre-empted."
Baystate attorney Robert Kann, a partner at Boston's Bromberg & Sunstein, said the concern in this case is that "software companies will be able to sue their competitors for following standard industry practice of reverse engineering their product."
Lemley said there was a long legal battle in the 1990s when many computer software companies and hardware manufacturers sought to assure the legality of reverse engineering. In 1992, he said, the 9th Circuit ruled that copyright law allowed the practice, as did subsequent courts.
...Lemley said the Federal Circuit rarely grants petitions, and asking for the other side to respond is akin to the U.S. Supreme Court asking for a response to a cert petition.
Data Gen. Corp. v. Grumman Sys. Support Corp., 36 F.3d 1147, 1164, 32 USPQ2d 1385, 1397 (1st Cir. 1994).
 CAFCが引用した第1区巡回控訴裁判所の先例。トレードシークレットに係るソフトウェアの不正使用が問題とされた。
The First Circuit does not interpret this language to require preemption as long as “a state cause of action requires an extra element, beyond mere copying, preparation of derivative works, performance, distribution or display.” 
 
 
2002/08/17
 
1.ゴジラとモジラは商標類似?
 ZDNNより。東宝が「Davezilla」に対し「ゴジラ」の商標権を侵害しているとの警告書を送ったというニュース。そうすると、次のラブレターは「Mozilla」宛てか?というのだが・・・確かに最初にモジラと聞いたとき小職もゴジラを想起したが、同時に日本を代表する映画スターをもじって頂けるとはなんと名誉なことだろうと感心した。使い慣れたネスケの親に当たるモジラは、やはりモジラのままでいて欲しいと個人的には思うが。東宝が指定商品ウェブブラウザで商標ゴジラを登録しているとも思い難い。
 そういえばブラウザが普及し始めたのが6年くらい前と考えると、そろそろ米登録商標の使用宣誓書が提出できる頃か。。。
 
情報元および関連情報:
・ZDNet/USA「ゴジラがMozillaを提訴?」ZDNN:ニュース速報(2002年8月17日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0208/17/nebt_19.html
・Paul Festa, "Will Mozilla get stomped by Godzilla?" ZDNet News (August 14, 2002).
http://zdnet.com.com/2100-1106-949804.html
 ゴジラは目からレーザ光線なんて出さないよ(*_*)
・Stefanie Olsen(ZDNet/USA)「ポップアップ広告がイヤならMozillaを使え?」ZDNN(2002年8月22日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0208/22/ne00_mozilla.html
・「もじら組より『和ジラ 1.1』が公開」ZDNet Mac(2002年9月20日)
http://www.zdnet.co.jp/macwire/0209/20/nj00_wazilla.html
・和ジラ
http://wazilla.sourceforge.jp/
・"Frequently Asked Questions About Trademarks" USPTO
http://www.uspto.gov/web/offices/tac/tmfaq.htm
 米での商標登録から年〜6年までの間に使用宣誓書(Affidavit of Use ("Section 8 Affidavit"))を提出できる。またこの間に15条不可争状態宣誓書(Affidavit of Incontestability Under §15)を別途提出できる。これを出しておくと商標を取消され難くなる。
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How long does a trademark registration last?
For a trademark registration to remain valid, an Affidavit of Use ("Section 8 Affidavit") must be filed: (1) between the fifth and sixth year following registration, and (2) within the year before the end of every ten-year period after the date of registration. The registrant may file the affidavit within a grace period of six months after the end of the sixth or tenth year, with payment of an additional fee.
The registrant must also file a §9 renewal application within the year before the expiration date of a registration, or within a grace period of six months after the expiration date, with payment of an additional fee.
Assuming that an affidavit of use is timely filed, registrations granted PRIOR to November 16, 1989 have a 20-year term, and registrations granted on or after November 16, 1989 have a 10-year term.
This is also true for the renewal periods; renewals granted PRIOR to November 16, 1989 have a 20-year term, and renewals granted on or after November 16, 1989 have a 10-year term.
・Trademark Manual of Examining Procedure (TMEP) 1604.01 Registrations to Which §8 Affidavit Pertains
http://www.uspto.gov/web/offices/tac/tmep/1600.htm#_Toc536250401
Six-Year Section 8 Affidavits
Under §8(a)(1) of the Trademark Act, an affidavit or declaration under §8 of the Act is required during the sixth year after the date of registration for registrations issued under the Act of 1946 on either the Principal Register or the Supplemental Register, or within the six-month grace period after expiration of the sixth year. This requirement applies to all 1946 Act registrations, including those issued under §44 of the Act. 15 U.S.C. §§1058(a)(1) and 1058(c)(1); 37 C.F.R. §2.160(a)(1)(i).
Under §8(a)(2) of the Act, an affidavit or declaration under §8 is required during the sixth year after the date of publication under §12(c) for registrations issued under the Acts of 1881 and 1905 if the owner claims the benefits of the Act of 1946 under §12(c), or within the six-month grace period after the end of the sixth year. 15 U.S.C. §§1058(a)(2) and 1058(c)(1); 37 C.F.R. §2.160(a)(1)(ii); TMEP §1603.03. 
Ten-Year Section 8 Affidavits Required for All Registrations
Section 8(a)(3) of the Act requires an affidavit or declaration of continued use or excusable nonuse at the end of each successive ten-year period following the date of registration, or within the six-month grace period after the end of the ten-year period. This applies to all registrations, including registrations issued under prior Acts. 15 U.S.C. §1058(a)(3). However, the provisions of §8(a)(3) of the Act, requiring the filing of a §8 affidavit at the end of each successive ten-year period after registration, do not apply to a registration issued or renewed for a twenty-year term until a renewal application is due. See TMEP §1604.04(b). 
...
1605 Affidavit of Incontestability Under §15 
Section 15 of the Trademark Act, 15 U.S.C. §1065, provides a procedure by which the exclusive right to use a registered mark in commerce on or in connection with the goods or services covered by the registration can become “incontestable,” if the registrant files an affidavit stating that the mark has been in continuous use in commerce for a period of five years after the date of registration. Under §33(b) of the Act, 15 U.S.C. §1115(b), if the right to use the mark has become incontestable under §15, then the registration is conclusive evidence of the validity of the registered mark and its registration, of the registrant’s ownership of the mark, and of the registrant’s exclusive right to use the registered mark in commerce, subject to certain defenses and exceptions. Sections 15 and 33(b) apply only to registrations issued on the Principal Register. 
Filing an affidavit of incontestability under §15 of the Trademark Act (§15 affidavit) is optional. An eligible registrant may choose to claim the benefits of incontestability and file an appropriate affidavit, or may elect to retain the registration without those benefits. The requirements for maintaining and renewing a federal registration are not affected in either event.
The Office does not “accept” §15 affidavits. Arman’s Systems, Inc. v. Armand’s Subway, Inc., 215 USPQ 1048, 1050 n.2. (TTAB 1982). The Post Registration examiner reviews the affidavit to determine whether it is consistent with the requirements of the statute and rules (e.g., whether it is signed, whether it was filed at an appropriate time, and whether the §15 claims are properly set forth). 
When a §15 affidavit complies with the requirements of the statute and rules, the Office updates its records to acknowledge receipt of the affidavit and sends a notice of acknowledgment to the owner of the registration. 
If the §15 affidavit does not comply with the statute and rules, the Office issues a written action notifying the registrant of any inconsistency or error, but does not require correction. The Office does not update its records to acknowledge receipt of a noncompliant affidavit. Submission of another affidavit is optional with the registrant. 
A fee is required for each class in the registration to which the §15 affidavit or declaration pertains. See 37 C.F.R. §§2.6 and 2.167(g).
To expedite processing, the Office prefers that the owner file the §15 affidavit electronically through TEAS, available at http://www.uspto.gov. See TMEP §1605.02 regarding the form for filing the §15 affidavit. 
See TMEP §1605.05 regarding a combined affidavit or declaration under §§8 and 15 of the Act. 
See TMEP §1216.02 regarding the effect of “incontestability” in ex parte examination. 
...
1605.03 Time for Filing Affidavit of Incontestability [R-1]
A §15 affidavit may not be filed until the federally registered mark has been in continuous use in commerce for at least five consecutive years after the date of registration. This may be any five-year period after the date of registration for marks registered under the Act of 1946, or after the date of publication under §12(c) for marks registered under the Acts of 1905 and 1881.
The registrant may file the affidavit within one year after the five-year period that is selected. 37 C.F.R. §2.167(f). The affidavit must be both executed and filed within that one-year period. 
Under 37 C.F.R. §1.6(a)(4), an affidavit filed electronically through TEAS is considered to have been filed on the date the Office receives the transmission, regardless of whether that date is a Saturday, Sunday, or Federal holiday within the District of Columbia. See TMEP §301 for more information about electronic filing.
If the affidavit is filed on paper, the owner may use certificate of mailing or certificate of facsimile transmission procedures to avoid lateness. See TMEP §§305.02 and 306.05. 
See TMEP §1605.05 regarding a combined affidavit under §§8 and 15 of the Act.
...
1605.05 Combining §15 Affidavit With §8 Affidavit
Under 37 C.F.R. §2.168(a), the affidavit or declaration filed under §15 of the Act may be combined with the affidavit or declaration required by §8 of the Act, if the combined affidavit or declaration meets the requirements of both §§8 and 15. 
...
 
 
2002/08/15
 
1.シンガポール特許の取得が容易に
 シンガポールの修正実体審査により、2002年8月15日以降シンガポール特許庁に特許出願する出願人は、日本で成立した特許公報と英訳を提出することにより、同国の特許を迅速に取得することが可能となった。無条件で特許が成立するわけではなく、同国の規定では「簡単な追加的審査」が行われることになっているらしいが。
 
情報元および関連情報:
・「シンガポール修正実体審査(MSE)制度における日本国特許庁の所定特許庁化について」日本特許庁(2002年8月12日)
http://www.jpo.go.jp/saikin/singapore_mse.htm
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 シンガポール特許庁(Intellectual Property Office of Singapore: IPOS)は、日本国特許庁を、同国の修正実体審査(Modified Substantive Examination: MSE)制度における所定特許庁にすることを2002年7月24日付けの官報で公表した。2002年8月15日付けで行われる同国特許法施行規則の改正の施行をもって、日本国特許庁の所定特許庁化が実現する。これにより、シンガポールに特許出願を行った出願人は、日本で特許が成立したことを示す特許公報を英語訳とともにシンガポール特許庁に提出することにより、シンガポールにおける特許を迅速に取得することが可能となる。
...なお、今回は、昨年(2001年6月)のクロアチアに続き、我が国が修正実体審査制度の所定特許庁となる2番目のケースとなる。
...一部の国では、他国の特許庁の審査結果を活用して特許権の付与を行う、修正実体審査と呼ばれる制度を導入している。これは、当該国の特許庁と、予めその国が定めた他国の特許庁(所定特許庁)に、同じ発明を記載した特許出願が行われている場合、出願人が所定特許庁の審査結果を一定の手続に従って当該国特許庁に提出することにより、当該国特許庁が基本的にその所定特許庁の審査結果を受け入れ、特許権の設定を行うものである。
(参考)修正実体審査制度を有する国:クロアチア、シンガポール、マレイシア等
(参考2)シンガポールの修正実体審査制度
 シンガポール特許法施行規則にて定める所定特許庁において、シンガポール特許出願に対応する出願に特許が付与された場合、かかる審査結果を示す書類を出願人がシンガポール特許庁(IPOS)に提出することにより、簡易な追加的審査のみでシンガポール特許が付与される制度。現在の所定特許庁は、オーストラリア、カナダ(英語出願のみ)、ニュージーランド、英国、米国の各特許庁、及び、欧州特許庁(英語出願のみ)。非英語圏では、日本国特許庁が、シンガポールの修正実体審査制度における所定特許庁に指定される初のケースとなる。
・ePatents
http://www.epatents.gov.sg/
 シンガポール特許庁(IPOS)の特許検索データベース。
 
 
2002/08/09
 
1.Windows 2000 SP3
 ウィンドウズ2000サービスパック3が登場。セキュリティ関連のアップデートに止められている点は好感が持てる(ていうかそれが普通でしょ)。ところでUSB2.0のドライバはどうなったのだろうか?
 
情報元および関連情報:
・「Windows 2000 Service Pack 3 日本語版」マイクロソフト(2002年8月9日)
http://www.microsoft.com/japan/windows2000/downloads/servicepacks/sp3/default.asp
・「Windows 2000 Service Pack 3 よく寄せられる質問」
http://www.microsoft.com/japan/windows2000/support/issues/sp3faq.asp
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Q. Windows 2000 SP3 に新機能は追加されていますか?
A.新機能はありません。Service Pack に対してお客様が求めていることは品質を高めることです。
 
 
2.MSオフィス互換フリーソフト
 もう一つ、マイクロソフトネタではMSオフィス互換のフリーソフト、OpenOffice.org 日本語版の1.0.1が登場。一部で注目されている。
 従来からThinkfreeといったフリー系のオフィス互換ソフトは存在していた。実際に試した訳ではないが(月刊アスキーの付録CD-ROMに収録されていたので、いつかインストールしようととってあるが...)シンクフリーに関してはjavaで作られているため動作が遅いという問題があった。その点、オープンオフィスはサンのStarOfficeがベースになっており、動作も良好で「使える」レベルにあるらしい。
 仕事上、ワードは好き嫌いに拘わらず(嫌いですが)使わざるを得ない状況にある。自分で明細書や準備書面を作る分にはなんでもいいはずなのだが、ドラフトを読んで頂く方々がワードのユーザであると、ワード形式のファイルで送信せざるを得ない。一太郎のワードファイル変換機能を使うと、ファイルサイズが10倍くらいに増えるため、メール送信する際は一旦ワードで開いて、ワードから保存し直す(さらにセキュリティを設定する)という作業が必要となる。また、受信したワードファイルを正しいレイアウトで印刷するためにもワードが必要となる。結局、パソコンにはワードがインストールされてないと何かと不便が生じる訳だが、実際に文書作成を行わず、ファイルのオープン、セーブのためだけに事務所のパソコンすべてにワードを購入するのは何か勿体ない気がする。そこで、こういうソフトが役に立つ。もっとも、レイアウト再現や保存機能、セキュリティ機能が完全であることが前提となるのだが。。。どなたか、仕事で使われている方は>
 
情報元および関連情報:
・「OpenOffice.org日本(非公式)ユーザー会」
http://wings.raindrop.jp/openoffice/o3u2gj/bottom.html
・田中亨「これぞ裏定番!無料で使えるOpenOffice.org」
http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20020807/101445/
・「さらばMSオフィス」PCエクスプローラ2002年9月号
・田中亨「OpenOffice.orgはExcelの代わりになるか?」田中亨の本気で使える!?裏定番ソフトWPC ARENA
http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20020827/101641/
 
 
2002/08/08
 
1.世界を変えた特許?
 law.comによれば、世界を変えた10大発明の一つにlzw特許が含まれるとか。ユニシス社保有の米国特許4,558,302号はサブマリン特許として、また「ユニシス税」として悪名高い。パソコン出願ソフトのスプラッシュ画面でも表れるとおり、多くの画像表示ソフトで使用料が支払われている。
 この特許も来年12月で失効するらしいが、そうすると画像関係のフリーソフトでもGIFが復活するのだろうか。スージーのGIF用、TIFF用プラグインは何とか復活再公開して欲しいところ。(最近はTifの圧縮方式もCCITTばかり。当たり前と言うべきか)93年の再審査にも生き延びた問題特許は天寿を全うし、その名を残しそうである。
 
情報元および関連情報:
・Alan Cohen, "The Squishy Patent," law.com (August 8, 2002).
http://www.law.com
 LZW問題のお陰で他の圧縮アルゴリズム(PNGやJPEGなど)の普及が進み、結果論として特許のダークサイドすら技術の進歩に拍車をかけると結論している。尤も、JPEGにも問題が生じていることは既報のとおり。歴史は繰り返す?
JPEG、お前もか
 
 
2002/08/07
 
1.ビジネス用途(パソコン出願用)スキャナ
 来年7月にはパソコン出願ソフト3が登場するという。これに伴いウィンドウズ95やNTはサポート対象外となる。98年の導入時はウィンドウズ95しかなかったことを考えれば、必然的にユーザは少なくとも一回はハードを買い換えねばならないことになる。ということは、特許庁委託事業で発明協会各県支部にあるパソコン出願機器一式も新調されるだろう。気になるのは、どのスキャナを選択するのかということ(周辺機器はそのままという可能性もありか、いやいや、XPに対応していないから無理なはず(^_^;))
 我が仕事場では昨年、パソコン出願用マシンをウィンドウズ2000パソコンにアップしたが、スキャナやTA、MOなどの周辺機器はそのまま。スキャナはそろそろ限界を感じているが、エプソンは知財部定番(発明協会御用達)GT-9500の後継機をビジネス用途で出すつもりはないらしい。富士通あたりがUSB2.0対応のこなれたモデルを出してくれないかな〜と思っていたらキヤノン製スキャナDR-2080Cのニュースが流れてきた。スペックは両面読取、フルカラー対応、最高600dpiで、必要レベルをクリア。但し、フラットベッドでない、インターフェースはUSBでなくスカジー接続、価格は13万8000円、ADFは何枚入るのか不明、など欠点あり。ビジネス用途とはいえ、これらの点は購買意欲を殺ぐ。もうちょっと、なんとかならないのだろうか。「パソコン出願ソフト3登場記念!買い換えキャンペーン」とか銘打って、他社製スキャナを引き取り、知財部や事務所に対しては半額など割り引き販売を展開する、というのはどんなもんでしょう・・・
 
情報元および関連情報:
・キヤノンドキュメントスキャナDR-2080C
http://www.canon-sales.co.jp/documentscanner/dr-2080c/index-j.html
http://www.canon-sales.co.jp/pressrelease/2002-08/pr_dr2080c.html
XP用USB2.0のドライバ
・富士通イメージスキャナ
http://imagescanner.fujitsu.com/jp/fi/fiscanner/fiscanner_top.html
・fi-4110EOX(発売当初注目を集めたScanSnap!)
http://www.pfu.fujitsu.com/sales/snap/
・「『FUJITSU fiシリーズ』イメージスキャナにアドビシステムズ社『Adobe Acrobat』を標準添付」株式会社PFU(2002年4月30日)
http://www.pfu.fujitsu.com/topics/new020430.html
 上記ScanSnap!は除く。
 
 
2002/08/06
 
1.ヤマハ、中国で勝訴
 台頭著しい中国であるが、安価なコピー商品の大量流入に日本メーカは大手中小を問わず苦しんでいる。そんな中ヤマハが中国最高の損害賠償を勝ち取ったニュース。中国の二輪車メーカー「天津港田グループ」に対しヤマハが商標権侵害を提訴した事件で、中国天津市高級人民法院(高裁に相当)は90万元(約1,350万円)の損害賠償、YAMAHA(雅馬哈)などのマークを使ったオートバイの生産、販売の禁止、雑誌「摩托車(オートバイ)」誌上での謝罪文の掲載を命じた。
 
情報元および関連情報:
・牧野和夫「(8/22)WTO加盟でプロパテントの方向性を示す中国政府」日経ネットITニュース(2002年8月22日)
http://it.nikkei.co.jp/it/dco/Thursday.cfm?i=20020821c4000c4
・「JETRO北京センター知的財産権室 知財ニュース」No.45(2002年8月23日号)
ヤマハ発動機、商標権侵害訴訟で勝訴/損害賠償90万元
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 8月14日付日本経済新聞1面にも掲載されたヤマハ発動機の商標権侵害訴訟は、法定期限を経過して両者からの控訴手続きが無く、8月22日判決が確定しました。
 これまで商標権侵害事件では、工商局や技術監督局による行政摘発(差止め、侵害品の処分)だけで終わらせるケースが多かった中、今回のヤマハ発動機の行動と判決内容の結果は、コピーメーカーに対する大きな抑止効果が期待できるとともに、同じ被害に苦しむ日系企業各社にとって勇気付けられるケースと言えるのではないでしょうか。
・中国知財関連法
http://www.jetro-pkip.org/law/law.html
 日本語訳による実施細則を含む法令集。
・China IP News Letter
 ジェトロが作成している中国知財法の最新情報。「中国知財判例ニュース」は、裁判事例の紹介とともに具体的なアドバイスも付記されている。また法律の解釈も説明されており、例えば
前提知識:「専利」の概念と中国の知財法体系
本件はいわゆる意匠権の問題であるが、意匠権は中国語では「外観設計専利権」という。よく「専利権」を「特許権」と邦訳している例を見かけるが、必ずしも正確とはいえない。中国法上は、日本法上の特許権、実用新案権、意匠権を含む概念として「専利権」の語が存在し、「専利法」及びその下位法令においてまとめて規定されている。
 意匠権を含む「専利権」を規律する法令には、上記の「専利法」のほか、「専利法実施細則」などがあるが、WTO加盟に伴いTRIPSとの整合性を確保する等の観点から、いずれも最近改正されている(「専利法」改正法は2000年8月25日に、「専利法実施細則」は2001年6月15日にそれぞれ改正されている)。また、本判決において引用されている「最高人民法院による専利紛争事件の審理に係る若干の問題に対する回答」は、これらの法令に対する最高人民法院の公定解釈(いわゆる司法解釈)であるが、これも上記の改正に伴い既に廃止されており、これに代わり2002年6月22日に新しい司法解釈(「最高人民法院による専利紛争事件の審理に関する法律適用問題に係る若干の規定」)が公布されている。
 非常に有益なのに登録は無料。
http://www.melma.com/mag/17/m00002317/
(宣伝を頼まれている訳でありません、念のため)
 
1.「中国代理人セミナー」開催のご案内/(財)知的財産研究所 代理人事務所の民営化、パートナー制度への移行に伴うベテラン代理人の移籍など、中国の代理人を取り巻く状況が大きく変化する中、(財)知的財産研究所では、中国の大手代理人事務所を10事務所を東京に招いて、代理人の動向と選定方法についてのセミナーを開催します。
 今回のセミナーでは、関和郎研究部長(前、日中経協北京事務所知財室長)の他中国専門家2名による「代理人の動向と選定方法について」のパネルディスカッションに続いて、各事務所から業務の特徴等についてのプレゼンテーションが行われ、同時に、別室に用意された事務所毎のブースで個別の面談ができるように準備されています。
 詳しくは知財研のHP (http://www.iip.or.jp/index2.html)をご覧の上、電子メールにてseminar@iip.or.jpまでお申し込み下さい。
なお、御不明等の点は下記セミナー担当まで御連絡ください。
(財)知的財産研究所 セミナー担当(水野、増岡)Tel.03-5275-5281、Fax.03-5275-5324
?開催内容?
1.日時:平成14年10月9日(水) 10:00〜16:30
2.場所:都市センターホテル(千代田区平河町2-4-1 TEL 03-3265-8211)
3.主催:(財)知的財産研究所、協賛:日本技術貿易(株)
4.参加料:知財研賛助会員:5,000円/社、非賛助会員:30,000円/社。なお、1社5名まで御参加頂けます。
5.定員:300名 先着順
6.参加締切:9月24日(火)。なお、定員になり次第締め切り。
7.参加事務所:中国国際貿易促進委員会專利商標事務所(北京)、永新專利商標代理有限公司(北京)、中原信達知識産権代理有限公司(北京)、柳沈律師事務所(北京)、北京三友専利代理有限責任公司(北京)、北京銀龍専利代理有限公司(北京)、中科専利商標代理有限公司(北京)、華誠律師事務所(上海)、広州三環専利代理有限公司(広州)、中国專利代理(香港)有限公司(北京)
2.改正商標法実施条例 先日、当ニュースレターで仮訳速報版としてお届けした実施条例ですが、その後、より精緻な翻訳作業を行い多数ヶ所修正いたしました。新たな仮訳は、当事務所ホームページに掲載しておりますので、是非一度ご覧下さい。
3.JETRO北京知財室に強力助っ人
 去る8月6日、川島泰介氏(前ヤマハ発動機(株)法務・知財センター主事)が当事務所に新しく赴任いたしました。知財分野では世界的に有名になった「日本ヤマハ事件」や、今回の天津での商標権侵害訴訟などを担当した、まさに中国知的財産権問題の専門家中の専門家です。
 JETRO北京センター知的財産権室としては、これ以上ない強力な助っ人をお招きすることが出来、これまで以上に室員全員が一丸となって多くの課題に取り組んで行く所存です。今後とも皆様方のご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げます。
 
 
2002/08/02
 
1.地裁レベルでのフェスト判決の解釈
 最高裁のフェスト判決を受けた均等論の解釈が出始めた。地裁レベルではあるが、非常に興味深い判決。
 スミスクライン・ビーチャム社対エクセル・ファーマスーティカルズ社事件において、バージニア州東部地区連邦地裁(ロケットドケットで有名なアレキサンドリアでなく、ノーフォーク支所)は均等論非侵害のサマリージャッジメントを認めた。判決においてフェスト最高裁判決を引用しながら、特許権者がイ号製品を文言上包含するようなクレームを作成することが合理的に予期できたとして、均等論非侵害を認めている。
 本件は興味深い問題を提起している。まずイ号製品がクレーム補正時に知られていなかったこと、また特定の化合物を包含するような包括クレームを作成し得たと判断する一方で、仮にそのような広いクレームを作成しておれば拒絶になった蓋然性が高いと認めている点である。地裁の見解では、審査経過禁反言は理論的に広範なクレームを作成し得たか否かのみが問題であって、実際にそのような補正を特許庁が認めるか否かは問題でないという。最高裁の提示した予見可能性テストにおいて、補正時に予見可能と合理的に判断される仮想クレームとはどのようなものであるのか。第一に、包括クレームでなければならないのか、イ号を包含する限りはもっと狭い限定クレームでもいいように思える。
 第二に、仮想クレームが特許可能か否かである。今回の地裁の判断では、公知例による特許性の有無とは無関係に、単にイ号を包含するクレーム作成が理論的に可能か否かだけで結論しているように思える。極めて明確な判断であるものの、極論にすぎないだろうか。後知恵でクレーム作成すれば、殆どの場合文言侵害にできるクレーム作成は可能であろう。そもそも裁判の場で均等論侵害を主張できるレベルにあるのだから、イ号が確定しておればこれを文言上包含するクレームに変更することは容易でなかろうか。つまり、今回の地裁の判断基準では、殆どの場合仮想クレームを予期可能すなわち禁反言が適用されることになりそうである。最高裁は理論的なクレーム作成を意図していたのか、あるいは現実的な、公知例を回避した特許性のあるクレームを作成できたか否かで判断することを判示していたのか。今後議論を呼ぶことは必死。
 
情報元および関連情報:
SmithKline Beecham Corp. v. Excel Pharmaceuticals Inc., No. 2:02CV51 (E.D. Va. 8/02/02).
 URLは近々JPAAジャーナルに掲載されるはず。
・"Amendment Listing Specific Compound Barred Equivalents for Generic." 64 Pat.TM&Copyright J. 382 (August 23, 2002).
 
 
2002/08/01
 
1.米国特許庁改革案
 7月頃から活発になってきた米特許庁の大幅刷新計画。要するに料金の値上げであるが、審査請求制度の導入や出願人によるサーチレポート提出など、重要な改正も提案されているので要注意。ただし反対が強く、相当叩かれると予想される(既に叩かれているようだが)。。。
 法案の名称は2003年米国特許庁再認可法(United States Patent and Trademark Office Reauthorization Act, Fiscal Year 2003)で、2003年10月1日施行予定。なお当初は2002年10月1日施行予定を目標としていたが、反対が強く実現しなかった。
 注目は審査請求制度("requested examination" system)の採用で、これにより出願から18ヶ月審査請求をすべきか否か検討できる。なお出願料が抑えられている代わりに審査請求が高く設定されており、結果的には出願費用が倍増されている。
 さらにクレーム数に応じて料金が相当アップする。現行では独立クレーム3つまでは追加料金無しで提出でき、以降84ドルづつ加算される。これに対し、改正案ではクレーム数が多くなるにつれて劇的にアップする。
独立クレーム4つ目 160ドル
独立クレーム5つ目 320ドル
独立クレーム6つ目 640ドル 以降125%増し
独立クレーム7つ目 800ドル
独立クレーム8つ目 1000ドル
独立クレーム9つ目 1250ドル
クレーム数の合計21〜25 80ドル
クレーム数の合計26〜30 160ドル
クレーム数の合計31〜35 320ドル
クレーム数の合計36〜40 640ドル 以降5クレーム毎に125%増し
クレーム数の合計41〜45 800ドル
クレーム数の合計46〜50 1000ドル
クレーム数の合計51〜55 1250ドル
 また期間延長は1ヶ月毎に申請する必要があり、最初の延長申請が140ドル、2回目の延長申請が520ドル、3回目の延長申請が1200ドルとなっている。
 一方で先行技術サーチについて、4つの選択肢が設定される。4トラックプロセス(four-track process)と呼ばれ、出願人はいずれかを選択する必要がある。
トラック1 出願人がサーチレポートを提出する。サーチ機関は所定の認定機関
トラック2 PCTの米国内段階については国際調査報告を利用
トラック3 外国出願に基づく出願については、外国特許庁のサーチ結果を利用
トラック4 収入が一定以下の中小、個人をマイクロエンティティ(Patent Micro Entity:詳細未定義)とし、サーチレポート提出を免除する。この免除は従来のスモールエンティティには適用されず、上記トラック1〜3の適用を受ける。なおマイクロエンティティは審査請求料も若干減額されている。
 米特許庁の説明では、登録後の年金まで含めると改正案では$12,110となるのに対し、同じ場合に欧州では$53,125、日本では$24,078となると説明している。
 
情報元および関連情報:
・"Answers to the most Frequently Asked questions about the Strategic Plan," USPTO
http://www.uspto.gov/web/offices/com/strat2001/faq.htm
http://www.uspto.gov/web/offices/com/strat2001/21stCSP_Legislation.pdf
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 改正案と現行料金との料金対比表
 
現行料金 改正後料金
通常の出願人(Patent Large Entity)
基本出願料(Patent Filing Fee) $740 $300
審査請求料(Patent Examination Fee) なし $1,250
登録料(Patent Issue Fee) $1,280 $1,660
年金(3年半) Maintenance Fee (1st stage) $880
 
$900
 
年金(7年半) Maintenance Fee (2nd stage) $2,020
 
$3,000
 
年金(11年半) Maintenance Fee (3rd stage) $3,100
 
$5,000
 
Total $8,020 $12,110
 
スモールエンティティ(Patent Small Entity)
Patent Filing Fee $370 $150
Patent Examination Fee なし $1,250
Patent Issue Fee $640 $830
Maintenance Fee (1st stage) $440 $450
Maintenance Fee (2nd stage) $1,010 $1,500
Maintenance Fee (3rd stage) $1,550 $2,500
Total $4,010 $6,680
 
マイクロエンティティ(Proposed Patent Micro Entity)
Patent Filing Fee 規定なし $150
Patent Examination Fee 規定なし $750
Patent Issue Fee 規定なし $830
Maintenance Fee (1st stage) 規定なし $450
Maintenance Fee (2nd stage) 規定なし $1,500
Maintenance Fee (3rd stage) 規定なし $2,500
Total $6,180
Trademark Application Fee (Paper) $325 $400
Trademark Renewal Fee (Paper) $400 $610
Trademark Section 15 Fee (Paper) $200 $400
Total $925 $1,410
 
・現行料金
http://www.uspto.gov/web/offices/ac/qs/ope/1999/fee20011001.htm
・"Rogan Says Plan Will Lower PTO Costs By Half Billion Over Five Years" 64 PTCJ 125 (June 7, 2002).
・"Draft Fee Bill and Strategic Plan Draw Cool Response at House Hearing," 64 PTCJ 296 (July 26, 2002).
・"PTO proposes raising fees significantly." law.com
http://www.patlawyer.com/ipnews/fees.htm
 2002年版の法案の紹介。これによれば、他の出願を参照する("cross-referencing" other applications)出願にも料金が課せられ、例えば先行する継続出願などが3つあると1000ドル、5つあると4000ドル必要になる。また同一内容の出願には1万〜1万5千ドルの罰金("indistinct claims" penalty)が科せられるという。これによって出願人のマナー向上が期待されるという!この規定、現在の法案では見当たらないようだが、がまだ残っているかどうか未確認。
・"IPO Summary of USPTO Fee Bill," IPO (July 30, 2002).
http://www.ipo.org/Funding.html
http://www.ipo.org/2002/IPissues/Fee_Summary.pdf
 IPOによる1枚の要約。とても見やすいけど、現行法では内容は変更されてるかも。
 
 
2002/07/30
 
1.CAFC判決:仮出願を過信すべからず
 日本の国内優先に相当する米国の仮出願制度は、日本企業にとってどのように活用できるのか、との課題は制度が導入されて7年が経過した今でも確立されていない。しかし、一部の企業では「権利期間が実質的に1年延長できる」、「競争の激しい分野では競業他社の出願に対する後願排除効が期待できる」、「出願料が安い」、「クレームが不要」などの面から積極的に出願しているところもあるようである。
 また、大学やTLOなどは「簡易な出願」として論文発表の原稿を、体裁を変えて明細書として提出し、出願日を確保する手段としても注目しているようである。
 しかし、果たして仮出願制度は本当に「簡易な出願」なのか?仮出願で本当に出願日が確保できるのか?この度CAFCにより初めて仮出願に対する法的な判断が示され、一寸注目を集めている。
 ニュー・レイルヘッド・マニュファクチャリング社対バーミアー・マニュファクチャリング社事件において、CAFCは要するにクレームが仮出願の明細書でサポートされていないとして優先権を否定し、その結果特許は新規性喪失(米特許法102条(b))により無効とされた。この判断自体は極めて明確で、法的にも全く正しい。ここで改めて仮出願の意義と危うさが見直されている。要するに、仮出願といえども、完全な明細書を提出していない限り出願日の利益は得られない。ニューレイルヘッド事件は安易な開示で出願日を確保できるなどと考えることの危険性を如実に物語っている。周知の通り、提出された明細書が112条の記載要件違反であればこれを治癒する手段はない。仮出願に限られず、通常出願であっても同様である。一部継続出願をしても、出願日の遡及効は得られない。したがって出願の際は明細書の記載が完全であるかどうかを十分に注意しなければならない。同様に仮出願の明細書が完全に書かれていなければ、本出願でその瑕疵を治癒することはできないのである。さらに、パリ条約の優先権主張においても、クレームサポートは問題となる。特に先頃の欧州拡大審判部の判決により、ヨーロッパでは優先権主張が認められる要件が厳格に解釈されることが確認された。先の明細書から直接的かつ一義的に後願のクレームが読めない限り優先権は認められないという。補正と同じ厳しい解釈である。いずれの場合も、最初の明細書が完全にクレームをサポートしていなければ出願日の遡及効が得られないということである。決して、仮出願といえども明細書をおろそかにはできない。
 ニューレイルヘッド事件においては、本出願でクレームされた「ゾンデに対して傾斜するドリルビット(...angled with respect to the sonde housing)」が仮出願の明細書で開示されていなかったことが問題となった。傾斜する旨の文言は原明細書に記載されていなかった。また原明細書にはビットとゾンデを開示する2つの図面が添付されていたが、分解図であったためビットはハウジングに装着されていなかった。図面がなかったのがニューレイルヘッド社には不運だった。
 実際に明細書を作成されている方ならお判りになると思うが、クレームの文言は様々な場合を考えて最適な表現を選択する必要がある。しかし、発明者から提出された技術資料にはそのような表現が書かれていないことが多い。結果として発明提案書など提供されたオリジナルの資料だけでは言葉が足りないことになる。出願前であれば、最適な言葉を考えて追加できるが、出願後であれば新規事項の追加となるため、最早補正できない。1年以内に優先権主張すれば追加も可能であるが、結局新たに追加された事項には優先権が及ばないため、新出願と同じこととなってしまう。
 特許出願の経験のある発明者であれば、ある程度の広い記載が期待できるかも知れないが、初めて明細書を書くような大学の先生方や学生さんとなると、そのような十分な記載を期待する方が無理というものである。
 日本でも審査請求無しの出願だけならば2万1000円の特許印紙代だけで出願日は確保できる。とりあえず、出願だけしておいて使えそうな案件は国内優先をかけてちゃんとした明細書を提出するという考えもあるようであるが、国内優先の有効性は仮出願の判断基準とほぼ同じはずである。TLOや大学はこの危険を十分理解された上で、どのように明細書を準備して出願するかを検討する必要がある。
 どうしても本人出願(per se)が必要であれば、せめて図面だけでもできるだけ多く提出しておくべきである。変形例を多く図示するように言われているが、今回の判決で分解図だけでは組み立て後の状態が示されていないというリスクがあることが判明したので、一の実施例についても分解図だけでなく完成図、その他平面図、正面図、側面図、断面図、要部拡大図、使用状態を示す図なども検討の必要がある。
 
情報元および関連情報:
New Railhead Mfg. Co. v. Vermeer Mfg. Co. & Earth Tool Co., Nos.02-1028 (Fed.Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/Railhead_v_Vermeer.htm
http://www.ll.georgetown.edu/Fed-Ct/Circuit/fed/opinions/02-1028.html
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 合議体:メイヤー、ミシェル、ダイク判事、ミシェル判事が判決理由を起草。ダイク判事が反対意見(102条に関して)。
 対象特許:米国特許第5,899,283号、5,950,743号
 対象クレーム:
1. An asymmetric drill bit for horizontal directional drilling in rock, comprising:
a bit body attached to an end of a sonde housing;
the unitary bit body being angled with respect to the sonde housing the bit body being nonmovable with respect to the sonde housing in drilling operation; and
the bit body being mounted with a plurality of substantially forward-facing end studs extending from a front face of the bit body.
 仮出願の開示。図面は判決文に掲載されていない。
...The patents-in-suit were filed as continuation-in-part applications that claimed the priority date of a provisional application filed by New Railhead on February 5, 1997. That provisional discloses a “directional earth boring tool” wherein “the heel-down method of attachment [of the bit] to the drill body helps to create the random elliptical orbital motion that causes the high impact fracturing technique.” Under headings labeled “Operational assumptions” and “Theory of Operation,” the provisional application further alludes to the “high included angle offsets for directional steering,” and the enhanced performance that results from “multiplying the fracturing effect through leverage on the main drilling points.” The provisional concludes with two drawings that show the bit and the sonde housing that holds the bit during operation; however, both drawings show the drill bit in an “exploded” view, i.e., the bit is not shown attached to the drill bit housing. Moreover, nowhere in the provisional application is the bit body expressly described as being “angled with respect to the sonde housing” as recited in claim 1 of the ‘283 patent. (As noted by the district court, Cox testified that the claim language “angled with respect to the sonde housing” meant that the drill bit had a toe (front portion) and a heel (rear portion), and that the toe-to-heel ratio was “the amount above and the amount below [the] outer circumference of the sonde housing.”)
・Greg Aharonian, "20020809 LyonLyon to fold; CAFC rules on provisional patents." Internet Patent News Service (August 9, 2002).
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...One of the possible advantages that remains to be explored is whether a claims-like generic definition in a provisional application may be used to avoid a Festo-based prosecution history estoppel if the ultimate continuation application based on the provisional has original claims narrower in scope.
-- Gerry Elman of Elman & Associates in Media, PA, USA Editor-in-Chief, Biotechnology Law Report
www.elman.com
 ハロルド・ウェグナー教授(Prof. Harold Wegner, of Foley & Lardner)がバイオテクノロジー・ローレポート誌10月号(Biotechnology Law Report)に寄稿した論文「ニューレイルヘッド判決:仮出願優先権の神話を暴く(New Railhead: Debunking the Provisional Priority Myth.)」を引用。仮出願にはクレームが不要であるが、フェスト最高裁判決の禁反言を回避するために「クレーム類似の包括的な定義」を仮出願に含めておくことを勧めている。
 なお、仮出願する場合は同日に取り下げることが賢明とされている。また、日本で出願する代わりに日本語で米国に仮出願して、1年以内に英語で正規出願を行う一方、日本ではこれらの仮出願に基づきパリ条約の優先権を主張して日本語で出願するというテクニックもある(スミス特許事務所のランディ・スミス弁護士提供。元ネタはイーライリリー社のアーミテージ弁護士がAILPAで発表した論文)。この場合、メリットとしては日本語基礎出願の出願料が節約でき、また外国出願したことによる早期審査の対象とできる(無料)。一方デメリットとしては、仮出願した日本語の基礎出願について優先権証明書を日本特許庁に提出し、また翻訳を米特許庁に提出する必要がある。
・Greg Aharonian, "20020815 COMMENTS ON A RECENT PATNEWS STORY ON PROVISIONALS PATENTS." Internet Patent News Service (August 15, 2002).
 仮出願での開示内容を完全にすべきことは、今回の判例を見るまでもなく明らかとの意見。クレームがないだけで、明細書自体は通常出願と全く同様の完璧さでなければならず、メリットは存続期間が実質1年延長できること、という。なお、ニューヨーク市のローファームにおける出願費用の中間値は、通常出願で5000ドル、仮出願で1500ドルという。
 
 
2.日本特許庁長官
 さりげなく特許庁長官が及川耕造氏から太田信一郎氏に変わっていた。願書を変更しておかないと職権訂正される?
 
情報元および関連情報:
・太田信一郎「就任挨拶」日本特許庁(平成14年7月30日)
http://www.jpo.go.jp/saikin/tyoukan_syunin.htm
・「前例に望みをつなぐ?太田特許庁長官の野心」THEMIS月刊テーミス・人事早耳情報(2002年9月号)
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...太田信一郎氏は、この間まで経済産業省で村田成二事務次官と次官レースを争っていた。
...近年、特許庁長官は「本省の局長になり損ねた人が就任する」のが通り相場で、1〜2年後には退任する。だが、...
 旧通産省の歴史には、特許庁長官から事務次官に昇格した人物がいる。城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」のモデル、故佐橋滋氏だ。
 
 
2002/07/22
 
1.JPEG、お前もか
 JPEGに基本特許があり、ライセンス料徴収の動きが出てきたことがにわかに脚光を集めている。問題の特許は米コンプレッション・ラボ社(Compression Labs)が出願し、現在フォージェント・ネットワークス社(Forgent Networks)が所有する米特許4,698,672号「冗長度を減らすためのコード化システム(Coding system for reducing redundancy)」。インパドックを調べると、パテントファミリーはドイツ、欧州、日本に出願されている。日本での公開番号は特開昭63−148789号で、拒絶査定発送日は1997年1月14日。
 ネット関連の基本技術の特許問題は絶えず紛糾されており、枚挙にいとまがない。画像関連では数年前に、GIFの圧縮技術について特許を持つユニシス社がライセンス料徴収義務がユーザにまであることを宣言したことが記憶に新しい。本件に関しては既にソニーがライセンス料として1500万ドル程度を支払ったらしい。ライセンス徴収においては、まず大手と契約して支払の実績を作り、これを公表することで他社へのプレッシャーをかけることがよく行われている(レメルソンの日本自動車産業との包括ライセンスや最近ではワンクリック特許をアマゾン社がアップル社にライセンスした例がある)。今後の動きに注目。
 
情報元および関連情報:
・本間純,加藤雅浩「JPEG基本特許ライセンス問題が急浮上,ソニーが契約」日経エレクトロニクス・オンライン デジタル家電(2002年7月22日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/d-ce/2002/07/1000013817.html
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...ラン・レングス符号化は同じ数字が続く場合に有効な符号化手段である。JPEGの場合は,DCT/量子化後のAC係数が連続する0(ゼロ)となるときに,その長さをラン・レングスとして符号化している。今回の特許との関連は不明だが,ラン・レングス符号化自体はH.263やMPEG-1/2/4にも使われている。
・「突如動き出した『JPEG特許』の大きな波紋」ZDネットニュース(2002年7月24日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0207/24/ne00_jpeg.html
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...特許を出願する一方でその技術を標準化団体に提出するという、物議を醸す戦術を採用していた企業はほかにもある。
 Dell Computerは1995年に、FTC(米連邦通信委員会)との合意により、グラフィックス標準のVLバスを含む技術に対して、特許権を行使しない方針を決めた。FTCは、DellがVLバスに関する特許を有していることを隠して、標準化団体に同技術の採用を勧めたとして批判していた。
 Sun MicrosystemsやRambusも、同様の行為を行ったとして調査を受けている。
・加藤雅浩「【JPEG特許続報】『日本チームは反対したのに』,JPEG標準化作業当時を振り返る」日経エレクトロニクスデジタル家電(2002年7月29日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/d-ce/2002/07/1000013940.html
・「【コラム】ハイテクウォーカー 第40回 執筆=佐藤晃洋 その後のJPEG特許問題」
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/09/24/04.html
 当該特許の先行技術について言及。
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...具体的に672特許に関する先行技術についての検証結果を発表したのは、ドイツのAlgo VisionLuraTechという会社。同社はJPEG2000関連を中心に画像処理ソフトの開発を手がける企業なのだが、同社は独自に672特許に記されている内容に関して同特許の出願以前に発表されている論文を調査し、具体的に4つの論文の名前を挙げて同特許の内容が既に広く知られていたことを訴えたほか、「そもそもこのような技術はSamuel Morseがモールス信号による初めての通信を行った1838年から広く知られていたのだ」として672特許が無効であると主張している。
 また前述したように日本では672特許と同内容の特許出願が却下されているが、その理由がわかればもっと簡単に672特許の有効性を否定できた可能性がある。ただ残念ながら当時の審査状況に関しては特許庁が既に書類を廃棄しているとの事で、却下理由は現在確認できない。
・「JPEG特許で アレも売れないコレも売れない」日経エレクトロニクス2002年9月23日号(No.831)
http://ne.nikkeibp.co.jp/NE/2002/020923/tokushu.html
・加藤雅浩「【JPEG特許続報】ビデオ・カメラも危い,DVも危い,Forgent特許の波紋はJPEGだけにとどまらない」日経エレクトロニクスオンライン・デジタル家電(2002年9月20日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/d-ce/2002/09/1000014642.html
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...「ビデオ・カメラ,プリンタ,スキャナ,ブラウザ・ソフトも対象だ」(Forgent社)と広範囲に及ぶことを改めて強調した。また今回のプレス・リリースや決算発表会では,これまで全面主張していた「JPEG」の文字や発言が一つも無く,単に静止画圧縮関連としているところに,同社のライセンス契約に関する拡大路線が見て取れる。
 実際このForgent特許に関しては,JPEGはもとより,MPEGやDVでも採用されている画像圧縮技術「ランレングスを用いた2次元可変長符号化」そのものを請求範囲とした,いわゆる基本特許としての可能性を完全には否定できていないのが現状だ。Forgent特許の波紋はデジカメ,JPEGだけにはとどまらない。
・加藤雅浩「【JPEG特許続報】「ソニーが払ったライセンス料は1620万米ドル」,Forgent社2002年度第4四半期決算から」日経エレクトロニクスオンライン・デジタル家電(2002年9月19日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/d-ce/2002/09/1000014607.html
 ライセンス料が公表されて無くても会社の第4四半期決算表から算出!渋い...
・Gana Hiyoshi「JPEG特許の解釈に異議あり〜独ベルリン工科大学教授とJPEG委員会独支部」INTERNET Watch(2002年8月30日)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/0830/jpg.htm
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...独では、画像処理技術の研究者であるRuedi Seilerベルリン工科大学教授と、JPEG委員会の独委員Klaus Jung博士が共同で声明を発表した。その中で「技術的に純粋に解釈すると、JPEG技術は米国特許第4,698,672号に抵触しない」との見解を示した。理由としては、特許が主にビデオ画像の圧縮処理に関連する可能性が高く、静止画には関連がないことや、そもそも特許には先行技術があり無効理由があるから有効ではないということを挙げている。
・"JPEG Patent Quarrel: First Comprehensive Analysis by the Experts." Algo Vision LuraTech GmbH News (August 27, 2002).
http://www.algovision-luratech.de/company/news/statement_seiler_jung_en.pdf
 弁護士でない(と思われる)技術専門家による特許無効の鑑定意見書。権利侵害だけど先行技術があるから無効というもの。詳細な検討はなく内容は簡潔。
・"JPEG Patentstreit - Was ist dran an den Forderungen von Forgent Networks?" Algo Vision LuraTech GmbH News (27. August 2002).
http://www.algovision-luratech.de/company/news/statement_seiler_jung_de.Pdf
 上記のドイツ語版(というか、これがオリジナルで上記は英訳)。ドイツ語の無効鑑定というのも珍しい(見たことない)
 
 
2002/07/15
 
1.CAFC判決:エンゾー判決逆転
 バイオ関連特許で、微生物などの寄託のみで112条の記載要件を具備したことにならないという先の重要判決が、同じ合議体による再審理において破棄され、地裁に差し戻された。
 エンゾー・バイオケム対ジェン・プローブ事件で当初は、先のイーライリリー判決よりもさらに厳格な記載要件がバイオテクノロジー関連の特許に課されたとして注目を集めた。バイオのサンプルを寄託していても明細書に代わるものでなく、これをもって吉舎要件を具備したことにはならないという判断であった。ところが、今回再審理の申し立てが認められ、一転して寄託があるのでOKという判断となった。
 要するに、MPEPなどを見直したところ、文書化の困難さ等を考慮すれば明細書単独で完全な記載要件を具備していると判断するのは酷だから、公的機関に寄託された試料を援用して記載に変えている(deposits were incorporated by reference in the specification)明細書は112条の記載要件を具備していることにしよう、という柔軟解釈に転じたようだ。
 この情報は、大手A山特許事務所のM氏より戴きました。どうもありがとうございます。
 
情報元および関連情報:
Enzo Biochem, Inc. v. Gen-Probe Inc., Nos-01-1230 (Fed. Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/EnzoBio_v_GenProbe.htm
===================================
...We have also previously considered the written description requirement as applied to certain biotechnology patents, in which a gene material has been defined only by a statement of function or result, and have held that such a statement alone did not adequately describe the claimed invention. Eli Lilly, 119 F.3d at 1568, 43 USPQ2d at 1406. In Eli Lilly, we concluded that a claim to a microorganism containing a human insulin cDNA was not adequately described by a statement that the invention included human insulin cDNA. Id. at 1567, 43 USPQ2d at 1405. The recitation of the term human insulin cDNA conveyed no distinguishing information about the identity of the claimed DNA sequence, such as its relevant structural or physical characteristics. Id. We stated that an adequate written description of genetic material "'requires a precise definition, such as by structure, formula, chemical name, or physical properties,' not a mere wish or plan for obtaining the claimed chemical invention," and that none of those descriptions appeared in that patent. Id. at 1566, 43 USPQ2d at 1404 (quoting Fiers, 984 F.2d at 1171, 25 USPQ2d at 1606). The specification in the Eli Lilly case thus did not show that the inventors had possession of human insulin cDNA.  
It is not correct, however, that all functional descriptions of genetic material fail to meet the written description requirement. The PTO has issued Guidelines governing its internal practice for addressing that issue. The Guidelines, like the Manual of Patent Examining Procedure ("MPEP"), are not binding on this court, but may be given judicial notice to the extent they do not conflict with the statute. See Molins PLC v. Textron, Inc., 48 F.3d 1172, 1180 n.10, 33 USPQ2d 1823, 1828 n.10 (Fed. Cir. 1995). In its Guidelines, the PTO has determined that the written description requirement can be met by "show[ing] that an invention is complete by disclosure of sufficiently detailed, relevant identifying characteristics . . . i.e., complete or partial structure, other physical and/or chemical properties, functional characteristics when coupled with a known or disclosed correlation between function and structure, or some combination of such characteristics." Guidelines, 66 Fed. Reg. at 1106 (emphasis added). For example, the PTO would find compliance with § 112, 1, for a claim to an "isolated antibody capable of binding to antigen X," notwithstanding the functional definition of the antibody, in light of "the well defined structural characteristics for the five classes of antibody, the functional characteristics of antibody binding, and the fact that the antibody technology is well developed and mature." Synopsis of Application of Written Description Guidelines, at 60, available at http://www.uspto.gov/web/patents/guides.htm ("Application of Guidelines"). Thus, under the Guidelines, the written description requirement would be met for all of the claims of the '659 patent if the functional characteristic of preferential binding to N. gonorrhoeae over N. meningitidis were coupled with a disclosed correlation between that function and a structure that is sufficiently known or disclosed. We are persuaded by the Guidelines on this point and adopt the PTO's applicable standard for determining compliance with the written description requirement. 
Applying those principles, we first inquire whether Enzo's deposits of the claimed nucleotide sequences of claims 4 and 6 may constitute an adequate description of those sequences. Secondly, we will consider whether the description requirement is met for all of the claims on the basis of the functional ability of the claimed nucleotide sequences to hybridize to strains of N. gonorrhoeae that are accessible by deposit. 
As to the first question, Enzo asserts that the claimed sequences are inherently described by reference to deposits of three sequences that are within the scope of its claims. Whether reference to a deposit of a nucleotide sequence may adequately describe that sequence is an issue of first impression in this court. In light of the history of biological deposits for patent purposes, the goals of the patent law, and the practical difficulties of describing unique biological materials in a written description, we hold that reference in the specification to a deposit in a public depository, which makes its contents accessible to the public when it is not otherwise available in written form, constitutes an adequate description of the deposited material sufficient to comply with the written description requirement of § 112, 1.
The practice of depositing biological material arose primarily to satisfy the enablement requirement of § 112, 1.
・[vacated] Enzo Biochem, Inc. v. Gen-Probe Inc., 285 F.3d 1013, 62 USPQ2d 1289 (Fed. Cir. 2002).
 
 
2002/07/09
 
1.CAFC判決:ビジネスモデル特許夢の後...コンラッド氏破れる
 ビジネスモデル特許が非常に注目を集めていた頃、39社の大企業に警告状を送りつけて話題になったアラン・コンラッド氏(Allan M. Konrad)を巡る特許事件の控訴審で、同氏の特許は米特許法102条(b)により無効となった。ネットスケープコミュニケーション対コンラッド事件においてCAFCメイヤー首席判事は、102条(b)項のオンセールバー(on-sale bars)および公用(public use)によって同氏の特許3件(米特許5,544,320号、5,696,901号、5,974,444号)は無効と判断。
 気付いた点を2点。本件ではコンラッド氏がリモートデータベースオブジェクトシステムの実験を行ったことが問題にされたが、こういったネット技術はオープンなネットワーク環境で試験することが多いと思われる。しかしコンラッド氏はこれが試験のための実施であることを証明できなかった。逆に技術の優位性を宣伝し支持を求めたことが、「商目的」であるとの心証を形成している。この失敗から学び、ネット技術の特許出願前試験には注意する必要がある。
 また、オンセールバーがファフ最高裁判決により状況全体を勘案する基準(the totality of the circumstances)でなく、特許の準備基準(ready for patenting)に変更されたことは周知の通りであるが、同じ102条(b)に含まれるパブリックユース・バーの基準は依然として状況全体を勘案する基準のままであった。
 
情報元および関連情報:
Netscape Communications Corp. v. Konrad, Nos.01-1455 (Fed. Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/Netscape_v_Konrad.htm
===================================
...We look to the totality of the circumstances when evaluating whether there has been a public use within the meaning of section 102(b). Sinskey v. Pharmacia Ophthalmics Inc., 982 F.2d 494, 498, 25 USPQ2d 1290, 1293 (Fed. Cir. 1992). The totality of the circumstances is considered in conjunction with the policies underlying the public use bar. Tone Bros., Inc. v. Sysco Corp., 28 F.3d 1192, 1198, 31 USPQ2d 1321, 1324 (Fed. Cir. 1994). The circumstances may include: the nature of the activity that occurred in public; the public access to and knowledge of the public use; whether there was any confidentiality obligation imposed on persons who observed the use; whether persons other than the inventor performed the testing; the number of tests; the length of the test period in relation to tests of similar devices; and whether the inventor received payment for the testing. See Allied Colloids, 64 F.3d at 1574, 35 USPQ2d at 1842; Baker Oil Tools, Inc. v. Geo Vann, Inc., 828 F.2d 1558, 1564, 4 USPQ2d 1210, 1214 (Fed. Cir. 1987); In re Brigance, 792 F.2d 1103, 1107-08, 229 USPQ 988, 991 (Fed. Cir. 1986); Hycor Corp. v. Schlueter Co., 740 F.2d 1529, 1535, 222 USPQ 553, 557 (Fed. Cir. 1984); TP Labs., Inc., 724 F.2d at 971-72, 220 USPQ at 582. There may be additional factors in a particular case relevant to the public nature of the use or any asserted experimental aspect. On summary judgment, once Netscape presented facts sufficient to establish a prima facie case of public use, it fell to Konrad to come forward with some evidence raising a genuine issue of material fact to the contrary. Sinskey, 982 F.2d at 498, 25 USPQ2d at 1293; Petrolite Corp., 96 F.3d at 1425, 40 USPQ2d at 1203.
・チャールズEベルジェア,恩田誠「米 ビジネスモデル特許侵害で自動車会社等39社が提訴される」ビジネスモデル特許関連ニュース(2000年2月16日)
http://www.ondapatent.com/Japanese/business/infling.html
・Brenda Sandburg (The Recorder), "Netscape, Microsoft Team Up in Internet Suit." law.com (April 2, 2002).
http://www.law.com/jsp/printerfriendly.jsp?c=LawArticle&t=PrinterFriendlyArticle&cid=1022183116134
===================================
...Verhoeven's second Internet case may prove more difficult. To date Intouch has successfully enforced its patent on a method of previewing pre-recorded music samples online. Intouch sued six companies, including Amazon.com, Listen.com Inc., Liquid Audio Inc. and Entertaindom, a defunct unit of AOL Time Warner. Verhoeven's client, Entertaindom, is the only defendant that has not settled with Intouch.
 
 
2002/07/05
 
1.ディープリンクは合法か
 リンクを張ることが著作権違反になるかの問題と同様、リンクをトップページでなく該当ページに直接張ることの違法性もよく問題となる。このほどデンマークの裁判所がディープリンクが違法であると判決して注目を集めている。
 
情報元および関連情報:
・"EU Database Directive Invoked to Support Order Barring 'Deep Linking' to News Sites," From Electronic Commerce & Law Report (July 17, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/F2F295E6A1AF223F85256BF90071E591?OpenDocument
Danish Newspaper Publishers' Association v. Newsbooster.com ApS, docket number unavailable (Den. Fogedret 7/5/02).
http://www.newsbooster.com/?pg=judge&lan=eng
 上記判決の英文部分訳
・Directive 96/9/EC of the European Parliament and of the Council of 11 March 1996 on the legal protection of databases
http://europa.eu.int/smartapi/cgi/sga_doc?smartapi!celexapi!prod!CELEXnumdoc&lg=EN&numdoc=31996L0009&model=guichett
 
 
2002/07/02
 
1.CAFC以外で特許事件が審理される
 先日のホームズ最高裁判決を受けて、おそらくCAFC創設以来初めて特許事件がCAFC以外の高裁で審理されることになる。CAFCは訴因に特許問題を含まず、反訴に特許問題を含むテルコム・テクニカルサービス対シーメンス・ローム・コミュニケーションズ事件において、事件を第11区巡回控訴裁判所に移送した。
 
情報元および関連情報:
Telcomm Technical Services Inc. v. Siemens Rolm Communications Inc., No. 00-1579 (Fed. Cir. 2002).
Holmes Group Inc. v. Vornado Air Circulation Systems Inc., 62 USPQ2d 1801 (U.S. 2002).
・"CAFC Transfers to Eleventh Circuit Antitrust Case with Patent Counterclaims" 64 PTCJ 214 (July 12, 2002).
 
 
2002/07/01
 
1.欧州特許条約改正
 欧州特許条約が改正され、欧州特許条約規則51(4)の通知に対する応答で特許料およびクレームの翻訳を提出することになった。この結果、従来の規則51(4)の通知、さらに51(6)の通知という二段階の手続が規則51(4)に一本化され、査定後特許が下りるまでの期間が短縮される。この変更は手続面のみで、実体的な変更ではない。
 規則51(4)の通知とは、実体審査の終了後、欧州審査官がこういう内容で特許を認めるとの確認を出願人に送付する。出願人は内容を確認して、さらに特許料を納付し(認められたクレームが10個を超えていれば、追加分も)、また明細書の翻訳文(フランス語、ドイツ語)を作成して欧州特許庁に提出する。
 なお、独フォシウスの代理人によると、ロンドン協定がもし発効すると(早くても2004年4月1日頃)、条約65条の指定国毎の言語に翻訳する義務が改正され、翻訳文の提出義務が大幅に緩和されるという。
 
情報元および関連情報:
・DECISION OF THE ADMINISTRATIVE COUNCIL of 18 October 2001 amending the Implementing Regulations to the EPC: CA/D 27/01 (Rules 25(1), 36(1), 38(5), 51 EPC)
http://www.european-patent-office.org/epo/ca/e/ca_001_27.htm
・"Newsflash," Vossius & Partner
http://www.vossiusandpartner.com/eng/news.html
 
 
2.東欧4カ国が欧州特許条約
 仏代理人ボードロメニーのニュースレターより。
 スロバキア(SK)、ブルガリア(BG)、チェコ(CZ)、エストニア(EE)の4カ国が欧州特許条約を2002年4月に批准。2002年7月1日以降の欧州特許出願より有効。この結果現在のEPC加盟国は24カ国。
 
情報元および関連情報:
・ボードロメニー フラッシュニュース(2002年5月30日)
 
 
2002/06/27
 
1.公取がビジネスモデル特許に警鐘
 日経ケンプラッツより。公正取引委員会が本年3月22日付で開催を発表した「新たな分野における特許と競争政策に関する研究会」の報告書が公表された。ビジネスモデル特許に対し、権利行使や広告などでやりすぎを牽制する内容。特許庁の今後の政策指針とも対応しているので、目を通す価値はあり。
 
情報元および関連情報:
・「ビジネスモデル特許乱用に公取委が光らせる眼」日経ケンプラッツ(2002年6月27日)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/members/NEWS/20020627/105479/
・「新たな分野における特許と競争政策に関する研究会報告書について」公正取引委員会(2002年6月26日)
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/02.june/02062603.pdf
 PDFファイルで116ページあるが、最初の部分を斜め読みするだけで問題となる特許ライセンスなど、基本的な考えの見直しになる。
 
 
2.実案は損?
 同じく日経ケンプラッツより。しかし日経はいろんなサイトを立ち上げてますねーそれはいいけどサイト毎に一々登録させられるのは面倒です。しかも登録は無料だけど自宅と会社の両方の住所を入力させるのですよ。大きな文字で「任意」と書いてくれればいいのですが。
 さて、今回の記事ですが、タイトルだけ見ると考えさせられるが、内容は高裁判決の引用のみ。実案無効審判が負けそうになったら、審決確定前に実案権利者がクレームを全部削除すると審決確定を逃れて相手側費用負担を逃げられるかな〜と思ったら、やはりそんなに甘くはなかったというものです。そんな手が認められたら、みんなやるわな(無効の確定審決が無くなってしまう)。しかしこれだけで実案を損と決めつけるのは舌足らずでないでしょうか。特許だって同じはず。実際は実案だとクレーム訂正ができないから無効審判に弱いということが言いたいのでしょうけど・・・日経さん、判って書いてます?
 
情報元および関連情報:
・「へたに実用新案をとると損をする、東京高裁判決」日経ケンプラッツ(2002年6月28日)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/members/NEWS/20020628/105511/
 
 
2002/06/26
 
1.金型に著作権
 日経エレクトロニクスより。金型メーカが発注元に提出を求められる設計図やCAD/CAMデータが中国に流出しているおそれがあるとして、金型の設計データを著作権で保護できるか検討を始めたという。著作権であれば、申請や登録が不要である反面、権利行使面で問題がある。金型でないけど、船体デザインの法的保護が数年前米国で提出されたように記憶している。微妙な曲線作りのノウハウは、確かに何らかの法的保護を検討しなければならないと思う。
 
情報元および関連情報:
・大槻智洋「『中国に仕事は渡さない』,日本商工会議所などが金型設計で著作権法上の保護を求める」日経エレクトロニクス・オンライン 係争と事例(2002年6月26日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/judge/2002/06/1000013412.html
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...日本金型工業会が著作権に着目したのは,意匠権では完成品のデザインが保護対象であり,特許権では設計ノウハウを公開することになるためだ。
 
 
2002/06/24
 
1.ポスト・レメルソン?
 アレックス・シャルトーヴ氏からの情報によれば、ロナルド・カッツ(Ronald Katz)は新たなレメルソンと呼ばれているらしい。フォーブス誌の記事によれば、既にAT&T、アメリカンエクスプレス、IBM、マイクロソフト、ウェルズファーゴが、カッツ氏の会社Ronald A. Katz Technology Licensingに対しライセンス料支払に同意したという。カッツ氏の特許はコンピュータと電話を相互利用する技術で、レメルソンのようなサブマリン特許でなく、ターミナルディスクレーマーによって2009年までには多くが失効するらしい。が、20〜40ページの明細書に続いてクレームが数百ページもあるという。
 
情報元および関連情報:
・Eric W. Pfeiffer, "Setting Patent Traps: A 66-year-old tycoon is set to make $2 billion on 46 patents." Forbes.com (June 24, 2002).
http://www.forbes.com/asap/2002/0624/065_print.html
 
 
2.米特許庁:商標審査便覧改訂
 商標審査便覧(TMEP)が第3版第1訂に。米商標実務者は必携。
 
情報元および関連情報:
・Trademark Manual of Examining Procedure (TMEP) Third Edition, Revision 1 (June 2002).
http://www.uspto.gov/web/offices/tac/tmep/
 HTMLおよびPDFファイルで閲覧できる。オンラインから検索も可能。
 
 
2002/06/21
 
1.CAFC判決:非選択の技術でもリイシュー可能
 審査官の限定要求や選択要求に対し選択しなかったクレームは分割出願できるが、分割出願のし忘れは「瑕疵」でなく再発行特許出願でも治癒できないというオリタ判例(Orita Doctrine)およびこれを引用したワトキンソン判例が知られている。
 しかしながら、非選択に係るスピーシーズ、すなわち下位概念を包含するような上位概念のクレームはリイシュー可能であることが、CAFCにより確認された。
 ドイル事件においてCAFCのクレベンジャー判事は、オリタ判決を肯定しつつも、オリタ原則は非選択となった種クレームと同範囲のクレームに限られ、これを包含するような広い包括クレームや、選択されたグループと非選択のグループを橋渡しするようなリンククレームにまで適用されないとした。特に本件で特許庁に拒絶された再発行のクレームはかなり広く、非選択のグループに属するだけでなくオリジナルの選択されたグループにおいても請求できるものであったという。CAFCは再発行を拒絶した審判を破棄差し戻しとした。
 これによれば、たとえ分割出願しなかったクレームに関する技術であっても、これよりも広い包括クレーム、あるいは選択されたグループとのリンククレームとすることで再度権利化を図ることが可能となった。
 
情報元および関連情報:
・"Orita Doctrine Does Not Prohibit Reissue of Broader Genus Claims." 64 PTCJ 175 (June 21, 2002).
In re Doyle, No. 01-1439 (Fed. Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/In_Re_Doyle.htm
・MPEP1450
A reissue applicant's failure to timely file a divisional application is not considered to be error causing a patent granted on elected claims to be partially inoperative by reason of claiming less than the applicant had a right to claim. Thus, such error is not correctable by reissue of the original patent under 35 U.S.C. 251. In re Watkinson, 900 F.2d 230, 14 USPQ2d 1407 (Fed. Cir. 1990); In re Orita, 550 F.2d 1277, 1280, 193 USPQ 145, 148 (CCPA 1977). See also In re Mead, 581 F. 2d 251, 198 USPQ 412 (CCPA 1978). Likewise, if the original patent specification or the prosecution history of the original patent shows an intent not to claim the newly presented invention, that invention cannot be added by reissue. In these situations, the reissue claims should be rejected under 35 U.S.C. 251 for lack of defect in the original patent and lack of error in obtaining the original patent. See also MPEP 1412.01.
 
 
2002/06/12
 
1.PCTイージーバージョンアップ
 PCTニューズレターによれば、変更点は以下の通り。
1) BG,CZ,EE,SKがヨーロッパ特許の指定国に追加(2002年7月1日より)。
2) VC(セント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島)が指定国に追加(2002年8月6日より)。
3) アイスランド(2002年6月1日より)およびケニア(同7月1日より)によるPCT-EASY出願の受付。
4) 手数料スケジュールのアップデート。
5) 最新のPCTアップデート。
 
情報元および関連情報:
・PCT-EASY Maintenance Tables Update
===================================
PCT-EASYのメンテナンステーブルアップデート(Version2.92b0002(2002年1月1日版)用)がPCT-EASYウエブサイト(http://pcteasy.wipo.int)よりダウンロード可能となりましたので、お知らせいたします(約500KB)。
...ダウンロードまたはインストール中に問題が生じた場合、下記のヘルプデスク連絡先までご連絡ください。
電話:+41-22-338-8655(日本語可、日本時間15:30-24:00)
FAX:+41-22-338-8040(日本語可、24時間受付)
電子メール:pcteasy.help@wipo.int
(日本語担当:五十棲(いそずみ))
 
 
2002/06/04
 
1.米特許庁改革
 昨日(6/3月曜)付けのIPOデイリーニュースで、ローガン米特許庁長官(PTO Director James E. Rogan)が庁の大きな刷新を発表するとあったが、その実態が明らかになってきた。
・商標の審査官を35%レイオフ
・調査は外注。外国の特許庁または米特許庁が認めた調査機関に委託する。
・審査の繰り延べ(要するに審査請求制度か?)を導入する。出願から18ヶ月まで審査料金の支払いを猶予。
 当然ながら、米特許庁審査官はこの案に反対の模様。どうなる?
 なおこのニュースについては、ランディ・スミス弁護士がワシントンポストのニュースをファックスしてくれました。いつも有り難うございます!!!
 
情報元および関連情報:
・"USPTO ANNOUNCES SWEEPING STRATEGIC PLAN." IPO Daily News (JUNE 4, 2002).
http://www.ipo.org/whatsnew.html
・"Patent Office Seeks To Speed Applications: Director Cites Backlog; Union Assails Plan." Washington Post; Page A15 (June 4, 2002).
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A55064-2002Jun3.html
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...Under Rogan's plan, the agency would no longer conduct the initial search. Patent applicants could have that done by outside vendors that would be certified by the Patent and Trademark Office. The agency would also accept searches conducted by agencies in certain other countries, yet to be determined.
・"Commerce Under Secretary for Intellectual Property Rogan To Unveil USPTO Restructuring Proposal" USPTO (June 3, 2002).
http://www.uspto.gov/web/offices/com/speeches/02-43.htm
・The Recorder, "PTO Announces Outsourcing Proposal." law.com (June 5, 2002).
http://www.law.com
 ローガン特許庁長官(James Rogan)の写真付き。
 
 
2002/06/03
 
1.米最高裁判決:CAFCの裁判管轄を制限
 フェスト判決の余韻もさめやらぬうち、最高裁に係属中のもう一方の事件も下された。これで現在最高裁に係属中の特許事件はすべてはけた、・・・と思う。
 ホームズ・グループ対ヴォルネード・エアーサーキュレーションシステムズ事件では、原告の訴状に特許法に関する主張がなく、被告の答弁書で初めて特許法の問題が含まれることとなった場合、その控訴審の裁判管轄がCAFCにあるか、あるいは原則通り地裁の所在地に基づく巡回控訴裁判所の裁判管轄となるかの問題が争われ、最高裁はCAFCの裁判管轄権を否定した。結論として本件は、地裁判決を破棄したCAFC判決を破棄し、CAFCでなく第10巡回区控訴裁判所に差し戻し。判決文はスカリア最高裁判事で、スティーブンス判事が同意意見を、またギンズバーグ判事はオコナー判事と共同で同意意見をそれぞれ書いている(ただしギンズバーグ判事の判断は実質的には反対意見)。結論だけ見れば全員一致。
 本件では特許権者であるヴォルネード社が換気扇やオーブンなどのグリルデザインに関して、ホームズ社を特許権侵害およびトレードドレス侵害でITCに提訴していた。その後ホームズがトレードドレス非侵害の確認訴訟を別途カンザス連邦地裁に提起し、ヴォルネードは反訴において特許権侵害を主張した。地裁はトレードドレス非侵害とし、特許法の反訴については審理を延期した。ヴォルネードは本件が裁判手続を定めた連邦法典第28巻1338条(a)の条文の意味において、特許法に起因する("arising under")事件であることを根拠にCAFCに控訴した。
 最高裁は、抗弁で"arising under"ジュリスディクションは確立されないとした最高裁の複数の先例を拡大解釈し、反訴でも"arising under"ジュリスディクションは確立されないと判断した。判決文は極めて法律論的なので、読みにくいし特許法の面からは殆ど勉強にならない。
 スティーブンス判事の同意見では、CAFC以外の高裁も特許法の発展に寄与しうるという恐ろしいことを述べている。
 一方ギンズバーグ判事の同意意見では、アエロジェット・ジェネラルCAFC大法廷判決でマーキー(当時CAFC首席)判事の判示に同意し、特許法に起因する強制的反訴(compulsory counterclaim)によりCAFCの専属管轄が確立されるとしている。但し本件では現実に特許法に関する主張が審理されていないとして、反対意見でなく同意意見となっている。
 
 ジュリスディクションの問題は特許では実際上あまり問題にならなかったし(特に控訴審の裁判管轄に関してはCAFCの専属管轄とされていたため)、法技術的な問題なのでそれほど日本の特許関係者の注目を集めていなかったように思う。従来から、商標や著作権はCAFCでなく裁判地による高裁の管轄となっていた。今回の判決で特に今後の実務が激変することはないと思いたいが、特許のみならず商標やトレードドレスなど他の知的所有権も争われる場合は、CAFCへの控訴ができなくなることも起こりうるので、また有利な裁判地を求める「フォーラムショッピング」に逆戻りする可能性も否定できない。
 また、最高裁がCAFCをどう思っているかというメッセージとして捉えれば意味深かも。両者の間にはこのところ確執がありそう。フェストと本件の2つの事件から言えることは、最高裁の裁判官はみんな、CAFCの暴走を毛嫌いしているということ?CAFCが広い管轄権、すなわち特許に関する大きな影響力を持つことを懸念し、CAFCの権原を制限しようとしていることの表れか?
 
情報元および関連情報:
Holmes Group, Inc. v. Vornado Air Circulation Systems, Inc., Nos. 01-408 (U.S. 2002).
http://laws.findlaw.com/us/000/01-408.html
Where a complaint seeks declaratory judgment of non-infringement of trade dress and an injunction against such accusations, but does not assert a patent law claim, the Federal Circuit Court of Appeals cannot assert jurisdiction over the case, although the answer contains a patent law counterclaim.
http://a257.g.akamaitech.net/7/257/2422/03jun20021100/www.supremecourtus.gov/opinions/01pdf/01-408.pdf
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Held:The Federal Circuit cannot assert jurisdiction over a case in which the complaint does not allege a patent-law claim, but the answer contains a patent-law counterclaim
 
スティーブンス判事の同意意見
...There is, of course, a countervailing interest in directing appeals in patent cases to the specialized court that was created, in part, to promote uniformity in the development of this area of the law. But we have already decided that the Federal Circuit does not have exclusive jurisdiction over all cases raising patent issues.3 Christianson, 486 U.S., at 811812. Necessarily, therefore, other circuits will have some role to play in the development of this area of the law. An occasional conflict in decisions may be useful in identifying questions that merit this Courts attention. Moreover, occasional decisions by courts with broader jurisdiction will provide an antidote to the risk that the specialized court may develop an institutional bias.4
 
Footnote 4
See Dreyfuss, The Federal Circuit: A Case Study in Specialized Courts, 64 N.Y. U. L.Rev. 1, 2530, 54 (1989) (evaluating criticism that the Federal Circuit demonstrates a greater pro-patent bias than regional circuits).
↑日本でやろうとしている特許裁判所も、こうなることを予定しているんでしょうね。その抑止力として他の高裁を使おうということですか・・・
・共同通信社「特許訴訟控訴審東京高裁に集中」インフォシークニュース(2002年6月6日)
http://news.www.infoseek.co.jp/Content?arn=kyod_politics_20020606tp013&ud9=-7&sec=politics&sv=SN&svx=300504&pg=article.html
・The Recorder, "U.S. Supreme Court Limits Reach of Federal Circuit." law.com (June 6, 2002).
http://www.law.com
 スカリア判事の顔写真付き。11の高裁巡回区の特許判例を把握しなければならなくなるとか、結構深刻なコメントも聞かれる。また、注目を集めたゼロックスの事件(複写機の補修部品を保守サービス業者に提供することをゼロックス社が拒否したことが独禁法違反に当たらないとCAFCで判断された)はどうなるのだ、というコメントも。
・"Supreme Court Holds That Federal Circuit Does Not Have Jurisdiction Over Case in Which The Patent Issue is Raised in a Counterclaim." IPO Daily News (June 5, 2002).
http://www.ipo.org/whatsnew.html
Christianson v. Colt Industries Operating Corp., 486 U.S. 800
・"Patent Counterclaim May Not Create Federal Circuit Appellate Jurisdiction." 64 Pat.TM&Copyright J. (June 7, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/2026A7ED8F1EC4A585256BD40073E6B8?OpenDocument
(無料閲覧可能)
 PTCJのコメントはなかなか興味深い。特に最後の締めは衝撃的...
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....The likely result of this case will be patent rulings from regional circuit courts which will follow Federal Circuit precedent, although there appears to be no legal requirement for them to do so.
 
 
2.米最高裁、フェストを受けて上告中事件を差し戻し
 米最高裁は、上告中の特許事件9件について、5月28日のフェスト最高裁判決に従って審理し直すようCAFCに差し戻した。差し戻された9件は、以下の通り。パイオニア・マグネティックスやロッキードマーチンなどの有名事件もあるが、聞いたことの無いような事件(単なる勉強不足?)や非先例事件も結構多い。とはいっても、元々フェスト事件もワーナージェンキンソン最高裁判決を受けて差し戻された事件であり、その時点ではさして注目されていなかったから、将来フェスト並みのランドマーク判決がこの中から出てくる可能性も否定はできない。。。
 
Pioneer Magnetics, Inc. v. Micro Linear Corp., U.S., No. 00-1765, 238 F.3d 1341, 57 USPQ2d 1553 (Fed. Cir. 1/23/01).
・(unpublished) Insituform Technologies v. CAT Contracting, et al., U.S. No. 00-1946, (Fed. Cir. 3/26/01).
・(unpublished) Senior Technologies, Inc. v. R.F. Technologies, Inc., U.S. No. 01-35, (Fed. Cir. 3/12/01).
Creo Products Inc. v. Dainippon Screen, et al., U.S. No. 01-269 (Fed. Cir. 5/14/01).
Semitool, Inc. v. Novellus Systems, Inc., U.S. No. 01-423 (Fed. Cir. 6/8/01).
Lockheed Martin Corp. v. Space Systems/Loral, Inc., U.S. No. 01-506, 249 F.3d 1314, 58 U.S.P.Q.2d 1671 (Fed. Cir. 4/30/01).
AccuSCAN, Inc. v. Xerox Corp., U.S. No. 01-541 (Fed. Cir. 5/31/01).
PTI Techologies, Inc. v. Pall Corp. Techn., Inc., U.S. No. 01-677, 259 F.3d 1383, U.S.P.2d 1763), (Fed. Cir. 8/7/01).
Mycogen Plant Science, et al. v. Monsanto Company, U.S. No. 01-740, 252 F.3d 1306, 58 U.S.P.Q.2d 1891 (Fed. Cir. 5/30/01).
 
情報元および関連情報:
・"Supreme Court Remands Cases in Light of Festo." 64 Pat.TM&Copyright J. 135 (June 7, 2002).
 
 
2002/06/01
 
1.知的財産の証券化
 知り合いの税理士先生から教えて頂いた記事。知的財産の証券化については最近よく語られているが、本職(?)の税理士業界でどのように捉えられているか、興味深かった。特に、商品の販売コストに「ブランド力」を上乗せするヨーロッパの考え方と、大量生産により安価に良いモノを作るのが信条の日本的考え方(=結果としてノウハウすなわち知的所有権の価値を認めない)とを対比した構図は、非常に判りやすかった。
 また、企業の年次報告書に知的財産権の目録と評価を記載する「知的財産会計」の説明や、アメリカで最近導入されたという新会計基準では企業買収により入手した知的財産権を時価で評価し貸借対照表に計上する義務など、知識として有益な情報あり。
 さらに「主要国における意匠権維持件数」として、日本、米国、イギリス、オーストラリアは審査主義、フランス、ドイツ等は無審査主義を採用していること、意匠の存続期間がフランスで出願から25年(延長で最大50年)、ドイツは出願の翌日から5年(延長で最大20年)であることなど、各国による意匠制度の違いも勉強になる。
 日経あたりの下手で独善的な論調よりずっと面白くためになった。
 
情報元および関連情報:
・「士業の垣根も低くなる!!知的財産会計の導入で、日本の企業経営はどうなる!?」税理士事務所Channel(2002年6月)
・「知的財産の評価」パテント(2002年2月)
http://www.jpaa.or.jp/publication/patent/patent-lib/200202/index.htm
 
 
2002/05/28
 
1.最高裁判決:フェストCAFCルールは破棄
 話題の最高裁判決が下された。最高裁は全員一致でCAFCのコンプリート・バー(禁反言による均等論の完全排除)を破棄し、本件をCAFCに差し戻した。ざっと読んだだけなので、詳細はこの欄で追って補充しますが、要するにフレキシブル・バー(禁反言の柔軟適用)を適用することが理に適っているということのようです。均等論侵害の主張を制限する審査経過禁反言の適用は、CAFCの解釈したような絶対的なものでなく、特許権者によるクレーム補正の理由によって禁反言の適用自体が制限されることとなる。その意味で、特許権者側の立証責任が再確認されたとも捉えられる。
 ケネディ最高裁判事起草の判決によると、審査経過禁反言は先行技術を回避するためになされたクレーム補正に限られず、特許法の要件を充足するためになされたあらゆる補正に適用される。しかしながら、補正されたクレームに係る文言に対しては、すべての均等論侵害が禁反言により阻害されるものでない。
 審査段階での拒絶理由に対し、クレームの補正によって権利取得を(一部)断念するか、または審判を請求して不服を申し立てるかの途があり、これは出願人の自由である。もしCAFCの判示に従って、存続中のすべての特許権についてクレーム補正があればすべての均等物を放棄したとするのであれば、出願人もしくは特許権者に不利な結果となる。なぜなら、発明者は従前の法理に従ってクレームを補正しており、この行為がすべての均等物を放棄することになると知らないからである。もし知っておれば、この者は補正でなく審判請求で対応したかもしれない。
 ワーナージェンキンソン最高裁判決では、禁反言を生じる補正理由について特許権者側に立証責任を負わせることによって公平を図っている。同様に、具体的な均等物をクレーム補正によって放棄していないことの立証責任は特許権者が負う。特許権者がクレームを作成したのであるから、クレームの減縮補正を選択したことは一般的な放棄と推定することができる。この推定は、争点に係る均等物を文言上包含するようなクレームをクレーム補正の時点で作成することはできなかったであろう、と当業者が合理的に予期したことを特許権者が証明することによって、覆すことができる。
 本件ではフェスト社が禁反言適用の推定、および争点となっている均等物を放棄したとの推定に反証し得たか否かを判断する必要があり、CAFCに差し戻す。
 
 結果を見ると、本件とワーナージェンキンソン事件との共通性が目に付く。ワーナージェンキンソン事件では「均等論に死を」との要求に対し、最高裁判事は全員一致で均等論の存続を認め、CAFCに差し戻した。本件のフェスト事件でも同様に全員一致で、均等論完全排除を判示したCAFC判決は行き過ぎであるとし、たとえ禁反言が適用される状況においても均等論が適用される余地を残した。言い換えると、死に体の均等論を最高裁が再び救ったとも言える。この結果だけを見ると、最高裁判事は均等論による特許権の保護を尊重しているように見える。あるいは、均等論の解釈の広狭の「揺り戻し」が起こったとも言えるだろう。現在の米国の景気後退を考えれば、特許重視の方向に揺り戻しが起こっても不思議ではないし、米国の国益や国策に適うものと言えるだろう。
 さらにワーナージェンキンソン事件はCAFCに差し戻された後、クレーム補正の理由および特許権者による反証を審理するためさらに地裁に差し戻されている。そうすると、同じく112条拒絶に対するクレーム補正の理由を調べるためにCAFCに差し戻されたフェスト事件も、同様に地裁に差し戻される可能性があるように思える。そしてサーガは続く・・・
112条違反に対する拒絶で禁反言が適用されることは確認されているので、差し戻し審においては禁反言が適用されるという前提の元、フェスト社がクレーム減縮補正によっても均等物たるイ号を放棄していなかったことを証明できるか否かが問題となる。一方の被告燒結金属は、シーリングリングやスリーブの組成がいずれも審査記録に明記されていることから、フェスト社の立証を攻撃して勝てる望みはある。
 
実務上気になる点:
・文法的なクレーム補正
 日本人としては米特許法112条違反の拒絶理由、特に第2パラグラフ拒絶に対するクレーム補正が、果たして禁反言の引き金になるのか、という点が最も気になる。CAFC大法廷判決では、112条はおろか、101条も含め特許取得に関係するすべての補正理由が禁反言の対象になるかのような判旨であった。
 この点については、今回の最高裁判決は基本的にCAFCの判示を肯定している。すなわち、禁反言を生じる補正を引例回避の補正に限定せず、特許法の要件を具備するための補正すべてが禁反言を生じるとしている。ただし、112条違反がすべて特許性に関する補正であるとも断定していない。補正理由が本当に特許性に関するものかどうかを精査する必要があると言っている。
 とすると、112条違反でも、例えば誤訳の補正は特許性に関するものでないという主張は成立しそうである。もちろん基礎となる日本出願の明細書誤訳や英文法の誤りをなくすに越したことはないが、もし翻訳の問題から拒絶理由が発せられた場合でも、従前のとおり「この補正はクレーム明確化のために行うものであって特許性とは無関係である」云々といった定型文を意見書に盛り込んでおくことは必須であるし、そもそも誤訳を補正するための根拠として、日本の基礎出願を丸ごと米国出願中で援用する援用記載(incorporation by reference)の呪文を明細書中に含めておくことは言うまでもない。
 
・イ号を放棄していないことの証明
 今回の最高裁判決で要となるのは、均等の範囲がクレームに残っていることの挙証責任を特許権者に課したことと言えるだろう。すなわち、特許権者が均等論侵害で勝つためには、係争に係るイ号侵害品を、クレーム補正で放棄していないことを立証しなければならない。
 しかしながら、この証明は容易でないと思われる。クレーム補正を大きく分けると、引例回避のために行う実体的なものと、文書表現の明確化などの形式的なものに分けられる。いずれの補正にも禁反言が働く可能性があることは今回改めて確認された。
 まず実体的な補正の場合、引例と同様の技術を放棄したことは明らかであるが、引例とイ号が異なる場合に、果たしてイ号を放棄していないと証明できるだろうか?放棄していないことの積極的な証明は通常困難なので、放棄したのは引例に係る技術のみであってイ号を含めたその他の技術は放棄していないと消極的に証明するしかないだろう。また、その際にイ号と引例がどの程度異なるかの証明も必要となるかも知れない。この辺りはリットン対ハネウェルCAFC事件でも一部争われているし、またウィルソンスポーティング事件の仮想クレーム理論とも相通じる部分があるので、CAFCの過去の判例を検討、分析する必要がある。なお、日本のボールスプライン事件では、上記ウィルソンスポーティング事件を超えて、先行技術と同一の範囲のみならず先行技術から自明な範囲にも均等論侵害が認められないかのように判示されているが、併せて検討しても興味深いであろう。その場合は均等と自明性(進歩性)の議論を混同しないよう注意が必要であるが。
 さらに、方式的なクレーム補正であるが、上述したとおり特に英語が不得手な日本人にとっては避けることのできない補正であると言える。注意しなければならないのは、方式的な補正だから直ちにクレーム範囲を放棄したわけでないという議論は通らないことである。今回の判決で最高裁は、「たとえ記述を改善する目的のみであっても、112条補正が必要であってなおかつクレームの範囲を減縮するものであれば、禁反言は適用され得る」と述べている。このような警告がある以上、単に「方式的補正にすぎない」といった主張以外に、積極的な補正理由が欲しい。一番安易に思いつくのは、従来から行われている「クレームを明確化するための補正」との理由であるが、これとて万能でないことは既に判例が示している。つまり、「クレーム明確化」の補正理由が審査記録にあっても、現にクレームが引例回避等の理由から減縮補正されておれば禁反言は適用される。このようなことを考えると、定型文に頼るのは危険で事例毎にそれなりの補正理由を挙げておくことが理想としては望ましい。もちろん、今回の判決を受けてクレームの範囲を「放棄していない」旨の宣言は必要であろう。もしも侵害回避の代替例が出願からクレーム補正までに明らかになった、あるいは気が付いたならば、明確にその代替例を意見書中で列挙し、これらの均等物を放棄する意図がないことを明言しておく。しかし実際はそう簡単でないから、別の案として、権利者として不要な権利範囲を敢えて「放棄する」のはどうだろうか。例えば実施化の予定のない特徴を発明者やマーケティング部と相談の上決定し、これを放棄する旨を明確に宣言すると共に、他の範囲は放棄しないと意見書等で述べるのである。この方法ならば「積極的に」特定の範囲を放棄することによって、その代償として残りの範囲は保持するという意思表示がある程度明確になりそうに思えるのだが。実際上はどの範囲を放棄するか、その検討が作業の負担となりそうであるが、あくまでも一考察として挙げておく。
 
・最高裁の提示した反証の手法
 今回最高裁は、クレームを補正しても均等論の放棄とならない事例を3つほど挙げている。
(1)争いに係る均等物が出願の時点で予期できないものであったこと
(2)クレーム補正の根底にある理由が均等と無関係なものにすぎないこと
(3)その他、争いに係る非本質的な代替物(均等物たるイ号)をクレームに含めることを特許権者が予期し得なかったことを示す合理的な理由が存在すること
 以上に従って特許権者側がいずれかの事情を証明できれば、禁反言に反証が可能となる。(3)については、特に後段で「斯かる均等物を文言上包含するようなクレームを、当業者であればクレーム補正の時点で作成することはできなかったであろうと合理的に予期したことを特許権者が証明しなければならない」と言い換えている。
 クレーム発明の均等物、すなわちイ号をクレーム作成時に予期できなかった事実やその理由付けの証明によって、放棄されていないことを証明しようとするものである。特許権者がクレーム作成時に予期できなかったのであれば、特許権者が発明しなかったものを放棄できるはずがないから、均等範囲の放棄とならない、ということか。
 クレーム補正時に均等物を予見し得たか否かとの考え方は、「クレーム時に真空管しかなかったのに、特許後にトランジスタが開発されたら均等論で救済すべきか」という古典的な事例とも通ずる考えであるように思えるし、また先日の別件のCAFC大法廷判決であるジョンソン&ジョンストン事件の同意意見でレーダー判事の提案した「予見可能性テスト(foreseeability test)」とも一部共通するように思える。今後大いに議論される点であろうが、思うに問題となるのは特許権者がなぜ侵害品を文言上包含するクレームに補正しなかったのか、やろうとおもえばできたのだけれど意図的にあるいは過失でやらなかったのか、あるいは単にできなかったのか、このあたりの主観的な意図や客観的、技術的な背景を問われることになるかも?仮にそうだとすれば、補正段階でこのあたりの情報を用意しておく必要が出てくるかも。。。審査記録に補正理由を残す、具体的には意見書中で補正理由を明確にするというのは、さんざん言われてきた実務である。これに加えて、補正理由に関連する必要な証拠を出願人側のファイルに残しておくというのはどうだろう。例えば、発明者との打ち合わせの記録やそこで出てきた代替クレーム案、検討した文献など。ただ、不利になる証拠も当然出てくる。例えば先行技術回避に関する情報は、回避しようとした先行技術と同一のものは均等論でカバーされなくなる可能性が極めて高い。あるいは競業他社の商品をカバーするためにクレームを補正したとなると、恣意的になり客観的な意味合いは薄れる。また一方、均等論侵害が無過失責任であることはワーナージェンキンソン事件で判示されているから、これとのバランスから特許権者の意図をどこまで考慮するかを検討する必要もある。難しい。。。
・他の判例との関係
 色々考えている内に、CAFCの別の先例との共通性が気になってきた。均等論に関する別の論点を扱ったジョンソン&ジョンストンCAFC大法廷判決では、明細書に開示しておきながらクレームしなかった事項は放棄と見なされ、均等論侵害は及ばないとされた。この場合、出願人が本来クレームできたにも拘わらず、クレームしないことを選択したと捉えることができるから自ら権利取得を放棄したと解釈することができる。この逆に、本件では上記(3)において、出願人が本来クレームすることを想到できなかった場合に均等論侵害が認められる、としている。そうすると本件とジョンソン&ジョンストンCAFC判決は表裏の関係にあるとも言える。
 クレーム補正時にイ号をクレームする途を出願人側が認識していた(あるいは認識することが可能であった)か、できなかったかの証明を客観的にすることになると、やっぱり難しい。。。
 また、ワーナージェンキンソン最高裁判決を受けてCAFCで判決されたリットン対ハネウェル事件の差し戻し審では、まさにフレキシブルバーが採用されていた。あの事件、実は非常にエポックメイキングな判決だったのでは。リットン事件でCAFCは、禁反言が適用されても未だ均等の余地があるとして、地裁に差し戻した。折角最高裁が均等論適用の制限を明確にした一見するとシンプルな判示をしたのに、なんでCAFCは均等論を再度引っかき回すような判示をしたのか、という意見が当時あったし、フェストCAFC大法廷判決ではその点を反省していたような節もあった。結局のところ、CAFCによって葬られたかに見えたリットン判決的なアプローチが、今回のフェスト最高裁判決によって甦ったということになる(正確に言えば今回の最高裁判決はリットンCAFC判決でいうフレキシブルバーともちょっと違うのだが)。
 リットン事件を見直すと、被告ハネウェルが最高裁の判示は補正が一つでもあれば均等一切無し(any-amendment, no-equivalents)のコンプリートバーであるとの主張に反対して、フレキシブルバーを適用していた。最終的に和解になってしまったので、複雑な技術に関するクレーム解釈は確定されないままであるが、実際にクレーム解釈する過程が参考になるかも。特にニューマン判事が当時出した反対意見では、非常に詳細な技術論の解釈が行われていた。またリットン同様にヒューズ・エアクラフト対米国政府事件でもフレキシブルバーを適用して均等論侵害を維持した。これらを眺めていると、クレーム解釈のみならず、均等論が迷走している歴史的過程が見えて面白い。
 
興味のある点:
 最高裁はCAFC大法廷判決の多数意見を拒絶したわけだが、ニューマンCAFC判事他の反対意見や同意意見は、今回の最高裁判決でどれだけ採用、参酌されたのだろう?また最高裁判事も全部読まなかった(おいおい)という多数提出されたアミカスブリーフの効き目はどのくらいあったのか?弁護士に提出依頼した費用対効果は?そして今回の判決で最も得をするのは誰か?(S弁護士による回答例:成功報酬ベースで働く「スマートな」弁護士。理由:コンプリートバー・ルールだと、クレーム補正があれば均等論無しという単純な図式なので素人目にも裁判の結果が判りやすい→そうすると白黒がはっきりし過ぎて裁判にならない→弁護士の仕事が減る。もっといえば灰色を白や黒にする弁護士の出番がなくなる→やはり裁判はグレーであった方がよい。グレーがあるから裁判になる→フレキシブルバーなら、クレーム補正の理由を調べないと均等の範囲が判らない。弁護士の判断が必要になる。また争う余地もできる。裁判になる→弁護士の出番が増える←戯れ言ですので怒らないで・・・)
 
謝辞:
 なお、本件については多くの方から情報をいただきました。特にランディ・スミス弁護士は判決文をファックスしてくれた上、電話までいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
 
2002/06/02追加:
 自分でもどこを加筆修正したか判らなくなってきたので、別項目を立てます(^_^;)
 フェスト最高裁判決では、予見可能性を基準とすることについて、米国政府すなわち司法省の提案に同意すると述べている。この提案は、司法省の他、IEEEのアミカスブリーフにおいても提案されている。口頭弁論の際、米国政府を代理してウォレス司法次官補がどのような主張をしたのか、再確認することにする。(以下検討中)
 
2002/07/29追加:
 青山特許事務所主催のセミナーは非常に有益だった。ハーネス・ディッキー・ピアース事務所のスタブス、デイリー弁護士によれば、「予見可能性」基準として最高裁が提示した3つの具体例の内、2番目が最も活用できるという。すなわち、クレーム補正の理由が均等物と殆ど関係がない(tangential reration)ことを立証できれば、均等論侵害の主張が可能となる。これが立証できるように、クレーム補正時の意見書等で補正理由を「どのような理由から引例との差別化を図っているのか」を述べておく。
 
2002/08/07追加:
 特許権者に対する新たな反証が課された「予見可能性」基準について、直ぐに思いつくのは特許後に新技術が開発された事例(after ariging technology)であるが、一方でこのような状況では逆均等論(reverse doctrine of equivalents)の抗弁が利用可能となる可能性もあるという。
 
2002/08/20追加:
 IPワールドワイド誌による知財分野の有識者20名へのアンケート
1)最終的にフェスト事件で勝ったのは誰?
2)均等論に関して振り子はどっちに振れている?
3)最高裁はフェスト判決でCAFCをどのくらい非難したか?
4)フェスト社に雇われたロバート・ボーク弁護士は特許訴訟弁護士としての将来はあるか?
 アメリカなので意見は十人十色。誰もイエス/ノーの無粋な回答をしていない。ディケンズの「荒涼館」を引用するあたり、洒落てます。
 私見を交えるなら、
1)将来を見ないとまだ判らない、
2)一見すると特許権者側有利、でも立証義務は厄介
「鶏は、本当はアヒルのクレームであってもびびる。でもアヒルの特許を持ってる権利者は鶏なんて想像したこともないって証明しなきゃならない」
The chicken faces the risk of a claim that it's really a duck, but the guy with the duck patent has to prove that he never could have imagined a chicken.
-- James Pooley, Milbank Tweed
3)相当紛糾していることはホームズ事件からも見て取れる。でもCAFCはどのみち非難されることに慣れてるとか、最高裁との見解の相違は本来的に存在するという意見も。両者の見解の相違を危惧と捉えるよりも、CAFCのタフさみたいなものを認めている(期待している)冷静さに驚いた。
「そもそも管轄毎の意見の相違がない特許事件では、CAFCに同意するために最高裁が事件を取り上げる意味はない訳だから、結果的にCAFCの判断が覆る率は高くなる。」
I do not see it as a rebuke. Because Federal Circuit cases rarely involve a conflict between circuits, the Supreme Court has little reason to take a case where it expects to agree with the Federal Circuit, and there inherently will be a high reversal rate.
-- Don Martens, Knobbe, Martens, Olson & Bear (Newport Beach, Calif.)
4)特許法に精通されてはおられないようです。
 
・Victoria Slind-Flor (IP Worldwide), "'Festo' Presto." Law.com (August 15, 2002)
http://www.law.com
 
2002/09/02追加:
 フェスト最高裁判決が出る前に、すなわちCAFC大法廷判決の段階で書かれた記事ではあるが、AIPPI月報2002年3月号のアンディ・ミークル弁護士(BSKB)の記事は、最高裁の後でも実務に使えそうなテクニックを教示してくれている。
 審査段階でクレーム補正を行う際、意見書において補正を説明するときにはクレームの特徴でなく、引例の説明に注力する。特に、引例が開示していないことを説明することにより、引例とクレーム発明との差別化を図り、一方で特許後においてクレーム解釈の限定に利用される事態を極力避けることができる。また引例を説明する際には言い換えをせず、引例に書かれている説明をそのまま引用する。もちろん、このような説明は必要最小限に止める。効果を3つも列記しなくても、1つの効果で十分反論できる場合はこれに懸ける。
 また、ターボケア事件での、本来黙示的に含まれていたクレーム限定を明示的に示しただけであるからクレーム減縮に当たらないというクレーム理由の理由付けは、そのまま使えるかもしれない。
 
・Andrew D. Meikle「最近のCAFC判決において検討された米国における特許性および侵害の争点」AIPPI Vol.47 No.3(2002年3月)
 
 
情報元および関連情報:
Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co., et al., No. 00-1543 (U.S. 2001).
http://laws.lp.findlaw.com/us/000/001543.html
http://laws.findlaw.com/us/000/00-1543.html
http://a257.g.akamaitech.net/7/257/2422/28may20021100/www.supremecourtus.gov/opinions/01pdf/00-1543.pdf
===================================
Held: Prosecution history estoppel may apply to any claim amendment made to satisfy the Patent Act's requirements, not just to amendments made to avoid the prior art, but estoppel need not bar suit against every equivalent to the amended claim element.
 
...We agree with the Court of Appeals that a narrowing amendment made to satisfy any requirement of the Patent Act may give rise to an estoppel.
   Petitioner contends that amendments made to comply with 112 concern the form of the application and not the subject matter of the invention... In these cases, petitioner argues, the applicant has no intention of surrendering subject matter and should not be estopped from challenging equivalent devices. While this may be true in some cases, petitioners argument conflates the patentees reason for making the amendment with the impact the amendment has on the subject matter.
   Estoppel arises when an amendment is made to secure the patent and the amendment narrows the patents scope. If a 112 amendment is truly cosmetic, then it would not narrow the patents scope or raise an estoppel. On the other hand, if a 112 amendment is necessary and narrows the patents scope even if only for the purpose of better description estoppel may apply. A patentee who narrows a claim as a condition for obtaining a patent disavows his claim to the broader subject matter, whether the amendment was made to avoid the prior art or to comply with 112. We must regard the patentee as having conceded an inability to claim the broader subject matter or at least as having abandoned his right to appeal a rejection. In either case estoppel may apply.
 
...Each time the Court has considered the doctrine of equivalents, it has acknowledged this uncertainty as the price of ensuring the appropriate incentives for innovation, and it has affirmed the doctrine over dissents that urged a more certain rule.
...The equivalent may have been unforeseeable at the time of the application; the rationale underlying the amendment may bear no more than a tangential relation to the equivalent in question; or there may be some other reason suggesting that the patentee could not reasonably be expected to have described the insubstantial substitute in question.
In those cases the patentee can overcome the presumption that prosecution history estoppel bars a finding of equivalence. This presumption is not, then, just the complete bar by another name.
Rather, it reflects the fact that the interpretation of the patent must begin with its literal claims, and the prosecution history is relevant to construing those claims.
When the patentee has chosen to narrow a claim, courts may presume the amended text was composed with awareness of this rule and that the territory surrendered is not an equivalent of the territory claimed.
In those instances, however, the patentee still might rebut the presumption that estoppel bars a claim of equivalence.
The patentee must show that at the time of the amendment one skilled in the art could not reasonably be expected to have drafted a claim that would have literally encompassed the alleged equivalent.
・井上雅夫「FESTO均等論・禁反言事件最高裁判決」プログラム関連米国判決集(2002年6月5日)
http://www.venus.dti.ne.jp/~inoue-m/bm_020528Festo.htm
 最高裁自体は特許の専門家でないため、最高裁判決はCAFC判決に比して概して読みづらい。その決して平易でない判決文を日本語に訳していただいたこのHPは有用。
・来栖和則「フェスト事件の最高裁判決の全訳文」来栖国際特許事務所(2002年6月5日)
http://homepage2.nifty.com/kurusu-patent/information_fest_case_by_supreme_court.htm
 同じく、弁理士によるフェスト判決の全文訳。要約まで訳されている。
・Tony Mauro (American Lawyer Media), "U.S. Supreme Court Vacates 'Festo' Decision:High court rules claim amendments don't preclude application of doctrine of equivalents." Law.com (May 29, 2002).
http://www.law.com
 ケネディ最高裁判事の顔写真付き。今回フェスト側の代理人となったロバート・ボーク弁護士は元ソリシター・ジェネラルだったと記憶している。例のニクソン大統領のウォーターゲート事件の際に「土曜日の虐殺」の後始末をやった男。そして最高裁判事の指名を受けながら、あまりに保守的なため議会の承認を得られず判事になれなかった(指名を受けたのに任命されなかった希なケース)。その結果、ボーク氏に代わって最高裁判事となったのが、今回判決を書いたケネディ判事。
 私の記憶があいまいなので、間違ってたらご免なさい<_o_>
  注:ソリシター・ジェネラル(solicitor general):司法省法務次官。訴務局長(attorney general(司法長官)を補佐する行政官。連邦最高裁判所において連邦政府の代理人として訴訟遂行に当たる。)リーダーズ英和辞典第2版より。
・"Supreme Court Disagrees With Federal Circuit's 'Complete Bar' Rule for Patent Doctrine of Equivalents." IPO Daily News (May 29, 2002).
http://www.ipo.org/whatsnew.html#may29
 大半の報道では、フェスト社(ドイツ企業の米法人)の技術がロボット工学に使用されるものであると紹介されていますが、IPOはわざわざ判決文から引用して「ミシンやディズニーワールドのサンダーマウンテンにも使われる」ことに言及しています。最高裁はどうでもいいこととしていますが。
・"Patent Equivalents Infringement Not Completely Barred for Amended Claims." 64 Pat.TM&Copyright J. 98 (May 31, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/324212A7951F52E885256BC8004C11A5?OpenDocument
・Ernest Schaal, "THE PATENT CRIB SHEET: Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co." (May 31, 2002).
・"Patent Protections Upheld By Supreme Court." FindLaw Top Headlines (May 28, 2002).
http://news.findlaw.com/news/s/20020528/courtpatentsdc.html
・藤野仁三(日本技術貿易lP総研企画部長)日刊工業新聞「実例にみる知的財産権問題 フェスト最高裁判決 高裁判決を破棄、差し戻し」特許時事ニュース(2002年6月6日)
http://www.webstar.co.jp/article/article48.htm
 バランスのとれた報道
・"ABA IP Section OKs Resolution For First-to-File Patent System." 64 PTCJ 222 (July 12, 2002).
 ABA知的財産権部門のパネルディスカッションにおけるメリーランド大学ロースクール、ローレンス・サン教授(Professor Laurence Sung of the University of Maryland Law School)のコメント。
 
 
2002/05/21
 
1.特許訴訟賠償額
 インターネットパテントニュースが特許訴訟の賠償額リストを更新。これによればトップは2000年のスナップトラック対クアルコムで、クアルコムがスナップトラックを10億ドルで買収して決着。2位はお馴染みポラロイド対イーストマン・コダックの8億7300万ドル。なお一時は史上最高とランクされていたリットン対ハネウェル事件の12億ドルの陪審評決は、最終的に4億2千万ドルをハネウェル社が支払うことで和解。ちなみに1992年のハネウェル対ミノルタ事件では、ハネウェル社はミノルタから1億2700万ドルのライセンス料を得ている。
 これらのデータは報道に基づくものですから、真偽のほどは不明です。また報道されていないライセンスも当然ながら相当量あるでしょう。レメルソンが一体いくら稼いだのか・・・
 
情報元および関連情報:
・"Patent infringement lawsuits/licensing awards." www.bustpatents.com
http://www.bustpatents.com/awards.htm
 
 
2002/05/20
 
1.DeCSSに違法判決
 DVDのスクランブルを解除するハッキングツールDeCSSの公開自体と、公開サイトにリンクを張ることがデジタルミレニアム著作権法に違反するか否かが争われた事件で、第2巡回区連邦控訴裁判所は公開およびリンクを違法としたニューヨーク州連邦地裁判決を維持し、さらに今回大法廷での再審理申し立てが棄却された。本件は「表現の自由」との絡みで活発に議論され、同時にデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の問題点が浮き彫りにされた。
 
情報元および関連情報:
・Lisa M. Bowman,ZDNet/USA「DVDコピーツールの公開許さず――再びの判決」ZDNN(2002年5月20日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0205/20/ne00_decss.html
・Evan Hansen, ZDNet/US「DVDコピーツールは公開禁止――映画産業の勝利」ZDNN(2001年11月30日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0111/30/e_decss.html
Universal City Studios Inc. v. Corley, 273 F.3d 429 (2d Cir. 2001).
http://pub.bna.com/eclr/009185.pdf
・petition for en banc review
http://www.eff.org/IP/Video/MPAA_DVD_cases/20020114_ny_2600_appeal.html
・"Free Speech: California High Court to Consider Whether Constitution Protects Web Posting of DeCSS," Computer Technology Law Report Volume: 03 Number: 05 (March 01, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/214A8554F861D1F285256B7600696F19?OpenDocument
・"THE DIGITAL MILLENNIUM COPYRIGHT ACT OF 1998, U.S. Copyright Office Summary." U.S. Copyright Office (December 1998).
http://www.loc.gov/copyright/legislation/dmca.pdf
 
 
2002/05/19
 
1.弁理士試験
 今年の弁理士試験について、19日に実施された試験問題は特許庁のホームページにて公開されている。合格者の発表は29日に発表済。
 
情報元および関連情報:
・「弁理士試験情報」日本特許庁
http://www.jpo.go.jp/info/benrisi.htm
 
 
2002/05/15
 
1.ドイツ特許制度の歴史
 業界の先輩に新刊「近代ドイツの特許と企業者活動」をお借りして読んだ。ドイツ特許制度の変遷にジーメンス社が深く関わっていたことがよく判った。特に職務発明の取り扱いに苦慮した様子が見て取れる。
 日本においても特許法35条の改正が議論されており、ドイツにおける詳細なガイドラインが少なからず引用されているのはご存じのとおり。ただし知財協によれば否定的な見解。
 
情報元および関連情報:
・木元富夫「近代ドイツの特許と企業者活動−鉄鋼・電気・ビール経営史研究−」泉文社
 ドイツといえばビール、というわけで、ビール関係の歴史も紐解いており興味深い。
 ビールの冷凍機について、「後にドイツ特許庁が『ドイツ特許史上もっとも人類に貢献した特許』8つのうちの1つにこの冷凍機をあげているのもむべなるかなといえよう」
 さらに「下面発酵酵母の単細胞分離による純粋培養に成功したが、これはビール産業だけでなく微生物化学工業の近代化における金字塔とされている」
 「フランスのパスツールがワインの酸敗防止の研究から生み出した低温殺菌法である。勿論この方法はビールにも応用されるようになり、これによってビールは瓶詰めして長期保存することが可能となった。この2つとリンデの冷凍機の発明は、近代ビール産業史における3大技術革新とされている」
・「特許法第35条 職務発明規定についての提言」日本知的財産協会(2001年12月7日)
http://www.jipa.or.jp/opinion/35.pdf
===================================
...実際に、日本と同様な職務発明制度を採用しているドイツでは、政府が補償に関してかなり詳細なガイドラインを定めている。ところが、ドイツ産業界は当該ガイドラインの運用に関して紛争が多発し、非常に困惑しているようである。
 ドイツの産業界約800 社を対象とした「被用者発明法に関連する問題点についてのアンケート(1998 年)」(注)によれば、年間50 件以上の発明出願がある会社においては、報酬額に関する係争問題を抱えているところが86%、発明者相互の係争問題(共同発明、報酬額に繋がる発明の割り当て)については75%、報酬規定の問題(出願、権利主張、保護権の維持・放棄等)については41%などとなっている。これらの問題に起因して、情報の流れが悪くなり技術革新が阻害されていると指摘されている。また、法律がもたらす硬直的な対応により、著しい人件費や関連コストがかかり、競争力強化に向けた会社の活動の自由を制約している。この制度は大変煩雑で、承継手続き、補償金算出(額の決定手続き、算出の方法)等について、発明毎に個別に発明者の合意を得ながら確定している。こうした諸問題に対して全会社の69%が法改正を求めており、年間50 件以上の発明出願がある会社では89%に上る。
 労働力移動の自由化を含めた域内統合が本格化しているEUにおいても、会社によっては、紛争が多発する補償金問題を理由にドイツに研究所を設置することに消極的になっているといわれている。
 このようなドイツの例を見るまでもなく、その基準の作成、運用方法、不服申立の方法等をあらかじめ整えるのは大きな負荷がかかるだけでなく、どのような精緻な基準を用意しても、実際の運用の段階では、争いが絶えないと思われる。
(注)『被用者発明法に関するドイツ産業団体連邦連合会とドイツ使用者団体連邦連合会の研究(1998 年)』からの抜粋(出典:1999 年4 月、ドイツ企業弁理士会会合におけるDr.クラウス・デンナー氏(バイエルAG 社工業所有権部門の法規責任者)の当該研究に関する講演録)。
・「職務発明規定の改正に関する見解」日本弁理士会(平成14年3月31日)
http://www.jpaa.or.jp/ip-information/syokumuhatumei_wg/opinionasjpaa/01_syokumuhatumei-jpaakenkai.htm
===================================
...考慮すべき要素が多すぎて、ドイツのように完全を期そうとすると、紛争が多発し、非常に困惑しているという指摘(注4(3))もあるが、ドイツでもそれほど問題なっていないという話も聞く
 
 
2002/04/25
 
1.中古ゲーム販売は合法
 最高裁が上告を棄却したため、事件は確定。最高裁第一小法廷、井嶋一友裁判長。
 
情報元および関連情報:
・白倉資大「中古ゲーム・ソフト販売は『合法』,最高裁が判決を下す」NEデジタル家電(2002年4月25日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/d-ce/2002/04/1000012234.html
・田中一実「実に“素直”な最高裁判決――中古TVゲーム裁判」日経ITPro(2002年4月27日)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20020427/1/
===================================
...すでに4月15日時点で最高裁が「口頭弁論を行わない」としていたことから,中古ゲーム販売店側の勝訴がほぼ確定していた。
...判決は最高裁第一小法廷の5人の裁判官全員一致で出されたものだ。記者は「もしかすると,1人くらいは補足意見をつけてくるかも知れない」と予想していたが,見事に外れた。
...さらに判決では「ゲーム・ソフトも映画の著作物であるから,もちろん著作権者に頒布権がある。しかし正当な方法でゲーム・ソフトを販売したら,その時点で頒布権は消滅する」との判断を示した。これは特許権の取り扱いを,そのまま著作権にも適用したものと考えることができる。(←用尽という意味?)
...さて,今回の判決の対象となったのは家庭用テレビ・ゲーム・ソフトである。しかしこの判決,実際にはマルチメディア著作物の流通に関して非常に大きな影響を与える可能性が大きい。判決を要約すると,「大量生産・大量販売される複製物の一つひとつは,家庭など少人数で視聴するものなら,著作者の頒布権は販売時点で消滅する」となる。これは,全てのパッケージ販売のソフトについて,中古品の自由流通が合法である,と解釈できる。(←こう書くと、ワープロなどのビジネスソフトまで対象になるように聞こえますが、本当?)これはソフト販売店側弁護団の藤田康幸弁護士も指摘していることであるが,例えば,DVDに収録されたビデオ・ソフトにもこの考え方が適用される。
...すると「新品の売上に響くのでは」というのが,映画・ビデオ業界の見方のようだ。判決直後に日本映像ソフト協会と日本映画製作者連盟が連名で各報道機関に対して「判決は映像ソフト・映画製作者として遺憾」との声明文を配布したことに,その危惧の大きさが表れている。
さらに判決では「著作物は最初に販売する時点で投資を回収すべき」との考えを示した。
 
 
2002/04/23
 
1.CAFC判決:審査経過禁反言は親子関係にない出願に適用されない
 アボット・ラボラトリーズ対デイLP事件において、CAFCはクレーム解釈に際して係争対象特許よりも先に出願された親子関係にない関連出願の審査経過を参酌しないと判示した。
 関連出願の審査経過がどこまで検討されるかは重要な争点であり、一般には子出願のクレーム解釈に親出願の審査経過を参酌されるおそれがあるといわれている。(対応する外国出願の審査経過については判例が確立されていないが、注意は必要)
 本件においては、先に出願された特許出願は本件特許と関連する技術であり、権利者は同一企業で発明者も一部重複しているが、継続出願でも一部継続出願でも分割出願でもない。よってCAFCはこの出願の審査経過を直接参酌した地裁判決は誤りであると判示した。
 均等論を制限する方向に審査経過を厳格適用していたCAFCが、フェスト最高裁審理にびびって(?)若干緩和する方向に修正しつつあり、その風潮に沿った判決といえる。特許権者側には久しぶりに嬉しいニュースかも。
 
情報元および関連情報:
Abbott Laboratories v. Dey L.P., No. 01-1374 (Fed. Cir. 2002).
 
・"Prosecution History of Initial Patent Does Not Apply to Later Improvement." 64 Pat.TM&Copyright J. (May 03, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/0042DC4BE8CCC5EA85256BAC004AFE9F?OpenDocument
 
 
2002/04/22
 
1.標準化技術と特許
 ebXML関連技術について、米IBM社が特許を1件取得、1件出願中であるが、ロイヤリティの徴収をしないと発表。
 
情報元および関連情報:
・「ebXML関連特許,IBMはロイヤリティを徴収しない方針」ZDNetNews(2002年4月22日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0204/22/e_ibm.html
===================================
...標準に採用される技術に関して,企業がロイヤリティを徴収することができるか否かという点について,業界では半年ほど前から議論が起きている。例えばWorld Wide Web Consortium(W3C)は,標準に採用された技術に関して,企業が特許使用料を請求できる仕組みの提案を行って物議をかもしたが,その後,この提案から後退姿勢を見せている。W3Cは,この件をめぐる最終判断を年内に下す見通し。W3C標準は「特許権で保護された技術を用いない」か,「標準が広く採用されることを期待して,特許保有者が特許権を主張しない」かのどちらかであることが多い。
 “妥当かつ非差別的”(Reasonable And Non-Discriminatory)なライセンスの略で「RAND」とも呼ばれるW3Cの提案に反対する人々は,もしこれを許せば,標準策定に深く関わる大手のソフト企業が,あまりに大きな権力を握ることになってしまい,特許技術を含んだ標準を使うユーザーが特許保有者へのロイヤリティ支払を余儀なくされる,と主張している。こうした人々は,「標準に使われる技術は,特許使用料の支払いを免れるべき」との考えだ。
 
 
2.エストラージ改良版
 EP公報ダウンローダE'Storageがアップデート。バージョンは1.50ベータ1→ベータ2ときて、現在1.51。しかし残念ながらサイト自体は未だ閉鎖中。
 
情報元および関連情報:
 
 
2002/04/19
 
1.「ブランコの揺らし方」特許の報道に見る記者の知識
 「パッティング方法」よりもさらにおかしなビジネスモデル特許が認められたというロイター発のニュースだが、特許庁批判の中に色々勉強になる記述を発見。例えばIBMは旅客機内のトイレ予約システムの特許を取得したとか、米特許庁では週に3000件、年間18万7000件の特許が発行され、却下されるのは400件程度!だとか(米特許庁の広報担当Brigid Quinn氏談とある)、バックログが25カ月分ある、などなど。
 流石ロイター、ちゃんと調べている。日本の報道の中には、明らかに特許に関する知識が不十分と思われる報道が散見される。見倣って欲しいところ。
 
情報元および関連情報:
・ロイター「『ブランコの揺らし方』で特許」ZDNetNews(2002年4月19日)
http://www.zdnet.co.jp/news/reuters/020419/e_kidspatent.html
===================================
...この特許は4月9日付けで発行され,米国特許番号は6,368,227。「ほぼ水平に生えている木の枝から吊り下げられ,2つの鎖で作られた標準的なブランコに乗る人は,左右の鎖を交互に引っ張ることにより,ブランコを横方向に揺らすことができる」という技法に関するもの。
...知的所有権の専門家らは,この特許は明らかに発行されるべき性質のものではないが,予算に乏しく,週に3000件もの特許を発行している当局側のこうした手違いは避けられないこともあると言う。
米特許庁の広報担当,Brigid Quinn氏は,特定の発明の利点についてコメントすることはできないとしながらも,年間発行される18万7000件の特許のうち,却下されるのは400件程度だと話す。
...ブッシュ政権は特許商標庁の予算を21%増やす予算案を提出している。これは国防に関わらない政府機関の予算増加分の平均3%をはるかに上回る。また同政権は,特許出願料を19%値上げする予算案も提出している。これにより,特許庁には4500万ドルが,政府に1億6200万ドルが入ることになる。
 
 
2002/04/17
 
1.パテントエージェント試験
 米パテントエージェント試験が実施された(はず)。受験された方、お疲れ様でした。未だ米特許庁のホームページでは試験問題が公開されていません。
 
情報元および関連情報:
・"Office Of Enrollment And Discipline." USPTO
http://www.uspto.gov/web/offices/dcom/olia/oed/
 
 
2002/04/16
 
1.インターグラフとインテルが和解
 ライセンスに関する重要判決の一つ。ちょっとややこしいが、和解したのはアラバマ州連邦地裁のケースで、一方テキサス州連邦地裁のケースは進行中。ただし、「予定損害賠償額」で合意しているという。
 
情報元および関連情報:
・「米インテルが米インターグラフとの特許係争に終止符,和解金3億ドルを支払う」日経ITPro(2002年4月16日)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20020416/1/
・NE ONLINEセンター「Intel社とIntergraph社,特許侵害訴訟で和解(発表資料要約)」(2002年4月17日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/DSP/2002/04/1000012017.html
===================================
...テキサス州マーシャルの米連邦地方裁判所での特許訴訟は,予定通り手続きが行なわれるが,両社は,控訴の場合も含め,裁判の結果に応じた予定損害賠償額で合意している。この予定損害賠償金は,Intel社が勝訴した場合のゼロから,Intergraph社が勝訴した場合の1億5000万ドル,Intergraph社が控訴により勝訴した場合の2億5000万ドルまでの範囲。
 
 
2002/04/09
 
1.ファイルローグに仮処分
 ファイルローグの運営を行うMMOに対し、東京地裁はMP3ファイル交換禁止の仮処分が申し立てから約70日でスピード決定。裁判長は29部の飯村敏明判事で例のiマック仮処分事件と同じだったと思う。
 
情報元および関連情報:
・永井学(日経ネットビジネス)「東京地裁,“日本版ナップスター”に仮処分,ファイル交換差し止め『ファイルローグ』、4月16日にサービス停止へ」ITPro(2002年4月9日)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NNB/NEWS/20020409/1/
===================================
...日本MMOの代理人である東京平河法律事務所の小倉秀夫弁護士は「今回の決定には驚きを禁じ得ない。東京地裁は仮処分決定の中で、日本MMOがMP3ファイルなどの送信可能化を主体的に行っていると認定した。これは大きな誤認だ。このままでは金輪際、業者がPtoPサービスを日本で提供することができなくなる」と語る。
・平成14年(ヨ)第22011号著作隣接権侵害差止請求仮処分命令申立事件
 相当長い。米ナップスターとの差異について対比説明あり。ナップスター事件の経緯を日本語で確認できる。
・平成14年(ヨ)第22010号著作権侵害差止請求仮処分命令申立事件
・牧野和夫「東京地裁の日本MMO社に対する仮処分決定と今後の見通し」日経ネット(2002年4月18日)
http://it.nikkei.co.jp/it/dco/thursday.cfm
===================================
...仮処分手続きは、民事訴訟の結論(判決)を待っていては、権利者側の損害が拡大する惧れがある場合に、裁判所が仮に一定の行為を禁止する手続きである。一般に、仮処分手続きを認めることにより一定の行為を禁止される当事者の損害も大きいことから、仮処分手続きを認めるかどうかの審査基準は、正式な民事訴訟より厳格であると言われている。したがって、仮処分が認められれば、本訴の民事訴訟でも同様の結論が出る可能性が高いといえよう。逆に仮処分が認められない場合には、本訴の民事訴訟でどちらの結論が出るか分からないといえる。なお、仮処分を申立てた当事者に対して、その後の抗告や本訴で原告が敗訴した場合の被告に対する損害賠償義務を担保するための保証金を積ませる場合が通常多いといわれている。
・永井学(日経ネットビジネス)「PtoPビジネスに暗雲――『日本版ナップスター』差し止めが意味するもの」ITPro(2002年4月19日)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20020418/1/
===================================
...東京地裁は仮処分決定の理由として,(1)利用者がファイルを公衆送信するには,ファイルローグのクライアント・ソフトのダウンロードや起動が不可欠,(2)ファイルのリストの内容確認に日本MMOのサーバーが不可欠,(3)サービスの利用方法について自社のWebサイトで説明している,などを挙げている。
 これらの理由から「送信者が本件各MP3ファイルを含めたMP3ファイルの送信可能化を行うことは債務者の管理の下に行われること,債務者も自己の営業上の利益を図って,送信者に上記行為をさせていたことから,債務者は,本件各レコードの送信可能化を行っているものと評価できる」とした。この中で債務者とは日本MMOのことを指す。
 疑問点はここだ。「送信可能化権」とは,著作権法上でレコード会社など著作隣接権者に認められている権利である。例えばWebサーバーにファイルを置くなど,ネットワーク上などで他者に創作物を送信できる状態にすることを指す。この決定の中では,東京地裁が送信可能化を行ったのは,PtoP事業者と判断したことになる。
 そして,米国の著作権法には送信可能化権はない。つまり,この考えに基づくならば「国内では,ユーザーがやり取りするファイルに著作権を侵害したものが含まれている場合,送信可能化を行ったPtoP事業者も著作権を侵害したと見なされる可能性がある」ことになる。これはPtoP技術を活用したビジネスを企図している企業にとって大きなリスクだ。引いては,日本でPtoPビジネスが立ち上がらない可能性がある。
...むしろ音楽業界に期待したいのは,多くの識者が指摘するように,ファイル交換サービスを流通チャネルの一つととらえ,新たなネットビジネスを作ることだ。かつて激しく音楽業界と対立し,今では共生関係にある貸しレコード業において,1984年の著作権法改正で「貸与権」を導入した先例がある。PtoPビジネスにおいて新しい共生の道を見つけることは不可能ではないと考える。
 
 
2002/04/05
 
1.シンボル対レメルソン事件の再審理請求却下
 IPOデイリーニュースより。サブマリン特許に対して審査懈怠論を初めて認めたシンボル対レメルソンCAFC判決に対し、レメルソン側が請求していたCAFC大法廷合議による再審理請求が却下された。反対意見を書いたニューマン判事の他、ローリー、レーダー判事は再審理受理を支持、ミシェル、シャル、リン、ダイク、プロスト判事は棄権。この決定自体は非先例扱いだから、短いものだろう。
 次は上告・・・果たして、ひっくり返るかどうか・・・
 
情報元および関連情報:
・"Court Denies Lemelson Petition for Rehearing En Banc." IPO daily News (April 4, 2002).
http://www.ipo.org/whatsnew.html
Symbol Tech., Inc., et al.,v. Lemelson Med., Educ. & Research Found., Ltd. P'ship, 277 F.3d 1361, 61 USPQ2d 1515 (Fed. Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/Symbol_v_Lemelson.htm
 
 
2002/04/01
 
1.PCT改正
 PCT規則改正により、国内段階移行期間が国際予備審査の請求に拘わらず優先日から30月となる。ただし、国内法が改正された国のみ。米国は改正済、日本は未だ(来年度上程)。
 米国においては、4月1日の時点で係属している(まだ20ヶ月経過していない)PCT出願が対象。
 なお、その後オーストラリアは2002年4月1日より、国際予備審査請求の有無に拘わらずPCT22条に基づき優先日から31月の国内段階移行期限とする旨を国際事務局に通知した。
 
情報元および関連情報:
・「PCT第22条(1)の変更に伴う『20ヶ月国内移行期限の撤廃』について 〜PCT国際出願に関して、20ヶ月の国内移行期限が撤廃され、一律30ヶ月になると聞きましたが、新しい手続は、いつから、どのように変更されますか? 〜」日本特許庁国際出願課(2002年3月27日)
http://www.jpo.go.jp/shoukai/1403-040.htm
===================================
 平成13年(2001年)10月に開催されたPCT同盟総会において、特許協力条約(PCT)第22条(1)の変更が採択され、PCT国際出願にかかる20ヶ月の国内移行期限が撤廃されることとなりました。つまり、PCT国際出願が指定国に移行するための「国内移行期限」は、国際予備審査請求にかかわらず、優先日から30ヶ月となります。
 この条約の変更は、平成14年(2002年)4月1日に発効されますが、日本も含め指定国によっては、しばらくの間、従来どおりの20ヶ月国内移行期限が継続される場合があり、本年4月1日以降の国内移行には十分な注意が必要です。 
...PCT第22条(1)の変更そのものは、平成14年4月1日をもって効力が発生します。しかし、いくつかの指定国では、自国国内法令との整合性が確保されるまで変更の効力の発生が先送りされるため、現行どおり優先日から20ヶ月/30ヶ月の国内移行期限が適用されます。変更の発効にそのような経過期間を設けているのは、日本を含む24ヶ国(*5)の指定国です(1月31日現在)。
 これらの国々については、今後、経過措置の撤回などもありますので、最新情報をWIPOホームページ(*6)等で適宜に確認することをお奨めいたします。 
*5:日本のほか、
オーストラリア、ブルガリア、ブラジル、スイス、中国、デンマーク、エストニア、フィンランド、英国、クロアチア、ハンガリー、イスラエル、韓国、ルクセンブルグ、ノルウェー、スウェーデン、シンガポール、スロバキア、タンザニア、ウガンダ、ユーゴスラビア、南アフリカ、ザンビア
*6:WIPOホームページのURLは、http://www.wipo.int/pct/en/index.html。20ヶ月国内移行の撤廃を適用していない指定国は、WIPOが「第22条(1)の変更が国内法令と不適合である旨を通報した国」として一覧表を公開している。指定国は、この経過措置をいつでも撤回することができる。 
 
...現在、法律改正の作業を進めておりますので、平成14年秋頃には改正法が施行される予定です。その施行日以降、日本に国内移行する国際出願は20ヶ月の国内移行期限が撤廃され、すべて優先日から30ヶ月の国内移行期限となります。
...PCTユーザーにとっては、国際予備審査を請求しなくとも国内移行期限が30ヶ月となるため、いわゆる「30ヶ月の時間を買う」ためだけの国際予備審査は請求する必要がなくなります。
 しかし、上記 Q3でお答えしたように、国内移行を希望する指定国のうち1ヶ国でも20ヶ月国内移行期限の撤廃に経過期間を設けている国がある場合には、とくに注意が必要です。つまり、その国に対しても、優先日から30ヶ月を期限とする国内移行を希望する場合には、その1ヶ国のためだけであったとしても、優先日から19ヶ月以内に国際予備審査請求をしない限り、当該国への国内移行は、現状どおり優先日から20ヶ月となります。 
...国際予備審査報告を分析し、国内移行の判断材料とするならば、国際予備審査報告の作成期間(*8)を考え、国内移行を判断するに十分な時間を確保できる適当なタイミングで国際予備審査を請求することが今後は必要となるでしょう。
*8:第69規則は、国際予備審査の開始と国際予備審査の期間を定めている。それによれば、国際予備審査報告は、優先日から28ヶ月、取り扱い手数料及び国際予備審査手数料が支払われてから8ヶ月、または国際予備審査機関が認める言語以外で国際出願がなされている場合には、国際出願の翻訳文が提出されてから8ヶ月、のいずれか最も遅く満了する期間で作成することとなっている。 
Q7: 翻訳文の提出期限に猶予を与える規定が新たに設けられると聞きましたが、この20ヶ月国内移行期限を一律30ヶ月とする変更が、それに該当しますか?
→いいえ、それはまったく別の翻訳文提出期限の猶予規定です。20ヶ月国内移行期限の撤廃は、PCT第22条(1)を変更することにより、国内移行期限を条約として一律30ヶ月に規定するものです。他方、日本が今般、新たに導入する手続は、PCT第22条(3)または第39条(1)(b)(*9)に従い、外国語でされた国際出願についての翻訳文の提出に関してのみ30ヶ月よりもより遅い期限(優先日から最長で32ヶ月を特許法において認め、日本に国内移行するPCTユーザーの利便性をより高める手続です(*10)。
 
*9:PCT第22条(3)、及び第39条(1)(b)は、指定国(選択国)が、国内法令において独自に「(条約が規定する30ヶ月の国内移行期限よりも)より遅い時に満了する期間を定めることができる」旨を規定しており、各国が国内法でよりユーザーフレンドリーな規定を設けることを許容している。
*10:翻訳文提出の猶予期間(特例期間)にかかる法案は2月19日に閣議決定され、本稿執筆時点では、同法案が国会に提出されたところである。本稿は、原法案に基づき手続を解説した。 
 
Q8:では、日本に国内移行する場合、優先日から30ヶ月という現在の翻訳文の提出期限を先延ばしする猶予期間を得るには、どのような手続をとればよいですか? 
→翻訳文の提出に関する猶予期間は、20ヶ月国内移行期限の撤廃にかかる改正と併せ、特許法第184条の4を改正して導入する特許法上の新たな手続です。
...そこで、特許庁は、30ヶ月の国内移行期限(国内書面提出期間の満了日)の2ヶ月前から期限の日までに国内書面を提出した場合、翻訳文は、国内書面提出の日から2ヶ月以内に提出することができる猶予期間(特許法では「翻訳文提出特例期間」と表現します)を認めることにしました。これにより、国内書面を優先日から28ヶ月乃至30ヶ月の間に提出すれば、その後、翻訳文は、たとえ優先日から30ヶ月の国内移行期限を経過したのちであっても、国内書面の提出日から2ヶ月の間であれば提出が認められ、それにより日本への国内移行が行われたことになります。
 ただし、この翻訳文提出特例期間が認められるのも、20ヶ月国内移行期限の撤廃と同様、特許法の改正が施行される今秋頃を予定しています。それまでは、日本へ国内移行するための翻訳文は、国内書面の提出期限と同様に、優先日から20ヶ月/30ヶ月以内の期限となります。 
 
...ちなみに、指定国の約半数が30ヶ月の国内移行期限を設定し、残りの半数が31ヶ月の国内移行期限を定めています
 指定国(選択国)がどのような国内移行期限を設けているかについては、WIPOが発行する「PCT Newsletter」に毎年5月頃に更新され、掲載されています。また、それらの情報は、WIPOホームページの検索機能によって「TIME LIMITS FOR ENTERING THE NATIONAL PHASE」として検索をすることによっても最新情報を入手することが可能です。
・TIME LIMITS FOR ENTERING THE NATIONAL PHASE UNDER PCT CHAPTERS I AND II APPLICABLE ON 1 APRIL 2002 OR SUBSEQUENTLY
http://www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/time_limits.pdf
 2002年4月9日の時点で、PCT国内移行手続で各国の期限が30ヶ月か31ヶ月かを示した一覧。これによるとカナダでは延長料金の支払いによって最高42ヶ月まで引き延ばしOKという!
・PCTニュース(71)JPAAジャーナル(2002年5月)
 
 
2.方式審査便覧改訂
 
情報元および関連情報:
・「『方式審査便覧』の改訂について」審査業務部方式審査課方式審査基準室(平成14年4月1日)
http://www.jpo.go.jp/info/housiki_binran.htm
 
 
3.オーストラリア特許法改正
 新たに外国特許庁のサーチレポートと文献一覧の提出義務が課せられた。提出期限はサーチレポートの発行日から3ヶ月以内で、出願後特許が認められるまでの間提出義務は存続する。
 なお、PCTの国際調査報告の提出は不要。また、文献自体の提出も今のところは不要らしい。提出しなかった場合、特許後の訂正が不可能となる。
 対象は、3月31日の時点で係属中の出願。経過措置として、審査請求済みの出願は10月1日までに提出する必要があるとのこと。
 
情報元および関連情報:
・"Changes to Australian Patent Law" Davies Collison Cave
http://www.davies.com.au/currentissues/front.asp?id=30
 
 
4.パソコン出願ソフトアップ
 バージョン02.41がダウンロード可能。
 
情報元および関連情報:
・「オンラインアップグレード手順Ver[02.41]」特許庁(2001年4月2日)
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/upmanual.htm
・「手続書類作成について」特許庁(2001年4月2日)
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/syorui-1.htm
 代理人を常に悩ます複雑怪奇な書式に纏わる注意事項。
 
 
2002/03/28
 
1.CAFC大法廷判決:明細書に開示しクレームしない事項に均等論及ばず
 明細書の詳細説明で開示しておきながらクレームしなかった事項に対して、均等論侵害を主張できるか否かが争われた注目事件の大法廷判決がCAFCで下された。2002年3月28日、ジョンソン&ジョンストン社対REサービス社事件において、CAFCは12対1でクレームしなかった事項は公衆に放棄したものであるとして均等論侵害を認めなかった。この結果、従前のマクスウェル判決を支持すると共にYBM判決を破棄した。詳細は表ページを参照して頂くとして、ここ裏ページでは一部を補足。
 マクスウェル事件は、従前のユニーク・コンセプツ対ブラウン事件で既に確立された「明細書で開示したがクレームしなかった事項は公衆に献上する」との解釈を再確認したものである。ここで問題になった特許は、靴を販売する際左右の対がバラバラにならないよう、靴の内面に連結タブを設けてプラスチック環を通せるように構成したものであった。イ号のタブは靴上部の内張の縫い目に縫い付けられており、明細書中にその記載があった。しかしクレームではタブが内張など靴を構成する部材と別部材で構成されること、すなわち一体のものを排除すると解釈された。
 一方、マクスウェル判決の後に下されたYBM判決は、当時の解釈と逆の判断であり大きな議論を呼んだ。すなわちクレームから文言上外れるイ号について、明細書に開示があっても均等論侵害が成立するというものである。争われた特許は酸素を含有する永久磁石合金であり、クレームは酸素濃度を6,000〜35,000 ppmに特定していたが、イ号では5,450 ppm〜6,000 ppmであった。驚くべきことに明細書では具体的な数値が特定されておらず、ただ「磁石合金中の酸素濃度を調整することにより、高温高湿度の条件下で安定性が改善される」旨の記載があるのみであった(日本では考えられない程の柔軟さである)。YBM事件の被告は、マクスウェル判決によって判例が変更されたので均等論非侵害であると主張したが、CAFCでの控訴審においてニューマン判事は、マクスウェル事件が特殊な事例における判断であって、過去の様々な判決を見れば、侵害、非侵害のいずれの場合もあり得るとし、マクスウェル判決による判例変更を否定し、均等論侵害を認めた。
 ここで問題となるのは、最高裁判例との関係である。最高裁はグレーバータンク判決において、クレームの文言を外れるイ号に対しても均等論侵害を認めた。グレーバータンク事件は広いクレームの有効性が争われた第1グレーバータンク事件と、狭いクレームの侵害が争われた第2グレーバータンク事件があり、一般にグレーバータンクといえば第2事件を指す。まず第1グレーバータンク事件ではジョーンズ特許の広いクレームについて有効性が争われ、地裁で無効、高裁で一転して有効となったものの、最高裁では再度無効にされた。そして狭いクレームについて特許侵害が争われた第2グレーバータンク事件で、最高裁は機能/方法/結果の3段階テストを初めて導入して、狭いクレームに基づいて均等論侵害を認めた。見方によっては、本来広いクレームによって保護されるべき発明が、クレームが無効とされたために、狭いクレームで手当てすべく均等論侵害で救済した、ということになる。
 一見すると、クレームの文言外の技術を救済するというグレーバータンク判決の論旨からすれば、明細書に開示があるが故に保護を否定するというマクスウェル判決は矛盾しているようにも見える。特にグレーバータンクにおいても、均等論侵害が認められた「珪酸マンガン」は明細書中に開示されていたのである。
 さらにマクスウェル事件とYBM事件の間にはワーナージェンキンソン最高裁判決も出されているため、これとの整合性をどう捉えるかも問題となった。
 そして本件のジョンソン&ジョンストンCAFC大法廷判決において、グレーバータンクやワーナージェンキンソン判決との整合性が検討された結果、マクスウェル判決は最高裁判例と合致していることが確認され、同時に相反するYBM判決は破棄されることとなった。第2グレーバータンク事件は、特許権者がクレームしなかった事項を一般公衆に放棄したものでないし、広すぎて無効になったとはいえ現に均等物をクレームしていたのである。要するに、明細書に開示したがクレームしなかったのでなく、特許権者は現実に開示もクレームもしていたのだから、均等物を放棄していないということである。この理屈からすれば、最初に広い包括クレームを書いておけば、後で減縮しても均等論侵害を主張できそうな気がするが、それは早計だろう。なぜなら、第1グレーバータンク最高裁判決で無効にされたクレームは、引例との関係で無効にされたのでなく、記載要件を理由に無効にされたものだからである。信義則に照らしても、審査経過で引例との差別化のためにクレームを減縮した場合に均等論侵害を認めることは許されない。やはり実務的には、明細書の開示事項は個別にクレームしておき、上位概念のクレームが潰れても下位概念のクレームで文言侵害を主張できるよう、広狭様々なクレームを立てておく実務が奨励される。
 今回も反対意見に回ったニューマン判事は、マクスウェル判決が先例に反するものであることを長々と説明されている。一方、多くの判事が結論は同じとしても論理付けの異なる同意意見を出しており、それぞれ最高裁判決に合致していると解釈している。
 なおYBM判決はニューマン、リッチ、スミス判事による合議であり、YBM事件の判決文を起草されたニューマン判事以外は故人となっている。そして今回のジョンソン&ジョンストン事件で反対を投じることとなったのは一人ニューマン判事のみであり、今となってはこの問題は結局のところ同女史と多数派との間の解釈の相違だったのか、とも映ってしまう。
 ところでジョンソン社は本件で争われた特許に対して2件の継続出願を行っており、ステンレススチールを文言上包含するクレームを別途権利化している。よって本件で均等論侵害が認められなくても不当ではないと言える。均等論が特許権者の救済的な性格のものとすれば、現実に別途権利化したもの、あるいは別途権利化できたのに権利化しなかったものについてまで均等論侵害を認める必要もない、という理屈は通る。
 
情報元および関連情報:
Johnson & Johnston Assocs. v. R.E. Serv. Co., Nos. 99-1076, -1179, -1180, 2002 WL 466547 (Fed. Cir. 2002) (en banc) (per curiam).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/Johnson_v_RE.htm
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多数意見:
 クレームの公示機能に鑑み、クレームしなかった行為は一般公衆への放棄となる。
As stated in Maxwell, when a patent drafter discloses but declines to claim subject matter, as in this case, this action dedicates that unclaimed subject matter to the public. Application of the doctrine of equivalents to recapture subject matter deliberately left unclaimed would "conflict with the primacy of the claims in defining the scope of the patentee's exclusive right."...
 特許庁での審査を回避するために発明を狭くクレームし、特許を取得した後明細書が均等物を開示していることを理由に、均等論を用いて特許侵害を主張することはできない。
Moreover, a patentee cannot narrowly claim an invention to avoid prosecution scrutiny by the PTO, and then, after patent issuance, use the doctrine of equivalents to establish infringement because the specification discloses equivalents. "Such a result would merely encourage a patent applicant to present a broad disclosure in the specification of the application and file narrow claims, avoiding examination of broader claims that the applicant could have filed consistent with the specification." Maxwell, 86 F.3d at 1107 (citing Genentech, Inc. v. Wellcome Found. Ltd., 29 F.3d 1555, 1564, 31 USPQ2d 1161, 1167 (Fed. Cir. 1994)). By enforcing the Maxwell rule, the courts avoid the problem of extending the coverage of an exclusive right to encompass more than that properly examined by the PTO...
In this case, Johnston's '50 patent specifically limited the claims to "a sheet of aluminum" and "the aluminum sheet." The specification of the '50 patent, however, reads: "While aluminum is currently the preferred material for the substrate, other metals, such as stainless steel or nickel alloys may be used." Col. 5, ll. 5-10. Having disclosed without claiming the steel substrates, Johnston cannot now invoke the doctrine of equivalents to extend its aluminum limitation to encompass steel. Thus, Johnston cannot assert the doctrine of equivalents to cover the disclosed but unclaimed steel substrate. To the extent that YMB Magnex conflicts with this holding, this en banc court now overrules that case.
 特許権者の救済の道として、再発行(リイシュー)と継続出願がある。
A patentee who inadvertently fails to claim disclosed subject matter, however, is not left without remedy. Within two years from the grant of the original patent, a patentee may file a reissue application and attempt to enlarge the scope of the original claims to include the disclosed but previously unclaimed subject matter. 35 U.S.C. § 251 (2000). In addition, a patentee can file a separate application claiming the disclosed subject matter under 35 U.S.C. §120 (2000) (allowing filing as a continuation application if filed before all applications in the chain issue). Notably, Johnston took advantage of the latter of the two options by filing two continuation applications that literally claim the relevant subject matter.
脚注:
 ニューマン判事の反対意見に反論。グレーバータンク最高裁判決では均等物をクレームしていなかったのでない。現にクレームしていたのであるから、本件は矛盾しない。
 またマクスウェル・ルールは純粋に客観的な基準であり、クレームしなかった事項が開示され公衆に開放されたか否かの問題は、特許権者の主観とは無関係である。
FOOTNOTES:
[1]  This court respectfully disagrees with the statement in the dissent that: "There was no claim to manganese silicate." As earlier explained, composition claims 24 and 26 comprising "silicates" and "metallic silicates" were broad enough to encompass manganese silicate. Therefore, our holding today is in no way in conflict with Graver Tank. Nor does this court agree that intent plays any role in the Maxwell rule. To the contrary, one of the advantages of the Maxwell rule is that it is a purely objective test. The patentee's subjective intent is irrelevant to determining whether unclaimed subject matter has been disclosed and therefore dedicated to the public.
 2件の継続出願の内、特許5,725,937号はクレーム3と6で金属基板シートを、5,674,596号は「ステンレス鋼のシート」を独立クレームでそれぞれ請求している。
[2]  These applications issued as U.S. Patent Nos. 5,725,937 (the '37 patent) and 5,674,596 (the '96 patent) on March 10, 1998 and October 7, 1997, respectively. Claims 3 and 6 of the '96 patent claim "a metal substrate sheet," while independent claims of the '37 patent claim "a sheet of stainless steel."
レーダー判事の同意意見:
This reconciling principle is simple: the doctrine of equivalents does not capture subject matter that the patent drafter reasonably could have foreseen during the application process and included in the claims. This principle enhances the notice function of claims by making them the sole definition of invention scope in all foreseeable circumstances. This principle also protects patentees against copyists who employ insubstantial variations to expropriate the claimed invention in some unforeseeable circumstances.
・米国特許5,153,050号
明細書
While aluminum is currently the preferred material for the substrate, other metals, such as stainless steel or nickel alloys, may be used. In some instances . . .polypropelene [sic] can be used.
050 patent, col.
クレーム
Claim 1.
A component for use in manufacturing articles such as printed circuit boards comprising:
a laminate constructed of a sheet of copper foil which, in a finished printed circuit board, constitutes a functional element and a sheet of aluminum which constitutes a discardable element;
one surface of each of the copper sheet and the aluminum sheet being essentially uncontaminated and engageable with each other at an interface, a band of flexible adhesive joining the uncontaminated surfaces of the sheets together at their borders and defining a substantially uncontaminated central zone inwardly of the edges of the sheets and unjoined at the interface.
050 patent, Claim 1, col. 8, ll. 47-60 (emphasis supplied).
Claim 2 defines a similar laminate having sheets of copper foil adhered to both sides of the aluminum sheet.
Maxwell v. J. Baker Inc., 86 F.3d 1098, 39 USPQ2d 1001 (Fed.Cir. 6/11/1996), cert. denied, 117 S. Ct. 1244 (1997).
http://www.ll.georgetown.edu/Fed-Ct/Circuit/fed/opinions/95-1292.html
In addition, the specification suggests that the fastening tab, as an alternative to placing it between the inner and outer soles, may be "stitched into a lining seam of the shoes at the sides or back of the shoes [emphasis added]." Col. 2, ll. 42-43. Accordingly, Maxwell must have contemplated that the tab be separate from the shoe's lining seam in order for the tab to be stitched into the lining. Thus, the court properly construed the claims to require the fastening tab to be a separate piece from the counter pocket lining or other inside shoe lining.
In Unique Concepts, Inc. v. Brown, 939 F.2d 1558, 19 USPQ2d 1500 (Fed. Cir. 1991), we reiterated the well-established rule that "subject matter disclosed but not claimed in a patent application is dedicated to the public." 939 F.2d at 1562-63, 19 USPQ2d at 1504. See also Miller v. Bridgeport Brass Co., 104 U.S. 350, 352 (1881) ("[T]he claim of a specific device or combination, and an omission to claim other devices or combinations apparent on the face of the patent, are, in law, a dedication to the public of that which is not claimed."). We have frequently applied this rule to prohibit a finding of literal infringement when an accused infringer practices disclosed but unclaimed subject matter. E.g., Environmental Instruments, Inc. v. Sutron Corp., 877 F.2d 1561, 1564, 11 USPQ2d 1132, 1134 (Fed. Cir. 1989). This rule, however, applies equally to prevent a finding of infringement under the doctrine of equivalents.
A patentee may not narrowly claim his invention and then, in the course of an infringement suit, argue that the doctrine of equivalents should permit a finding of infringement because the specification discloses the equivalents. Such a result would merely encourage a patent applicant to present a broad disclosure in the specification of the application and file narrow claims, avoiding examination of broader claims that the applicant could have filed consistent with the specification. See Genentech, Inc. v. Wellcome Found. Ltd., 29 F.3d 1555, 1564, 31 USPQ2d 1161, 1167 (Fed. Cir. 1994) ("An applicant should not be able deliberately to narrow the scope of examination to avoid during prosecution scrutiny by the PTO of subject matter . . . and then, obtain in court, either literally or under the doctrine of equivalents, a scope of protection which encompasses that subject matter."); International Visual Corp. v. Crown Metal Mfg. Co., 991 F.2d 768, 775, 26 USPQ2d 1588, 1593 (Fed. Cir. 1993) (doctrine of equivalents should not extend to disclosed, but unexamined, subject matter) (Lourie, J., concurring). This is clearly contrary to 35 U.S.C. §112, which requires that a patent applicant "particularly point[] out and distinctly claim[] the subject matter which the applicant regards as his invention." 35 U.S.C. § 112 (1994). It is also contrary to our system of patent examination, in which a patent is granted following careful examination of that which an applicant claims as her invention. Thus, we agree with J. Baker that subject matter disclosed in the specification, but not claimed, is dedicated to the public.[2]
Of course, within two years from the grant of the original patent, a patentee may seek reissuance of the patent and attempt to enlarge the scope of the claims to include the disclosed but previously unclaimed subject matter. 35 U.S.C. §251 (1994).
...a patentee cannot narrowly claim an invention to avoid prosecution scrutiny by the PTO, and then, after patent issuance, use the doctrine of equivalents to establish infringement because the specification discloses equivalents.
YBM Magnex Inc. v. ITC, 145 F3d 1317, 46 USPQ2d 1843 (Fed. Cir. 5/27/1998).
http://www.law.emory.edu/fedcircuit/may98/97-1409.wpd.html
Graver Tank & Mfg. Co. v. Linde Air Products Co., 336 U.S. 271 (1949).
http://laws.findlaw.com/US/336/271.html
 第一グレーバータンク事件
(ジャクソン判事起案、ブラック、ダグラス判事は同意意見)
 ジョーンズ特許(Jones patent, No. 2,043,960)の広いクレームについて有効性が争われ、地裁で無効、高裁(第7サーキット)で一転して有効となったものの、最高裁では再度無効にされた。
Graver Tank & Mfg. Co. v. Linde Air Products Co., 339 U.S. 605 (1950).
http://laws.findlaw.com/US/339/605.html
 第二グレーバータンク事件
(ジャクソン判事起案、ダグラス判事は反対意見)
 狭いクレームにつき、均等論侵害で機能/方法/結果基準([three part;triple identity] function/way/result test)を初めて導入
 
・"En Banc Court Says Patent Owner Cannot Use Doctrine of Equivalents to Protect Disclosed But Unclaimed Subject Matter," IPO Daily News (April 1, 2002).
http://www.ipo.org/whatsnew.html
・Richard Hung, "No Coverage for Disclosed But Unclaimed Subject Matter under the Doctrine of Equivalents," Morrison & Foerster LLP (March 29, 2002).
http://www.mofo.com/news/ArticleDetail.cfm?concentrationID=14&ID=687&Type=3
・Brenda Sandburg (The Recorder), "Ruling Is 'Nail in Coffin' of Doctrine of Equivalents," law.com (April 3, 2002).
http://www.law.com
・"Doctrine of Equivalents Does Not Cover Disclosed but Unclaimed Matter." 63 Pat. TM & Copyright J. 480 (April 5, 2002).
 
・規則1.87およびMPEP608.02(d)
 表ページで述べたクレームに係る特徴はすべて図示すべしとの根拠。
37 CFR 1.83 Content of drawing.
(a) The drawing in a nonprovisional application must show every feature of the invention specified in the claims. However, conventional features disclosed in the description and claims, where their detailed illustration is not essential for a proper understanding of the invention, should be illustrated in the drawing in the form of a graphical drawing symbol or a labeled representation (e.g., a labeled rectangular box).
・MPEP 608.02(d) Complete Illustration in Drawings
...Any structural detail that is of sufficient importance to be described should be shown in the drawing. (Ex parte Good, 1911 C.D. 43, 164 O.G. 739 (Comm'r Pat. 1911).)
Form Paragraph 6.36 should be used to require illustration.
 
6.36 Drawings Do Not Show Claimed Subject Matter
The drawings are objected to under 37 CFR 1.83(a). The drawings must show every feature of the invention specified in the claims. Therefore, the  [1] must be shown or the feature(s) canceled from the claim(s). No new matter should be entered.
 
Examiner Note:
In bracket 1, insert the features that must be shown.
 
 
2.インクカートリッジ
 インクジェットプリンターは消耗品であるインクで利益を得る構造になっているため、どこのプリンタメーカもカートリッジに互換性はなく、自社製品しか使えないように特許権でがっちり固めている。そして国内外のプリンタメーカは互換カートリッジのメーカに対しては差し止め請求を積極的に行っているが、裁判では勝ったり負けたりで保護と回避の鍔迫り合いが続いている。
 セイコーエプソン社は、同社互換インクカートリッジの製造元エステー産業と販売元エレコムに対し、製造販売の差し止めと損害賠償を求めて東京地裁に提訴していたが、「カートリッジ内のナトリウムイオンを特定濃度以下にすることで,長期間放置されてもインクの詰まりを防止する」特許第2696828号が無効審判において進歩性欠如を理由に無効とされたため訴訟を取り下げた。
 
情報元および関連情報:
・「特許無効でエプソン実質敗訴 インクカートリッジ販売差し止め訴訟で」ZDNN(2002年3月28日)
http://www.zdnet.co.jp/news/bursts/0203/28/13.html
・無効2001−35035
 
 
2002/03/25
 
1.日本最高裁判決:共有権利者は単独で取消訴訟を提起可能
 共有に係る特許権が異議申立で取り消された場合、共有権利者全員でなく単独で取消訴訟を提起できるか否かが争われた事件につき、最高裁は高裁判決を破棄差し戻し。斯かる取消訴訟が固有必要的共同訴訟に該当するか否か(該当する場合は全員で提訴せねばならない)が争点となったが、最高裁は該当しないと認定。取消訴訟は保存行為に該当するというのが理由。
 
情報元および関連情報:
・東京高裁平成13年3月12日決定
・kato「部会報告」知的財産権判決研究会(2002年5月6日)
http://www.chizai.org/news/index.html
===================================
...特許権者の保護と合一確定の確保をいかに両立させるかという観点から固有必要的共同訴訟にはあたらないと結論づけました。...今後の課題としては拒絶査定に対する審決取消訴訟など特許権が成立する前の行為についても同様に解すべきかなどの点があげられます。
 
 
2002/03/19
 
1.日本地裁判決:特許法102条損害額の推定を広く適用
 日経新聞他。東京地裁46部が特許権侵害訴訟において過去最高の損害賠償額を認定。侵害とされた2社に対しそれぞれ74億円、10億円で合計約84億円。これは話題になった「Hブロッカー」の30億円を遙かに上回る。
 判決理由において三村判事は、102条損害額の推定を設けた制度趣旨に照らして、特許法102条を特許権者にかなり有利な解釈をしている。特にイ号侵害品の営業努力など、被告側のがんばりを考慮しない点には驚いた。過去の日本の特許裁判では損害賠償額が低く、「通常の」ライセンス料程度しか認められなかったため「侵害のやり得」などと揶揄されてきたことを考えると、画期的な事件といえる。高額な損害賠償が認定される可能性(危険性)が出たことで、侵害の抑止力として働き、ひいては特許権の健全な保護と産業の育成が期待される。
 102条の解釈が丁寧になされており、読み物としても非常に興味深かった。
 技術面でも、ウルトラマンだのバルタン星人(おお、一発で変換された!流石ATOK!!)だの色々出てきて楽しい。
 
情報元および関連情報:
・平成11年(ワ)13360号
・平成11年(ワ)23945号
 東京地方裁判所民事第46部(三村量一、村越啓悦、青木孝之裁判官)
 いずれも、法律論はほぼ同じ。
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...特許法102条1項は,排他的独占権という特許権の本質に基づき,特許権を侵害する製品(以下「侵害品」ということがある。)と特許権者の製品(以下「権利者製品」ということがある。)が市場において補完関係に立つという擬制の下に設けられた規定というべきである。すなわち,そもそも特許権は,技術を独占的に実施する権利であるから,当該技術を利用した製品は特許権者しか販売できないはずであって,特許発明の実施品は市場において代替性を欠くものとしてとらえられるべきであり,このような考え方に基づき侵害品と権利者製品とは市場において補完関係に立つという擬制の下に,同項は設けられたものである。
 このような前提の下においては,侵害品の販売による損害は,特許権者の市場機会の喪失としてとらえられるべきものであり,侵害品の販売は,当該販売時における特許権者の市場機会を直接奪うだけでなく,購入者の下において侵害品の使用等が継続されることにより,特許権者のそれ以降の市場機会をも喪失させるものである。
 したがって,同項にいう「実施の能力」については,これを侵害品の販売時に厳密に対応する時期における具体的な製造能力,販売能力をいうものと解することはできず,特許権者において,金融機関等から融資を受けて設備投資を行うなどして,当該特許権の存続期間内に一定量の製品の製造,販売を行う潜在的能力を備えている場合には,原則として,「実施の能力」を有するものと解するのが相当である(また,侵害者が侵害品を市場に大量に販売したことにより,特許権者が権利者製品の製造販売についての設備投資を差し控えざるを得ない場合があることを考慮すれば,同項にいう「実施の能力」を上記のように解さないと,特許権者の適切な救済に欠ける結果となろう。)。
 特許法102条1項にいう「侵害の行為がなければ販売することができた物」とは,侵害に係る特許権を実施するものであって,侵害品と市場において排他的な関係に立つ製品を意味するものである。
 上記のとおり,「実施の能力」が,必ずしも侵害品販売時に厳密に対応する時期における具体的な製造販売能力を意味するものではなく,侵害品の販売により影響を受ける権利者製品の販売が,侵害品販売時に対応する時期におけるものにとどまらないことに照らせば,同項にいう「侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額」についても,侵害品の販売時に厳密に対応する時期における具体的な利益の額を意味するものではなく,侵害品の販売により影響を受ける販売時期を通じての平均的な利益額と解するのが相当であり,また,「単位数量当たりの利益の額」は,仮に特許権者において侵害品の販売数量に対応する数量の権利者製品を追加的に製造販売したとすれば,当該追加的製造販売により得られたであろう利益の単位数量当たりの額(すなわち,追加的製造販売により得られたであろう売上額から追加的に製造販売するために要したであろう追加的費用(費用の増加分)を控除した額を,追加的製造販売数量で除した単位数量当たりの額)と解すべきである。このように特許法102条1項にいう「単位数量当たりの利益の額」が仮定的な金額であることを考慮すると,その金額は,厳密に算定できるものではなく,ある程度の概算額として算定される性質のものと解するのが相当である。
 具体的な事案において,特許権者が侵害品の販売時に厳密に対応する時期において現実に権利者製品の製造販売を行っている場合には,当該時期における権利者製品の単位数量当たりの現実の利益額を斟酌して,特許法102条1項にいう「単位数量当たりの利益の額」を算定することが相当であるが,この場合においても,この利益額が上記のような性質を有する仮定的な金額であることに照らせば,「単位数量当たりの利益の額」は,必ずしも,当該時期における現実の利益額と一致するものではなく,現実の利益額は,同項にいう「単位数量当たりの利益の額」を認定する上での一応の目安にすぎないというべきである。
 他方,特許法102条1項はただし書において,侵害品の譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を特許権者が販売することができないとする事情があるときは,当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものと規定しているが,前述のように本項を,排他的独占権という特許権の本質に基づき,侵害品と権利者製品が市場において補完関係に立つという擬制の下に設けられた規定と解し,侵害品の販売による損害を特許権者の市場機会の喪失ととらえる立場に立つときには,侵害者の営業努力(具体的には,侵害者の広告等の営業努力,市場開発努力や,独自の販売形態,企業規模,ブランドイメージ等が侵害品の販売促進に寄与したこと,侵害品の販売価格が低廉であったこと,侵害品の性能が優れていたこと,侵害品において当該特許発明の実施部分以外に売上げに結び付く特徴が存在したこと等)や,市場に侵害品以外の代替品や競合品が存在したことなどをもって,同項ただし書にいう「販売することができないとする事情」に該当すると解することはできない。
 すなわち,特許法102条1項の適用に当たっては,権利者製品は,特許発明の実施品として特徴付けられているものであり,侵害品は,まさに当該特許発明の実施品である故をもって,市場において権利者の市場機会を奪うものとされているのである。言い換えれば,侵害者の販売する製品(侵害品)は,特許権者の特許権を侵害することによって初めて製品として存在することが可能となったものであり,当該特許発明の実施品であるからこそ,権利者製品と競合するものとして,市場において権利者製品を排除して取引者・需要者により購入されたのである。侵害品の販売に侵害者の営業努力等があずかっていたとしても,特許権者としては,仮に侵害品の販売期間と対応する期間内には不可能であるとしても,これに引き続く期間を併せれば侵害品の販売数量に対応する権利者製品を販売できたはずであり,仮に侵害品が他に独自の優れた特徴を有していたとしても,あくまでも特許発明の実施品としての特徴を備えていたからこそ,権利者製品と競合するものとしてこれを排除して取引者・需要者に購入されたというべきであり,侵害者が侵害品を低廉な価格で販売した(あるいは無償で配布した)としても,特許発明の実施品であったからこそ権利者製品を排除して取引者・需要者に入手されたものである。しかも,これらの場合には,いずれも,侵害品が取引者・需要者の手に渡った結果として,それと同数の権利者製品の需要が失われているのであるから,仮に,営業努力等により侵害者による侵害行為が急であったり,取引者・需要者において,侵害品を購入する動機として,特許発明の実施品であるという点に加えて,何らかの点(付加的機能や低価格)が存在したとしても,そのような事情は,特許権者の損害額を減額する理由とはならないというべきである。また,市場において侵害品以外に権利者製品と競合する代替品が存在していたとしても,侵害者は,そのような競合製品の存在にかかわらず,これとの競争の下で一定の数量の侵害品を販売し得たのであるから,権利者製品も特許発明の実施品という点で侵害品と同一の性能を有する以上,特許権者においても,同一の条件の下で,これと同一の数量の権利者製品の販売が可能であったというべきである。
 このように,上記の各事情は,そもそも市場における侵害品と権利者製品との補完関係の擬制の下で本項の規定を設けるに当たって捨象されたものであるから,これらの事情をもって「販売することができないとする事情」に該当するということはできないが,市場において侵害品と権利者製品が補完関係にあるということを前提としても,なお,権利者が市場機会を喪失したと評価できないような事情があるときには,そのような事情は,「販売することができないとする事情」に該当するものというべきである。すなわち,侵害品がその性質上限定された期間内においてのみ需要され,当該期間内に消費されるものである場合(例えば,侵害品が生鮮食料品であるような場合)には,侵害品の販売により特許権者が喪失した市場機会は,侵害品の販売時期に対応する期間に限定されることになるから,侵害者により抗弁としてこのような事情が主張立証された場合には,特許権者は再抗弁として,侵害品の販売時期に厳密に対応する時期又はこれと直近する時期に,侵害品の販売数量と同数量の権利者製品を販売する能力を実際に有していたことを,主張立証しなければならないこととなる。また,侵害者が抗弁として,侵害品が販売された後に法令等により当該特許発明の実施品の販売が規制されたことや新技術の開発により当該特許発明が陳腐化したことを主張立証した場合には,特許権者は再抗弁として,このような規制前又は新技術を実施した代替品の発売前に侵害品と同数量の権利者製品を販売する能力を実際に有していたことを,主張立証しなければならないというべきである。
...しかしながら,特許法102条1項を,排他的独占権という特許権の本質に基づき,侵害品と権利者製品が市場において補完関係に立つという擬制の下に設けられた規定と解し,侵害品の販売による損害を特許権者の市場機会の喪失ととらえる立場に立つときには,侵害者の営業努力,侵害製品の性能の優秀性や価格の低廉等をもって,同項ただし書にいう「販売することができないとする事情」に該当すると解することはできないのは,前に説示したとおりである。
・「パチスロの特許侵害で74億円賠償命令 東京地裁」朝日ドットコム(2002年3月19日)
http://www.asahi.com/national/update/0319/038.html
・多田和市「特許侵害訴訟も3ケタ時代へ 真似すると、会社が潰れる」日経ビジネスExpress(2002年3月27日)
http://nb.nikkeibp.co.jp/members/COLUMN/20020326/101940/
(日経ビジネス読者のみ)
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...この裁判の大きなポイントは、1台当たりの販売額の56%を損害額としている算出の方法だ。対象になった3万9000台の販売額は約132億円だが、損害額を計算する比率が大きいため、約74億円と高額な賠償金となった。
 それまでは、販売額の3〜5%が損害額の相場だった。ところが、3年前に制定された特許法102条第1項によって、損害額の算出方法が大きく変わった。販売額から材料費などを差し引いた限界利益(ほぼ粗利益に相当する)に、特許の貢献度を掛け合わせて算出するようになった。
 今回のケースでいけば、1台当たりの限界利益は販売額の70%、特許の貢献度は80%として算出した。その結果、1台当たりの損害額は販売額の56%になったというわけだ。
・「東京高等裁判所への控訴等に関するお知らせ」についての補足説明」サミー株式会社(2002年3月29日)
http://ir.sammy.co.jp/whatsnew/pdf/information.j.irweb.march29.2002.pdf
 判決の翌日には、問題の特許について無効理由通知が発せられているとのこと
 投資家向けに、無効審判の概要を説明。
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審判請求の番号無効2001−35267
(特許の番号)(特許第1855980号)
 本件の次の請求項に係る特許は、合議の結果、以下の理由によって無効とすべきものと認められます。これについて意見がありましたら、この通知の発送の日から60日以内に意見書の正本1通及びその副本2通を提出して下さい。
・「Hブロッカー」事件
 1998年、胃潰瘍などの治療薬製造方法に関する特許侵害で藤本製薬に対し約30億円の損害賠償が命じられ、控訴審で和解が成立した。
 
 
2002/03/14
 
1.ハイパーリンク特許危うし?
 大方の予想通り、問題のハイパーリンク特許(もしも認められたら最強のビジネスモデル特許かも?)はかなり厳しい様子。ブリティッシュテレコム社の古い特許が自称ハイパーリンク技術の基本特許だとして、米プロバイダーの老舗プロディジーを訴えた事件の予備判決(って何だろう?マークマンヒアリングのサマリージャッジメントだと思うのだが)がニューヨーク南部地区連邦地裁で下された。
 クレーム解釈としては(地裁の、ごく初期のサマリージャッジメントのレベルではあるが)非常に興味深い。コンピュータ用語の特許的言い回しの勉強にいいかも。
 
情報元および関連情報:
British Telecommunications PLC v. Prodigy Communications Corp., No. 00-9451 (S.D.N.Y. 2002).
・Brenda Sandburg (The Recorder), "Defining Ruling Issued in Hyperlink Patent Case." law.com (March 14, 2002).
http://www.law.com
・"'Central Computer' Found Key to Patent In Case Against Prodigy Over Hyperlinking." 63 Pat. TM & Copyright J. 488 (April 5, 2002).
・Graeme Wearden「BTのハイパーリンク訴訟,今週にも予備判決」ZDNN(2002年3月12日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0203/12/e_bt.html
・「ハイパーリンク訴訟、英BTの主張は無効との予備判決」毎日インタラクティブ・ネットワーク(2002年3月18日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/network/archive/200203/18/9.html
 やはりサマリージャッジメントだった。「予備判決」という訳語は初めて聞いた気がするが...ZDネットの報道を引き写しただけか("motion"を「動き」と訳されたり、結構誤訳がある)、あるいは単に私が無知なだけ?
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...今回の略式判決に対して、BTとプロディジーは30日以内に申し立てを行うことができる。両社が30日以内に訴えを取り下げない場合、正式裁判が9月に始まることになる。
・Eric Auchard, "NY Judge Narrows Terms in BT Internet Patent Case," reuters.com(March 15, 2002).
http://www.reuters.com/news_article.jhtml?type=technologynews&StoryID=705423
 
 
2.インタートラスト対マイクロソフト
 マイクロソフト関連の訴訟ニュースが途絶えることはない?インタートラスト社(InterTrust Technologies)が特許権侵害でマイクロソフト社を訴えている係争中の事件で、対象案件をウィンドウズXPや2000にも拡大したというニュース。特許権は米国特許5,892,900号など8件。
 
情報元および関連情報:
・「米インタートラストと米MSの特許係争がさらに拡大」日経Biztechニュース(2002年3月14日)
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/comp/174618
・「米インタートラスト、米MSとの特許訴訟を拡大」毎日新聞(2002年3月14日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/200203/14/3.html
 
 
3.マークマンヒアリングの功罪
 マークマン判決の結果、クレーム解釈の責務は陪審から裁判官になったが、果たしてみんなが予想したような裁判の安定化が進んだのか?どうも裁判官に代わったからといってクレーム解釈が完全になった訳ではなさそう。調査によればマークマン判決以降の地裁判決は約50%がCAFCで逆転されているらしい。地裁裁判官からすれば不満が募るのも無理のない話であるが、複雑な技術を法律系の人間に理解させようとする特許裁判の限界のようにも思える。
 
情報元および関連情報:
・Victoria Slind-Flor (IP Worldwide), "The 'Markman' Prophecies -Six years after the U.S. Supreme Court altered the patent system, the worst fears of lawyers have come to pass." law.com (March 13, 2002).
http://www.law.com
===================================
...Even so, some practitioners say that they suspect that the Federal Circuit is more likely to give deference to Markman determinations made by well-known judges in districts where a large number of patent cases are tried. "If a case comes from Delaware, it's more likely to be affirmed than if it's from South Podunk," says professor Paul Janicke of the University of Houston Law Center, who tracks Federal Circuit decisions for his Web site, patstats.org.
...Some lawyers also say that the Federal Circuit has favorite judges. Donald Dunner, a name partner at Washington, D.C.'s Finnegan, Henderson, Farabow, Garrett & Dunner, says that the court appears to favor judges Ronald Whyte of the Northern District of California, T.S. Ellis III of the Eastern District of Virginia, and Roderick McKelvie, who is retiring in May from the Delaware court. "They are sufficiently well known and respected. The court will pay attention to what they do," Dunner says. ...
 
 
4.米国の進歩性基準
 CAFCの非自明性に関する判断基準が米下院小委員会の公聴会「裁判、インターネットおよび知的財産権(Courts, the Internet, and Intellectual Property)」で議論された。米特許法103条の非自明性を審査する際、基準となるのは102条で列挙された「先行技術」に限られる。この先行技術は、一般に公開された公知資料を指すと考えられていたが、1997年のCAFC判決であるオゾン・プロダクツ対ジャスト・トイ事件では共同研究に係る非公開資料も自明性の根拠になると判示されている。この解釈の妥当性が論点となっており、解釈を巡って法改正を含めた議論が交わされた模様。
 
情報元および関連情報:
・"Scope of Obviousness Prior Art Under &sect;103(c) Is Debated at Hearing." 63 Pat.TM&Copyright J. (March 22, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/E21F9A3729C3895185256B8700646BD3?OpenDocument
OddzOn Products Inc. v. Just Toys Inc., 122 F3d 1396, 43 USPQ2d 1641 (Fed. Cir. 1997).
 
 
2002/03/12
 
1.XP用USB2.0のドライバ
 マイクロソフトがWindowsXP用USB2.0のドライバ配布をやっと開始。しかし、Windows 2000用はまだ。Windows95のOSR2みたいにならなければいいが。現状のUSB機器で、ウィンドウズ95に対応しているものは非常に少ない。多くのUSB機器では、OSがウィンドウズ95だと、たとえパソコン自体にUSB端子がついていても、ドライバのインストールすらできないのである。XPはUSB2.0に標準対応した次のバージョンまで待つ方が無難かも知れない。
 パソコン出願用に購入したスキャナがだいぶ古くなってきたので、USB2.0対応スキャナへの買い換えを検討してもいい頃なのだが、ADF付きの適当なスキャナがない。パソコン出願が始まった1998年当時、ADFを装着できる普及型のスキャナといえば、エプソンのGT-9500くらいしかなく、特許庁委託事業でパソコン出願用の端末を置いた発明協会でも、これだった。だから企業特許部や特許事務所でこのスキャナを買ったところは多かったはず。しかし今や後継機は存在せず、ADF自体が存在しなくなってきており、とても困っている。10万円以上する業務用の高価なスキャナしかADFがない、というのは、いかがなものだろうか。フィルム透過ユニットなんていらない、ここらでADFの復権を切に願う!
(付記)
 その後、よさげなスキャナを発見。以前日経PC212001年4月号で紹介されていた富士通製fi-4010CUが、再びアスキー最新号で紹介されていた。実はずっと目を付けていたのだが、実物が確認できないのと約6万円の価格で悩んでいた。
 キャンペーンにより3月31日までならアクロバット5が付属というから、これはチャンスかも知れない。(←誤報のようで、4月30日以降富士通 fiシリーズの全商品に添付されるらしい)
 
情報元および関連情報:
・「USB2.0のドライバダウンロード開始」
http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/usb20.asp
・富士通イメージスキャナ fi-4010CU
http://imagescanner.fujitsu.com/jp/fi/product/4010cu.html
・「『FUJITSU fiシリーズ』イメージスキャナにアドビシステムズ社『Adobe Acrobat』を標準添付」株式会社PFU(2002年4月30日)
http://www.pfu.fujitsu.com/topics/new020430.html
 上記ScanSnap!は除く。
・月刊アスキー2002年4月号
 久しぶりに購入。ジャストシステム浮川初子氏インタービューに惹かれたからだが、勇猛馳せた同氏にしては今ひとつぐっとくるものがない。。。一太郎がんばれ!
・「PFU ScanSnap! fi-4010CU」日経パソコンOnlineニュース No.159(2002年12月12日)
 ScanSnapシリーズの新製品として紹介されているが、同じものじゃないか!
http://www.pfu.fujitsu.com/
 
 
2002/03/08
 
1.サンとマイクロソフト
 犬猿の仲で有名なサンマイクロシステムズとマイクロソフトとのいさかいで、サンが再度MS社を提訴したというニュース。マイクロソフトが推進しようとしているドットネット構想が、プラットフォームを選ばないという意味でジャバ的な発想であることは知られているが、今回サンはこの点に明確に言及している。
 
情報元および関連情報:
・Phil Keys「Sun社がMicrosoft社を再び提訴,『Windows』の配布禁止を求める」日経エレクトロニクス・オンライン 係争と事例(2002年3月9日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/judge/2002/03/1000011294.html
(閲覧には無料のユーザ登録が必要)
・井上雅夫「マイクロソフト独禁事件/Java契約事件:和解契約及び相互の限定的放棄」プログラム関連米国判決集(2001年1月23日)
http://www.venus.dti.ne.jp/~inoue-m/at_antitrust.htm#010123
 サンとマイクロソフトが争っていたJava事件の解説。java技術と.NET(ドットネット)の違いなど、非常に判りやすい。
 
 
2002/03/07
 
1.ワンクリック特許も和解に
 アマゾンとバーンズアンドノーブルが和解したと発表。和解条件など詳細は非公開。
 これで米3大ビジネスモデル特許訴訟(?)はすべて和解ということになった。つまり、ハブ&スポーク特許(シグネチャー・ファイナンシャル社保有)も、リバースオークション(プライスライン・ドットコム社)も、今回のワンクリック特許(アマゾン・ドットコム)も、すべて特許は有効のまま維持されることになる。もっとも、ワンクリック特許については特許の有効性に問題ありという不確定要素を抱えたままになるが。
 ちなみに、バーンズ&ノーブルを代理した弁護士の一人、ペニー&エドモンズのジョナサン・マーシャル弁護士(Jonathan Marshall of New York's Pennie & Edmonds)は、プライスライン訴訟でマイクロソフトも代理していた。
 
情報元および関連情報:
・「米アマゾンと米B&N、ワンクリック特許訴訟で和解」毎日インタラクティブ(2002年3月8日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/network/archive/200203/08/4.html
 
...The Federal Circuit does not announce its panels until the morning of the oral argument, and judges are chosen randomly.
 
2002/03/01
 
1.パテントの掲載記事がホームページでも閲覧可能に
 2002年1月号から、約2ヶ月遅れで日本弁理士会ホームページに掲示されている。
 
情報元および関連情報:
・「『パテント』掲載記事をご覧になれます」JPAAホームページ
http://www.jpaa.or.jp/publication/patent/patent-library.html
 
 
2.米特許事務所ランキング
 インレクチュアル・プロパティ・トゥデイ誌が毎年3月号で発表している恒例の米国特許法律事務所の特許発行件数ランキング。昨年度集計なので2001年のデータとなる。1位から4位は変わらず、オブロン、シュグリュー、バーンズ、BSKBの順。5位はフォーリーが浮上。以下、ピルズベリー、オリフ、フィネガン、マクダーモット、ニクソンの順。
 
情報元および関連情報:
・"Top patent firms" Intellectual Property Today, Vol.9, No.3 (March, 2002).
http://www.iptoday.com/toprank2001.pdf
 ウェブに掲載されているのは去年、すなわち2000年のランキング
 
 
2002/02/28
 
1.日本最高裁判決:共有権利者の訴訟適格
 商標権の共有者は、当該商標登録の無効審決がされたときは、各自、単独でその取消訴訟を提起することができると最高裁が判決。
 
情報元および関連情報:
・平成14年02月28日 第一小法廷判決 平成13年(行ヒ)第12号 審決取消請求事件
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/efe43977cb2be0bd49256b6e001eaae8?OpenDocument
 
 
2.ファイルローグ遂に
 燻っていた事案がついに本格発火。。。1月29日の仮処分申請に続き、日本音楽著作権協会などが日本MMOと松田道人社長に対し、音楽ファイルの交換停止と計3億6533万円の損賠請求を求める本訴を東京地裁に提訴。
 
情報元および関連情報:
・芳尾太郎「JASRACとレコード会社が3億6600万円の損害賠償を求め,ファイル交換の日本MMOを提訴」日経エレクトロニクス・オンライン(2002年2月28日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/EB/2002/02/1000011119.html
・松田道人(日本エム・エム・オー社長)「敗軍の将、兵を語る:音楽不況、ネットのせいにするな」日経ビジネス3月4日号
 もっともな意見だと思います。
 
 
2002/02/26
 
1.アメリカ法律事務所
 law.comより。米国特許事務所も近年大きく様変わりしている様子。いわゆるジェネラルのローファーム(特許に限らず法務一般を扱う総合法律事務所)が、知財はカネになると嗅ぎつけたため、ここ数年知財部を補強している動きがある。手っ取り早く中小の特許事務所を吸収合併(買収)してしまうというやり方で、特許事務所の再編が進んでいる様子。中小規模の米特許事務所は大変になると言われているが、どうなるのか。。。また超巨大総合法律事務所の知財部と、特許専門法律事務所とではどちらが良いのか、という問題もある。結局のところ、どの事務所でなくどの弁護士が担当するかが重要になるのだが、弁護士を指名して仕事を依頼している日本企業はどれだけあるのだろう?
 一方で、特許に限らず弁護士が事務所をあちこち変わるのも相変わらず。今回のニュースではニューヨークの大手特許事務所、ペニー&エドモンズ(Pennie & Edmonds)のジョナサン・マーシャル弁護士(Jonathan A. Marshall)が、さらに大手のワイル・ゴッシャル&メンゲス(Weil, Gotshal & Manges)に移籍するとのこと。同弁護士は出願でなく訴訟で高名(らしい)。総合法律事務所と特許専門法律事務所の違いなどに言及されており、興味深い。
 特許訴訟といえば、ベニーズ&エドモンズ以外に同じくニューヨークのケニヨン&ケニヨン(Kenyon & Kenyon:ブロードウェイの南端にある)、フィッシュ&ニーブ(Fish & Neave:数年前の警告状で話題に)、ワシントンDCのフィネガン・ヘンダーソン(Finnegan Henderson Farabow Garrett & Dunner:ご存じ、最大の特許事務所)、ボストンが本拠のフィッシュ&リチャードソン(Fish & Richardson)あたりが定番だった。
 
情報元および関連情報:
・Anthony Lin (New York Law Journal) "Meet The Patent Prospectors: Salvaging patents from bankrupt e-commerce and high-tech companies can be lucrative, if risky, business," law.com (February 26, 2002).
 マーシャル弁護士の写真付き。
================================================================
..."At the boutiques, the top people are very good," he said, "but they hog all the good work, so the associates and junior partners don't get enough good experience."
But Marshall said he doubted big-firm general litigators could easily handle major IP cases, and he noted that arrogance had cost some in the courtroom.
"I always liked seeing a general practice firm on the other side," he said. "They didn't know what they didn't know."
 
 
2.特許裁判改革
 先日の知的財産権に関する裁判制度の見直し案を経団連が支持表明。知的財産問題部会の部会長は丸島儀一キヤノン顧問だそうである。「キヤノン特許部隊」面白かったです。
 
情報元および関連情報:
・「経団連、経産省の特許裁判見直し案を支持」日経ネット(2002年2月26日)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20020226CEEI019626.html
 
 
2002/02/22
 
1.ナップスターの逆襲
 レコード会社が音楽ネット配信業務を独占しているとのナップスター側の主張を受け、地裁で審理開始。
 
情報元および関連情報:
・小柳建彦「米ナップスター裁判、攻守逆転・レコード大手に独占行為の疑い」日経ネット(2002年2月22日)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20020223CF1I029323.html
 
 
2002/02/21
 
1.調査官に弁理士
 最高裁は日本弁理士会国際活動委員長の岡部譲弁理士を知的財産権訴訟担当調査官として3年任期で採用すると発表。さらに知財専門部を3部から4部に増設し、裁判官も4名増員するとともに調査官も増員するという。最高裁によれば「世界的に見ても、米国の連邦特許裁判所を上回るトップレベルの体制が整う」(行政局)とのこと。CAFCの裁判官は13人、調査官(?)4人だから、この4月から裁判官16人、調査官11人体制となり、人員では確かに上回ることになる。
 調査官が特許裁判に果たす役割は非常に大きい。技術が十分理解できてこそ適正な判断が下されるというもの。理系のバックグラウンドのない文系の人間が複雑な技術の絡む特許訴訟を正しく判断できるのか、という大問題について、現実的には審査官に頑張ってもらうしかないところ。期待してます。
 
情報元および関連情報:
・「東京高裁・特許訴訟の審理短縮・国際紛争にも対応・民間から調査官、裁判官を増員」日本経済新聞(2002年2月22日)
 
 
2002/02/20
 
1.ビーもマイクロソフトを提訴
 以前ソフマップが自社ブランドパソコンに無料でインストールして配布していた(と記憶している)BeOSの名前を久しぶりに聞いたと思ったら、マイクロソフトを提訴したというニュース。
 
情報元および関連情報:
・「Microsoft社,今度は「BeOS」のBe社から訴えられる」
http://ne.nikkeibp.co.jp/judge/2002/02/1000010936.html
 
2002/02/19
 
1.米最高裁:著作権存続期間延長の是非
 著作権の存続期間を延長した改正法が合衆国憲法第1条8項8号、お馴染みの「特許・著作権条項」および憲法修正第1条違反か否かを問う上告が受理された。1998年、故ソニー・ボノ(シェールとソニーの)が提出した著作権存続期間延長法(Sonny Bono Copyright Term Extension Act of 1998 (CTEA))により著作権法304条(b)項が改正され、既存の著作権を含め存続期間が20年延長されている。その結果、著作権の存続期間は著作権者の死後50年だったものが70年となった。この法律が、憲法の定める連邦議会の権原を逸脱している、すなわち「科学および有用な芸術を振興するため『限られた期間』の」著作権の保護を付与するという憲法の定めに反しているというのが骨子。
 
情報元および関連情報:
Eldred v. Ashcroft, No. 01-618, cert. granted (U.S. 2/19/02).
Eldred v. Reno, 239 F.3d 372, 57 USPQ2d 1842 (D.C. Cir. 2001).
・Article I, section 8, clause 8
Congress shall have the power to
"promote the progress of science and useful arts, by securing for limited times to authors and inventors the exclusive right to their respective writings and discoveries." 
・Edward Samuels (The National Law Journal), "In Step With the World.", law.com (March 7, 2002).
http://www.law.com
・Law.com's U.S. Supreme Court Monitor: Intellectual Property
http://www.law.com/us_supreme_ct/cert_granted_int.html
 現在、米連邦最高裁で審理中の知財関連事件の一覧と各事件の要約や論点が確認できる。
・"Supreme Court Grants Review in Challenge Of Federal Copyright Term Extension Statute." Computer Technology Law Report,Volume: 03 Number: 05 (March 01, 2002).
http://ipcenter.bna.com/PIC/ippic.nsf/(Index)/D92AC9EDAB2F272185256B79007A8355?OpenDocument
 
 
2002/02/18
 
1.日本特許法改正案
 IT時代に適合した法律に改正?
 
情報元および関連情報:
・「特許法等の一部を改正する法律案について」日本特許庁(2002年2月18日)
http://www.jpo.go.jp/saikin/1402-041.htm
===================================
「媒体に記録されない状態でのインターネットを介したプログラムの販売・流通が増大してきたことに鑑み、特許されたプログラム等をネットワーク上で無断で送信する行為等も特許権侵害に当たることを明確化する。」
・特許法等の一部を改正する法律案について(平成14年2月20日掲載)
http://www.jpo.go.jp/info/1402-046.htm
・「プレス発表」
http://www.jpo.go.jp/saikin/press.htm
 
 
2002/02/12
 
1.イマージョンがマイクロソフトとソニーを提訴
 毎日新聞他。米イマージョンは、マイクロソフトの「Xbox」とソニーの「プレイステーション2」のハプティック・フィードバック技術(触覚技術)が同社の特許を侵害しているとして、カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提訴したと発表。ライセンス交渉が決裂したためとのこと。フォースフィードバックは近年のゲーム機では定番の一つ。
 
情報元および関連情報:
・「米イマージョン、米MSとソニーを特許侵害で提訴」Mainichi DailyMail Internet(2002年2月12日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/200202/12/1.html
===================================
...触覚技術とは、コンピューター画面のシーンや音に合わせて、ジョイスティックやマウスなどの周辺機器に振動などの触感を伝える技術。イマージョンは93年以来同技術の開発に焦点を絞り、現在「タッチセンス」というブランドで、ロジテックやケンジントン、独BMWなどにライセンス供与している。
 イマージョンと同社子会社は、触覚技術に関する特許を世界で150件取得し、200件を申請中だという。
http://www.immersion.com/corporate/pressreleases/2002/020211b.shtml
・「特許侵害で、ソニーとマイクロソフトを提訴=米イマージョン◇ロイター」日経BizTechニュース(2002年2月12日)
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/pc/169158
 
 
2.サイトサウンド対CDナウ
 こちらは音楽関連サイトの争い。サイトサウンド(SightSound Technologies)が独ベルテルスマン傘下のCDナウ(CDNow)を特許侵害で提訴した事件で、サイトサウンド側にまず軍配。といっても未だトライアル前のマジストレイト(Magistrate Judge Kenneth Benson)の仮差し止めが認められたもの。
 
情報元および関連情報:
・ZDNN/USA「音楽/ビデオ配信技術に新特許?」ZDNet News(2002年2月15日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0202/15/b_0214_13.html
===================================
...The patents filed by SightSound and granted in 1992 give the company control over a technique for "electronic sales and distribution of digital audio or video signals," specifically over a "telecommunications line."
 
 
2002/02/09
 
1.ファイル交換ソフト論争
 ファイル交換ソフト「ファイルローグ」を提供する日本MMOに対しレコード協会が東京地裁に仮処分命令を申請したと大々的に報じられている。
 
情報元および関連情報:
・中村琢磨「ファイル交換ソフト“狂騒曲”」ZDNetニュース(2002年2月9日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0202/09/mmo.html
 
 
2002/02/08
 
1.ハイパーリンク特許法廷紛争
 英ブリティッシュテレコムが米大手プロバイダのプロジディをハイパーリンク特許の特許権侵害で訴えた注目の事件の公判が、ニューヨーク南部地区連邦地裁で開かれた。古い特許でハイパーリンクの概念を包含するのは難しそうである。
 
 
情報元および関連情報:
・Reuters「BTのハイパーリンク特許権訴訟,11日に予備審問」ZDNetニュース速報(2002年2月8日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0202/08/b_0207_06.html
・Jim Fitzgerald (The Associated Press), "British Company Claims Patent on Hyperlinks." law.com (February 12, 2002).
http://www.law.com
 
 
2.CMコンセプトのパクリは著作権侵害?
 ナイキがセガを提訴。
 
情報元および関連情報:
・GAMESPOT「米ナイキ、SOAを『CMが酷似』と提訴」ZDNetゲームスポットジャパン(2002年2月8日)
http://www.zdnet.co.jp/gamespot/gsnews/0202/08/news13.html
 
 
3.オペラ日本語版
 一部に人気のブラウザOperaが正式に日本語版に。残念ながら有料。バナー広告入りなら無料。
 動作が軽いとされているが、初期型ウィンドウズ95でも動くのだろうか?だったら買い、だが。
 
情報元および関連情報:
・「欧米で定評のWebブラウザ「Opera」が日本語に正式対応」ZDNet > プロダクトセンター > TransWARE > Opera 6.01 for Windows日本語版(2002年2月8日)
http://www.zdnet.co.jp/products/transware/opera601win.html
 
 
2002/02/12
 
1.ダウエントの無料セミナー案内
 ブランディからのダイレクトメール。
情報元および関連情報:
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【日時】《大阪会場》2月12日(火)ウェスティンホテル大阪 13時〜16時20分
    《東京会場》2月14日(木)如水会館 13時〜16時20分
【アクセス】▼下記ウェブページをご参照ください。
      → http://www.derwent.co.jp/event/engseminar/access.html 
【参加費】無料
【プログラム】
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12:30〜:受付
13:00〜:ご挨拶
13:05〜:基調講演「R&Dは聖域か?〜大競争時代に勝つための特許戦略とは〜」
    元デュポン中央技術研究所所長Yet2.comAsia上席顧問 玉川惟正理学博士
14:05〜:小休憩
14:10〜:エンドユーザー向けの特許情報データベース
    本邦初公開―Derwent World Patents Index on Lotus Domino日本語版
15:00〜:Coffee Break&製品展示
15:30〜:エンドユーザー向けの特許・技術調査方法
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【詳細情報】 → http://www.derwent.co.jp/event/engseminar/index.html
【セミナー申込方法】申込方法は下記の2通り。
(1)▼セミナーページから
   → http://www.derwent.co.jp/event/engseminar/form.html
(2)▼Faxの場合
   → http://www.derwent.co.jp/event/engseminar/form.pdf より
   申し込み用紙をダウンロードの上 03-5222-1280 までFaxください。
※1.2.共にお申し込み受付け後、受講票をお送りいたします。
【お問い合わせ】eng@derwent.co.jp セミナー担当者まで
---------------------------------------------------------------------------
【発行元】
トムソン コーポレーション 株式会社
ダウエント・インフォメーション・日本
Tel : 03-5218-6500 Fax : 03-5222-1280
E-mail: info@derwent.co.jp
http://www.derwent.co.jp
 
 
2002/02/01
 
1.弁理士法4条3項の施行
 「契約締結の代理」の規定の施行日が早められた。
 
情報元および関連情報:
 
 
2002/01/24
 
1.CAFC判決:シンボル対レメルソン財団:ついに出た!レメルソン特許否定判決
 バーコードメーカ各社がレメルソン財団の「マシンビジョン」特許の無効確認を訴えた注目訴訟の判決がCAFCで下された。正確には特許無効(invalidity)でなく、継続出願の繰り返しにより出願審査を故意に遅滞させたことによる不衡平行為に基づく権利行使不能(unenforceable)の主張。CAFCはネバダ連邦地裁が審査懈怠の抗弁(defense of prosecution laches)を否定した判決を破棄差し戻しとし、レメルソンの特許群が権利行使不能である可能性を認めた。つまり特許の無効を明確に宣言したのではなく、権利行使不能とする法的根拠を是認したものである。しかし実質上は無効宣告に等しい影響力を持つ。レメルソン財団が進める特許ライセンスなどへの影響は必至と見られ、今後さらに最高裁への上告も含めて事件の行方が注目される。特に、今回俎上にあげられたバーコード関連特許に限られず、継続出願の繰り返しで特許された「サブマリン特許」全般に及ぶため、レメルソン財団のみならず他のいわゆるパテントマフィアに対しても、本件の与える影響は極めて大きいと思われる。
 本件は、バーコードスキャナ製造メーカのシンボル・テクノロジー社(Symbol Technologies, Inc.)やコグネックス社(Cognex Corporation)などが、故レメルソン氏(Jerome H. Lemelson)が出願しレメルソン財団(Lemelson Medical, Education & Research Foundation, Limited Partnership)が管理する「マシンビジョン」および自動認識技術に関する特許権の不存在確認を求めて提訴されたものである。マシンビジョン(machine-vision)とは機械視覚、ロボットビジョンなどと訳されており、ロボットやコンピューター、テレビカメラやイメージセンサなどを用いた画像認識による機械視覚検査システムをいい、バーコードを使った管理システムとも関連する。レメルソン財団側マシンビジョンおよびバーコード技術に関して、未だ審査継続中の特許出願を含めた多くの特許権を有している。存続中の特許権だけでも185件あるといい、これらの出願日は1954年から1956年である。バーコードメーカからすれば、バーコード関連機器を購入しているクライアントが、何の貢献もしていないペーパーパテントに基づいて不当なライセンス料を徴収されるている状況が我慢ならなかったのであろう。レメルソン財団はユーザ(バーコードメーカにとっては自社製品を購入してくれている顧客)からライセンス料を徴収するという戦略を採っていたため、バーコードメーカが特許権侵害で提訴されていた訳ではなかったが、顧客の利益を守る必要があると判断し、提訴に踏み切ったとされている。当初2社は別個にネバダ州連邦地裁に提訴していたが、主に審査懈怠理論が主張されていたこともあり、同地裁で審理が併合された。地裁では審査懈怠理論が否定された。これに対して原告はCAFCに控訴し、CAFCは中間控訴を認めていた。
 したがってCAFCでは特許の無効判断が求められていた訳でなく、法律論として審査懈怠理論が認められるか否かが争点となった。審査遅滞を原因とする懈怠の抗弁とは、遅滞して特許された特許権は、たとえ出願人が特許法の規定に従っているとしても、斯かる遅滞に合理的な理由なく、かつ理由の説明もない状態であれば、衡平法上(エクイティ)の観点から審査懈怠の理論によって権利行使不能とされるという理論である。CAFCは最高裁の古い判決であるウッドブリッジ判決およびウェブスター判決に依拠して、特許法上「審査懈怠」の法理が存在していることを確認した。
 レメルソン側は第一にウェブスター最高裁判決がインターフェアレンス手続から生じたクレームに限定されると主張し、そのように解釈したチザム教授の参考書「パテント」を引用した。しかしCAFCは、そのように解釈する根拠がないとしてこれを否定している。最高裁はインターフェアレンス事件であることよりも、クレーム提出の遅延の合理性を重視しているとCAFCは判断した。
 また第二にレメルソンは1952年の特許法改正により「審査懈怠」理論は廃止されていると主張した。1952年の特許法改正は、それまで判例法や実務として認められていた継続出願、分割出願を規定する120条、121条を新設している。CAFCは立法経緯や立法趣旨から、これらの規定により審査懈怠理論を廃止するという意図はなく、審査懈怠理論は有効であると確認した。
 加えて第三にレメルソンは審査懈怠理論をCAFCが否定した2件の先例とならない判例(nonprecedential)が第8巡回裁判所のアナスタソフ判決に従いCAFCを拘束すると主張したが、この主張も却下されている。
 なお今回の判決に対しニューマン判事は、特許法および規則を遵守する限り継続出願に対して制裁を科すことはできないとして、反対意見を述べられている。
 これまで、まともにレメルソン特許の有効性を判断した判決がほとんどなく(レメルソン財団がライセンス戦略を推し進めていたため多くは和解しており、裁判に至ったケースは少ない。CAFCまであげられたのはマテル社の「ホットウイール」くらいではなかろうか。マテルの事件では法的手続違背によって特許無効が認められている。)、それだけに今回の裁判の行方が注目されていた。レメルソン財団側の上告は必至と見られ、今後の動向にも要注意である。
 フェスト大法廷判決などでCAFCではアンチパテント寄りの判決傾向が続いているように一見思われるが、本件については一般の特許では殆ど問題とならない。継続出願の繰り返しなどで極端に審査が長期化した出願、いわゆるサブマリン特許が対象となるため、特許業界および産業界には好意的に受け止められる判決であり、実質的にはプロパテント寄りの判決と呼べるかも知れない。
 なお今回の判決に関しては、アレックス・シャルトーヴ弁護士から第一報を戴いています。いつもありがとうございます。
 
情報元および関連情報:
・Alex Chartove, "CAFC says Lemelson Patents Could Be Unenforceable." The CAFC Study Forum (January 25, 2002).
http://communities.msn.com/TheCAFCStudyForum/_notifications.msnw?type=msg&action=showdiscussion&parent=1&item=10
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Symbol Tech., Inc., et al.,v. Lemelson Med., Educ. & Research Found., Ltd. P'ship, 277 F.3d 1361, 61 USPQ2d 1515 (Fed. Cir. 2002).
http://www.ipo.org/2002/IPcourts/Symbol_v_Lemelson.htm
合議体:メイヤー、ニューマン、クレベンジャー判事
判決文:メイヤー首席判事
争点:Whether, as a matter of law, the equitable doctrine of laches may be applied to bar enforcement of patent claims that issued after an unreasonable and unexplained delay in prosecution even though the applicant complied with pertinent statutes and rules.
判示:
(論文の引用がいっぱい出てくる。どこかで閲覧できないものか。。。特にJPTOSが日本で読めるところはないだろうか?)
 審査懈怠の歴史的経緯を説明
Woodbridge v. United States, 263 U.S. 50 (1923).
 ウッドブリッジ最高裁判決。特許まで9年半を要した。特許庁が特許発行を忘れたためだが、出願人は特許庁の誤りを指摘することなく9年待ち、特許発行の際にクレームを補正して9年間に開発された関連技術を取り込んだ。
Webster Electric Co. v. Splitdorf Electrical Co., 264 U.S. 463 (1924).
 ウェブスター最高裁判決。トータルで8年の遅れ。出願から5年後、インターフェアレンス提起のため分割出願。インターフェアレンスで敗訴した後、クレーム7、8を新たに追加して親出願から8年後に特許になった。これらのクレームはインターフェアレンスで争われておらず、クレーム7、8を根拠に侵害訴訟を提起した。親出願は6年後に特許になっており、このときから特許の内容は公開されているはず。つまり2年の間クレームがなく公衆が非侵害と信じていた範囲を特許化したことになり、他社が特許に係る技術を使用するのを待っていたと判断された。
 その後最高裁は審査懈怠の抗弁を認可した。
 レメルソンは3つの理由でこの抗弁が採用されないと主張した。
1) the rule espoused in Webster and its progeny is limited to claims arising out of interference actions;
2) the plain language and legislative history of the Patent Act of 1952 forecloses the application of prosecution laches; and
3) two of our non-precedential opinions reject the prosecution laches defense and should be binding upon us under the reasoning of
Anastasoff v. United States, 223 F.3d 898 (8th Cir. 2000), vacated as moot, 235 F.3d 1054 (8th Cir. 2000) (en banc).
上記1について、
・4 Donald S. Chisum, Patents §11.05[1] at 11-264 (1996)
"Possible implications of Webster Electric outside the interference context were dispelled by the Supreme Court in Crown Cork & Seal Co. v. Ferdinand Gutmann Co."
→We find no support for this view.
2について
Lemelson asserts that by passing these two sections, especially allowing the continuation practice, Congress abrogated the defense of prosecution laches.
→But the legislative history and commentary from the authors of the 1952 Act suggest no such intent...the defense of prosecution laches and the continuation practice coexisted.
・Thomas G. Eshweiler, Ford v. Lemelson and Continuing Application Laches Revisited, 79 J. Pat. & Trademark Off. Soc'y 457 (1997).
3について
 判決を先例としないことが認められていることを様々な判決から検討。長いし複雑なので省略。
 脚注で「サブマリン特許」に言及
Although the merits of the asserted "prosecution laches" are not before us, we take note of the declaratory plaintiffs' continuing reference to "submarine" patents. The limited record provided to us shows that Lemelson's original patents, filed in 1954 and 1956, issued in 1962 and 1963, and thus expired in 1979 and 1980. The record also shows that ten divisional patents were subject to terminal disclaimers, one of which has a life of only one year and another of four years. The record shows that other patents are continuations-in-part. Both sides outline their positions: the plaintiffs allege that Lemelson has unfairly enlarged the scope of his original patents and is unreasonably threatening suit, while Lemelson answers that his first patents issued long ago and are expired, that any later claims not patentably distinct are subject to attack on the established grounds of invalidity or terminal disclaimer, and that all of his filings complied with the statute.
反対意見:ニューマン判事
 出願人が継続出願の要件など法規則を遵守している限り、制裁を科されるべきでない。
Bott v. Four Star Corp., 1988 WL 54107 (Fed. Cir. May 26, 1988).
Ricoh Co. v. Nashua Corp., 1999 WL 88969 (Fed. Cir. Feb 18, 1999).
http://www.finnegan.com/cases/97-1344.htm
 問題とされた2件のCAFC非先例判決
Symbol Tech., Inc., et al.,v. Lemelson Med., Educ. & Research Found., Ltd. P'ship, 99-CV-0397 (D. Nev. Mar. 21, 2000).
 本件の地裁判決、判例集に掲載なし。
・"Landmark Federal Circuit Opinion Says Lemelson Patents Could Be Unenforceable for Unreasonable Delay in USPTO." IPO Daily News (January 25, 2002).
http://www.ipo.org/whatsnew.html#jan25
・Nicholas Varchaver, "The Patent King," Fortune (May 14, 2001).
http://www.fortune.com/indexw.jhtml?channel=artcol.jhtml&doc_id=202216
 バーコードリーダの製造メーカがレメルソンを提訴した経緯が、コグネックス社のCEOロバート・シルマン(Robert Shillman)氏のコメントと共に紹介されている。訴えられてもいないのにレメルソンに喧嘩を売った、ホジャー弁護士曰く「理解に苦しむ」情熱的な男、だそう。しかし、仮にバーコード関連の特許が無効とされたところで、他にも出願中の特許が山ほどあるから痛くも痒くもない、というホジャーの余裕のコメントは、今回の判決でタカをくくってはいられなくなったはず。
 このフォーチュンの記事はレメルソン全般を知るのに最適(以下の強調は小職による)。
===================================
...Why would companies settle if they didn't believe--and most don't--that Lemelson's patents were valid? Beyond the obvious desire to avoid costly litigation, they found themselves trapped in the web of patent claims that Lemelson had woven during his life. Lemelson's machine-vision claims, for example, number in the hundreds and are spread among 16 different patents. Knock out one claim, and dozens more would rise to take its place....And yet for all the talk about the iron-clad nature of his patents--and the money they've generated--a crucial question has been obscured: Did Jerome Lemelson ever actually invent the products that generated such riches? When it comes to bar-code technology--just as with machine vision--the answer is clear (though, naturally, Lemelson's expert disagrees). "His patents have nothing to do with bar codes as they are commonly used," says George Laurer, the (unchallenged) inventor of the universal product code. "That is so far out in left field, it makes me sick." Last year Laurer was asked to testify on behalf of Lemelson; he not only declined but also offered to testify free on behalf of any company sued by Lemelson.
Which is why it is all the more fitting that corporate America's last stand against the Lemelson litigation machine is being waged by the very companies that he and Hosier never sued: the makers of bar-code equipment and machine-vision technology.
Their leader is a man named Robert Shillman, the co-founder of Cognex,...Shillman is a passionate man. Ask him about Lemelson, and he starts bouncing up and down in his chair, his white hair providing a vivid contrast to the florid red that soon flushes his face. "I take it personally," Shillman says. "It's a tax on every consumer in America.... What was produced by this man that is worth a billion dollars?" Shillman was outraged that his customers were being asked to pay a license on a product that was developed completely independently of Lemelson's ideas. It wasn't just a theoretical issue either. Customers had begun to approach Cognex, asking to be reimbursed for the money they'd paid to Lemelson.
In the fall of 1998, Cognex sued the for-profit Lemelson foundation. To Hosier, this was a mystifying step--he couldn't fathom why the company would insert itself into litigation that, in his view, did not concern them. But for Shillman, it has become a matter of principle. He's not looking for money; he has a much grander dream. He wants Lemelson's patents invalidated. As he sees it, he is carrying on this battle on behalf of his customers. Soon seven manufacturers of bar-code equipment reached a conclusion similar to Cognex's: They were also going to stand up to the Lemelson foundation and sue on behalf of their customers. The two cases have been combined.
Like Ford before them, Cognex and the bar-code companies have accused Lemelson of excessive delay--and a judge has ruled against them. But this time the Federal Circuit Court of Appeals is permitting an unusual mid-case appeal. The two sides have submitted briefs and a hearing is expected sometime later this year. Meanwhile, the rest of the Cognex case is moving forward simultaneously. Here, too, a crucial hearing is anticipated this year: The judge will rule on the scope of the Lemelson patents. The remaining Lemelson litigation has been stayed in anticipation of these decisions.
Despite all the litigation, no court has ever made a substantive ruling on the validity of Lemelson's machine-vision and bar-code patents. It's likely that the Lemelson machine-vision and bar-code patents will rise or fall based on what happens in the Cognex suit. If Cognex wins the mid-case appeal--or wins a favorable ruling on the scope of the patents--the Lemelson patent-licensing program will effectively be dead. If Lemelson prevails, however, his patents will have the imprimatur of a court, and the 400 companies still in litigation with him will have to contemplate settlement.
Hosier says he isn't worried. Despite the $1.5 billion generated so far, he has no plans to wrap up the litigation. Besides, even if Cognex is able to deal a deathblow to the bar-code and machine-vision patents, it may not be enough to slay the hydra-headed monster. According to Hosier, there are still a few dozen patents that will be issuing in the next few years. He plans to enforce them.
Lemelson v. General Mills Inc., 23 USPQ2d 1284 (Fed. Cir. 1992).
(事件の経過は服部健一,山口洋一郎「ディスカバリー(証拠開示)と対策」(アクセス・ニッポン社・1993)98頁で読める)
 レメルソンが敗れた判決として、また8千万ドルの陪審による損害賠償を覆したダナー弁護士(フィネガン事務所)の輝かしい功績として、頻繁に引用されるケース。マテル社の有名なミニカー「ホットウイール」が争われた。
・1.フィネガン事務所のダナー氏、CAFCへ?(1999/07/13)
 話は脱線するが、マテルはホットウイール用のミニカーに昔の特撮ものキャラクターを起用しており、例えばイナズマンの「ライジンゴー」とかキカイダーの「サイドマシーン」といったかなりのオタクアイテムをミニカーとして販売している。ホットウイールは動力のないミニカーを付勢してサーキットのごとく巡回せしめる玩具。勢い余って結構コースアウトするらしいから、こんなコースに怪傑ズバットの「ズバッカー」みたいなとげとげしたミニカーを走らせると危ないはず。つまり子供の遊び用でなく、明らかにお父さん向けのディスプレイとしてのアイテムを意識している。要するに「子供のおもちゃを買いにおもちゃ屋に行ったお父さんが、つい懐かしくて手に取る」戦略だ。(私は買ってません、念のため)
・「レメルソン関連メディアクリッピング:Forbs記事0205」コグネックス株式会社 会社概要(2003年1月25日)
http://www.cognex.co.jp/news/2002/media0205_lemelson.asp
 フォーブス5月13日号の記事を要約。
"Jerome Lemelson turned an obscure 'submarine patent' into $1 billion-plus in royalties. The sub just took a hit." Forbes Magazine (May 13, 2002).
 今回のCAFC決定、および3月20日の再審理却下(さらに最高裁上告不受理)によって、1954年および1956年に出願された特許を親出願とする18件の「サブマリン特許」の内、14を失う可能性が出てきた。レメルソン側は既に企業940社から15億ドルのライセンス料を得ており、これによって成功報酬を得たホージャー弁護士は2000年に4000万ドルの収入と3機のジェット機を得、米国で最も高収入の弁護士となっている。
 今回のラッチェスではGeorge Sirilla(バージニア州の特許弁護士)がアミカスブリーフを提出していたそう。本CAFC判決を受けて、ネバダ連邦地裁では審査懈怠が議論されることが認められることとなった。「...たとえば問題とするクレームの主張を始めるのにレメルソンは少なくとも23年間も待っていたことを証明できるとスキャナメーカは述べています。Hosierはこれを否定し、責任は米国特許局にあると発言しています。この影響は甚大です。ネバダ州の判事がスキャナ・ユーザ側を支持する場合、他の判事もIntel社など400以上の被告に対する訴訟を棄却することもあり得ます。Hosierはそんなことは気にしない、と述べ、「他のことをしたい」と、鼻であしらっています。まるで彼のジェット機の飛行のように。この(地裁での)公判は(2002年)11月18日に予定されています。」
 
 
2002/01/23
 
1.PDFからTIFFに変換する便利ソフト
 PDFをTIFFに変換する海外のソフト「BCL Freebird Ver.5.0」。TIFF圧縮オプションやマルチページTIFFファイルの出力も可能というので、使えそう。ただしシェアウェアで199ドルと結構高い上、アクロバットが必要。まだ試していませんので使用感の報告はできませんが、考えられる使用形態としては。。。
1−1.OCR
 多くのOCRソフトではPDFファイルを直接読み込むことができない。PDFを一旦TIFFなどに変換すれば可能なので、これを使えばフェストのブリーフなどをテキストファイルに変換し、翻訳ソフトにかけるといった芸当が実現できる。
 なお、AIソフトの「読んでココ」は、アクロバットを持っていればPDFに対してOCRをかけたり、OCR結果をPDFとして保存するといった操作が可能。またマルチTIFFの作成やPDFへの変換といった処理も可能なので個人的に重宝している。
1−2.図面の修正
 図面など電子データでやりとりすることがあるが、特殊なCADを使っている場合などPDFファイルが利用されることも最近多くなった。アクロバットから直接PDFファイルを手直しすることも可能なのだろうが(やり方知らない(^_^;))、イメージデータはやはりペイントショッププロなどのレタッチソフトで処理する方が便利。そこでPDFをTIFFに変換することができないものかと模索していた。印刷してスキャンするという原始的な方法もあるけど、電子データのまま綺麗に(スマートに)変換できた方が簡単で手間がない。
 気になるのはイメージ変換のクオリティ。アクロバットから範囲指定してコピーすれば簡単にメタファイルに変換できるが、これだと非常に汚くなる。これよりは綺麗に変換してくれるものと期待しているのですが、、、
 何かご存じの方、お知恵をお貸し下さい。
 
情報元および関連情報:
・「PDF書類をTIFF, JPEG, BMP形式に変換」ZDネット オンラインソフトウェアレビュー(2002年1月21日)
http://www.zdnet.co.jp/download/pc/text/bclfreebird_u.html
 
 
2.パスワード付き圧縮ファイル
 同じくZDネットから便利ソフト「Safe Melt 32 Ver.2.73」紹介。添付ファイルで重要フィアルをやりとりする際、なんらかのセキュリティを検討する必要がある。主にPGPを使ってはいるが、暗号化、復号化が面倒なので、ファイル(一太郎、ワードなど)のパスワードを利用することも多い。ただファイルサイズが大きいときや複数ファイル、とくにパスワード機能のないファイルを添付するときは、本ソフトでパスワードを付けて圧縮すると便利かも。本ソフトはドネーションウェア。残念ながら独自の圧縮形式でlzhやzip形式ではないが、自己解凍ファイルなので問題はない。解凍時にメッセージの表示も可能。
 
情報元および関連情報:
・「パスワード機能付き自己解凍型圧縮ツール」ZDネット オンラインソフトウェアレビュー(2002年1月21日)
http://www.zdnet.co.jp/download/pc/archiver/safemelt32.html
 
 
3.ファイル交換ソフトの違法性
 「ファイルローグ」とレコード協会との間で意見の対立。日本版ナップスター訴訟勃発のおそれも。
 
情報元および関連情報:
・降旗淳平「バトル勃発!日本版ナップスター対レコード協会」日経Biztech(2002年1月21日)
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/gen/165132
===================================
...日本MMOの松田社長は、「...違法な著作物が登録されているならば、著作権審議会が提唱する、被害者の通知に従って違法物をサイトから削除する『ノーティス&テイクダウン』の手続きを取ってほしい」と主張する。
...法律を厳密に解釈すれば、日本レコード協会の主張の方に分がある。日本の著作権法は著作権者らに「送信可能化権」という権利を与えている。この意味は、音楽CDをパソコン内のハードディスクにコピーしてネット上に送信できる状態にしただけで、違法行為になるというものだ。
 加えて、今年4月にはインターネット接続業者(ISP)の責任範囲を定めた「プロバイダー法」も施行され、著作物を違法にサイト上に提示した人物の身元も、以前に比べて特定しやすくなる。
...ゲームの中古ソフト販売を巡る顛末は格好の例になる。中古ソフト販売を禁じたいソフトメーカー側と、扱わなければ生きていけない小売店側は数年前から対立していた。店側は売上高の数%を権利者に還元する案を出したが、メーカー側は妥協せず、結果、東京・大阪の両高裁で、ゲームソフトの中古販売を認める判決が出てしまった。今では大手ゲームソフト店の多くが中古ソフトを扱い、メーカーの経営には大きな影響が出ている。
 
 
4.ネットスケープがマイクロソフトを提訴
 興味深い訴訟が提訴された。司法省が断念した独禁法違反訴訟を引き継ぐ、というより仕切直しを狙ったかのようにも映るAOL・ネットスケープの今回の行動。今更ブラウザのシェアがひっくり返ることはないだろうが、、、
 
情報元および関連情報:
・「AOL/NetscapeがMSを提訴。将来にわたる是正措置を要求」ZDNetニュース速報(2002年1月23日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0201/23/e_msaol_m.html
===================================
...(ボルティモア大学ロースクールのBob)Lande教授は,Netscapeの訴訟は「司法省の訴訟で数年をかけて得られた事実認定と法的結論の上に乗っかった形のものだ」としながらも,目的はNetscapeの訴訟の方がはるかに幅広い,と指摘している。「ある意味,(AOL/Netscapeは)すべてをやり直し,司法省がやり残したことにトライしようとしている」...
・枝洋樹「Microsoft社に後門の狼,Netscape社が損害賠償を請求」日経エレクトロニクス:係争と事例(2002年1月23日)
http://ne.nikkeibp.co.jp/judge/2002/01/1000010351.html
・Rachel Konrad,Ian Fried,Richard Shim & Rob Lemos,「NetscapeがMicrosoftを提訴」に業界の反応は?」ZDNetニュース(2002年1月24日)
http://www.zdnet.co.jp/news/0201/24/e_netscape.html
 
 
5.着メロの著作権料はだれのもの?
 ZDネットニュースより。着メロの著作権料は作詞者と作曲者にしか支払われていないそうである。著作隣接権者の扱いについて問題提起。
 
情報元および関連情報:
・斎藤健二「着メロの著作権料はだれのもの?」ZDNet/JAPAN(2002年1月23日)
http://www.zdnet.co.jp/mobile/0201/23/n_tyosaku.html
===================================
...ミュージックエアポートの取締役,松武秀樹氏は1月12日,モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)のセミナーに登壇し,着信メロディにかかわる“お金の流れ”について,「著作隣接権を考える時期にきている」と主張した。
 「著作隣接権」とは,例えば音楽の場合,演奏者に与えられた知的所有権を示す。MIDIデータならばデータ作者がこれに当たる。ヒット曲についても,著作権者だけの力でヒットしたわけではなく「周りの人がいたから音楽がヒットした」(松武氏)。
 ところが,「着メロデータに関しては著作権しか処理されていない」(松武氏)のが実情。作詞者や作曲者には定められた対価が支払われるが,データ作成者には“著作権料”としての支払いはない。
 
 
2002/01/21
 
1.フェストのトランスクリプト
 先日開かれた最高裁での口頭審理について、いくつかのサイトで裁判記録がアップされている。
 
情報元および関連情報:
・Greg Aharonian, "PDF TRANSCRIPT OF SUPREME COURT HEARING ON FESTO." Internet Patent News Service (Jan. 21, 2002).
http://www.bustpatents.com/festo.pdf
 
 
2.PCTイージー要約エディタガイドライン
 WIPOのホームページから日本語版マニュアルがダウンロード可能。
 
情報元および関連情報:
・Download
http://pcteasy.wipo.int/en/
===================================
PCT-EASYユーザー各位
 
PCT-EASYの要約書エディタガイドライン(日本語版・Ms-Word形式)ができましたので、お知らせいたします。
同ガイドラインをご希望の方は、WIPOホームページ(http://pcteasy.wipo.int)よりダウンロードをお願いします。
ダウンロードの手順は以下のとおりです。
 
1.上記のホームページに接続すると、「Welcome to the PCT ...(PCT-EASY)」という画面があらわれる。
2.文章中にある青字の「download software」という部分をクリックする。
3.「Download」という画面があらわれる。画面の下のほうに行くと「Abstract Editor Guidelines」という表題があらわれる。
4.「New! Japanese」という表示があるので、その下の青字の「.doc」という部分をクリックする。
5.「開く」か「ディスクに保存する」かを選択する。ファイルを開けた後、必要があれば印刷する。
(青字、赤字などの色は、コンピューターの設定により異なる場合があります。)
 
 
3.方式審査便覧
 特許庁のホームページからPDFファイルでダウンロード可能になった。大変便利!
 
情報元および関連情報:
・審査業務部方式審査課方式審査基準室「『方式審査便覧』について」(2002年1月21日)
http://www.jpo.go.jp/info/binran_mokuji.htm
===================================
 今般、工業所有権に関する手続をする者に、形式的又は手続的な要件の方式審査の運用基準を公開することにより、方式審査の透明性を確保し、事務処理の一層の迅速・的確性を確保するために、方式審査便覧を特許庁ホームページに公開することにしました。
 なお、方式審査便覧に収録すべき事項としてなお未完成のものについては、引き続き検討を加え、運用が固まり次第追加収録していきます。
 
 
2002/01/18
 
1.java技術の米国特許
 毎日新聞他。
 
情報元および関連情報:
・合原 亮一「Javaアクセラレーターで特許取得 米ナゾミ」毎日インタラクティブ(2002年1月18日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/computing/archive/200201/18/7.html
 
 
2002/01/16
 
1.逆混同?
 ビクトリア・シークレット(Victoria's Secret Stores Inc.)の水着「ミラクル・ブラ(Miracle Bra)」の使用が、A&H(A&H Sportswear Inc.)の水着「ミラクル・スーツ(MiracleSuit)」と逆混同を生じるとして、ペンシルバニア州連邦地裁は使用差し止めの判決を下した。逆混同(reverse confusion)とは、小企業の商標と類似の名称を大手企業が使用した結果、消費者の間で小企業が大手企業の関連企業であるような混同を生じ、小企業のアイデンティティが失われるというもの。この訴訟は7年もかかったという。
 
情報元および関連情報:
・Shannon P. Duffy (The Legal Intelligencer), "Victoria's Secret Must Drop 'Miracle Bra' Mark on Swimsuits," law.com (January 16, 2002).
http://www.law.com
 
 
2002/01/15
 
1.パトリスとデルフィオンが提携
 毎日新聞他。はやりの民営化第1号が自慢(?)のパトリスが旧IBMパテントサーバのデルフィオンからライセンスを受けたと発表。
 
情報元および関連情報:
・「パトリスが米デルフィオンと契約」毎日インタラクティブ(2002年1月15日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/solution/archive/200201/15/2.html
===================================
...デルフィオンのソフトは、さまざまな特許情報のデータ形式を標準化するもので、ユーザーが全ての特許を同一形式で閲覧したり、一括検索できるようになる。これにより、ユーザーが米国やヨーロッパ、世界知的所有権機関(WIPO)などから収集した特許情報を利用できるようになる。さらに、デルフィオンのソフトはIBMの電子商取引ソフト「ウェブスフィア・コマース・スィート」を用いており、パトリスは電子商取引機能を提供できるようになる。
 デルフィオンは日本IBMと協力し、パトリスのウェブサイト向けに漢字インターフェースを開発。またデルフィオンのソフトはパトリスのほか、スイスやオランダなどの特許庁にも採用されている。
・ZDNet「パトリスがIBM子会社の特許データベースのライセンス拡大」Yahoo!ニュース:コンピュータ(1月15日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020115-00000005-zdn-sci
 
 
2.トヨタ、ドメイン調停に勝訴
 毎日新聞他。トヨタがメキシコのドメインtoyota.com.mxをサルバドール・コビアンから返還するよう求める調停がWIPO Arbitration and Mediation Centerにより、UDRP(Uniform Dispute Resolution Policy)に基づき認められた。
 
情報元および関連情報:
Toyota v. Salvador Cobian, WIPO Case No. DMX2001-0006 (December 20, 2001).
http://arbiter.wipo.int/domains/decisions/html/2001/dmx2001-0006.html
・Take-C Coma「トヨタ、mxドメインでWIPO調停に勝訴」毎日インタラクティブ(2002年1月15日)
http://www.mainichi.co.jp/digital/network/archive/200201/15/6.html
・David McGuire, "Domain Dispute Mechanism Works Well - Study." Newsbytes (January 11, 2002).
http://www.newsbytes.com/news/02/173598.html
・"UDRP Review Study Released." UDRPlaw.net
http://www.intellecprop.mpg.de/Online-Publikationen/2002/UDRP-study-final-02.doc
 マックスプランク研究所による76ページの調査報告。700件の調停内、権利者の申請によりドメインが変換されたケースは76%に上るという。
・The Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy Legal Information Site
http://www.udrplaw.net/
 ドメイン名紛争に関する様々な情報を入手可能。今年の結果は以下で確認できる。
http://www.udrplaw.net/casesoftheweek.htm
 
 
2002/01/10
 
1.PCT様式最新版
 特許庁ホームページよりPDFファイルでダウンロード可能。
情報元および関連情報:
・「PCT願書・国際予備審査請求書の様式」(2002年1月10日)
http://www.jpo.go.jp/shoukai/pct_paper.htm
 
 
2002/01/05
 
1.フェストネタ色々
 まもなく行われる最高裁口頭審理。このところCAFCの判決を覆すことが多い最高裁がどのような判断を下すのか、非常に興味深いところです。
 フェストに関する論文がいろいろと出ているので、列挙します。
 また、インターネット・パテントニュースによれば、先日ハネウェル社(Honeywell International)がリットン社(ノースロップ・グラマン社のリットン工業部門)と和解した背景には、フェスト判決が最高裁で破棄されるおそれを検討したためという意見が紹介されています。ハネウェル社は一時12億ドルの損害賠償支払を命じられていましたが、最終的にはフェストCAFC大法廷判決により均等論非侵害を勝ち取りました。しかし、もしもCAFCのフェスト判決を最高裁が覆すようなことがあれば、またもや差し戻しの審理が再開されることも考えられました。結局4億4000万ドルで和解する道を選んだというものです。賢明な選択?でしょうか
 一方、CAFCの判例傾向を見ると、クレームを減縮補正しない限りフェスト判例は適用されないというルールが明確になっています。この傾向を最高裁判事がどう捉えるのか、CAFCはフェストルールに対する多くの批判に応えるべく、適正な運用を図ろうとしてるのか、などなど、興味は尽きません。
 
情報元および関連情報:
Festo Corp. v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co.,No. 00-1543, oral arguments (U.S. 2002).
http://supreme.lp.findlaw.com/supreme_court/docket/2001/january.html#00-1543
 関連情報一覧
・Greg Aharonian, "Did Honeywell settle because of Festo's strength?" Internet Patent News Service (Dec. 29. 2001).
Litton Sys., Inc. v. Honeywell Inc., 238 F.3d 1376, 1380 (Fed. Cir.), petition for cert. pending, No. 00-1617 (filed Apr. 23, 2001).
 和解により上告は取り下げられていると思うが、どう表記するんだっけ?
 
 
2.フェスト判決の適用を否定した判決一覧
Turbocare Div. v. Gen. Elec. Co., 264 F.3d 1111, 60 USPQ2d 1017 (Fed. Cir. 2001).
 最初にフェスト判決の適用を否定して話題になった。
Bose Corp. v. JBL Inc., No. 01-1054 (Fed. Cir. 2001).
 クレーム中で「楕円(ellipse)」に「大径(major diameter)」を追加しても、元々内在していた事項を明示したにすぎないのでクレームを減縮するものでないとして、フェストルールの適用を否定
Interactive Pictures Corp. v. Infinite Pictures Inc., No. 01-1029 (Fed. Cir. 2001).
 クレーム中で「出力信号(output signals)」を「出力変換演算信号(output transform calculation signals)」に補正したことは、元々黙示されていた事項を明示したにすぎないもので、クレームを減縮するものでないからフェストルールは適用されなかった。(ローリー判事)
・司法省が提出したアミカス・ブリーフ
http://supreme.lp.findlaw.com/supreme_court/briefs/00-1543/00-1543.mer.ami.usa.html
 これによれば、地裁がフェスト判決を否定した事件も結構あることに気付く。CAFC判決ばかりに目を取られがちになるが、実は地裁での扱いの方が大事かも。。。
Graco Children's Prods., Inc. v. Regalo Int'l, LLC, No. 97-CV-6885, 2001 WL 392886, at *3-*4 (E.D. Pa. Apr. 17, 2001) (adding language to a claim that merely restated a limitation that was already present did not give rise to prosecution history estoppel because it did not narrow the scope of the claim);
SRAM Corp. v. AD-II Eng'g, Inc., No. 00 C 6675, 2001 WL 817857, at *10 (N.D. Ill. July 9, 2001) (an amendment to the patent specification, but not the patent claims, that overcame a rejection for indefiniteness by supplying the antecedent basis for a claim limitation did not trigger prosecution history estoppel because it did not narrow the scope of the patent claim);
あとはおまけ
TM Patents, LLP v. IBM Corp., 136 F. Supp. 2d 209, 217 (S.D.N.Y. 2001) ("Festo, by its terms, applies only to amendments that narrow the scope of patent claims.");
Pickholtz v. Rainbow Techs., Inc., 125 F. Supp. 2d 1156, 1161 (N.D. Cal. 2000) ("the court must consider whether the amendments 'narrowed the literal scope of the claim'").
 
 
2002/01/04
 
1.パソコン出願ソフト、バージョンアップ
 来年1月より。主な改正は商標国際分類のニース分類への対応。
 
情報元および関連情報:
・「[02.40]リリース予定について」日本特許庁(平成13年10月)
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/info-19.htm
===================================
...バージョンアップの[02.40]版は本年12月末に宅配便で受取人払い(420円)にて送付する予定です。...
■変更内容
1.ニース分類の変更に対応し、商品及び役務の区分を、1〜42類から1〜45類に拡大します。
2.【防護標章登録の登録番号】に、分割防護番号を記載可能にします。
3.外国語明細書・外国語図面・外国語要約書を補正できないようにします。
4.法人が手続を行う場合に、【代表者】が記載されているかチェックするようにします。
5.手続補正書(方式)で、自発補正のため【発送番号】を書かなかった場合の警告メッセージを改善します。
6.「商品及び役務の区分」に対する補正のチェックを強化します。
7.事件の表示・審判事件の表示に、当事者系の審判番号が記載された場合、エラーにするようにします。
8.JPEGイメージで、縦方向と横方向の解像度が一致していなかった場合、重度の警告を出すようにします。
9.国名を7カ国追加します。
10.受け取った発送書類で、印刷を行なっていないものは、太字で表示するようにします。 また、太字で表示されている発送書類は、削除できないようにします。
11.パソコン間でのデータ移行を目的とした、「バックアップ・リストア」機能を追加します。
12.審判系発送書類 「指令書(その他)処分有(長官)」「指令書(その他)処分無(長官)」の、意匠・商標分を追加サポートします。
13.特許庁から受信したデータが破損している可能性がある場合、「破損したレスポンス」または「不明なレスポンス」として格納するようにします。
 
 
2002/01/02
 
1.欧州特許法改正
 欧州特許条約の規則改正が発効。
 規則29(2)が改正され、独立クレームの数が限定されることになった。独立クレームはカテゴリー毎に1つしかクレームできないというもの。例外あり。なお出願の単一性とは別の話で、出願手続のストリームライン化のため。
 また分割出願は親出願が係属中の間できるようになり、旧規則51(4)の通知の制限はなくなった。
 さらにPCTの国内移行も国際予備審査の請求に拘わらず一律31ヶ月となっている。
 なお2002年7月1日からは、規則51(4)の通知に対する応答で特許料およびクレームの翻訳を提出しなければならなくなった。これも手続迅速化のため。
 
情報元および関連情報:
・"DECISION OF THE ADMINISTRATIVE COUNCIL of 13 December 2001 amending Rule 29(2) EPC" European Patent Office
http://www.european-patent-office.org/epo/ca/e/ca_001_128.htm
・DECISION OF THE ADMINISTRATIVE COUNCIL of 18 October 2001 amending the Implementing Regulations to the EPC: CA/D 27/01 (Rules 25(1), 36(1), 38(5), 51 EPC)
http://www.european-patent-office.org/epo/ca/e/ca_001_27.htm
・"Newsflash® 3-2001," Vossius & Partner
http://www.vossiusandpartner.com/eng/news.html
http://www.vossiusandpartner.com/eng/flash/newsflash-3-01.html
 
 
2002/01/01
 
1.国際分類第8版対応類似商品・役務審査基準施行
 第42類が4区分に分割され、また各区分に属する商品・役務の位置具が改正された。例えば「電子計算機用プログラム」「電子出版物」は第9類の商品として指定でき、ダウンロードによるものと記録媒体に格納したもののいずれも含む。
 特許庁ホームページよりPDFファイルでダウンロード可能。7版はテキスト形式(HTML)ファイルだったので、検索が早くて重宝した。
 
情報元および関連情報:
・「類似商品・役務審査基準〔国際分類第8版対応〕について」特許庁審査業務部商標課(2001年12月16日)
http://www.jpo.go.jp/info/1311-042_kijun.htm
===================================
 「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づく国際分類「第7版」が、昨年10月に世界知的所有権機関(WIPO)で開催された第18会期専門家委員会で改訂されました。
 この国際分類の改訂は、類別表の改正(第42類を第42類〜第45類の4つの新分類に分割する等)、商品及びサービスのアルファベット順の一覧表の改正(各類に属する商品又は役務の追加・変更・削除)等をその内容としています。
 そこで、この度、この改正に対応した新たな「類似商品・役務審査基準」を〔国際分類第8版対応〕として作成いたしましたのでお知らせします。
 この「類似商品・役務審査基準」は、平成14年1月1日から施行されます。したがって、平成13年12月31日までに出願する場合は、第1類から第42類までの現行(国際分類第7版)の分類が適用されますので、特許電子図書館(IPDL)掲載の国際分類第7版の類似商品・役務審査基準をご覧頂きたく御願い申し上げます。
 
 
2.PCT料金改定
 概ね値上げ。PCTイージー使用による減額もアップ。最大指定料が指定国6つから5つになったのは大きい。
 詳細は特許庁ホームページよりPDFファイルでダウンロード可能。
情報元および関連情報:
・「PCT関連手数料改定のお知らせ」(2002年1月1日)
http://www.jpo.go.jp/shoukai/pct_paper.htm
===================================
1国際出願関連手数料:
(1)基本手数料(注1)
(旧)
(新)
最初の30枚まで
46,200円
47,800円
PCT-EASY出願による減額
14,000円
14,700円
(2)
指定手数料(注2)
(旧)
(新)
1指定当たり
10,000円
10,300円
最高限度額
6指定相当額
5指定相当額
(60,000円)
(51,500円)
(3)
取扱手数料
(旧)
(新)
16,600円
17,100円
(4)
ヨーロッパ特許庁が行う
国際調査手数料(注1)
(旧)
(新)
103,000円
102,000円
(5)
確認のための手数料
(旧)
(新)
指定手数料(1指定当たり)
10,000円
10,300円
確認手数料(1指定当たり)
5,000円
5,150円
 
2改訂された料金の適用に関する規則:
"国際出願は受理されたが、手数料をまだ支払わないうちに料金改定が実施された!"
そのような場合には、新旧いずれかの手数料が以下のように適用されます。(PCT規則15.4)
(注1)基本手数料(調査手数料も同様)の支払いに関しては、国際出願が受理された日の時点で有効であった料金が適用されます。
(注2)指定手数料に関しては、国際出願の受理の日から1ヶ月以内に支払うのであれば、その国際出願が受理された日の時点で有効な料金が適用されます。しかし、受理の日から1ヶ月を過ぎて料金を支払う場合は、その支払い日の時点で有効な料金が適用されます。今回のように指定手数料の最高限度額に相当する指定国数に改定がある場合においても、上記の新旧手数料の適用方法に従い、受理日又は支払日の時点で規定されている指定国数を適用します。
・「国際出願関係手数料」
http://www.jpo.go.jp/shoukai/kokuryo.htm
・PCT newsletter: October 2001
http://www.wipo.int./pct/en/newslett/2001/2001_10/10.htm
 
 
3.台湾特許法改正
 台湾立法院(Legislative Yuan)は、WTO加盟のために必要な特許法の改正を1997年に可決していたが、実際に施行されるのは台湾がWTO加盟国として認められる2002年1月1日まで待たねばならなかった。主な改正点は以下の通り。
1)WTO加盟国に外国優先権主張を認める
 優先権主張のための国籍要件の廃止され、台湾との間で優先権主張を認める二国間条約のない国であっても、その国に住所があれば当該国の出願に基づく外国優先権主張が可能となる。
2)内国民待遇
 また台湾出願人に最恵国待遇を保証する国の国民には内国民待遇が与えられ、新規な微生物特許、医薬および農薬またはその製法に関する特許権の期間延長、特許品の輸入差し止めなどが認められる。
3)特許権の存続期間は出願日から20年に
 1994年1月21日以前に付与された特許で2002年1月1日の時点で係属中の特許は存続期間が出願日から20年まで延長される。
4)意匠権の存続期間は出願から12年に延長
 2002年1月1日の時点で係属中の意匠も存続期間が出願日から12年まで延長される。
5)半導体技術に関する強制的実施権の制限
 半導体技術に関する強制的実施権は公益を図るため非営利用途に限って認められる。
6)特許標記
 侵害者が特許の存在を知っていた場合、または侵害者が特許を知っているべきであったとの証拠がある場合は、特許番号を標記していなくとも損害賠償が認められ得る。
7)生産方法の推定
 製法特許侵害の推定に反駁するためには、商品製造に使用する方法が特許に係る方法と異なることを証明しなければならない。
8)特許裁判所
 2002年2月1日に知的財産権を扱う専門法廷を確立する。
9)特許料金の改定
 大幅な値上げが実施された。
 
情報元および関連情報:
・"Newly Effective Patent Laws" TSAI, LEE & CHEN
http://www.tsailee.com.tw/english/tips9102.htm
 英語による改正の概要。日本との間の優先権主張は、商標を除き1996年2月1日以降認められている。
 ここの事務所では日本語ページも用意されているが、中国語フォントのインストールが必要!
http://www.tsailee.com.tw/english/newletter_e.htm
http://www.tsailee.com.tw/JAPANESE/index_j.htm
異議申立てが公告日から3ヶ月以内なのは変更されていない?
・"International and Foreign Law," AIPLA International and Foreign Law Committee (February 2002).
http://www.aipla.org/committees/reports/intlforeign.html
 各国の特許法の動向をまとめている。台湾については主に2001年10月26日の改正を概説。
 
 

 このページは一太郎Ver.12で作成していますので、「ジャストビュー」でご覧になると正しく表示されるかも知れません。(ネットスケープやIEで見るとタブや下線が正しく表示されないのですが、これはhtmlの仕様のため?)

 間違い、反論、質問、情報等がありましたら、是非メールをお願いします。

・作成 豊栖 康司  a d m i n @ t o y o s u .(dot) c o m

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